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一の段 あやめも知らぬ 破約(二)
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そのとき。
寺の門をくぐって出ていく、ひとりの背の高いアイノとすれ違うようになった。いや、アイノではない。蝦夷服を着ているが、あきらかにアイノではなかった。
髪は暗い金の色で、肌が桃色がかって抜けるように白い。鼻が高く、目の色は明るい。頬がそげ、険しい顔立ちにみえた。鳥のように痩せている。
アイノの男のなりをし、刀まで差しているが、髭が一切ない。女であった。
その女ばかりに目を奪われたが、蠣崎の侍二人が付き添っていた。あやめに訝し気な目を向ける。
あやめは通り過ぎるその女のそばで、武家への礼も忘れて、立ちすくんだ。
異人の女は、あやめに気を留めない。見知らぬ者としてすれ違い、坂をあがっていく。大舘のほうだろう。付き添った侍たちもあやめを誰何するでもなく、それについていった。痩せた女のほうが侍たちより背が高いので、かれらを引き従えているように見える。
長い背が曲って、咳をつづけてしたらしい。
「御寮人さま。」トクがなぜか、はばかるような調子で尋ねてきた。「御曹司さまの、お身内の方でございましょうか?」
「……」
あやめは自分の身の震えを抑えられない。
「御寮人さま?」
トクが心配している。
「トクどん。すまぬが、これで、なにか菓子でも買って、お店に戻れ。みなに分けてやれ。」
「されど、トクは御寮人さまの御伴でございますので。」
「今日はここでよい。……忘れておったが、大人のお話があった。」
トクの背中を見送ると、あやめは寺に駆け込んだ。心の中ですでに悲鳴をあげている。
誰にも挨拶せぬまま、庫裏の裏手、倉までなかば走った。
扉は開かれていて、少し陽を入れた暗い中に、十四郎が一人ぽつねんと座っていた。
「十四郎さまっ」あやめは名を叫ぶように呼びかけた。
放心しているに近かったらしい十四郎は驚いたような顔になったが、一瞬で沈んだ表情になる。立ち上がって入り口まで出たとき、あやめがその膝にだきついた。
「御寮人殿?」
あやめは泣きだす寸前の硬い表情になっていた。
「十四郎さま、どこにも行かれないで下さいませ。」
十四郎はあやめの両肩になだめる手を置いた。
「何をいわれるか。拙者はどこにも行かない。」
その声の調子に、あやめの衝撃は深まった。たしかに何かが起こっている。あの異相の女の形をとって、おそろしいことが起き始めている! あやめの予感は沸騰するほどの勢いで、躰の内を痛みになって駆け巡る。
「厭じゃ……往なせはせぬ。往なせはせぬっ。」
あやめの目から大粒の涙が落ちた。
「あやめ殿。なぜ、泣く?」
「十四郎さま……行かないでくださいませ。お願い……お願いにございます。」膝に縋りついたまま、あやめは嗚咽した。十四郎はあやめの躰を起こし、肩を抱くと、
「なにを泣いておられるか。どこにも行きはせぬ。春になったら、ともに堺へ参るのであろう?」
その言葉に、あやめはなおさらに涙がとまらない。十四郎の肩にぼろぼろと涙を落として嗚咽する。
「あの者を見られたのだな?……あれは大舘を訪れ、そこからこちらに」
「厭、厭じゃ! 聞きとうございませぬ。」
聞いてしまえば、悪い事態が固まって完成してしまう気がして、あやめは激しく首を振った。
「落ち着かれよ。あれは北の蝦夷地から参った者だそうな。」
「やはり、……」
あやめは大きな震えがとまらない。それに気づいたのか、十四郎は、固くあやめを抱きしめる。
「泣き虫。」笑ってみせる。「やはり、あやめ殿は泣き虫だ。天下の納屋の御寮人殿のくせに。」
「仕方がないではございませぬか。あなた様が、行っておしまいになるのではないかと思うと、わたくしは、もう……もう。」
「行かぬよ。あれはたしかに、わたしの同族。唐子の北に、あのような者だけで住む村があるという。わたしの母も、そこから来たのだ。そのような村が、やはりあったのだ。ようやく、わかった。」
あやめは凍りついたようになって、濡れた目を見開いている。
「何十年も前に、あの者どもの―わたしの祖たちが、小さな一団で、はるか北の国からこの蝦夷島に辿りついたものらしい。流れ着いたのか、交易を求めたのか。そのまま居つき、今に至った。」
あやめの心を、絶望の色が覆っていく。厭だ、とまた小さく首を振った。
「……あの者は、アイノの言葉だけを喋ったよ。日本の言葉はほとんどできぬようだ。我がアイノ言葉では、よくわからないところもござったな。名は、ソヒィアとかいった。大舘の客だ。」
