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タマゲル
しおりを挟む一番近いタマゲル迄、と飛んだ筈だが大陸を越えて居た。メルタル大陸にしかタマゲル居ないのかな?
モンスターにも地域差異や自然淘汰に因る独自の進化があったりするのだろうか。
ゲームだと橋を渡ると敵が強くなったりしていたが、あくまであれは難易度調整の結果で進化等では決して無い。
ミズゲルやシオミズゲルは進化かなー、何て考えているうちにメルタル大陸に帰って来てしまった。
海沿いの崖の上で減速し始めたのでこの近くにタマゲルが居る筈だ。
まあ、すぐ見つかるんだけれど。
丸くて青いのが草食ってる。タマゲルのいる場所は草が短いからよく分かるのだ。
おやつの干し肉を齧りながらタマゲルを撫でてやる。
「ウチに来て家の手伝いをしないか?ちょっと暗いがご飯はあるぞ」
「…………」
答える口は無いようだ。知能も無さそうだが。
草を食むタマゲルを捕まえようとして立ち止まる。
(カバンに草くらい入れてやろう)
活きの良い長めの草をナイフで摘んで入れておく。タマゲルをそっとカバンに入れると草をツマツマしたので、三つだけタマゲルを入れてお持ち帰り。
飛ぶ前に、カバンをマントの下に掛け直す。寒いだろうからな。
タマゲルが死なない速度で飛んで帰った。早くても全然平気だった。弱いのに丈夫な子らだ。
夜になり、漸く島に辿り着く。
着地と共に気付いた二人が走ってくる。よく分かったな。
「帰ったよー」
「うわぁーん」
「カケル様ぁー」
「どうした?」
「もう帰って来ないかもと不安になっていました」
「ガゲドゥ~」
よしよし。二人を撫で散らして落ち着かせた。
「タマゲル取って来ただけだろ。お前らを捨てるなんてとんでもない」
カバンに入ったタマゲルを見せてやる。テイカにとっては初タマゲルだな。
「これがタマゲル…」
「撫でるくらいじゃ襲って来ない大人しい子だ。優しくしてやってくれ」
「解りました」
と言ってもトイレの穴に入れるんだけどな。
早速トイレに向かうと女子二人に止められた。タマゲル達はテイカに連れられトイレ深くに安置された。
飯を食いそびれたので炙り干し肉と水で腹を満たしている最中、テイカが直直出入りしてたので何かと問うと、トイレの確認をしている、と。
真面目な子だな。
その日はイゼッタが沸かしてくれたお湯で体を拭いて寝た。二人が締め付けて来て寝苦しかった。
朝からテイカのトイレチェックで目が覚めた。
「起こしてしまいましたか」
「タマゲルが気になるのか?」
「いえ…、そうでは無く」
「……」
「匂いです…」
「臭うのか?」
「え、ええまあそりゃ食べた物が出ますから…」
「アイツらが何処まで仕事してくれるか判らんからなぁ」
「多分、だいじょふ」
「おはようございますイゼッタ様」
「おあよ」
「おはようイゼッタ、どう大丈夫なんだ?」
「逃げてなきゃきっと全部食べてる」
逃げてたら嫌だから見に行くか。まぁ、逃げててもまた取ってくるし構わんが。何なら増えても良い。ああ、蟹との生存競争が始まるか…。仲良くして欲しいなー。
などと考えているうちにトイレに到着。
ドアを開け穴の中を確認するとタマゲル三つちゃんと居た。そして蟹も居た。俺はそっとドアを閉じた。
「匂いは無かった。一週間程垂れ流しながら様子を見よう」
「確認させて頂きます」
テイカが入って暫くして出て来た。
「何処から入って来たの!?」
「ん?」
今度はイゼッタが入って直ぐに出て来た。
「何で蟹!?」
「壁かドアと地面の間に隙間でもあったのだろうな」
女子二人のチェックが始まる。隙間はドアの開閉部だった。蔦で縛ってあるだけだしなー。
「テイカ蝶番持って来て!」
「直ちにお「待て」」
「この状態で様子を見たい」
「なんと…」
「家の中に作る方は蟹が入らないようにするから、な?」
タマゲルと蟹が共存するのか。どちらかが淘汰するのか。蟹が勝った場合、屎尿処理は出来るのか。隙間を埋めても今入ってるのは出せない。等の理屈をゴネてその場を収めた。
さて、うんこして飯飯。あ、拭く物が無い。普段は葉っぱを使っているが個室だと葉っぱを摘んでから入らなければならないのか。葉っぱをちぎって再びトイレに向かった。
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