49 / 210
一の段 あやめも知らぬ ポモールの村から(一)
しおりを挟む
蠣崎十四郎の消息は、大舘の蠣崎家の人びとにとっては、それよりぷっつりと途絶えたといってよい。
二か月ほどののち、十四郎討ち死にの噂が伝わったが、すぐにあてにならぬことがわかった。
「まだ、しぶとく生きておるのではないか。死にざまも伝わって来ぬ。」
新三郎などはいったらしい。警戒を解かないのだろうか、とあやめは思った。
ただ、春先の唐子の内陸部での戦いで、蠣崎侍が少なくとも一人は死んだことはたしかのようである。惨憺たる敗戦であり、ひとつの村が根こそぎ滅びたと伝わった。
蠣崎侍は一人も戻ってこない。全員、結局は討死したのではないかといわれた。
「十四郎も、はかなくなったようですな。」
「まだまだ若いのに、哀れじゃ。」
五男定広と六男長広が話しているところに、ご名代が通りがかり、二人を無言で睨んで去ったという。
法源寺住職の蠣崎随良は、長い経をあげた。大舘から、供養料がおりたともいう。
あやめは動じていなかった。すでに、十四郎との細い糸を結んでいたから、大舘が十四郎討ち死にの報をうける数日前に、生存は確信できた。
往路、十四郎たちが船に乗ったのがエサシ。そこからヨイチまで行き、内陸部に入ったのだが、十四郎は湊に伝手を残しておいてくれた。
ヨイチの蝦夷商人から、和人(シサム)の将は負傷するも命は無事、との報が疾く寄せられた。そのときには、安堵のあまり、あやめは部屋の柱にすがってひそかにむせび泣いた。
ただ、伝わるのは、そればかりであった。
「森と川のおひとはどうした?」
コハルに尋ねるが、要領を得ない。
森川がひそかに上ノ国まで戻ってきたのは、五月も末になっている。松前には入りにくく、その気もないらしい。 コハルが駆けつけて、話を聞いた。
戦塵が落ちぬ様子の森川は、顔つきが以前とは変わっているようだった。
「儂は、蝦夷地に戻る。もう松前は捨てる。」
お前さまのことはどうでもいいのだが、と思いながら、コハルは物陰から森川の話をきいてやる。イシカリという場所に、御曹司たちと生き残りのもう一人、萩原は養生のさいちゅうらしい。そこに戻るというのである。
「御曹司も、もう帰るまい。五年たとうと、十年たとうとな。」
「なにゆえにございますか。」
「武家も捨てるのだろう。」
「なにゆえ、とお尋ね申し上げました。」
「それは、おぬし……あのような戦いをしてしまって、まだ武家でいたい奴がおるか。」
「それほどの。」
「ポモールの村は、そこだけがまるで異国のようで、へんに美しかったが、全て焼けた。村人もほとんど殺されたな。」
(いまの世の習いではないか。蝦夷侍は腰抜けばかりか。)
織田信長による一向門徒の大量虐殺なども見たことのあるコハルは思ったが、十四郎までが怖気づいてしまったのは意外だった。
「いや、あのお方は、最初からあきらめていらしたのだよ。」
「最初から?」
「まあ、戦って勝つことは万に一つもないとは誰にもわかっていた。だから戦いを避けるための手を打つが、それが外れて戦いになれば、ポモールの村を救うことはできない。ならば。せめて、ポモールの血とやつらの信心を残すために、村人をまとめてどこかに逃がしてやる。それが、このたびの戦じゃ、と道中でわれらに打ち明けられた。」
敵との交渉は失敗し、戦いは避けられなかった。脱出のために盾となって死ぬのが自分の役目らしい、と十四郎は決意し、敵の包囲をかいくぐるように村に入ると、初めて会う同族の長老たちを説き伏せたというのだ。
女、子どもをまず逃がす。そのために戦う。村は捨てる。むしろみずから火をかけて、その南蛮寺なども崩れるに任せよう。火でテシオの“惣大将”の軍(といっていい規模だったという)の進路をふさぎ、追ってくる敵のみを相手として男どもが防ぐ。それでポモールの血とご信仰が蝦夷島に残ればいいのではないか、と。