「客?」
「……うむ、客とはいえぬかもしれぬ。招かれてもいなし、歓迎もされていない。」
「何の御用でございましたの? 大舘と、十四郎さまとに。」
「大舘で相手にされなかった。だから、拙者に回されたのだ。拙者は春には出立する巡察役だから、理にはかなっている。」
「出立されますのかっ!」
あやめは小さく悲鳴をあげざるをえない。
「そういうことにしてあるのではなかったか? 松前から今井の船に乗り込むわけにはいかぬから、エサシかどこかで船に乗せて貰うのでは……」
「そうでございました。そうではございませんでしたか?」
「あやめ殿。落ち着かれよ。拙者が訊ねている。」
「申し訳ございませぬ。……あの方の御用事とは。」
「うむ。……要は、蠣崎に加勢して貰いたいということであった。後詰(包囲された城などの援軍)といってもよいか。」
「後詰っ!?」
それではもうその村とやらは、戦いの渦中にあるということではないか。
「ソヒィアは、自分たちは北の国から来たポモールだ、といっていたようだ。つまり、拙者もポモールとやらの血を」
「厭あっ!」
「あやめ……あやめ殿?」
「十四郎さまは、十四郎さまではございませぬか。ぽもおる、なんてものではない。そんな村とは御無縁。松前お生まれの、蠣崎のお家の方じゃ。それで十分じゃ。いや、それでなくてもいい。十四郎さまは、わたくしの十四郎さまで、それ以外であってはいけませぬっ。」
あやめは十四郎にとりついて、泣き叫んだ。
「往なせはせぬ。そんなところに、往なせはせぬ。十四郎さま、行かないでくださいませ。あなた様は、……十四郎さまは、わたくしと、……わたくしとっ!」
「あやめ殿、あやめ殿、落ち着かれよ。そうだ、わたしは蠣崎十四郎愛広だ。諱の一字は、有り難くも安東様からいただいた、蠣崎の侍だ。ポモールなどというのは、生まれて初めて聞いた。お屋形からもそんな名は聞いたことがない。……父は、母の生まれ故郷のことなど何も知らなかった。奴婢として売られてきた母を、珍しがり、哀れんでやっただけなのだ。」
十四郎の明るい色の瞳に影が動いたが、ふと気づいて、胸の中で泣いている女の震え続ける背を抱きなおした。
「……あやめ殿、心配されることはござらぬ。わたしは、決してそんなところにはいかぬ。北の湊ですぐに船に乗り、そなたの故郷、堺を目指すのだから。」
(ああ、おやさしい。)
あやめは思ったが、鉛のように重い予感が、十四郎の言葉はやがて嘘になってしまうだろうと告げていた。絶望に頭が痺れたようになる。
寺の門をくぐって出ていく、ひとりの背の高いアイノとすれ違うようになった。いや、アイノではない。蝦夷服を着ているが、あきらかにアイノではなかった。
髪は暗い金の色で、肌が桃色がかって抜けるように白い。鼻が高く、目の色は明るい。頬がそげ、険しい顔立ちにみえた。鳥のように痩せている。
アイノの男のなりをし、刀まで差しているが、髭が一切ない。女であった。
その女ばかりに目を奪われたが、蠣崎の侍二人が付き添っていた。あやめに訝し気な目を向ける。
あやめは通り過ぎるその女のそばで、武家への礼も忘れて、立ちすくんだ。
異人の女は、あやめに気を留めない。見知らぬ者としてすれ違い、坂をあがっていく。大舘のほうだろう。付き添った侍たちもあやめを誰何するでもなく、それについていった。痩せた女のほうが侍たちより背が高いので、かれらを引き従えているように見える。
長い背が曲って、咳をつづけてしたらしい。
「御寮人さま。」トクがなぜか、はばかるような調子で尋ねてきた。「御曹司さまの、お身内の方でございましょうか?」
「……」
あやめは自分の身の震えを抑えられない。
「御寮人さま?」
トクが心配している。
「トクどん。すまぬが、これで、なにか菓子でも買って、お店に戻れ。みなに分けてやれ。」
「されど、トクは御寮人さまの御伴でございますので。」
「今日はここでよい。……忘れておったが、大人のお話があった。」
トクの背中を見送ると、あやめは寺に駆け込んだ。心の中ですでに悲鳴をあげている。
誰にも挨拶せぬまま、庫裏の裏手、倉までなかば走った。
扉は開かれていて、少し陽を入れた暗い中に、十四郎が一人ぽつねんと座っていた。
「十四郎さまっ」あやめは名を叫ぶように呼びかけた。
放心しているに近かったらしい十四郎は驚いたような顔になったが、一瞬で沈んだ表情になる。立ち上がって入り口まで出たとき、あやめがその膝にだきついた。
「御寮人殿?」
あやめは泣きだす寸前の硬い表情になっていた。
「十四郎さま、どこにも行かれないで下さいませ。」
十四郎はあやめの両肩になだめる手を置いた。
「何をいわれるか。拙者はどこにも行かない。」
