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断章 馬と猫(十七)
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その夕刻近く、下男の松蔵が、りくひとりで切り盛りしている台所にふらりと入ってきた。
「手伝って貰うことはないよ?」
りくは、かまどにかがみこんで、振り向きもしない。
「聞きてえ。りく、お前、なんのつもりじゃ?」
松蔵の声は、いつも聞かせる、朴訥な老下男のそれではない。りくはゆっくりと振り向いた。
「なんだい、あたしを殺そうってのかい?」
尋常ではないことを平然と言う。こちらも口調が、天才丸の前とは、まるで違う。片頬で笑って、ゆらりと立った。
「やるなら、飯が炊けてからのほうがよかろうが?」
「間はとらせぬ。尋ねるだけよ。」
このふたりは、むろん、当たり前の下働きの者ではなかった。
御所さまは、さ栄が出戻ってくると聞いて、当然のことながら西舘に釘を刺しておいただけではない。
自分の出生について虚偽を信じ込まされたまま、実の妹とありえない仲になってしまった弟は、いまだに迷妄から醒めていない。妹には教えたことを、長兄は弟には告げられないままにきた。弟を危ぶむところが、大きかった。
それだけに、さ栄を城の外れに放り出して捨扶持を与えているだけでは済まされなかった。西舘から、身を護らせる者がいる。先代の思い付きに乗るような形で、蝦夷島から来た子供を番役につけたが、それだけでは足りないし、この者自体がどれだけ信用おけるかもわからなかった。
そこで、特殊な稼業の者を、ひそかにそばにつけたのである。天才丸はおろか、ふくにもそれは知らせていない。家中に知る者は、ほぼいないと言ってよい。
さ栄を守り、同時にさ栄自身をも見張る。さ栄の痛々しいまでの悔恨に疑いを持つわけではなかったが、一度は深く契ってしまった、もとは仲の良い弟と妹とに、家長である兄は用心を払わなければならない。道ならぬ行為を二度とさせてはならない。
奥州にあって、北畠氏は伊勢の北畠氏をいわば本家筋として頼っていたが、先先代の浪岡具永のさいに、官位の斡旋を受けるなどの関係をさらに深めた。具永は、伊勢北畠氏が利用していた諜報工作に長けた特殊な技能者の集団の一党を貰い受けている。かれら、余人に知られず浪岡城内に潜む「草」「しのび」と呼ばれる特殊技能の持ち主たちは、戦国大名となった浪岡具永の勢力確保に貢献したであろう。孫の具運は、それを受け継ぎ、使いこなそうとしていた。
松蔵と名乗る初老の男も、りくと名乗る少女も、それら技能者の一党なのであった。
「お前は、西舘の手の者に通じたな?」
西舘こと左衛門尉はたしかに、手の者にさ栄の身辺を探らせていた。りくは、その者に情報を漏らしていたのではないか、と松蔵は言いたいのである。
「さほど言いたてることはない。こちらの素性を明かしたわけではない。口の軽い下女が、出入りの見目よい職人におだてられて、つい噂話をしおったのよ。」
りくは平然としていた。その通りの形をとっていて、裏切ったわけではないと言いたい。
それに、かれらからすれば、西舘の使っている者など、同業者として取るに足らない。
「あの連中に少し仕事をしたつもりにさせておいたほうが、好都合じゃ。こちらもいざという時に、足をすくってやるのが楽であろう?」
「その、いざという時がこのお離れにはないようにせよ、と言うのが御所さまのお心じゃ。」
「鼠が出て困る。猫が欲しいもので、と言うただけじゃ。」
「相手が何者か、知っておったくせにな。……なににせよ、お前はおれに告げずに勝手な真似をした。」
「あんたは、あたしのお頭(かしら)かい?」
「お前が襁褓を当てている頃から知っておる。お前の、死んだ親どもも、おれの隣にいた。」