「長老どもは坊主らしい。ご神体を持って坊主が逃げられればそれでいい、といったそうだ。」
十四郎は未明に敵軍にうちかかり、奇襲で“惣大将”の本営に打撃を与えた。その間に、脱出する一団には包囲の輪をかいくぐらせた。
「うまくはいっていたのだ。もっとも、そうなると、御曹司の命は助からんかっただろうが。御曹司の一撃で、”惣大将“は死なぬまでも傷ついた。今頃はもう死んでいるかもしれぬ。儂らは追ってくるアイノどもを途中からわざと村に引き入れて、家を陰にして戦った。暗くなるまで弓矢を交え、鉄砲を撃ち、斬りこんでは引いた。そこで村に火を放ち、奴らを火に巻いてやった。その間に反対側からソヒィアと阿部三郎がおなごどもと、坊主たちを守って遁走する手立てだった。大きな南蛮寺には、いささか火薬を仕込んでおいたから、うまく道を塞いで崩れてくれるはずだった。そこまではうまくいった。」
「逃げおおせなかったのでございますか。」
「ソヒィアめが、おなごどもを連れて戻ってきおった! あの女には、寺院を焼くとは伝えていなかったのだ。寺に火が上がったのを闇夜にみて、慌てて皆を連れて戻ってきおった。あやつが守って連れ出したはずの長老の坊主が、流れ矢だか流れ弾だかで死におったらしい。とすると、村の寺院が焼けてしまえば、拝む当てが消える。われわれに生きている甲斐がない。教えに殉じて皆で戦う、といったそうだ。」
「一向宗の者どものようだ。いや、切支丹とはそれほどか。」
「愚かな奴。最後のさいごに、あやつ、御曹司の言葉を裏切りおった。……三郎は、あの若いのは、それを留めようとして、こともあろうにソヒィアに斬られたようだ!」
女に斬られるとは情けなし、とコハルは思わなかった。たしかに戦で一番恐ろしいのは、味方から急に刃を向けられることだ。そしてソフィアの体格は、女ながら、あの阿部三郎などを凌いでいた。ソヒィアは異教徒を、人とも味方とも思わずに簡単に斬ったのであろう。
「……教えに殉ずる、を頑是ない子どもにも強いたのでございますか。」
「御曹司は、ソヒィアを叱り飛ばし、この儂に、再びおなごどもを束ねて逃げよ、と命じられた。だが、全てを連れて再出立することすらできなかった。大半が残るといいだしたらしい。そのうちに四方からアイノどもが押し寄せ、むしろ儂らの逃げ道こそが火に邪魔されたのよ。血路を開けたのはなぜかおぼえておらぬ。しかし、連れ出せた子どもは二人に過ぎぬ。あとはあの場に残るか、途中で火に巻かれて死んだ。御曹司は儂ら一行を守ってともに脱出しようとご奮戦だったが、子どもを担いで駈け出したところを、後ろから鉄砲で肩を撃たれて、倒れられた。」
「それで、お命ご無事は間違いございませんな?」
それを早くいえ、と思いながらコハルは息せき切って尋ねる。
「幸い、弾は……反れたも同然。それより、アイノの矢で胸を射られた方が、後々に毒が回って大変だった。それもまあ、熱は去ったから、今頃は癒えられているだろう。」
「なによりでございました。森川さまが傷を負った御曹司さまをお救いくださったのですな。ようございました。」
「よくはない。……あのとき、御曹司を撃ったのはソヒィアよ。御曹司も起き直って振り向かれて、ありありとそれをご覧になった。」
「なぜ、なぜ、やつが撃った?」
「一族で切支丹の教えに殉ずるの邪魔をしたからであろう? なにか叫びおったが、儂にはアイノの言葉はわからぬ。御曹司さまは聞かれたであろう。」
「……御曹司さまは、ご同族に撃たれたのか。」
「撃たれたのは子どもよ。御曹司が、肩に担いだ子どもが撃たれておるのよ! それも教えに殉じたというのだろうか。たしかに落城では一族郎党が自害の介錯をしあうは、源平以来のならいであるが……。」
「子どもは死んだのでございますね。」
「御曹司さまは、遺骸を確かめると、駆け寄って、燃えている寺院に入ろうとするソヒィアを、一刀のもとに斬った。」
「……」
「あれほど恐ろしいお顔をみたことはない。」