その声の調子に、あやめの衝撃は深まった。たしかに何かが起こっている。あの異相の女の形をとって、おそろしいことが起き始めている! あやめの予感は沸騰するほどの勢いで、躰の内を痛みになって駆け巡る。
「厭じゃ……往なせはせぬ。往なせはせぬっ。」
あやめの目から大粒の涙が落ちた。
「あやめ殿。なぜ、泣く?」
「十四郎さま……行かないでくださいませ。お願い……お願いにございます。」膝に縋りついたまま、あやめは嗚咽した。十四郎はあやめの躰を起こし、肩を抱くと、
「なにを泣いておられるか。どこにも行きはせぬ。春になったら、ともに堺へ参るのであろう?」
その言葉に、あやめはなおさらに涙がとまらない。十四郎の肩にぼろぼろと涙を落として嗚咽する。
「あの者を見られたのだな?……あれは大舘を訪れ、そこからこちらに」
「厭、厭じゃ! 聞きとうございませぬ。」
聞いてしまえば、悪い事態が固まって完成してしまう気がして、あやめは激しく首を振った。
「落ち着かれよ。あれは北の蝦夷地から参った者だそうな。」
「やはり、……」
あやめは大きな震えがとまらない。それに気づいたのか、十四郎は、固くあやめを抱きしめる。
「泣き虫。」笑ってみせる。「やはり、あやめ殿は泣き虫だ。天下の納屋の御寮人殿のくせに。」
「仕方がないではございませぬか。あなた様が、行っておしまいになるのではないかと思うと、わたくしは、もう……もう。」
「行かぬよ。あれはたしかに、わたしの同族。唐子の北に、あのような者だけで住む村があるという。わたしの母も、そこから来たのだ。そのような村が、やはりあったのだ。ようやく、わかった。」
あやめは凍りついたようになって、濡れた目を見開いている。
「何十年も前に、あの者どもの―わたしの祖たちが、小さな一団で、はるか北の国からこの蝦夷島に辿りついたものらしい。流れ着いたのか、交易を求めたのか。そのまま居つき、今に至った。」
あやめの心を、絶望の色が覆っていく。厭だ、とまた小さく首を振った。
「……あの者は、アイノの言葉だけを喋ったよ。日本の言葉はほとんどできぬようだ。我がアイノ言葉では、よくわからないところもござったな。名は、ソヒィアとかいった。大舘の客だ。」
「客?」
「……うむ、客とはいえぬかもしれぬ。招かれてもいなし、歓迎もされていない。」
「何の御用でございましたの? 大舘と、十四郎さまとに。」
「大舘で相手にされなかった。だから、拙者に回されたのだ。拙者は春には出立する巡察役だから、理にはかなっている。」
「出立されますのかっ!」
あやめは小さく悲鳴をあげざるをえない。
「そういうことにしてあるのではなかったか? 松前から今井の船に乗り込むわけにはいかぬから、エサシかどこかで船に乗せて貰うのでは……」
「そうでございました。そうではございませんでしたか?」
「あやめ殿。落ち着かれよ。拙者が訊ねている。」
「申し訳ございませぬ。……あの方の御用事とは。」
「うむ。……要は、蠣崎に加勢して貰いたいということであった。後詰(包囲された城などの援軍)といってもよいか。」
「後詰っ!?」
それではもうその村とやらは、戦いの渦中にあるということではないか。
「ソヒィアは、自分たちは北の国から来たポモールだ、といっていたようだ。つまり、拙者もポモールとやらの血を」
「厭あっ!」
「あやめ……あやめ殿?」
「十四郎さまは、十四郎さまではございませぬか。ぽもおる、なんてものではない。そんな村とは御無縁。松前お生まれの、蠣崎のお家の方じゃ。それで十分じゃ。いや、それでなくてもいい。十四郎さまは、わたくしの十四郎さまで、それ以外であってはいけませぬっ。」
あやめは十四郎にとりついて、泣き叫んだ。
「往なせはせぬ。そんなところに、往なせはせぬ。十四郎さま、行かないでくださいませ。あなた様は、……十四郎さまは、わたくしと、……わたくしとっ!」
「あやめ殿、あやめ殿、落ち着かれよ。そうだ、わたしは蠣崎十四郎愛広だ。諱の一字は、有り難くも安東様からいただいた、蠣崎の侍だ。ポモールなどというのは、生まれて初めて聞いた。お屋形からもそんな名は聞いたことがない。……父は、母の生まれ故郷のことなど何も知らなかった。奴婢として売られてきた母を、珍しがり、哀れんでやっただけなのだ。」
十四郎の明るい色の瞳に影が動いたが、ふと気づいて、胸の中で泣いている女の震え続ける背を抱きなおした。
「……あやめ殿、心配されることはござらぬ。わたしは、決してそんなところにはいかぬ。北の湊ですぐに船に乗り、そなたの故郷、堺を目指すのだから。」
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