77 / 177
断章 馬と猫(一)
しおりを挟む
永禄三年といえば、蠣崎天才丸が浪岡北畠宗家の姫さま、さ栄の身の回りに仕えはじめた年である。
津軽中央部を治める北畠氏の居城、浪岡城は、互いに堀に隔てられた、「舘」と呼ばれるいくつもの曲輪から成り立っていた。
その城館部のひとつ、西舘の主で「兵の正」の尊称を受け継ぐ北畠左衛門尉顕範とも、もう出会っている。
どころか、危うく手討ちにされかけた。
城の外郭部にあたる無名舘にある離れ屋には、さ栄姫が息を潜めるようにして住んでいた。そこに、腹違いとは言え実の兄には違いない左衛門尉が、ある夜、ひとり忍んできたのである。
(兄が妹によばう、とは?)
蝦夷島から来たばかりの数え十三歳の少年には、理解できない行動であった。
いや、天才丸でなくてもそうであるに違いない。現にさ栄姫さまは、自死を口にするほどに怯え、悩む様子であった。
左衛門尉とて、余人に知られてはならぬとは思っているのだろう。供も連れず、夜更けに無名舘までやってきた。御所さま―浪岡具運の庶弟で、浪岡宗家の軍勢を預かる浪岡城の若き最高司令官に、近親相姦の罪があってはならないのは、当然である。
番役をつとめていた天才丸はそれを知ってしまったから、殺されかけたと言ってよい。捨て身で姫さまを守ろうとした末に、あっさりと地面に昏倒させられた。
姫さまが駆けよって来て命がけで懇願してくれなければ、余計なことを喋れないようにとばかりに、少なくとも喉を潰されるところだっただろう。
(この城にいたのでは、危ないのではないか。)
殴られた顔の傷が癒えてからも、ふと不安に襲われることはあったが、出ていくわけにもいかないし、そんなこともしたくない。
天才丸は、結句は自分のほうこそが身をていしてくれたご主人に、どこまでも尽くしたい気持ちになっていた。
死別と聞いたが婚家からの出戻りが恥ずかしいのだろうか、城内の人交わりもほぼ絶った風変わりな姫さまで、美しいが、およそ表情も言葉も乏しかった。どうやら、ご病気もある。そのためだったかもしれぬ。
その女のひとが、徐々に見せてくれだしたやさしさに親しんできている。この気持ちは、郷里の姉たちが甘やかしてくれた時に感じたのとも違うように思える。
「姫さまの御身はお守りいたします。」
と、誰から、とはさすがに言えずに誓うように申し上げると、姫さまは困ったような表情で、しかし、頷いてくれた。
だが、蝦夷島の松前から代官の三男坊である自分が、津軽にわざわざ出仕してきた当初の目論見はおよそいけなくなったかな、と内心で覚悟もしている。それを思えば、
(父上、あに上がた、申し訳ありませぬ。)
と蝦夷代官である父や嗣子の長兄、やさしい次兄や、大好きな義兄で重臣の南条越中に内心で頭を下げたくなる。
ついでのようだが、越中の妻に収まっている長姉にも、心のなかで頭を下げる。
名門北畠氏への出仕をたれよりも喜んでくれたのは、この「南条の姉上」だ。
「浪岡御所? 北畠さまのご猶子か! よろしかったなあ、天才丸。」
気が強く、いつも口うるさいのだが、齢の離れた三男坊の身を案じてくれていた。
南条の屋敷で、栗を剥いてくれながら、言われたことがある。なかなか皮を剥けない天才丸の不器用に呆れて、貸しなさない、と侍女すら呼ばずさっさと手を動かしながら、お前のような者はこんなこともできぬようでは困りますよ、と言いだしたのがはじまりだ。
「お前は三男坊。いずれ、若君の家の者になるしかない身です。」
「しかない、と申されますが、いけませぬか。それで、よろしいではございませぬか?」
「継ぐ家がなければ、お嫁もとれぬかもしれぬな。」
天才丸はまだ色気づいていないし、姉や妹など女の中で育ったから、
「結構でございます。天才丸は女は苦手で、好きませぬゆえ。」
姉は子どもらしい答えに笑ったが、
「では、男子の大志は如何する。それも苦手か?」
「大志。」
「蝦夷島でお家のために尽くすは、たしかによろしかろう。いずれ、渡党以来の我らが領地を、蝦夷どもから取り返すお戦になるやもしれぬ。もしも左様なれば、おやかたさまと若君をお支えして、存分に働くもよい。……じゃが、それで舘の一つや二つを持たせて貰えば満足というのでは、男子として情けなかろう。お前に、やりたいことはおありでないのかえ? なりたい者はないのかえ?」
「はい。父上のような、立派な侍になりとうございます。」
姉は、得たりとばかりに微笑んだ。
「いま、おやかたさまになりたいというたの? 天才丸は、ゆくゆく大舘の主になりたい。代官さまになりたいのじゃ?」
天才丸は慌てた。そんな不遜なことをいったのではない。
「姉上! 跡継ぎの若君がおられる。天才丸は謀叛人ではございませぬ。」
姉は真っ赤になった弟に笑いが抑えきれないが、
「いや、それくらいでよいのじゃよ、天才丸。ひとには器量というものがある。お前の器量は、若君にも茂五郎どの(次男)にも劣らぬ。いや、たしかに勝っておる。」
「そんなことは。……姉上こそ、若君がたのご器量を云々されるは如何かと。」
「よいのだ。あれらの方々も、わたしには弟ゆえ。なに、ご器量相応のお役を一所懸命に果たしておられるよ。……持って生まれた器量に相応しい者になるのは、神仏にひとが与えられた務めではないかな。」
姉の口調に寂しさが混じったのを、まだ幼いといっていい弟は気づいている。
(あ、姉上は女の身ゆえ、ご自分の器量に相応しい者になれなかったのが無念でいらっしゃるのだ。)
たしかにこの姉の聡明さや意志の強さは、自分たち蠣崎家の男子に勝るのではないかと思えた。武技こそ習いもしていないが、背丈もあり、身のこなしも如何にもきびきびとして活動的であった。
(おれなどよりも、侍に向いておられたかもしれぬな……。)
その姉は、可愛い弟の浪岡北畠氏への出仕、それも猶子に迎えられてという厚遇に、手放しで喜んでくれたのだ。
「ご立派な浪岡武士になりなされ。この松前など、顧みずともよい。」
「ここに、帰ってこれぬのですか?」
心細い少年は、かえって胸が潰れる思いがしたが、姉は、何を言う、羨ましいことじゃ、と言ってくれた。
「蝦夷島のことは、父上と若君に任せておきなされ。奥州は天下に陸続きじゃぞ。大きな者になるのじゃぞ。」
(なにやら、うまく参りませぬ。姉上、申し訳ありませぬ……。)
少年も最初からわかっているが、秋田安東家から累代の蝦夷代官に任じられている蠣崎家としては、三男を浪岡北畠氏に出仕させるというのも、思い切った外交に出たものだった。
北畠氏こそは、主家とは潜在的な敵国同士の南部氏によって、安東旧領の津軽を委任統治されているともいえる存在であった。どうやら主家からの自立の願いが、温厚篤実と忠良で知られた蠣崎季広―天才丸の父の胸中にある。
このころの天才丸には、まだそこまでははっきりとはわかっていない。父は、檜山屋形―安東さまへの忠義をことあるごとに言うのだ。子供だから、それは素直に受け取ってしまう。
だが、名門・浪岡御所の猶子になれ、とは言われていたので、そのつもりはあった。その命が、守れそうにないのではないかと不安であった。
思いもかけず猶子としての元服は待たされ、子どもの姿のままで、ひどい人嫌い男嫌いらしい姫君の世話などさせられているが、いずれ、という淡い期待はあったのだ。
(しかし、西舘に睨まれてしまっては……。)
津軽中央部を治める北畠氏の居城、浪岡城は、互いに堀に隔てられた、「舘」と呼ばれるいくつもの曲輪から成り立っていた。
その城館部のひとつ、西舘の主で「兵の正」の尊称を受け継ぐ北畠左衛門尉顕範とも、もう出会っている。
どころか、危うく手討ちにされかけた。
城の外郭部にあたる無名舘にある離れ屋には、さ栄姫が息を潜めるようにして住んでいた。そこに、腹違いとは言え実の兄には違いない左衛門尉が、ある夜、ひとり忍んできたのである。
(兄が妹によばう、とは?)
