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木のモンスター

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 森の端、黒っぽい森と普通の森の境目に来た。
どう言う理屈か、木のモンスターは黒っぽい森から出ようとしない。黒っぽい木と共生してるのか、はたまた親木なのか。
数はそれ程多くないが意外と居る。黒っぽい森の中で戦ったら囲まれてボコられるな。俺なら避けられるけど。
寄って来た一匹?一本?をナイフで切りつけると白い粘液を出して来る。戦ってる人物が女の子だったらとてもエロい事になるな、ぐへへ。
獲物を片手斧に持ち替え、枝の根元に大根切り!六割ほど切れて折れた。白いのビュルビュル出してる。枝を三本叩き切った所で動かなくなった。

担いで黒っぽい森を抜け、観察タイム。
ナイフで樹皮を削ってみるが、枝を切った時より白濁した粘液の勢いが無い。いっぱい出たもんな、出し切ったのだろう。こうなると生け捕りにしなきゃ価値が落ちるな。

新たにモンスターを捕獲して、何時もイゼッタ達を縛ってる布帯を使って森の木に吊るしてみた。わさわさしてるが問題無かろう。樹皮に傷を付けるとびゅびゅーっと元気に飛び出して、三十秒程で止まった。更に更にと傷を付ける。出る量は少しづつ少なくなる感じだが、大体三十秒程で止まった。

飼育したら無限に搾取出来そうだ。
布帯を外してやると力無く棲家の方に移動して根を下ろした。
土の成分がこのモンスターの餌になるのか?
枝を落としたモンスターを棲家に持って行き脚を地面に埋めてやると、ゆっくり動いた気がした。

生け捕りにして枯れる迄出し切るか、ある程度で交換するか、これは髭ミドル次第だな。どちらにしてもここに人を寄越す必要があるんだし。

で、肝心の樹液はと言うと、地面をドロドロにしてた。葉っぱで掬い取り枝で掻き混ぜる。よく見た粘体だな。乾燥するまでここに居ると女子達がまた泣くので帰る事にした。新鮮な奴を一本持って帰ろう。縛って担いで飛び上がる。

「じたばたするなよ、落っことしちまうぜ」

さて、島に着いた訳だが。

「カケル、また新しい女?」

「木に性別があるならな」

「第三夫人ですね」

「木に様を付けて呼ぶのか?」

二人拗ねていた。
布帯を外して自由にしてやる。さっきまでずっとじたばたしてたのに、借りてきた猫の如く大人しくなり、対岸を見つめている…ような気がする。
あっちはきっと黒っぽい森…なのかな?多分。

「樹液取る?」

「多分コイツだとは思うんだが、まだ固まってるのを見てないし、硬化時間もわからん」

イゼッタが木っ端を削ってお皿を作ってくれたので、モンスターにそっと近付き樹液を採取した。それでも大人しかった。樹液を見たイゼッタは頬を赤らめていた。後でたっぷり…な。

棒で掻き混ぜそのまま放置。窓際にでも置いておこう。その後皿の中身に気付いたテイカが訝しむ顔をしてた。

 シルケでは、基本細かい時間が分からない。
貴族の世界には時計があって、大きい街だと鐘で時を知らせるとイゼッタに聞いたが、バルタリンドには無い模様。夜明けと共に起き出して、日没と共に良い子は寝るとテイカ談。エディアルタにも無かったな。目覚ましは冒険者共のガチャガチャだったし。
夕飯食べて今は夜。樹液を採取したのが夕方だから一時間かそこらは経ってる筈。皿に乗せた棒が固い糸を引く。水飴並になってるな。

翌日にはカチカチに固まってた。ハンマーで叩いても中々割れないのでかなり丈夫な素材だな。凄く金の匂いがする。

朝食後、イゼッタに小さい板とお皿と木ベラ、木の粉を作ってもらう。木っ端も拾わなきゃ。
木のモンスターは逃げずに湖の畔に佇んでた。吸水中かな?そっと近付き樹液を採取。昨日と同じくらい出ているな、よしよし。

お皿に溜めた白濁液を木ベラで板に塗ってやる。目止めしてないので吸収してしまうが何度も塗る予定なので問題ない。木っ端の片面に塗り付けて、今塗った板の端に貼っておく。

余ってる白濁液に木の粉を練り混ぜる。まずは柔らかめにして板に塗る。ポテッと盛り上がった。木っ端の片面に塗り、貼り付ける。

次は固めに練って板に塗る。粘土みたい。前と同様木っ端にも塗って板に貼る。

塗り終わった皿は水で洗い落とす。洗えるのはかなり大事。後は保存できれば尚良しなんだが、酸素か酵素で固まるなら手立て無しだ。
昼まで日陰に置いておこう。

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