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罪の香りの煙
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危険な男と寝てる人
物音がして、目を開けた。
気配と眠る前の記憶で、誰かは解っていた筈だった。
ごめん、と短く謝った彼は、その後に 嫌いだった?と続けた。
俺が起きることは想定していても、彼を睨むように見つめてしまうことは考えてなかったのだろう、いいや、と答えて少し体を起こした。
「煙草、吸うんだな」
意外だ、と口にすると、こちらに向けられた瞳が細められた。
「そう?」
彼の笑うような囁き声が薄闇に響き、微かな月明かりに濡れた瞳が光っているのを見て、闇に目が慣れたのを認識した。
「たまに吸うんだよ、その辺にあれば」
ベッドサイドの灰皿に灰を落としながら彼が言った。
煙の匂いや彼の唇に差し込まれた銘柄は俺が普段吸うものとは違ったので、誰かに貰ったのだろうかとその状況を想像した。
街中で出会った彼に興味を持った者から口数を減らすために頂戴したのかもしれないし、血と硝煙の中で彼が出会った者の懐から箱ごとくすねたのかもしれない。
どちらにしろ気の毒なことだ。
「夜中に目が覚めると、なにか口寂しいのはどうしてだろうね、」
彼が独り言のように呟いた。
彼の細い指がその口元に近付いて、青白い煙草を挟んで離れていった。
唇と、そこから離れていく煙を目で追っていて、彼が煙草の吸い口を俺の方に近づけていたことに気付けなかった。
少し目を見開いて首を後ろに退いた俺に、彼が薄く肩を揺らして笑った。
「吸う?」
答えずに、彼の指先から煙草を奪ってその手を引き寄せた。
顔を近付けると唇を割って、煙を追い出すように味わった。
体を離して、あんた寝惚けてるだろう、と笑う彼に再び顔を寄せながら、煙草を灰皿へと押し付けた。
物音がして、目を開けた。
気配と眠る前の記憶で、誰かは解っていた筈だった。
ごめん、と短く謝った彼は、その後に 嫌いだった?と続けた。
俺が起きることは想定していても、彼を睨むように見つめてしまうことは考えてなかったのだろう、いいや、と答えて少し体を起こした。
「煙草、吸うんだな」
意外だ、と口にすると、こちらに向けられた瞳が細められた。
「そう?」
彼の笑うような囁き声が薄闇に響き、微かな月明かりに濡れた瞳が光っているのを見て、闇に目が慣れたのを認識した。
「たまに吸うんだよ、その辺にあれば」
ベッドサイドの灰皿に灰を落としながら彼が言った。
煙の匂いや彼の唇に差し込まれた銘柄は俺が普段吸うものとは違ったので、誰かに貰ったのだろうかとその状況を想像した。
街中で出会った彼に興味を持った者から口数を減らすために頂戴したのかもしれないし、血と硝煙の中で彼が出会った者の懐から箱ごとくすねたのかもしれない。
どちらにしろ気の毒なことだ。
「夜中に目が覚めると、なにか口寂しいのはどうしてだろうね、」
彼が独り言のように呟いた。
彼の細い指がその口元に近付いて、青白い煙草を挟んで離れていった。
唇と、そこから離れていく煙を目で追っていて、彼が煙草の吸い口を俺の方に近づけていたことに気付けなかった。
少し目を見開いて首を後ろに退いた俺に、彼が薄く肩を揺らして笑った。
「吸う?」
答えずに、彼の指先から煙草を奪ってその手を引き寄せた。
顔を近付けると唇を割って、煙を追い出すように味わった。
体を離して、あんた寝惚けてるだろう、と笑う彼に再び顔を寄せながら、煙草を灰皿へと押し付けた。
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