蝦夷島から来たばかりの数え十三歳の少年には、理解できない行動であった。
いや、天才丸でなくてもそうであるに違いない。現にさ栄姫さまは、自死を口にするほどに怯え、悩む様子であった。
左衛門尉とて、余人に知られてはならぬとは思っているのだろう。供も連れず、夜更けに無名舘までやってきた。御所さま―浪岡具運の庶弟で、浪岡宗家の軍勢を預かる浪岡城の若き最高司令官に、近親相姦の罪があってはならないのは、当然である。
番役をつとめていた天才丸はそれを知ってしまったから、殺されかけたと言ってよい。捨て身で姫さまを守ろうとした末に、あっさりと地面に昏倒させられた。
姫さまが駆けよって来て命がけで懇願してくれなければ、余計なことを喋れないようにとばかりに、少なくとも喉を潰されるところだっただろう。
(この城にいたのでは、危ないのではないか。)
殴られた顔の傷が癒えてからも、ふと不安に襲われることはあったが、出ていくわけにもいかないし、そんなこともしたくない。
天才丸は、結句は自分のほうこそが身をていしてくれたご主人に、どこまでも尽くしたい気持ちになっていた。
死別と聞いたが婚家からの出戻りが恥ずかしいのだろうか、城内の人交わりもほぼ絶った風変わりな姫さまで、美しいが、およそ表情も言葉も乏しかった。どうやら、ご病気もある。そのためだったかもしれぬ。
その女のひとが、徐々に見せてくれだしたやさしさに親しんできている。この気持ちは、郷里の姉たちが甘やかしてくれた時に感じたのとも違うように思える。
「姫さまの御身はお守りいたします。」
と、誰から、とはさすがに言えずに誓うように申し上げると、姫さまは困ったような表情で、しかし、頷いてくれた。
だが、蝦夷島の松前から代官の三男坊である自分が、津軽にわざわざ出仕してきた当初の目論見はおよそいけなくなったかな、と内心で覚悟もしている。それを思えば、
(父上、あに上がた、申し訳ありませぬ。)
と蝦夷代官である父や嗣子の長兄、やさしい次兄や、大好きな義兄で重臣の南条越中に内心で頭を下げたくなる。
ついでのようだが、越中の妻に収まっている長姉にも、心のなかで頭を下げる。
名門北畠氏への出仕をたれよりも喜んでくれたのは、この「南条の姉上」だ。
「浪岡御所? 北畠さまのご猶子か! よろしかったなあ、天才丸。」
気が強く、いつも口うるさいのだが、齢の離れた三男坊の身を案じてくれていた。
南条の屋敷で、栗を剥いてくれながら、言われたことがある。なかなか皮を剥けない天才丸の不器用に呆れて、貸しなさない、と侍女すら呼ばずさっさと手を動かしながら、お前のような者はこんなこともできぬようでは困りますよ、と言いだしたのがはじまりだ。
「お前は三男坊。いずれ、若君の家の者になるしかない身です。」
「しかない、と申されますが、いけませぬか。それで、よろしいではございませぬか?」
「継ぐ家がなければ、お嫁もとれぬかもしれぬな。」
天才丸はまだ色気づいていないし、姉や妹など女の中で育ったから、
「結構でございます。天才丸は女は苦手で、好きませぬゆえ。」
姉は子どもらしい答えに笑ったが、
「では、男子の大志は如何する。それも苦手か?」
「大志。」
「蝦夷島でお家のために尽くすは、たしかによろしかろう。いずれ、渡党以来の我らが領地を、蝦夷どもから取り返すお戦になるやもしれぬ。もしも左様なれば、おやかたさまと若君をお支えして、存分に働くもよい。……じゃが、それで舘の一つや二つを持たせて貰えば満足というのでは、男子として情けなかろう。お前に、やりたいことはおありでないのかえ? なりたい者はないのかえ?」
「はい。父上のような、立派な侍になりとうございます。」
姉は、得たりとばかりに微笑んだ。
「いま、おやかたさまになりたいというたの? 天才丸は、ゆくゆく大舘の主になりたい。代官さまになりたいのじゃ?」
天才丸は慌てた。そんな不遜なことをいったのではない。
「姉上! 跡継ぎの若君がおられる。天才丸は謀叛人ではございませぬ。」
姉は真っ赤になった弟に笑いが抑えきれないが、
「いや、それくらいでよいのじゃよ、天才丸。ひとには器量というものがある。お前の器量は、若君にも茂五郎どの(次男)にも劣らぬ。いや、たしかに勝っておる。」
「そんなことは。……姉上こそ、若君がたのご器量を云々されるは如何かと。」
「よいのだ。あれらの方々も、わたしには弟ゆえ。なに、ご器量相応のお役を一所懸命に果たしておられるよ。……持って生まれた器量に相応しい者になるのは、神仏にひとが与えられた務めではないかな。」
姉の口調に寂しさが混じったのを、まだ幼いといっていい弟は気づいている。
(あ、姉上は女の身ゆえ、ご自分の器量に相応しい者になれなかったのが無念でいらっしゃるのだ。)
たしかにこの姉の聡明さや意志の強さは、自分たち蠣崎家の男子に勝るのではないかと思えた。武技こそ習いもしていないが、背丈もあり、身のこなしも如何にもきびきびとして活動的であった。
(おれなどよりも、侍に向いておられたかもしれぬな……。)
その姉は、可愛い弟の浪岡北畠氏への出仕、それも猶子に迎えられてという厚遇に、手放しで喜んでくれたのだ。
「ご立派な浪岡武士になりなされ。この松前など、顧みずともよい。」
「ここに、帰ってこれぬのですか?」
心細い少年は、かえって胸が潰れる思いがしたが、姉は、何を言う、羨ましいことじゃ、と言ってくれた。
「蝦夷島のことは、父上と若君に任せておきなされ。奥州は天下に陸続きじゃぞ。大きな者になるのじゃぞ。」
(なにやら、うまく参りませぬ。姉上、申し訳ありませぬ……。)
少年も最初からわかっているが、秋田安東家から累代の蝦夷代官に任じられている蠣崎家としては、三男を浪岡北畠氏に出仕させるというのも、思い切った外交に出たものだった。
北畠氏こそは、主家とは潜在的な敵国同士の南部氏によって、安東旧領の津軽を委任統治されているともいえる存在であった。どうやら主家からの自立の願いが、温厚篤実と忠良で知られた蠣崎季広―天才丸の父の胸中にある。
このころの天才丸には、まだそこまでははっきりとはわかっていない。父は、檜山屋形―安東さまへの忠義をことあるごとに言うのだ。子供だから、それは素直に受け取ってしまう。
だが、名門・浪岡御所の猶子になれ、とは言われていたので、そのつもりはあった。その命が、守れそうにないのではないかと不安であった。
思いもかけず猶子としての元服は待たされ、子どもの姿のままで、ひどい人嫌い男嫌いらしい姫君の世話などさせられているが、いずれ、という淡い期待はあったのだ。
(しかし、西舘に睨まれてしまっては……。)
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
小童、宮本武蔵
雨川 海(旧 つくね)
歴史・時代
兵法家の子供として生まれた弁助は、野山を活発に走る小童だった。ある日、庄屋の家へ客人として旅の武芸者、有馬喜兵衛が逗留している事を知り、見学に行く。庄屋の娘のお通と共に神社へ出向いた弁助は、境内で村人に稽古をつける喜兵衛に反感を覚える。実は、弁助の父の新免無二も武芸者なのだが、人気はさっぱりだった。つまり、弁助は喜兵衛に無意識の内に嫉妬していた。弁助が初仕合する顚末。
