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お風呂が欲しい
しおりを挟む暫く貴族同士の話が進み、お茶が来て、木造浴槽の概要を説明した。
イゼッタはこの国の貴族では無いが、貴族が家に風呂を持つのは至って普通の事。逃げ出して来たので金に余裕は無いので浴槽を木造で作る。その為の材料を探している。
そんな感じに受け止めてくれたみたいだ。特別に目地剤を購入できる運びとなったのだがちょっと口を出す。
「発言をお許し下さい」
久しぶりに使う偉い人対応の言葉。部長以上にしか使わなかったけど。
「カケル、何か?」
「目地剤の、人体への影響で御座います。毒性があったならば浴槽としては使う訳にはまいりません」
「…なるほど。材料から毒性の有無を確認する必要がありますな」
給仕の女に指示を出し、持って来させた資料に目を通す髭ミドル。
「確かに。二つ程あまり良くない物がありますな…」
「よろしいでしょうか?」
「カケル殿と言ったか、何か?」
「二種類の代替品を用意するのは可能でしょうか?金銭的では無く入手の容易さの話でございます」
「うむ。一つは石綿、もう一つはコールタールだ」
癌発生のメカニズムがシルケで認知されているかは知らないが、どちらもよろしくないな。
石綿は充填材、コールタールは基剤その物だろう。
「石綿に関してですが、木造浴槽であるならば木の粉を使う事で代用出来るかと思われます。造船の過程で発生したおが屑を石臼などで挽けば容易に入手出来るかと愚考します」
「なるほど。試行するに足る案だ」
「コールタールに代わる素材に関してですが、空気に触れると固まる性質の樹液を使用するのは如何で御座いましょうか?値段を無視して例を挙げるならばブラッドツリーの血塊がありますが、より安価な物があるかと思われます」
「船には使えんが発想自体は悪くないな」
「はい。造船に使うのであれば必要量の多い基剤はコールタールのままで、添加物は石綿と木の粉を混ぜて、若しくは船の大きさにより使い分けるのがよろしいかと。樹液に関しての事に戻りますが、此方で探してみたいと思います」
「やれるのか?」
「お嬢様の為でしたら」
「…では、このハイネルマールに何をお望みか?」
髭ミドルがイゼッタに訪う。
「此方が持ち込んだ材料にて目地剤をお作り頂いて、完成した物を少しだけお譲り頂けたらと思います」
「欲がありませんな」
「船が買える程ではありませんが金銭的には余裕があります。金銭よりお風呂が欲しいのです」
「解りました。其方の持ち込んだ材料で目地剤を試作し、此方の条件を満たした暁には充分な量の目地剤を譲りましょう」
「有難う御座います」
「ハイネルマール殿に感謝を」
造船所を後にした三人は串焼きで腹を満たし家路に着いた。
「カケル、おつかれ」
「堂々として素敵でした」
「風呂を作るのが更に伸びてしまったな」
「共同浴場でも良い」
「俺は三人でイチャコラしながら入りたい」
「待ってる」
その夜は湖で二人を樹液塗れにし、ベッドで更に流し込んだ。明日は樹液探しだ。
今日の女子二人はお留守番だ。お強請りするのを抱いてキスしておっぱい揉んで宥めるルーチンワークをこなしたら、装備を固めて飛び上がる。
さて、どう指示したら良いものか…。
(安価で大量に手に入り、人体への影響が無く、空気に触れて硬化する樹液の所まで移動)
じわりと動き出す。つか、あるのかよ!
加速してギューンと移動すると辺りより若干黒っぽい森に着く。この黒っぽい木の樹液かな?木の天辺でクリープし、ナイフで枝に傷を付ける。
透明な液体がじわりと滲んでいる。
(この液体がさっきの指示の樹液なら上昇。違うなら右に移動。指示が無効ならクリープ)
右にじわりと動く。これじゃないのか…。そのままゆっくり高度を落として行くと、二ハーン程の高さの木が結構密に生えていた。風もないのにザワザワと、枝葉を揺らし歩いてる。
歩いてる!?
歩く木のモンスター?ゲーム的にはエントだとか呼ばれてるけど、シルケでの名前は知らん。
映画とかだと知能があって精霊の何とかーとか設定されてるよな。
「お前達、ちょっと良いか?」
取り敢えず話し掛けてみた。しかし言葉は通じないようだ。枝葉を振って殴り掛かって来るが、こちらは高さ五ハーン。虚しく空を切っている。
「話が通じる奴が居るなら案内してくれ。でないと枝葉を切ってしまうぞー」
脅しに屈せず襲い来る木。揺れてるだけにしか見えん。
近くまで寄って振り散らす枝を手で掴み、ナイフで切り落とす。痛がる様子も無いな。
枝の切り口からはどこかで見覚えのある、とろっとした白い粘液が滲んでいる。
(この樹液が安価で大量に手に入り、人体への影響が無く、空気に触れて硬化する樹液ならば上昇。違うなら前進。指示が無効ならその場でクリープ)
お、上昇した。安価で手に入るって事はそれなりに弱いモンスターなのかも。
モンスターの少ない場所に移動して戦ってみる事にした。
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