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 街の左右の森の奥からブフリムがわんさか、呼んでないのにウォリスもついでに集まって来た。最初の犠牲は壁守の門兵。呆然と立ち尽くしていた所を暗がりから囲まれて袋叩きにあっていた。
ウォリスは初めブフリムを狙っていたようだが全裸の人が美味そうに見えたのか、人を食う方を優先したみたいでブフリムが刺した獲物に噛み付いていた。
我先に街の中に入り込むモンスター達。そして食われる全裸達。領主館だった場所にも多数のモンスターが入り込み、全裸を味わい尽くしていた。

《感知》を使い街全体を見回して、家の外に人が居ない事を確認したら《集結》で街に居るモンスター達を集める。
ブフリム達は街の中心に集まり、密集し、密着し、圧迫し、圧死する。圧死した者の骨や武器が外側から圧迫する者に突き刺さり、更なる死者を増やす。最後のグループは赤黒い塊にめり込んで溺死した。そして赤黒い塊は圧縮され小さな丸い玉となった。

さて、帰って一度寝よう。


 翌朝、飯を食ってイゼッタを背負いナーバーグに飛ぶと、教会の前にこれから避難するであろう人達が集まっていたので《阻害》して裏口に降りてナンシーに会った。

「おはよう。出掛ける支度はどうだい?」

「おはようございます、カケル様。何も無くなってしまいましたね」

「明日には壁くらい出来てるだろうけどな」

「壁でお腹は膨れませんよ?」

「モンスターのお腹も膨れないよ」

「せんせ、前を見て。私もそうした」

「イゼッタ、貴女はこの街をどうするつもり?領主として街を治めるのですか?」

「私はしない。貴族位も捨てた。新しい領主は王が決める」

何時捨てたの?って思ってるとイゼッタと目が合った。

「家族が殺されて逃げ出した時に、もう捨ててた。封蝋印もお城に送っちゃった」

イゼッタが身に着けてたネックレス、あれの石が家紋の入った封蝋印だったのだそうな。リアと何やらしてたのはこれだったみたい。

「私は最後の仕事として、街を作るお手伝いをする。そしたらさよなら」

今生の別れを聞き、ナンシーは言葉を失った。それでも避難民を引き連れエディアルタへの移動を始めるのだった。

 で、残された俺とイゼッタは街の再建を始める事にする。

「先ずは地下水道を潰してしまおう」

「何故?」

「下水はタマゲルでも浄化できるし上水と混同すると体に悪い。その上治安も悪くなる。ぶっちゃけ上水は魔法や属性魔石で出せるしな」

「なるほど。けど魔法は使えない人も居るし、属性魔石はお値段それなり」

「俺が作って、格安で売ったら良い。魔力の補充は冒険者にでも出来る仕事だろ」

「色々考えてる」

「逃げてる時だけな」

街の中心から森の五百ハーンの土地を地下五十ハーンの深さまで《散開》させ、下方向に《集結》させると所々に凹みのある更地となった。この凹みの下に地下水道があったのだろう。
イゼッタの風魔法でそれを均してもらう。杖あり魔力譲渡ありでのグラインダーは直径百ハーンくらいあるが、そのままだと《集結》した地面を削れないのでもう一度《散開》させて削ってもらう。グルグルと二十周もしたら滑らかな水平の更地になってしまった。にしても煙が凄い。水を掛けて《集結》させ、地面が出来た。
その後は街を囲む堀を作って水を張り、高さ三十ハーンで三階建ての壁を作り、出入口を二つと橋も作った。門はプロに任せる事にして、今はバリケードで塞いでおけば良いや。

「今日はこれくらいにして帰ろうか」

「せんせー達の様子も見たい」

そろそろ暗くなるし、せめて露払いくらいはしてやらんとな。イゼッタを乗せて空からナンシー達を探して飛んだ。






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