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この街を去る
しおりを挟む夕方になりギルドに向かうとメルゲル一行は約束通り待って居た。
「おうカケル、待ってたぞ」
「昨日は急いでいたとは言え済まなかった。話とは?」
「ここじゃあなんだ、個室でやろう」
職員に一声掛けて、ゾロゾロと二階に上がる。
通された部屋は椅子と机が並ぶ会議室だ。
皆好き好きに座り、早速話に入る。
「急いでは無いが家にテイカを待たせてるから要件を頼む」
「そうだな。近い内、この街から出兵がある。お前達はどうする?」
「兵として戦うか、この街を去るか、か?」
「概ねそうだ。去る必要は無いがな」
船が無いのはそのせいか?何処も彼処も戦争ばっかりだな。
「因みに何処に攻めるんだ?ウラシュ島には遠過ぎるだろう」
「秘密だ。まあ、ウラシュ島を盗るのに必要な場所だがな」
「大体解った」
「本土戦でも始める気か?」
「取り敢えず秘密だ」
どうやら当たりの様だ。ニヤリと笑うメルゲルの顔が真面目になる。
「ところでカケル、お前公女様を助けたろ?」
こっちが本命かな?
「秘密だ。まあ、商船会社のお墨付きは貰った所だがな」
「何処かへ隠れるのか?」
「取り敢えず秘密だ」
ニヤリと笑って返す。
「話はそれだけだ。兄貴は良い奴だが野心家だ。今でもお前を狙っているし、気を付けろよ?」
人の金で散々飲んだ癖に良い奴なものか。引っ越す予定を早めよう。別れを告げて食材買って帰路に着いた。
帰宅して、夕飯を食べて、商船会社から持ち帰った話と引っ越す旨を伝えた。
「折角作ったのに」
「次はもっと良い家を建てるさ」
窓とドアは再利用するので外し、家は破壊する事となった。
「本当に、私達も御一緒してよろしいのですか?」
「勿論だ。もっとしたいんだよ。良いだろ?」
「それは此方も…ねぇ?」
「何時でも犯せ!痴れ者ご主人様め」
痴れ者なのかご主人様なのか、とにかく股を開くなはしたない。
こっちのメイドは声ちっさいなー。それにしてもテイカに聞いたか。想像したら硬くなっちゃったじゃないか。イゼッタ声を出すな、バレる。
バレた。
お風呂でテイカにお仕置きした。ベッドでは他の四人に代わる代わるお仕置された。
三人用のベッドだけど女四人ならギリ寝られるな。ソファーに寝かせたテイカを独り占めして寝た。二人きりでするのって意外とテイカが多い。中に入れたまま、たわわを吸って寝た。
どくどくと垂れ流して目が覚める。テイカに搾り取られる気持ちの良い朝だ。四人のジト目は気にしない。
身支度を整え朝飯を食い、家財一式荷車に詰め込むとちょっと狭い。王女達の荷物は多くないが乗り切らないので、急遽屋根を箱状にして荷物を乗せ、蔦で縛った。
「イゼッタ、頼む」
「名残惜しい」
「野盗の巣になるよりは良いだろ」
「致し方無し」
イゼッタの風魔法が家を切断し、音を立て崩壊した。
「壊す時は一瞬ですね」
「更に木を生やしてくれるか?」
「わかった」
細い枝が無数にニョキニョキ生えてくる。少しの時間でこんもりとした壁になった。
「それじゃあ、行くか」
「何方へ向かわれるのでしょうか?」
「無人島!」
「良い島が見付かるよう祈ってくれ」
全員乗り込み布帯着けて、高く高くと上がって行って高度千ハーン。
今回の条件は前回の事も踏まえ、
広めの無人島である。
建築に利用可能な木材、石材がある。
食料が豊富で飲用出来る水源がある。
凶暴な野獣やモンスターが居ない。
人や船の往来が無く、見付かり難い場所である。
街まで一時間以内で移動可能である。
所有者が居ない。
と言う条件にした。
荷車は北に向かって移動した。寒い所じゃなければ良いが…。
移動中、皆大人しい。下を見ても凄い勢いで景色が変わってしまうし、山と森と、集落らしきコロニーがある程度なのだ。イゼッタの望遠レンズを使っても飽きるのは早かった。
干し肉を齧ったり、狭い中でお茶を沸かしたりする者も居るが、他は大体目を伏せている。
テイカの煎れたお茶を飲み、俺も少し寝ようと思う。
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