コハルは瞠目した。同族に裏切られ、その非道に怒ってこれを斬った。十四郎の胸中は想像もつかない。
「そのくせ、ソヒィアのほうは何だか嬉しそうにこときれおった。狂っておる。……やつら切支丹は、自害できないからだろうかの。」
それだけもあるまい、とコハルは思った。
(ソヒィアと十四郎さまとの間には、男女のことがあったのかもしれぬ。だが、もうどうでもよいことだ。)
「ポモールとやらの村は、全滅でございますか。」
「ではないか。御曹司が腑抜けたようになられて、もう村のことはほとんど口にも出されないのだ。儂らにはわからぬ。」
「イシカリというのは。」
「御曹司が旧知のアイノの一党がおる。われらは、そこまで逃げた。そこで傷を癒しておられる。……御曹司はそこで一生暮らせばいいのだ。儂もそうしようかと思う。今井がよい話を今、ここでくれれば、考えるが。」
「イシカリとやらにお戻りください。そこでお考えになられながら、ときどきこうして、御曹司さまのご様子をお伝えくださるのが、当座のお願い。すべてはそれからあとでございますな。」
「おい、それでは、一生仕事になるではないか。あのお方は、和人になれず、ポモールとやらにもなれなかった。もう、アイノになるしかないだろうて。……儂も、アイノになれるかの?」
「存じぬ。ただ、もし森川さまがアイノになられたいなら、ご勝手になさるがよい。そのかわり、ならば、もうあなた様はまことに儂の雇い人じゃ、おぬし、と呼んで進ぜよう。そして、今以上に無理無体を命じようぞ。それでも、およろしいか?」
二か月ほどののち、十四郎討ち死にの噂が伝わったが、すぐにあてにならぬことがわかった。
「まだ、しぶとく生きておるのではないか。死にざまも伝わって来ぬ。」
新三郎などはいったらしい。警戒を解かないのだろうか、とあやめは思った。
ただ、春先の唐子の内陸部での戦いで、蠣崎侍が少なくとも一人は死んだことはたしかのようである。惨憺たる敗戦であり、ひとつの村が根こそぎ滅びたと伝わった。
蠣崎侍は一人も戻ってこない。全員、結局は討死したのではないかといわれた。
「十四郎も、はかなくなったようですな。」
「まだまだ若いのに、哀れじゃ。」
五男定広と六男長広が話しているところに、ご名代が通りがかり、二人を無言で睨んで去ったという。
法源寺住職の蠣崎随良は、長い経をあげた。大舘から、供養料がおりたともいう。
あやめは動じていなかった。すでに、十四郎との細い糸を結んでいたから、大舘が十四郎討ち死にの報をうける数日前に、生存は確信できた。
往路、十四郎たちが船に乗ったのがエサシ。そこからヨイチまで行き、内陸部に入ったのだが、十四郎は湊に伝手を残しておいてくれた。
ヨイチの蝦夷商人から、和人(シサム)の将は負傷するも命は無事、との報が疾く寄せられた。そのときには、安堵のあまり、あやめは部屋の柱にすがってひそかにむせび泣いた。
ただ、伝わるのは、そればかりであった。
「森と川のおひとはどうした?」
コハルに尋ねるが、要領を得ない。
森川がひそかに上ノ国まで戻ってきたのは、五月も末になっている。松前には入りにくく、その気もないらしい。 コハルが駆けつけて、話を聞いた。
戦塵が落ちぬ様子の森川は、顔つきが以前とは変わっているようだった。
「儂は、蝦夷地に戻る。もう松前は捨てる。」
お前さまのことはどうでもいいのだが、と思いながら、コハルは物陰から森川の話をきいてやる。イシカリという場所に、御曹司たちと生き残りのもう一人、萩原は養生のさいちゅうらしい。そこに戻るというのである。
「御曹司も、もう帰るまい。五年たとうと、十年たとうとな。」
「なにゆえにございますか。」
「武家も捨てるのだろう。」
「なにゆえ、とお尋ね申し上げました。」
「それは、おぬし……あのような戦いをしてしまって、まだ武家でいたい奴がおるか。」
「それほどの。」