これは制裁を受けるか、とりくは、冷や汗をかいた。序列や年功の問題ではない。松蔵は、たしかに老練だ。そして、自分はこの細腕だから、荒事では敵わない。
ここでやりあわなくとも、あとでこちらのお頭に事実を告げられるだけでも、命が危ない。
「……猫のことだけじゃな?」
「ああ、そうじゃよ。」
「……火の様子を見よ。勢いが弱い。」
厭だ、振り向いたらその瞬間に殺されるかもしれぬと、りくは震えた。
「……このたびは、見逃してやる。お前のいう、西舘の者をわしらの掌で躍らせるのにも理はあるとしてやろう。余計なことではあったがな。」
りくは、へたりこむようにかがむと、かまどの火を吹いた。
「ひとつだけ聞く。……なぜよりによって猫などと言うた? 姫さまやお乳母さまがお困りになるのを知って?」
火吹き竹から口を離すと、りくはまた振り返り、
「さて?」
「お前、もしかすると姫さまが嫌いなのか?」
「そうではない。……馬鹿にするな。」
そのような私心で、稼業を左右したりはせぬと言いたいのであろう。また、実際のところ、
(あの姫さまを、嫌いなどではないわ。……兄君などに懸想されて、可哀想なお方じゃ。)
さ栄の身にあったことのすべてを知らされているわけではないが、現に左衛門尉が忍んできたのは知っている。
左衛門尉は少年の番役に気をとられていたが、もし天才丸を退けて屋敷の内に進み行ったら、松蔵が張った罠に落ちたかもしれないのである。勿論殺しはできないが、昏倒はさせるつもりだった。だが、それまでは手出しはできなかった。天才丸が果敢に挑み、殴り倒され、殺されかけた成り行きを見守っているだけだった。
(あのとき、あたしたちは、若旦那を見殺しにしたのじゃが、……。)
りくには、天才丸にすまなかったと言う気持ちが、この稼業の者としては不思議に、あとあとまで残っていた。余りもしていない飯を食わせてやると声をかけたのも、最初はそれからだった。
そうやって若旦那と同じ(ではない筈だったが)使用人として会話するようになると、同じ年回りの少年が、ごく親しく感じられるようになってきた。
(だが、若旦那は姫さまがお好きらしい。主なるがゆえ以上の気持ちを持つように、いずれなる。姉上に憧れるようなものでは、じきになくなる。)
(あたしは、きっとそれが面白くない。左様な想い、持つべきではない。決して、かないもせぬのに……。)
分際(身分)が違う者がいくら懸想しても、思いが通じることはありえない。たとえ淡いものであっても、かなわぬ想いはひとの身を切るだろう。その悲しみを、少年が味わうのは避けてほしかった。
(だから、できるなら邪魔してやりたい。姫さまは血を分けた兄上の女だったらしいと、思いださせてやりたい。若旦那がそんな女はいかにも気持ち悪いと、辟易してくれればと思っている。)
(西舘が汚らしい邪恋の素振りを見せるのは、それだけならば、悪くはない……。)
「……そうか、お前、はかったものだな。」
自分のあるまじき複雑な感情を見破られたかと、りくは愕然としたが、松蔵は一人合点したものらしい。
「西舘さまは、姫さまの周囲に、御所さまが面倒なおれたちを張り付けておられるという疑いを、もとよりお持ちのはずじゃ。しかし、手の者によれば、下女のりくとか言うのは、口の軽い、ただのみなしごらしい。左様に思わせたかったのか。」
「……まあ、いかようにも考えるがよいわ。」
「となると下男の松蔵じゃが、これはそれこそ、いかようにも考えさせればよいな。疑わせる程度で、かえってことを起こすのを止められる。」
脅威による抑止力、みたいなことを思いつき、松蔵はひとりで頷いた。
りくは、別の鍋に煮えている汁に興味を移す。後ろを向いたまま、下女のりくの声を出した。
「松じい、ミケじゃがなあ。」
「おう、あの、お猫さまか?」
