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平民如きがっ、貴族と並び立つとは何事か!!

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 当主様が屋敷に戻り、僕達も離れに移動する。エヴィナとセーナはエリザベス様と一緒に屋敷の方に行くみたい。

「ユカター、あンたもこっちよー」

「え、何だって?」

「あ・ン・た・も・こっち!」

 何故?…って、僕も高位貴族様と同席するからだな。心の重さが歩幅に表れる。

「ユカタ、頑張ってね」「ユカタ君ならきっと大丈夫です」「生きて帰って」「ユカタが帰って来たらアタシ…」

 ロシェルは何をする気だ?聞く間もなくセーナに捕まり引っ張られてお屋敷に連れ込まれた。

 お屋敷の中は今まで見た中で1番豪華だった。豪華過ぎて言葉にならないし、迂闊な事も話せない。床は模様のある白い石が敷かれ、足元には赤くてふわふわした絨毯が敷いてある。筋の沢山入った真っ白な柱は丸太のように太く、階段には金色の装飾が乗っていた。

「キョロキョロしてると迷うわよ」

「う、うん。手ぇ、繋いで良い?」

「あらあら、甘えん坊さんねユカタちゃんは」

「それなら私のわたくし手をお取りなさいな」

「止めとけ。おのれ平民風情がー…ってなるぜ?」

 前を行くエヴィナが首スパーするジェスチャーを見せる。止めてくれマジで。

「エヴィナでも首が飛ぶかしら」

「オレ女だぜ?」

 エリザベス様はエヴィナの腕に組み付いて、エヴィナの首を落とそうとうふうふ笑ってる。パッと見男だし、ダメだろそれは。しかしエヴィナは生き残った。客間に着くまでソレっぽい人が来なかったのだ。運の良い奴め。

 客間に着いたがメイドが多い。ドアの横に4人ずつ並んで何かこっち見てる気がする。広い部屋の壁には模様のある布が張られ、誰だか分からぬ絵が飾られてたり、暖炉の上には巨大な銀板鏡が据えてある。天井にだって模様が入っているし、キラキラしたガラスのいっぱい付いた照明が輝いて、目がチカチカしそうだ。

「お掛けになって」「ほらここ」

 細かい模様の入った布張りのソファーをポンポン叩いて招くセーナを断って、僕はテラスのある窓に向かって外を見詰める。住む場所が違うって、こう言う事なんだな。部屋とテラスを隔てる窓も、薄く伸ばしたガラスで出来てる。パリンとやったら首スパーだ。外の空気を吸う事もできず、僕はただ、立ち尽くすだけであった。目の前に広がる森を抜けると貴族街。森に見えるが屋敷の敷地内だ。逃げる事も容易ならん。

「エリザベス!」「妹よ、無事戻ったか」

 その時ドアを開ける音と共に、誰かが入って来たようだ。声からして男が2人。1人は聞いた事あるかも…あ、やべ。すぐに向き直り礼を執る。

「お兄様方、客人の前でしてよ」

「ニコラ様、マイケル様。久しく」

「貴殿、いや失礼した。エヴィナ嬢か。3年振りか」

「美しくなったな」

「ニコラ様、お時間があれば手合わせ願いましょう」

「その時間は無いな。残念だ。それよりエリザベスよ、その者が魔道砲のセーナか」

 顔は見てないけど、迂闊な事を言った方がニコラ様か。エリザベス様は兄が2人いるって言ってたし、きっと上の兄なのだろう。マイケル様はお口がお上手であらせられる。

「ええ。こちらがセーナ嬢。あちらで礼を執り続けてますのが弟子のユカタですわ。セーナ嬢、こちらの女性に失礼な事を言う方は私のわたくし上の兄でニコラ。お世辞上手が下の兄のマイケルです」

「セーナと申します。妹君には大変お世話になりましたわ」

「その方セーナ嬢の弟子であったか」

 絨毯を踏み鳴らして近付いて来る足音の主はマイケル様かな。足元しか見えてないから分からん。

「は。自分ごとき者をお覚え頂き感謝の言葉もございません。師の名をひけらかす事を良しと思わぬため、黙っておりました。大変申し訳ございません」

「構わん」「構うっ!」

 どっちなんだ?奥に居るであろう多分ニコラ様は許してくれないらしい。お菓子食べられなかったからかな?







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