「ポモールの村は、そこだけがまるで異国のようで、へんに美しかったが、全て焼けた。村人もほとんど殺されたな。」
(いまの世の習いではないか。蝦夷侍は腰抜けばかりか。)
織田信長による一向門徒の大量虐殺なども見たことのあるコハルは思ったが、十四郎までが怖気づいてしまったのは意外だった。
「いや、あのお方は、最初からあきらめていらしたのだよ。」
「最初から?」
「まあ、戦って勝つことは万に一つもないとは誰にもわかっていた。だから戦いを避けるための手を打つが、それが外れて戦いになれば、ポモールの村を救うことはできない。ならば。せめて、ポモールの血とやつらの信心を残すために、村人をまとめてどこかに逃がしてやる。それが、このたびの戦じゃ、と道中でわれらに打ち明けられた。」
敵との交渉は失敗し、戦いは避けられなかった。脱出のために盾となって死ぬのが自分の役目らしい、と十四郎は決意し、敵の包囲をかいくぐるように村に入ると、初めて会う同族の長老たちを説き伏せたというのだ。
女、子どもをまず逃がす。そのために戦う。村は捨てる。むしろみずから火をかけて、その南蛮寺なども崩れるに任せよう。火でテシオの“惣大将”の軍(といっていい規模だったという)の進路をふさぎ、追ってくる敵のみを相手として男どもが防ぐ。それでポモールの血とご信仰が蝦夷島に残ればいいのではないか、と。
「長老どもは坊主らしい。ご神体を持って坊主が逃げられればそれでいい、といったそうだ。」
十四郎は未明に敵軍にうちかかり、奇襲で“惣大将”の本営に打撃を与えた。その間に、脱出する一団には包囲の輪をかいくぐらせた。
「うまくはいっていたのだ。もっとも、そうなると、御曹司の命は助からんかっただろうが。御曹司の一撃で、”惣大将“は死なぬまでも傷ついた。今頃はもう死んでいるかもしれぬ。儂らは追ってくるアイノどもを途中からわざと村に引き入れて、家を陰にして戦った。暗くなるまで弓矢を交え、鉄砲を撃ち、斬りこんでは引いた。そこで村に火を放ち、奴らを火に巻いてやった。その間に反対側からソヒィアと阿部三郎がおなごどもと、坊主たちを守って遁走する手立てだった。大きな南蛮寺には、いささか火薬を仕込んでおいたから、うまく道を塞いで崩れてくれるはずだった。そこまではうまくいった。」
「逃げおおせなかったのでございますか。」
「ソヒィアめが、おなごどもを連れて戻ってきおった! あの女には、寺院を焼くとは伝えていなかったのだ。寺に火が上がったのを闇夜にみて、慌てて皆を連れて戻ってきおった。あやつが守って連れ出したはずの長老の坊主が、流れ矢だか流れ弾だかで死におったらしい。とすると、村の寺院が焼けてしまえば、拝む当てが消える。われわれに生きている甲斐がない。教えに殉じて皆で戦う、といったそうだ。」
「一向宗の者どものようだ。いや、切支丹とはそれほどか。」
「愚かな奴。最後のさいごに、あやつ、御曹司の言葉を裏切りおった。……三郎は、あの若いのは、それを留めようとして、こともあろうにソヒィアに斬られたようだ!」
女に斬られるとは情けなし、とコハルは思わなかった。たしかに戦で一番恐ろしいのは、味方から急に刃を向けられることだ。そしてソフィアの体格は、女ながら、あの阿部三郎などを凌いでいた。ソヒィアは異教徒を、人とも味方とも思わずに簡単に斬ったのであろう。
「……教えに殉ずる、を頑是ない子どもにも強いたのでございますか。」
「御曹司は、ソヒィアを叱り飛ばし、この儂に、再びおなごどもを束ねて逃げよ、と命じられた。だが、全てを連れて再出立することすらできなかった。大半が残るといいだしたらしい。そのうちに四方からアイノどもが押し寄せ、むしろ儂らの逃げ道こそが火に邪魔されたのよ。血路を開けたのはなぜかおぼえておらぬ。しかし、連れ出せた子どもは二人に過ぎぬ。あとはあの場に残るか、途中で火に巻かれて死んだ。御曹司は儂ら一行を守ってともに脱出しようとご奮戦だったが、子どもを担いで駈け出したところを、後ろから鉄砲で肩を撃たれて、倒れられた。」