松蔵も、それらしい声になる。こころなしか、背までまた少し曲がった。
「姫さま、ミケを、なかなかお可愛がりのようじゃぞ?」
「手伝って貰うことはないよ?」
りくは、かまどにかがみこんで、振り向きもしない。
「聞きてえ。りく、お前、なんのつもりじゃ?」
松蔵の声は、いつも聞かせる、朴訥な老下男のそれではない。りくはゆっくりと振り向いた。
「なんだい、あたしを殺そうってのかい?」
尋常ではないことを平然と言う。こちらも口調が、天才丸の前とは、まるで違う。片頬で笑って、ゆらりと立った。
「やるなら、飯が炊けてからのほうがよかろうが?」
「間はとらせぬ。尋ねるだけよ。」
このふたりは、むろん、当たり前の下働きの者ではなかった。
御所さまは、さ栄が出戻ってくると聞いて、当然のことながら西舘に釘を刺しておいただけではない。
自分の出生について虚偽を信じ込まされたまま、実の妹とありえない仲になってしまった弟は、いまだに迷妄から醒めていない。妹には教えたことを、長兄は弟には告げられないままにきた。弟を危ぶむところが、大きかった。
それだけに、さ栄を城の外れに放り出して捨扶持を与えているだけでは済まされなかった。西舘から、身を護らせる者がいる。先代の思い付きに乗るような形で、蝦夷島から来た子供を番役につけたが、それだけでは足りないし、この者自体がどれだけ信用おけるかもわからなかった。
そこで、特殊な稼業の者を、ひそかにそばにつけたのである。天才丸はおろか、ふくにもそれは知らせていない。家中に知る者は、ほぼいないと言ってよい。
さ栄を守り、同時にさ栄自身をも見張る。さ栄の痛々しいまでの悔恨に疑いを持つわけではなかったが、一度は深く契ってしまった、もとは仲の良い弟と妹とに、家長である兄は用心を払わなければならない。道ならぬ行為を二度とさせてはならない。
奥州にあって、北畠氏は伊勢の北畠氏をいわば本家筋として頼っていたが、先先代の浪岡具永のさいに、官位の斡旋を受けるなどの関係をさらに深めた。具永は、伊勢北畠氏が利用していた諜報工作に長けた特殊な技能者の集団の一党を貰い受けている。かれら、余人に知られず浪岡城内に潜む「草」「しのび」と呼ばれる特殊技能の持ち主たちは、戦国大名となった浪岡具永の勢力確保に貢献したであろう。孫の具運は、それを受け継ぎ、使いこなそうとしていた。
松蔵と名乗る初老の男も、りくと名乗る少女も、それら技能者の一党なのであった。
「お前は、西舘の手の者に通じたな?」
西舘こと左衛門尉はたしかに、手の者にさ栄の身辺を探らせていた。りくは、その者に情報を漏らしていたのではないか、と松蔵は言いたいのである。
「さほど言いたてることはない。こちらの素性を明かしたわけではない。口の軽い下女が、出入りの見目よい職人におだてられて、つい噂話をしおったのよ。」
りくは平然としていた。その通りの形をとっていて、裏切ったわけではないと言いたい。
それに、かれらからすれば、西舘の使っている者など、同業者として取るに足らない。
「あの連中に少し仕事をしたつもりにさせておいたほうが、好都合じゃ。こちらもいざという時に、足をすくってやるのが楽であろう?」
「その、いざという時がこのお離れにはないようにせよ、と言うのが御所さまのお心じゃ。」
「鼠が出て困る。猫が欲しいもので、と言うただけじゃ。」
「相手が何者か、知っておったくせにな。……なににせよ、お前はおれに告げずに勝手な真似をした。」
「あんたは、あたしのお頭(かしら)かい?」
「お前が襁褓を当てている頃から知っておる。お前の、死んだ親どもも、おれの隣にいた。」
これは制裁を受けるか、とりくは、冷や汗をかいた。序列や年功の問題ではない。松蔵は、たしかに老練だ。そして、自分はこの細腕だから、荒事では敵わない。
ここでやりあわなくとも、あとでこちらのお頭に事実を告げられるだけでも、命が危ない。
「……猫のことだけじゃな?」
「ああ、そうじゃよ。」
「……火の様子を見よ。勢いが弱い。」
厭だ、振り向いたらその瞬間に殺されるかもしれぬと、りくは震えた。
「……このたびは、見逃してやる。お前のいう、西舘の者をわしらの掌で躍らせるのにも理はあるとしてやろう。余計なことではあったがな。」
りくは、へたりこむようにかがむと、かまどの火を吹いた。
「ひとつだけ聞く。……なぜよりによって猫などと言うた? 姫さまやお乳母さまがお困りになるのを知って?」
火吹き竹から口を離すと、りくはまた振り返り、
「さて?」
「お前、もしかすると姫さまが嫌いなのか?」
「そうではない。……馬鹿にするな。」
そのような私心で、稼業を左右したりはせぬと言いたいのであろう。また、実際のところ、
(あの姫さまを、嫌いなどではないわ。……兄君などに懸想されて、可哀想なお方じゃ。)
さ栄の身にあったことのすべてを知らされているわけではないが、現に左衛門尉が忍んできたのは知っている。
左衛門尉は少年の番役に気をとられていたが、もし天才丸を退けて屋敷の内に進み行ったら、松蔵が張った罠に落ちたかもしれないのである。勿論殺しはできないが、昏倒はさせるつもりだった。だが、それまでは手出しはできなかった。天才丸が果敢に挑み、殴り倒され、殺されかけた成り行きを見守っているだけだった。
(あのとき、あたしたちは、若旦那を見殺しにしたのじゃが、……。)
りくには、天才丸にすまなかったと言う気持ちが、この稼業の者としては不思議に、あとあとまで残っていた。余りもしていない飯を食わせてやると声をかけたのも、最初はそれからだった。
そうやって若旦那と同じ(ではない筈だったが)使用人として会話するようになると、同じ年回りの少年が、ごく親しく感じられるようになってきた。
(だが、若旦那は姫さまがお好きらしい。主なるがゆえ以上の気持ちを持つように、いずれなる。姉上に憧れるようなものでは、じきになくなる。)
(あたしは、きっとそれが面白くない。左様な想い、持つべきではない。決して、かないもせぬのに……。)
分際(身分)が違う者がいくら懸想しても、思いが通じることはありえない。たとえ淡いものであっても、かなわぬ想いはひとの身を切るだろう。その悲しみを、少年が味わうのは避けてほしかった。
(だから、できるなら邪魔してやりたい。姫さまは血を分けた兄上の女だったらしいと、思いださせてやりたい。若旦那がそんな女はいかにも気持ち悪いと、辟易してくれればと思っている。)
(西舘が汚らしい邪恋の素振りを見せるのは、それだけならば、悪くはない……。)
「……そうか、お前、はかったものだな。」
自分のあるまじき複雑な感情を見破られたかと、りくは愕然としたが、松蔵は一人合点したものらしい。
「西舘さまは、姫さまの周囲に、御所さまが面倒なおれたちを張り付けておられるという疑いを、もとよりお持ちのはずじゃ。しかし、手の者によれば、下女のりくとか言うのは、口の軽い、ただのみなしごらしい。左様に思わせたかったのか。」
「……まあ、いかようにも考えるがよいわ。」
「となると下男の松蔵じゃが、これはそれこそ、いかようにも考えさせればよいな。疑わせる程度で、かえってことを起こすのを止められる。」
脅威による抑止力、みたいなことを思いつき、松蔵はひとりで頷いた。
りくは、別の鍋に煮えている汁に興味を移す。後ろを向いたまま、下女のりくの声を出した。
「松じい、ミケじゃがなあ。」
「おう、あの、お猫さまか?」
松蔵も、それらしい声になる。こころなしか、背までまた少し曲がった。
「姫さま、ミケを、なかなかお可愛がりのようじゃぞ?」
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