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気が、休まる
しおりを挟む翌日は、まだ日の登る前に起こされて朝食と移動の準備をし、開門前に門前に着く。今日も出入りの列が出来るのでゆっくり夕方からとは行かないそうなのだ。
「せっかく添い寝でもしてやろうと思ったのにな」
「アタシを差し置いてんな事させっか」
「だから2人で行こーぜつったろ?」
「だってあンたおっぱい出すじゃん!」
僕を夜這いしようとした2人は今添い寝してる事を棚上げして語り合う。深夜にこっそり夜這いしようとして取っ組み合いになったらしい。
「お嬢方、そう言うのは学園を卒業したらでお願いしやす」「そん時ゃたっぷりハメを外してくださいや」
「だってー。ユカタ絶対しなそうだし」
「冒険者で食えるようになったらねー」
「ヤる気はあんのな」
「そりゃあ、男だし」
「……硬くなってたもんね」「何だお前も見たのか」
「ユカタ、見せたの?」
「見せてないっ」「見ちゃねーけど」「ご立派でした」「「おい」」
開門まで静かにならなかった。逆に街道に出ると眠気が来たのか静かになる。後部ベッドに2人を寝かせ、僕は前の座席に座り、目を閉じて外の様子を窺った。
昼食に、昨日食べた茹で肉を生地で包んで焼いたモノが出た。串に刺した状態ではなく、1口大に切ってある。生地も厚くしてあるし肉の味もさらに美味しくなっていて、昨日のを参考に作り直した事が見て取れる。
「コレなら手で食べられますね」「挟みパンだと、お肉が零れちゃうもんね」
昨日口にしなかった2人も気に入ったみたいで、感想を等述べながらパクパク。よほど美味しかったのだろう。中継地のオドノヒューでは具材を入れて焼いたパンへと姿を変え、食事だけでなくおやつとしても供される事となる。
それから数日経ちアッゼニに到着すると、待ち構えていたジュンのおじいさんに捕まって、クリスエス商店にお泊まりとなった3人衆が離脱。残った者は学園に帰った。寮での食事も久しぶりだな。部屋で制服に着替えて食堂に向かうと、まだ早い時間だと言うのに目立つ2人がトレーを持って席に着く所だった。
「お、兄弟。お妃様に色目使ってバッサリ殺られてると思ったぜ」
「馬車の中で何人孕ませた?」
「どちらにしてもそんな事したらここに居られないでしょうが」
意外と鋭い所を突いて来るマッチョ兄弟。離れて座ろうかと思ったがクリスに待ち構えられて筋肉の狭間へ連行された。誰を孕ませた話が聞きたいんだよ。
「で、土産は?」
「買って来いって言わなかったよね?」
「言わなくても買って来るモンだぞ?なあ弟よ」「おうよ」
干し肉しかないので後でくれてやる事になった。一応王都で買った物だし、王都土産で良いハズだ。
「んで、誰とヤったよ」
「ヤってないよ」
「何でよ。貴族はともかくロシェルくれぇとならヤれたろ」
「愛し合ってるからね。卒業して、稼ぎが安定したらたくさん産んでもらうよ」
「じゃあ、あの静かなの。ジュンはどうだ」
「愛し合ってるからね。卒業して、稼ぎが安定したらたくさん産んでもらうよ」
パーティーメンバー全員の名前を出すので全部同じ言葉で返してやった。
16日間の休みも終わり、新たな実習が増えると講師から説明を受ける。今まで演習場で行われていた月1の演習から野外とダンジョンでの実習に変わると言うのだ。学園に来て、やっとこの時が来た。クラスメイト達もにわかに活気付く。初回は次の休み2日を使って、ダンジョンまでの移動と浅層の探索を行うそうだ。
「なあ兄弟、お前等そのパーティーで行くのか?」
「一応ね」
昼食の定番となった魔法鍛錬場にて、ミルコが僕に問うて来る。
「多くねぇか?」
「多い?5人だよ?」
「クリスよぉ、オレ達はエリザベス様のパーティーだぜ?お前等2人ぼっちで潜れんのかよ」
僕の所はロシェルと3人衆の5人。エリザベス様の所はエヴィナと前に共闘した3人の5人だ。マッチョ兄弟はこの10人が1パーティーだと勘違いしたみたい。
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