剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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薬効は、無いかも

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 コッチコッチと呼ぶ声に向かい、長い机の席に着く。一昨日同様、どこに座っても良いらしいが…、何で中央最前なんだ?5人座れて空いてるのがココしか無かったらしい。僕がど真ん中、右手にレイナとマキ、左手にロシェルとジュン。

 動けない。やる事無くてカバンを漁る。得に出すような物は無かった。あ。

「あ、お弁当2つ~。うひ」

「今日は2つもらっても良かったんだ。所でこれから何やるの?」

「ああ、ユカタ君は知らなかったな」

「今日やる事を教えてくれる時間だよ」

「は、端折り過ぎだよっ。あの、この時間に居ないと、特に理由が無い限り、1日休み扱いになっちゃうの…」

「ね、寝過ごしたら、補習か…」

「うん…」

 ジュンが発したその言葉は、学生証とかには書いてなかった新情報で思わず口調が伝染ってしまった。

 ややあって、正面側の引き戸を開ける音が聞こえると、生徒がバタバタ席に着く。魔法使い姿の男が入って来たが、魔法の使えない僕が魔法を教わる事もあるのだろうか?

「皆、居るな?学生証を掲げなさい」

 講師?に言われてみんなが学生証を持って掲げてる。僕も急いで持ち上げた。講師は手に持った透明な玉を光らせて玉を見てる…。ソレで誰が居ないか分かるのか?

「……ユカタは、誰だ?」

「ぼ、僕だけど」

「分かりやすい所にいて助かる。この者は今日からの編入だ。宜しくやるように」

「はーーい」

 って言うのはロシェルだけ。空気を読まない娘である。

「所でユカタよ、お前がこのクラスへ配置になった理由は分かるか?」

「…えっと、順番?」

「そうだ。だが覚えておけ。このクラスは能力に劣る者が集まるクラスである事をな」

「僕の能力が分からないからこのクラスなんだね?」

「そう言っている」

 言ったか?

「確かに、尖った能力の人が多そう」

「私は能力に劣る者、と言った。どこが尖っているのか言ってみろ」

「僕まだこの4人としか関わりが無いんだけど、例えばジュンは話建てが上手い。文字を書く事に関しては僕含めて4人の中では飛び抜けてる」

「ふむ。他には」

「後3人言うのは長いから1人だけ。ココのロシェルは足音がしない。気配も無いんだ」

「ふふっ、お前が鈍感なだけかも知れんぞ?かく言うお前はどうなのだ?」

「僕、お金稼ぎ上手いかも」

 取り出したのはキセルタケ。昨日チョチョッとした野草摘みの時に拾って干し忘れていた奴で、ファイルの中でペタンコになって干からびていた。要らないんであげます。

「…キセルタケか、成程、面白いな。皆が皆何かに突飛していれば食うに困らんかも知れんな。では本日の授業の日割を説明する」

 講師?はペラペラキノコを受け取ると、時間割を説明しだす。聞くだけだと忘れそうだし、何人かは紙に書いてるから僕も倣う。前中後衛に分かれての鍛錬に、道具取り扱い。食事を挟んで勘定に、武器取り扱いで終わりだそうだ。

「良し。行こっか」

 講師?は結局名乗らなかったが、部屋を出ると生徒達も席を立って部屋を出る。ロシェルも立ち上がり、机を飛び越えた。行儀が悪い。

「あの、ユカタ君。私はどのような能力に恵まれていそうですか?」

「私も聞きたいわ」

 講師?に説明してなかった右隣の2人が立ち上がって寄って来る。反対側から出られるでしょうに。

「んっと、昨日勘定してて気付いたんだけど、3人共考える視野が広いよね。レイナは特に現実的だと思うよ」

「では、ではっ」

 押すな。レイナとくっ付きそうだぞっ。後退る僕に更に寄る2人から何とか離れ、体裁を取り繕う。

「マ、マキは卒無く何でもやれてるからなぁ」

「尖って無いと仰りますか?仰りますかっ?」

「ほら、レイナと一緒に居ないといけないとか…、さ?」

「ぇあ、ま、まあ、そうですね。従者が他のクラスには行けません、よね」

「貴女は私より優秀よ。時間に遅れた事無いもの」

「僕もみんなの事よく知らないから、適当言ってるだけだから。ね?」

「そう…ですね。きっと特筆すべき所を見出して頂きます」

 何とか取り繕えたみたい。時間が長く感じる程の圧だった。







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