上 下
33 / 1,519

お肉美味しいですお肉

しおりを挟む


 串刺しされた肉が焼けるまでの間に生食出来る木の実を採集してきた。
俺の嫌いなウロの実に、山葡萄みたいな蔓草の実を蔦ごと。硬い殻の丸い何かは木になってた。懐かしい野球ボールサイズ。投げたい丸さ。

「お肉焼けるよ」

隙間風吹くテントが良い香りに包まれていた。野獣とか居たら確実に囲まれてるな。

石の上に野球ボールを置いてナイフで割ると、パキッと真っ二つになった中から白い実が見える。これも硬そうだ。
四つ割りにしてガリッと齧る。ゴリゴリして軟骨食ってるみたい。味は何だか甘いだけ。香りも無くて味気ない。

「これ砂糖の原料」

物知りなイゼッタ先生がナイフでパキンと割った実に、ナイフを刺してグリッとやってコップを作ってくれた。
おっぱいネタも披露せずお鍋にキープしてるので後で何かするのかな?

「煮詰めたりする訳か」

「うん。糖の木の実。お肉焼けたよ」

お肉美味しいですお肉。二人して串焼きを頬張る。

山葡萄みたいな実は一粒五センチ程もある。身体中に蔓を巻いたらクリスマスの飾りみたいな姿になった。ジューシーで味は薄い蜜柑。もしかしてワタウリの仲間かな?

ウロの実は全てイゼッタに奉納した。

コップに水を入れてもらいチビチビやりつつ食事を終えた。残り火に薪を足し、鍋を火にかけるのを見てる。

「明日には甘い水になる」

「楽しみだな」

「水浴びしたい」

唐突だな。まあこの子はこんな子だ。

「それは誘ってるのか?」

「おっぱい、涎塗れ」

それは済まない事をしたな。タオルを持って湖に向かった。


 太い流木に衣服を乗せて、俺達は全裸だ。薄明るくても夜なので覗いて居るのは星と女神くらいだろう。
冷たい湖に素足をひたして、見上げる夜空に女神は見えない。
体を洗いっこしながらおっぱい揉んでも問題ないな。胡座の上に乗せて揉み揉み体を洗ってやったら素股でお返しされて湖を汚してしまった。
冷えるからテントに戻ろうな。

虫対策に厚着して抱き合って寝た。焚き火の反対側は物干しスペースになっちゃったから仕方ないね。
先に目覚めたイゼッタに気持ち良くされて目覚めた。最高の朝だし。

「んむ…、おあよ」

口にモノを入れたまま話すなんてはしたないぞ?
上目遣いの金髪少女を撫でてやる。

「おはよう。気持ちの良い朝だな」

「もっとすう?」

「好きなだけしても良いが、今日は家の土台と風呂を作りたいな」

もう一回だけして貰い、昨日残した木の実と煮込んであった鍋の中身で朝食にする。
鍋の中の水がねっとり固くなっていた。棒でクルクル丸めて舐めるとしっかり甘い水飴だった。

「これはお高そうだな」

「貴族御用達」

木の実は年一回の収穫だし量も取れにくいから高値なのは頷ける。
元になった白い奴は柔らかくなって桃缶の桃みたいな食感に変わってた。これだと只只甘いだけなので、香りや酸味を増し増しして高級なおやつにするんだと。


 カロリー摂取したら消費しないとな。
本日の行動予定を話し合う。家の土台と風呂を作るのを目標に、午前中は木材と石材の収集を行う。午後は湖の外で狩りをして主にお肉をゲットする。余った時間で木の実取り、火起こし、風呂が完成していれば、お高い属性魔石の出番となる。
こんな感じでどうだろう。

「切るのは任せて」

斧の出番が無くなってしまったがアイツは戦闘用と割り切ろう。蔦を肩に巻き付けてナイフと肩掛けカバンを装備して建築スペースを探しに出た。

「広い場所、ない」

太めの木が密に生えている。林業関係者なら間引きしたくて堪らない光景だろう。

「家の広さは如何程欲しい?」

「んー。お風呂、トイレ、寝室、キッチン」

風呂四×四m、トイレ一×一m、寝室四×四m、キッチン、ダイニングも兼ねて四×四m

「八メートル四方も有れば余裕だな」

「メートル?」

「ハーンな」

「六十四平方ハーン」

語呂が良いな、へーほーはーん。
密に生えた木の端に腰の高さで蔦を縛り、グルーっと一周して帰って来たら、同じ所に縛って止める。
布帯は十ハーンなのでイゼッタに端を持ってもらい、シャクトリムシの如く囲った蔦の長さを測る。七つとちょっとなら充分な広さだ。

「水平を調べたいな」

「目算しかない」

「だなー」

誤差は後で何とかしよう。蔦の高さで木を切ってもらう。魔法様々だ。二十二本の木が切れた。枝を払って外に出し、イゼッタは小休止。俺は切り株の長さを測る。先ずは縦方向、次に横方向。手の甲が文字だらけ。
暇を持て余したイゼッタが周りの木々を根元から切り倒してた。危ないなぁ…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...