備考 井上雄彦氏の「バガボンド」や司馬遼太郎氏の「真説 宮本武蔵」では、武蔵の父を無二斎としていますが、無二の説もあるため、本作では無二としています。また、通説では、武蔵の父は幼少時に他界している事になっていますが、関ヶ原の合戦の時、黒田如水の元で九州での戦に親子で参戦した。との説もあります。また、佐々木小次郎との決闘の時にも記述があるそうです。
その他、諸説あり、作品をフィクションとして楽しんでいただけたら幸いです。物語を鵜呑みにしてはいけません。
宮本武蔵が弁助と呼ばれ、野山を駆け回る小僧だった頃、有馬喜兵衛と言う旅の武芸者を見物する。新当流の達人である喜兵衛は、派手な格好で神社の境内に現れ、門弟や村人に稽古をつけていた。弁助の父、新免無二も武芸者だった為、その盛況ぶりを比較し、弁助は嫉妬していた。とは言え、まだ子供の身、大人の武芸者に太刀打ちできる筈もなく、お通との掛け合いで憂さを晴らす。
だが、運命は弁助を有馬喜兵衛との対決へ導く。とある事情から仕合を受ける事になり、弁助は有馬喜兵衛を観察する。当然だが、心技体、全てに於いて喜兵衛が優っている。圧倒的に不利な中、弁助は幼馴染みのお通や又八に励まされながら仕合の準備を進めていた。果たして、弁助は勝利する事ができるのか? 宮本武蔵の初死闘を描く!
備考
宮本武蔵(幼名 弁助、弁之助)
父 新免無二(斎)、武蔵が幼い頃に他界説、親子で関ヶ原に参戦した説、巌流島の決闘まで存命説、など、諸説あり。
本作は歴史の検証を目的としたものではなく、脚色されたフィクションです。
科学的考察の及ばぬ秘密ノ誘惑
月見里清流
歴史・時代
雨宿りで出会った女には秘密があった――。
まだ戦争が対岸の火事と思っている昭和前期の日本。
本屋で出会った美女に一目惚れした主人公は、仕事帰りに足繁く通う中、彼女の持つ秘密に触れてしまう。
――未亡人、聞きたくもない噂、彼女の過去、消えた男、身体に浮かび上がる荒唐無稽な情報。
過去に苦しめられる彼女を救おうと、主人公は謎に挑もうとするが、その先には軍部の影がちらつく――。
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません
邪気眼侍
橋本洋一
歴史・時代
時は太平、場所は大江戸。旗本の次男坊、桐野政明は『邪気眼侍』と呼ばれる、常人には理解できない設定を持つ奇人にして、自らの設定に忠実なキワモノである。
或る時は火の見櫓に上って意味深に呟いては降りられなくなり、また或る時は得体の知れない怪しげな品々を集めたり、そして時折発作を起こして周囲に迷惑をかける。
そんな彼は相棒の弥助と一緒に、江戸の街で起きる奇妙な事件を解決していく。女房が猫に取り憑かれたり、行方不明の少女を探したり、歌舞伎役者の悩みを解決したりして――
やがて桐野は、一連の事件の背景に存在する『白衣の僧侶』に気がつく。そいつは人を狂わす悪意の塊だった。言い知れぬ不安を抱えつつも、邪気眼侍は今日も大江戸八百八町を駆け巡る。――我が邪気眼はすべてを見通す!
中二病×時代劇!新感覚の時代小説がここに開幕!
鵺の哭く城
崎谷 和泉
歴史・時代
鵺に取り憑かれる竹田城主 赤松広秀は太刀 獅子王を継承し戦国の世に仁政を志していた。しかし時代は冷酷にその運命を翻弄していく。本作は竹田城下400年越しの悲願である赤松広秀公の名誉回復を目的に、その無二の友 儒学者 藤原惺窩の目を通して描く短編小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる