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ドレス姿が、想像出来ない

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「お金稼ぎと読み物の話を同時にしててさ。聞いてるだけでもこんがらがるし、理解出来ない言葉がいっぱいなんだ」

「読み物。本でも作るのかしら?エヴィナ、教えてちょうだい」

「え?ああ。ウチのメイドに読ませてやったらハマっちまってさ。版画を加工して増産すんだと」

「確かにお金稼ぎと読み物の話ね」

私にわたくしも読ませて貰えるのよね?」

「さあ。ジュン先生にお伺いを立てるんだね」

「出世したわね。嬉しいわ」

 ジュン先生の作品にハマったのはエリザベス様の方が早いんだよな。あの時は紙束だったから、本になった物をもう一度読みたいと仰った。

 エリザベス様の別邸でメイドさん達の歓待を受ける。軽食の後、浴室に連れられて僕は、マイケル様が座ってた椅子に座り、頭や体を洗われた。後が支えてるからと数人掛かりで。見上げた天井は湯気で白かった。

「当家で2泊して頂ければ後の行程が3日となり、都合5日で王都へ到着出来ます。お嬢様、いかがなさいますか?」

 湯浴みから戻って来た女子達に、メイドさんが何やら提案してる。ムルザバ駐留隊、スコフィールド駐留隊も合流し、今まで一緒にいたローウィラー駐留隊は護衛の準備に出発したと言う。
 
「早く終わらせて、皆を休ませてあげなければなりませんね。セーナ嬢、よろしくて?」

「文を送るのを忘れないでね」

「連絡は?」「抜かりなくございます」

 明日はもう1日泊まると決まった。僕の意見?そんな物は無い。ただでさえ1年前倒ししているのだ。1日2日伸び縮みした所でどうと言う事も無い。

 とは言え翌日は外に出る事もなくお屋敷で過ごし、更に翌日、スコフィールド駐留隊に囲まれてオドノヒューを出た。

「アタシ達までもらって良かったのかな」

 エヴィナの馬車に揺られるロシェルは出発前の事を思い出して言葉を零す。出掛け前、メイドさんから四角い旅行カバンに入った服一式を1人に1つ頂いたのだ。僕はまあ、高位貴族様に会う訳だし、ガワだけでも見栄え良くしておいた方が良いだろう。ならば4人はどうなんだ、と言う話だ。話の流れで会いたいと申されれば少なくとも3人衆は断れない。ロシェルは何としても遠慮させるとして、それでも1人だけボッチにするのは良くないとメイドさんは判断したのだろう。ロシェルもソレを解ってて困惑していた。

「部屋着にしたらどう?」

「堅苦しいよ」

 女性の服はそうだよな。嬉々としてカバンを開け、固まってしまったロシェルの背後から見えたのはコルセットだったし。

「コルセットしなきゃ大丈夫だよ」

「それよりも大事に保管しておく事ね。ランクが上がればいずれ貴族との会合もあるでしょうし」

 レイナは普段使いにしない方が良いと言う。僕はマイケル様にもらった服使い倒してボロボロにしちゃったんだけど。

「冒険者なる前からあったよねみんな」

「制服は礼服としても扱われますからね。卒業して、制服を返してしまったのですから礼服なり礼装は用意しておきたいです」

 服がボロボロの僕を見かねて、エリザベス様は用意してくれた訳か。みんなある程度は新調してるとは言え、使用感のある装備だしな。

「礼装ってさ、パレードで見た銀の甲冑とかだよね」

「そうね。あんなの着て戦争に行ったら捕まって剥ぎ取られる未来しか見えないわ」

「さらに身代金かっぱぐよねー」

「お金で解決出来た方が良かったわ」

 レイナのお父様は戦死なされてるんだよな。傍にいるマキに手を繋がれると、自然と顔が上がる。

「ご安心を。レイナ様は私とユカタ君が支えます」

「私とユカタを支えて欲しいわ」

「私も支えてくださいっ」

「先生、仕事中ですぜ?」「お前等も、あんま騒ぐな」

 メイドに注意されてしまった。日中はそれだけで敵も出ず、外では騎兵が守ってる。中にいる僕達は大人しく寝るくらいしかやる事が無かった。退屈なのである。





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