4 / 1,519
ギフトに慣れてみる
しおりを挟むジャンパーのポケットから飴を一つ取り出し口に放り込む。
蜂蜜と柑橘ののど飴だ。うまし。ゴミは捨てずにポケットへ。
コロコロしながらどうすれば効率良く移動出来るかを考えた。
(最終目的地までのルートを最初に決めてしまうとさっきみたいにガサる事になる…。移動しながら都度都度で方向や速度を変えたりすべきだな。
敢えて《逃げる》と言う言葉を使って念じてたけど、他の言葉でもいけるのか試してみよう)
川は草原の先にあるはずなので、先ずは草原でギフトに慣れてみる事にした。
(ここからあそこまで高さを維持し、目的地十メートル手前まで速度を加速。そこから目的地まで減速。目的地に着いたら高さを維持して逃げ続ける)
念じると同時に飛び出した。
《逃げ続ける》の言葉は使えるようで安心した。使えなかったら十メートルの高さから落っこちてた。『恐怖耐性』のせいで迂闊な行動してしまった。反省。
ぐいーんと加速しぐぐーっと減速、そして空に浮く俺。人が居る所でやっちゃダメな気がする。
(ゆっくり地面まで二メートルの位置まで移動して停滞)
死ぬかと思った!《逃げる》以外の表現ではギフト発動しない!自由落下したので間違いない!
(地面から逃げて!)
上方向に向かって飛び上がる。自由落下のスピードで加速しまくっているのですぐさま減速したがだいぶ飛ばされた。とても胃に悪い。
高度を再び二メートルに戻し検証再開。
(高度を維持して前方に逃げる。速度は時速二十キロまで徐々に加速。考えた方向へ進行方向を変える)
これも上手くいった。
曲がる前に体を進行方向に曲げておかないと急にGが来る。ターン大事。
その後調子に乗って飛び回ったおかげで『逃げる』の使い方を粗方検証出来た。
一度逃げたら止まるまでは《逃げる》意味合いを含まない表現でもギフトが発動する。
止まったらその都度ギフトを使わなければならない。
加速・減速は移動中に出来るので速度を指定する必要は無く、徐々に加減速するので希望の速度になったらそれを維持する指示をしてやれば良い。
移動中の姿勢は自由。フライングチョップやミサイルキックも思いのままだ。
ギフトの効果を受けているのは俺の体だけ。
当たり前のようだが服や飴の袋は俺から離れると飛んで行く。乗り物に乗って空を飛ぶのは無理っぽい。ゴミはちゃんと回収しましたよ。
検証した中でも俺GJな発想は《クリープ現象》。AT車にある、アクセルを踏まなくてもゆっくり走ってしまうやつだ。車の場合は時速五キロ程だが、こっちは時速一ミリ。この状態で地面から一ミリでも浮いておけば再注文し放題。
停滞や解除せずに寝たら寝相の悪い人になるな。
時間は多分午後過ぎている。太陽がだいぶ傾いているからね。
暗くなる前に寝床と食料、最悪水を確保したい。
「そうだ、川に行くのをすっかり忘れてた」
クリープから空に向かって浮き上がり、川に向かって飛んで行く。
草原を抜け、森を飛び越え一直線に水場を目指す。
高度は森の木の倍程の高さに設定してあるので安心だ。まだモンスターとか見てないけど。
生き物自体は居る。鳥は大小結構な数飛んでいる。
食うにしても捕まえられそうな気がしない。それに捕まえてもナイフも火も無きゃ料理できない。こちらを襲う素振りもないのでスルー安定。
ちなみに草原には大型の野獣などは居なかった。
小型のは居るのかも知れないが草丈が高かったので見ていない。
森の中は飛んでて見えないので解らん。
けど女神が言っていたのだから居るのだろう。
(モンスターやら野獣やらって水の中にもいるのかな?野生生物は水場に集まると言うし、ワニとかピラニア的なのとか居たら危険が危ないぞ…。
取り敢えず上から見て生き物の居なそうな所に降りれば良いか)
そこでふと思った。野獣が居る川の水、飲めるのか?と。
遠回りになるが、川の上に着いたら川沿いを上流に向けて飛ぶ事にしよう。
湧水、もしくは滝があれば嬉しい。
湧水ならそのまま飲めそうだし、大きな滝なら登れば野獣も居ないかも。
川は森の間に流れていた。
1
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる