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episode5

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「わああああぁぁぁーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………ぁぁああ…?あれ…?僕の…部屋?」

 気がつくとそこは僕の部屋で、ベッドの上にいる…しかも…パジャマで。

 あれはすべて、夢?!

 不安を拭い去れない僕は、ベッドからそっと抜け出し、音を立てない様に部屋の扉を開くと、階段を静かに降りた。

 最後の一段が「ギシッ」と軋む音を立てた時、リビングの扉が開いて、お母さんが顔を覗かせた。

「ライト?どうしたの。こんな時間に…」

 ソファに座るお父さんも、ビールを片手にこちらに顔を向けた。

「眠れないのか?」

 僕は本当に心底安心とした。
 やっぱり、あれは夢だったんだ。

「ううん。水を飲みに来ただけだよ。おやすみなさい。」

 ぼくは冷蔵庫に入っていたペットボトルの水を一口飲むと、階段を登り部屋へ戻った。

 カーテンを少しだけ開けると、今夜は満月だった。月明かりがとても綺麗だ。

 僕はシワになったベッドシーツを直して布団の中にもぐりこんだ。

 机の上にある目覚まし時計は23:56。

 すっかり眠気が覚めてしまった僕は、ゲームでもしようか…そう考えてハッとした。

ゲーム機が入ったカバンはどうしたっけ…床に置いた?

いや…だってあれは夢だったじゃないか?

けれど、起き上がって部屋を見渡しても何処にも鞄がない。

やっぱり…鞄はあの店だ。

じゃあ、一体どこからが夢で、どこからが現実?

こんがらがった頭で考えていると、窓をノックする音が聞こえた。

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