32 / 1,519
多分いい肉
しおりを挟む露店を見ながらブラブラして、再びギルドにやって来た。
「良い物件は見つかりましたか?」
「無かった」
「そうですか…」
「折り入ってギルドマスター殿に聞きたい事があるんだが…」
「確認を取って来ますので暫くお待ち下さい」
階段を登って行ったので隅の方で待つ。退屈凌ぎにイゼッタを抱っこしているとギルマス自ら降りて来た。
「なんだカケル?やんのか?」
「何を?」
素で聞いてしまった。
「俺の強さの秘密でも聞きに来たと思って居たわ」
ガハガハ笑ってるが周りは引いてるぞ。
「聞きたい事があったのだが呼び立ててしまって済まない」
「おう、じゃあこっち来い」
俺達は個室に連れてかれた。お茶美味しいです。
ギルド職員の煎れたお茶を飲み飲み話をする。
「無人島!?ありゃ国の物だ、買えんぞ」
「住む事は出来るのか?」
「ああ、住んで管理して悪さして無けりゃ排除される事は無いだろう」
「国が領有して無い島はどうなるんだ?」
「確かにそう言う島もある。見つけたら自分の国にすりゃあ良い」
「マスター、ダメですよ嘘を言っては。国に報告して管理権を得るのが一番お得です」
あながち嘘でも無さそうだな。国を興して戦争して勝てば良いのだから。無人島に国盗りに絡む程の価値があれば、だが。
「で、島はもう見繕ってあるのか?」
こんな質問してるのだ、島がある体なのはお見通しか。
「俺達は外から来たからな。島は沢山見たよ」
「俺も一つ欲しいな」
「マスター…」
ジト目で見られて小さくなるおっさん。
「ま、まあ住むのは勝手だ!そろそろ仕事に戻るぞ」
逃げたな。俺達も出よう。
その後、武器屋で片手斧八千ヤンと、防具屋では布の帯(カバンの材料)十ハーンを二本買った。二千ヤン。魔道具屋にも寄って風呂を沸かす為の属性魔石を買った。これは高くて五万ヤンもした。
「後は食材を買えば行けるぞ」
「夜になるけど平気?」
「夜ならすぐ飛べるしな」
「お肉買ってこ!」
謎肉一ナリ二千ヤン、葉っぱに包んでくれた。多分いい肉だ。塩と香辛料もついでに買った。肉に塗して焼けば良いらしい。三千ヤン。
「準備は良いか?」
「ご飯食べる!」
後でお肉焼くでしょ。良い匂いに釣られてしまったか。自分の金で串焼き買ってらっしゃい。
イゼッタがモグモグしてるうちに、井戸端で肉に塩と香辛料を揉み込んで葉っぱで包む。
手はもちろん洗いましたよ。
夜になり、俺達は街の外に居る。遠征等の目的で閉門間際に出る者は意外と多いのだ。
街道を真っ直ぐ道なりに進む。森に入らないのは肉を持ってるからだ。
畑ゾーンの入り口で背負いカバンを降ろす。ちょっと重いがイゼッタ大丈夫かな?
「担げるか?」
「んっ、しょ。大丈夫」
布帯で二人を縛り、カバンを背負わせ腕を通す。
「食い込んだりしてないか?」
「ん」
「なら行くぞ」
上昇に耐えようと目をギュッと閉じるイゼッタに軽くキスして飛び上がる。暫くフードから顔を出してくれなかった。
前回行った島は遠いので、新しい島に行く事にした。
凶暴なモンスターや野獣が居ない。
生食出来る木の実がある。
飲用に適した水場がある。
建築に適した木材と石材がある。
無人島である。
この五つの指示をして今飛んでいる訳だが、何故か内陸を飛んでいる。まさか対岸まで行くのかと思っていたが、答えは湖に浮かぶ島だった。国の管理外である事も条件に加えれば良かったかな?
島の頂上から、降りやすい場所を探すが水際しか無かったので流木が倒れてる辺りに降りた。
もう夜なので素早く作業しなければ!
イゼッタは長めの細い木を切ってもらう。俺は蔓を探す。テントを作る場所の下草を風魔法で刈り散らし、二人寝られるだけの輪を描く。木を三本縛って広げ、描いた輪の三箇所に置いたらどんどん木を重ねていく。入り口は広めの隙間を開けておく。中に入って飛び出た枝葉を摘み取ってひとまずの完成。雨が降らなきゃ何とかなる。
次は肉を焼くぞ!
細い木の余りを串に加工するのだが、これもイゼッタの仕事。エアロを停滞させ切断砥石みたいに使ってる。
俺はと言うと薪集め。枯れた流木沢山持って来た。次は石を肩掛けカバンに詰めて来る。帰って来たら流木切り刻まれてた。斧ェ…。
テントの真ん中に石をぐるっと輪に並べ、次は砂。砂は湿っているのでカバンがビタビタになった。後で干す。肉が切り刻まれてた。ナイフェ…。
砂を石のサークルに敷いて薪組みだ。枯葉を敷けば濡れた砂の上でも問題ない。その上に薪組みしていく。火口箱と火打石セットを取り出し、流木を切ったおが屑と火口にカチカチ。カチカチ…カチカチ!
奪われた。カチンッ!火口に直撃…だと!?
「思い切りが大事」
ドヤ顔された。
お肉焼こう…。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる