魔法屋と僕の、魔法使いになる10の方法。

episode4

「本日のご来店理由は？魔法道具の修理？習得？それとも？」

「杖や箒、軽いジョークから犯罪級悪戯グッズ。ランプに魔獣なんでもございますよ！」

「声変わりドリンク、姿眩ましライト、ゴースト追っ払いスプレーは只今半額！」

コピーのようにそっくりな2人の店員は、交互に早口で話始めだ。

「あ…はい。お父さんとお母さんを探してて…」

2人の顔を交互に見ながらそう伝えると、
1人は困った顔で、もう1人は満面の笑みを浮かべて言った。

「人探し？！」
「ご両親がいなくなったって。」
「まったくもって専門外！だけど、うん！かしこまりました。」
「そうですねぇ。あぁ、そうか。人間が魔法界の歪みに入り込んだようですね。すぐに戻してあげましょう。」

「魔法界の歪みって？」

「時々、人間が歪みから魔法界こっちに入ってしまうことがあるんですよね。」

「人々はそれを　夢　と言う。」

何の事を言っているのかさっぱりわからないけれど、聞いているうちに頭がぼーっとして来たかと思えば、もう1人の金髪で僕と同じくらいの子供の様に見える店員が、後ろの棚に置いてある小さなランプを取り出して2人に渡した。

「さぁ。これで家に帰れますよ。」

「これで家に…ってどうゆう事？お父さんとお母さんは？」

両親の事を尋ねると、2人は目を見合わせて笑った。

「大丈夫。話しても忘れてしまうから気にしないで。さぁ、これを触ってみて。」

ぼくは肩にかけているバッグを外して一旦床に置くと、差し出されたランプに触れた。
すると、ランプの注ぎ口から蛍の様な優しい光が溢れ出てきた。

僕がその光に魅入っていると、
そのランプを2人がなでる様に擦った。
途端に僕は、何か強い力でランプに引き寄せられ、ついには吸い込まれてしまった！