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火災に、注意
しおりを挟む部屋割りの書かれた見取り図を持って3階の7番目。ここが新しい自室のようだ。鍵を開けて中に入ると、部屋の向かいに窓が付いていて、白濁りしたゲル版からは明かりが差し込んでいた。倉庫より少し広い室内はキレイに掃除してあるようだが、ベッドの下やクローゼットの隙間など、カサカサの住処はどこにでもあるモノだ。そしてベッドの中に隠れるチクチクやシロムシは、僕の安眠を妨げる可能性がある。
窓を開け、ベッドからシーツを剥がし取り、敷いてある切り藁をシーツの上に積んでいく。部屋の掃除はしたらしいがあくまで部屋だけで、切り藁の中は湿っていた。交換したいな。
2往復して切り藁を捨てたら演習場に向かい薬草等を採集する。暗くなって来たし今日はここまでか。まだ倉庫は使えるみたいだし、今夜は倉庫で寝る事にした。
翌日。資料室で3人衆と問題を解きあったりロシェルの勉強を見てやって昼飯時。僕はレイナの魔法を見れなくなった事を謝った。
「ユカタって、片付けられない子?」
「荷物は少ないよ。部屋の殺虫と、寝藁の交換しようと思ってね」
「藁…と言うと、ベッドの詰め物ですね…?」
「うん、湿ってたから捨てたんだ…」
「うわー、それヤバだねー」
「そんな事言われると自室のベッドも気になるじゃないの」
「後で手配しますね」「貴女のも同じくなさい」
手配と聞いてマキに聞くと、切り藁の補充をしてくれる寝具屋さんがあるんだって。僕は演習場で草刈りしようと思ってたけど、干す時間も惜しいので、ついでに手配をお願いした。
マキが外出するので食後すぐに解散となり、僕は新しい自室で鍋敷き代わりの皿とお鍋を出す。鍋の中で火を焚いて、昨夜摘んで干しておいた薬草を熾火の中に投入した。モクモクと部屋に満たされる煙に耐えて急いで部屋を出る。逃げ場を失ったカサカサ達は煙に巻かれて死ぬだろう。ムシヨラズは名前の通り虫を殺す草で、虫害に非常に強い薬草だ。馬や人の虫下しも使われていて、味は独特の風味があって苦い。草原の比較的乾いた所ならばどこにでも生えている。昨日の授業で採った薬草の1つでもある。今回は洗わず茎毎使った。
荷物を纏めたり倉庫の掃除をしたりして時間を過ごし、自室に戻ると室内は煙で真っ白。息を止めて急いで窓を開け換気すると、まだ煙の出る鍋を持って急いで寮を出て消火する。寮の屋根から煙が見える…問題にならねば良いが…。
換気を終えて自室を掃除していると、開けっ放しのドアをノックしたのはコラリーさん。
「ユカタ君、火事だと思われるから連絡欲しかったかな」
「あ…、確かに町だと言わなきゃダメか。ごめんなさい」
「セーナ様のお弟子さんだし、場所を見て貴方の仕業だと分かってたから揉み消しといたけど、気を付けてね?」
セーナと言うか、ホリーさんのお弟子さんだと思う。コレもホリーさんに習ったから。コラリーさんは、明日寝具屋が来てくれると言う連絡を受けて来たそうで、部屋の拭き掃除を手伝ってくれた。倉庫の使用も今夜までと言う事で、明日ベッドが完成しなければ、僕は床に寝袋で寝る事になる。
寝具屋さんは翌日の午前中に来てくれて、切り藁の充填と粗布の鋲打ちをしてくれた。5万ウーラもしたが、手間賃を考えると安いモンだ。切り藁の量と、切り藁を敷いて押し固める作業を考えると僕1人では数日仕事になってしまうからな。
それから更に数日程過ごし、野外活動の日となった。朝から翌日の夕方まで演習場で過ごし、配給される少しの干し肉以外は現地調達する授業となっている。生徒達は皆背嚢を背負い、カバンを掛け、後衛はローブ、前衛は部屋の置物として大事に飾ってあったであろう装備を身に付けていた。
「ユカタの装備ってさ、背中丸空きだよねー」
「背嚢が防具の一部なんだ」
「切った皮のまま…ですね…」
「おかげで安いんだよ」
ロシェルはグリーブと胸だけのブレストにガントレットの軽装備。ジュンはローブの軽装だ。
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