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小さくなった、お母さん
しおりを挟む「へー、ソイツがセーナ様ぁ」「フフン」
下に降りて風呂の裏手。セーナが小さいのを見てガサツな2人はドヤ顔で舐めた態度だ。死んでも知らんぞ?
「2人共、弁えなさい。この方は武勲もあるのだから」
「うぇ、マジかよ」「アタシだってやれるもん…」
「この場の全員殺して良いなら前衛にも勝てるわ。もちろんしないけど」
エリザベス様も流石に止めに入った。セーナは本当に殺れるからな。怒らせてはならない。
「コイツはしばらく預かるわ。大事にしてあげるから大人しく待ってなさいね」
ドヤ顔にドヤ顔で返すセーナは大人気ないと思う。背が小さいから余計にかもだけど。
「セーナ、小さくなった?」
「そうね、小さくなる呪いが掛かってるのよ。あンたが伸びた訳じゃないんだからね」
呪いなんて掛かってる訳ないだろ。実際、僕の背は伸びたんだ。エプロンから革張り金属鎧に替える時も採寸して、大きくなったのを確認してるのだ。
「あの、セーナ嬢。よろしくて?」
エリザベス様が口を挟む。僕達を王都に送る手筈を説明し、自らも同行する旨を伝える。メイドさんも一緒に行くって事はご飯とかのお世話もあるみたいだ。
「エリザベス様、オレも一緒しちゃダメか?」「この野郎、狡りぃぞっ!?」
エヴィナの申し出にロシェルがキレる。女の子に野郎はないだろう。
「オレさ、いつ連れ戻されっか分かんねぇんだわ。アッゼニに居ても探されるだろうしよ。頼むわ」
「はぁ。ロシェル、いかが考えます?」
「ア、アタシ?う~…」
「セーナ嬢はいかに?」
「護衛代わりに使ってあげたら?馬を付けて斥候代わりにもなるわね」
「おう、馬は得意だ。何でもやるぜっ」
多分だが、セーナはエヴィナの事を平民だと思ってると思う。さらに男と思ってる可能性すらある。僕もだったしな。
「エヴィナ。装備無いんだから無理するなよ。馬だって乗り換えるんだろ?」
「装備?馬はともかく装備なんて要らねぇだろ」
「夜用の防寒装備に馬用甲冑。前に馬車乗った時だってだいぶ飛ばしてたんだぞ?」
「馬がありませんよ。貴女の家のは馬車用でしょうに。ロシェルが許すなら許可します。馬車に同席なさい」
「ロシェル!頼むっ!」
「…………帰って来るまで、エロい事すんなよ。後、生きて帰れ」
「あンた達、そんな仲だったの。お母さんビックリだわ」
学園に来た日にお母さんって呼んだのまだ根に持ってるな。先に子離れとか言ったのセーナのクセに。
荷物をまとめた元学生が荷物を携え校門を出て行く。門前には馬車が並び、多少裕福な家の迎えもあるようだ。
「ジューーーン!こーこだー!待ちかねたぞーーっ!」
「歩いて、行こっ…か」「ジューーーン!?」
ここにも裕福な家が居たか。しかし声の主はあのお爺さんでは無い。もう少し若く、髪も白くないオジサンだ。あれだけ声高に叫んで関係ない人な訳はないから、きっとアレがジュンの父親なのだろう。性格はお爺さん似だな。
「ユカタ君、私アレに乗ると連れ戻されちゃうからお爺様の所に避難するね」
「どこも大変だね」
「レイナ様にジュンさんは、これが入園動機ですから」
「だからみんな商会にお世話になるの。帰って来たらお店に来なさい」
3人衆とロシェルが走ってく。ロシェルの奴、ずっと黙りだったな。
「あ、ああ…、ジュンンン…」
負い切れず立ち止まるオジサンは構うと面倒そうなので、知らない振りしてエリザベス様の用意した馬車に向かう。一度エリザベス様のメイドさんの住む貴族街の借家に向かうそうだ。
「……と言う訳で、私の計画が頓挫しましたの。計画を改めるのでその間お2人…3人ね。もてなしなさい」
「「「承りまして御座います」」」
「オレまで世話になって済まない。アイツ等の家には寄りにくいしな」
メイドの下宿、距離的には100m程しか離れてないのにな。
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