「それで、お命ご無事は間違いございませんな?」
それを早くいえ、と思いながらコハルは息せき切って尋ねる。
「幸い、弾は……反れたも同然。それより、アイノの矢で胸を射られた方が、後々に毒が回って大変だった。それもまあ、熱は去ったから、今頃は癒えられているだろう。」
「なによりでございました。森川さまが傷を負った御曹司さまをお救いくださったのですな。ようございました。」
「よくはない。……あのとき、御曹司を撃ったのはソヒィアよ。御曹司も起き直って振り向かれて、ありありとそれをご覧になった。」
「なぜ、なぜ、やつが撃った?」
「一族で切支丹の教えに殉ずるの邪魔をしたからであろう? なにか叫びおったが、儂にはアイノの言葉はわからぬ。御曹司さまは聞かれたであろう。」
「……御曹司さまは、ご同族に撃たれたのか。」
「撃たれたのは子どもよ。御曹司が、肩に担いだ子どもが撃たれておるのよ! それも教えに殉じたというのだろうか。たしかに落城では一族郎党が自害の介錯をしあうは、源平以来のならいであるが……。」
「子どもは死んだのでございますね。」
「御曹司さまは、遺骸を確かめると、駆け寄って、燃えている寺院に入ろうとするソヒィアを、一刀のもとに斬った。」
「……」
「あれほど恐ろしいお顔をみたことはない。」
コハルは瞠目した。同族に裏切られ、その非道に怒ってこれを斬った。十四郎の胸中は想像もつかない。
「そのくせ、ソヒィアのほうは何だか嬉しそうにこときれおった。狂っておる。……やつら切支丹は、自害できないからだろうかの。」
それだけもあるまい、とコハルは思った。
(ソヒィアと十四郎さまとの間には、男女のことがあったのかもしれぬ。だが、もうどうでもよいことだ。)
「ポモールとやらの村は、全滅でございますか。」
「ではないか。御曹司が腑抜けたようになられて、もう村のことはほとんど口にも出されないのだ。儂らにはわからぬ。」
「イシカリというのは。」
「御曹司が旧知のアイノの一党がおる。われらは、そこまで逃げた。そこで傷を癒しておられる。……御曹司はそこで一生暮らせばいいのだ。儂もそうしようかと思う。今井がよい話を今、ここでくれれば、考えるが。」
「イシカリとやらにお戻りください。そこでお考えになられながら、ときどきこうして、御曹司さまのご様子をお伝えくださるのが、当座のお願い。すべてはそれからあとでございますな。」
「おい、それでは、一生仕事になるではないか。あのお方は、和人になれず、ポモールとやらにもなれなかった。もう、アイノになるしかないだろうて。……儂も、アイノになれるかの?」
「存じぬ。ただ、もし森川さまがアイノになられたいなら、ご勝手になさるがよい。そのかわり、ならば、もうあなた様はまことに儂の雇い人じゃ、おぬし、と呼んで進ぜよう。そして、今以上に無理無体を命じようぞ。それでも、およろしいか?」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
徳川家基、不本意!
克全
歴史・時代
幻の11代将軍、徳川家基が生き残っていたらどのような世の中になっていたのか?田沼意次に取立てられて、徳川家基の住む西之丸御納戸役となっていた長谷川平蔵が、田沼意次ではなく徳川家基に取り入って出世しようとしていたらどうなっていたのか?徳川家治が、次々と死んでいく自分の子供の死因に疑念を持っていたらどうなっていたのか、そのような事を考えて創作してみました。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
第一機動部隊
桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。
祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる