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戦い
しおりを挟むシトンは攻撃力お化けで体力もあるが、防御は紙。なので俺の攻撃に抗う術も無く溶けてしまった。
リュネは気遣いの出来る化け物。イチャイチャねっとり研鑽を重ねるも、次の者が来るとサッと引いてしまう。ガチで戦ってはいけない。
お客様のタマリーが三番手。戦闘中は弾けるボインばかりに集中すると怒られる。酔いもあって瞬殺だったが朝にはまた復活するだろう。
次はイゼッタ。防壁から内部に侵入するも締め付けて来る防御力は、サミイには劣る物のこの中では一番だ。妊娠待機組なので入口付近で拮抗し、水攻めが来た所を外から数億の飛び道具で射撃した。
リアはイゼッタより先だと思ったが、これは第一婦人を先にすると言う策略であろう。二つの巨峰を攻め落とさねばこの戦い、敗北する。谷間を直進行軍する事が、挟み撃ちの罠と知っていても、だ。左右からの挟み撃ちに前後しか動けない俺は、更に正面からの兵站奪取作戦にまんまと嵌り、数億の兵を飲み込まれてしまった。だが悔いは無い。ご褒美の蜜は溢れているのだから。
次に来たのは予想通り家主のカロ。カロは犬、軍用犬である。戦いの中で戦いを忘れ腹を見せる雌犬であった。だが、それが良い。
暫く空いてやって来たのは武力のフラーラと智力のノーノである。多対一だが問題無い。何故なら二人とも後門の狼を槍で突いてやるだけで無力化出来るからだ。二槍流の相手にはならず、ゆっくりと二人の山を攻め楽しんだ。
次に来たアズは自ら攻めて来た。しかしこれは戦いでは無く癒し。二本の槍を前後の鞘に収め、山の頂きに実るチェリーを口に含むと明日への活力が湧いて出るようだ。
最後はテイカ。此方に背を向け山間の谷間を見せ付ける。挑発行為に敢えて乗り、太く長くした破城槌で攻撃するも、門は容易に開かれ貫通し、沼地へと引き摺り込まれた。俺は沼地に侵入した勢いをそのままに、奥に控える奥の院に戦端を突っ込ませた。
ラスボスは勿論リュネだ。リアに並ぶ巨峰の谷間は狭く、酸素濃度が低い。前門への攻撃を繰り返し何十何百億もの魔力兵を送り込むが糠に釘である。敗軍の将である俺は武器を鞘に収め強制労働を喜んで行うのであった。
翌日は朝食の後サミイの元へ向かう。他の子等は仕事だったり買い物だったりで今は俺一人だ。サミイを借りて客間で昨日の子供等の話をすると、家は知らないが知ってる子かも知れないと言うので二人で海に来た。昨日来たから今日も来るとは限らないので、ミズゲルをベシャリとしながら過ごす。サミイは鳥等からお弁当を守る係だ。
「旦那さま、べしゃべしゃしたらわたしも強くなりますかねー?」
「レベルアップ間近ならもしかしたらワンチャンあるかもなー」
「わたしもヤりたい!」と物騒な事を言い出したので、お弁当を《収納》して大鉈を…プルプルして可愛いが持てないな。解体ナイフでヤってもらおう。
「武器屋の親父の業物だ。切れ味良いから気を付けな」
陸揚げしたミズゲルを目の前にしたサミイ、左手を猫にして…、って包丁かよ。鋸状の刃に依りプルルッと裂けて行き、核の入った袋をギザギザに引っ掛けて切り終えた。戦いと言うより料理だが俺よりキレイに取れたな、えらいえらい。疲れさせないように流れ作業した。
「こう見るとなんか美味しそーですね」
飽きたか。
ミズゲルがイカそうめんのように細切りされている。透明なので心太にも見えるな。
まだ百個程しか取れてないが腹も減ったし手を《洗浄》って昼飯にしよう。
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