剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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男が奢るのが、当然の流れ

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「それで足痛くしたらダメでしょ?それにさ。長く走れないとさっきみたいに逃げられないじゃないか」

 戦えば勝ってた。なんて言うが、怪我ありきで話されても困る。赤デカウォリスで100万U、デカウォリスで10万Uの報酬が出るのだ。1匹ずつなら何とかなっても小物含めて31匹の群れとなると絶対に無理だ。

「相手が馬鹿なら殺れるかもね~」「馬鹿だと良いけどな~」

 ガサツな2人からフォローが入る。フォローと言うより煽ってるのか?

「靴を用意する話が、あらぬ方に曲がってしまったわ。貴女達の靴、お見せなさいな」

「「「は、はい」」」

 エリザベス様の一言で、取り巻き達が立ち上がる。エリザベス様の前に立ち、ローブとスカートを捲り上げた。

「ユカタァ、何見てんのよぉ」

「靴だよ。3人共走りやすくて丈夫な靴じゃないか。それに脛まで守れるブーツだし」

「そりゃあ、安くない買い物だもの」「元は取りたいわよ」「みんなして3時間も悩んだんだから」

「あら、私はわたくし除け者なのね」

 アワアワしてフォローする取り巻き達に対してエリザベス様は何だか嬉しそうだ。面倒臭い人である。

 討伐に出る冒険者が街を出て、今日はこれ以上外に行くのは止めようとなり現地解散。エリザベス様と取り巻き3人は仲良く靴を見に行った。元デブとマッチョは寮に戻ると言って帰って行った。3人衆と気になる2人は5人でクリスエス商会に行くと言う。で、残ったのは僕とロシェルとエヴィナの3人。

「ねね、ユカタ。串焼き買って帰ろーよ」

 それ僕の金で買えって事?

「自分の金で買うなら良いぞ?」

「んもーんっ」

 どうやら当たりだったようだ。昨日たっぷり儲けさせてやっただろうに。

「ロシェルは馬鹿だなぁ」

 馬鹿を罵り、今度はエヴィナが仕掛けて来るみたい。

「ユカタさん、抱いてくれよ」

「…したいけど、ダメだよ」

「じゃあ串焼き買ってくれよ。胸くれぇならいつでも揉んで良いからよ「揉む程ないじゃん」うっせ」

 高い物を吹っ掛けて、渋った所で安物を…と言う手管は、ある。だけどエヴィナは食べ物では無いから釣り合いが取れない。それに、1度揉んだら何度奢らされるか分かったモンじゃない。

「おっぱいなんて赤ちゃんがお乳飲む時とかに触るモンでしょ?」

「揉みたいクセに~」「吸いたいクセに~」

「じゃあ串焼き買いに行くぞ?揉んで吸ってやる」

「う…マジかよ」「直接言われると、ちょっと…」

「だったらそんな誘い方すんなよ。みんなにバレてパーティー追い出されたら僕1人でダンジョン行かなきゃなんないんだぞ?」

「ならよ、みんなを囲っちまえよ」

 貴族様じゃあるまいし…ってコイツ貴族だったな。貴族だからこそ出て来た考えか。

「エリザベス様も?」

「流石にソレは無いわー。エヴィナは馬鹿だよね~」

 勘定が出来る分、ロシェルよりはマシだがな。

「あン人だって吸って揉むくれぇはさ、してくれっかもよ?」

 無い無い。僕の首が飛ぶだけだ。

 露店街に向かい、串焼きを包みで買ってやる。いつでも揉んで吸うからな?と言う牽制だ。

「お茶でもしながら食おうぜ」

「お店行くの?」

「お茶代も僕が払うの?」

 そうでは無く、メイドの下宿を借りてるからそこでお茶を淹れてもらおうって事らしい。突然押し掛けて大丈夫なのか?問題無ぇって言うけれど、向かうのは北の大通りだった。

 北の大通りを少し入るだけで射るような視線が飛んで来る。通りの角々に衛兵が何人も立っていて、突き立てた槍で不審者を貫こうと狙っているのだ。

「ロシェル、静かにな?」

「ユカタビビり過ぎ」

「ユカタさんは例のアレがあるけどよ。お前にはないからな。上手く逃げろよ?」

「酷くね~?」

「ロシェルは指名手配されると盗賊になっちゃうから。ちゃんと守ってくれよ?」

 敵対するロシェルに勝てる気がしない。





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