15 / 96
15.怪魚を食らう
しおりを挟む
お湯を沸かし、こぶし大に切り分けた巨大魚の肉をさっと茹でる。
匂いを嗅げばそんなに泥臭い匂いはしない。
巨大魚の見た目は鮭をそのまま縦と横に20倍くらい大きくしたような感じだ。
中身もまんま鮭のようで、オレンジ色の綺麗な身をしている。。
鮭やマスの身の色は実際は白身で、オレンジ色なのはカニやエビなどの甲殻類を食べているからだとひろしの知識にはある。
ということはこの巨大魚も甲殻類を食べてこの色になったのだろうか。
このサイズの魚が食べて腹の足しになるサイズの甲殻類がこの湖にはいるのかもしれない。
いつかなんらかの漁法でとってやろう。
「さて、ちょっと毒見を頼んでこよう」
私は茹で上がったホカホカの魚の身を木皿に乗せ、魔王城を出た。
向かうのはいつもゴブリンを狩っている庭先だ。
そこにはゴブリン専用の餌台が置かれている。
ここに食べ物を置いておけば馬鹿なゴブリンはすぐに寄ってくる。
すぐ近くで見ている私にも気が付いて少し下半身の形状を変化させたりもするが、そういう奴は真っ先に銃口を向けることにしている。
と殺されるべきゴブリンだからだ。
まあゴブリンはロリコンなのではなく、メスであれば誰でもいいだけなんだが。
私はいつものように餌台のうえに木皿を置き、ゴブリンが来るのを待った。
ベンチに座って読書しながら待つと、1時間ほどで5匹ほどのゴブリンがやってきた。
「グギャ?」
「グギャグギャ」
「グギャギャギャ」
私と魚の肉の乗った皿を指さしてなにやらグギャグギャ話し合っている様子だ。
いつもなら私を指さした時点で死刑なのだが、今日は毒見をしてもらわなければならないので我慢する。
どうせ結界に阻まれて私に触れることは叶わない。
「グギャギャ!」
「グギャーギャ!」
5匹のうち2匹は魚の肉には食いつかず、私のほうにやってきてしまった。
食欲よりも性欲か、サルめ。
血走った目で結界に張り付いてこちらを見てくる2匹のゴブリン。
キモすぎて気が付いたら引き金を引いていた。
ヘッドショットで脳漿をぶちまける2匹のゴブリン。
他の3匹も警戒して魚の肉どころではなくなってしまったようだ。
仕方がなく私は他3匹も撃った。
その後何度か同じようなことを繰り返してようやくあの巨大魚は食べても問題が無さそうだということが分かった。
鮭はひろしの故郷北海道の名産だ。
国産鮭の実に8割以上は北海道産というぶっちぎりの漁獲高ナンバーワンなのだ。
鮭のちゃんちゃん焼きや石狩鍋などの鮭料理も北海道では一般的で、ひろしの魂も味噌をぶち込めとうるさいのだが私は道民ではないのでバターソテーでいかせてもらおうと思う。
バターも道民はよく食べるか。
まあいい、巨大な魚の切り身を一人分くらい切り分け両面に塩コショウを振っていく。
胡椒なんてこの大陸では取れない香辛料だから本来なら私みたいな孤児が口にできるものじゃあないんだろうな。
でもひろしの記憶を持つ私にとって胡椒は料理にとって欠かせないものという認識だ。
そう考えるとひろしの国の国民はみんなこの国の王侯貴族より美味しい物を食べているということだから地味に凄いな。
私が胡椒なんていう超高級品を口にできるのも間接的にはひろしの国の食文化の豊かさのおかげだ。
ありがたや。
ひろしの国のなんでもありの食文化に感謝の祈りを捧げながら次の工程に移る。
次は小麦粉を振る。
小麦粉を振って焼くのはムニエルって言うらしいが、ソテーは油なんかで焼く調理全般を言うらしいのでこれはソテーだ。
魚をソテーするときは大体小麦粉を振るので魚に関してはソテーとムニエルは同じではないかと思うのだ。
ただ外側をカリカリになるまで焼くポワレという調理法もあるので注意が必要だ。
わからなかったらソテーと呼んでおけば間違いではないので私は全部ソテーと呼ぶことにしている。
フライパンにバターを溶かし、片面ずつこんがりと焼いていく。
両面に焼き目がついたら出来上がりだ。
シンプルな料理だが、それだけに素材の味を見るにはちょうどいい。
見た目も匂いもかなり美味しそうなのだが、肝心なのは味だ。
ナイフで一口大に切り分け、箸でいただく。
私は日本人じゃないが便利な物は使っていく主義なのだ。
でかい素材をでかいまま料理して手元で切って刺してたまに手で食べてフィンガーボールで洗って、そんなの面倒くさすぎる。
一応私が生まれた国でもカトラリーの種類は色々あった気がするが、基本手づかみだった孤児の私にはナイフとフォークよりもひろしの国で使っていた箸のほうが何万倍も使いやすく感じるのだ。
そんなわけで子供用の短い箸を上手く使い、私は巨大魚のバターソテーを口に放り込んだ。
「おお、けっこう美味しい」
魚体が巨大な分水分も多くて大味かと思っていたが、そんなことはなくぎゅっと旨味が濃縮されている。
肉みたいに硬くなるかとも思っていたが、そんなこともなくちゃんと魚のままで舌の上でホロリと崩れる極上の食感だ。
淡水魚なので鮭よりも少し淡泊な味わいではあるが、その分バターとよく合う。
引き締まった身に濃厚なバターのコクが合わさり、まったりとした味わいを醸し出している。
「でも微かに臭みがあるかも」
飲み込んだ後に残る香りに多少の生臭さを感じた。
ハーブ塩を使ったり、ブランデーか何かでフランベしたらよかったかもしれない。
次に作る時には何か臭み対策をしておこう。
「うーん、80点。まあ合格かな」
何に合格したのかはわからないが。
匂いを嗅げばそんなに泥臭い匂いはしない。
巨大魚の見た目は鮭をそのまま縦と横に20倍くらい大きくしたような感じだ。
中身もまんま鮭のようで、オレンジ色の綺麗な身をしている。。
鮭やマスの身の色は実際は白身で、オレンジ色なのはカニやエビなどの甲殻類を食べているからだとひろしの知識にはある。
ということはこの巨大魚も甲殻類を食べてこの色になったのだろうか。
このサイズの魚が食べて腹の足しになるサイズの甲殻類がこの湖にはいるのかもしれない。
いつかなんらかの漁法でとってやろう。
「さて、ちょっと毒見を頼んでこよう」
私は茹で上がったホカホカの魚の身を木皿に乗せ、魔王城を出た。
向かうのはいつもゴブリンを狩っている庭先だ。
そこにはゴブリン専用の餌台が置かれている。
ここに食べ物を置いておけば馬鹿なゴブリンはすぐに寄ってくる。
すぐ近くで見ている私にも気が付いて少し下半身の形状を変化させたりもするが、そういう奴は真っ先に銃口を向けることにしている。
と殺されるべきゴブリンだからだ。
まあゴブリンはロリコンなのではなく、メスであれば誰でもいいだけなんだが。
私はいつものように餌台のうえに木皿を置き、ゴブリンが来るのを待った。
ベンチに座って読書しながら待つと、1時間ほどで5匹ほどのゴブリンがやってきた。
「グギャ?」
「グギャグギャ」
「グギャギャギャ」
私と魚の肉の乗った皿を指さしてなにやらグギャグギャ話し合っている様子だ。
いつもなら私を指さした時点で死刑なのだが、今日は毒見をしてもらわなければならないので我慢する。
どうせ結界に阻まれて私に触れることは叶わない。
「グギャギャ!」
「グギャーギャ!」
5匹のうち2匹は魚の肉には食いつかず、私のほうにやってきてしまった。
食欲よりも性欲か、サルめ。
血走った目で結界に張り付いてこちらを見てくる2匹のゴブリン。
キモすぎて気が付いたら引き金を引いていた。
ヘッドショットで脳漿をぶちまける2匹のゴブリン。
他の3匹も警戒して魚の肉どころではなくなってしまったようだ。
仕方がなく私は他3匹も撃った。
その後何度か同じようなことを繰り返してようやくあの巨大魚は食べても問題が無さそうだということが分かった。
鮭はひろしの故郷北海道の名産だ。
国産鮭の実に8割以上は北海道産というぶっちぎりの漁獲高ナンバーワンなのだ。
鮭のちゃんちゃん焼きや石狩鍋などの鮭料理も北海道では一般的で、ひろしの魂も味噌をぶち込めとうるさいのだが私は道民ではないのでバターソテーでいかせてもらおうと思う。
バターも道民はよく食べるか。
まあいい、巨大な魚の切り身を一人分くらい切り分け両面に塩コショウを振っていく。
胡椒なんてこの大陸では取れない香辛料だから本来なら私みたいな孤児が口にできるものじゃあないんだろうな。
でもひろしの記憶を持つ私にとって胡椒は料理にとって欠かせないものという認識だ。
そう考えるとひろしの国の国民はみんなこの国の王侯貴族より美味しい物を食べているということだから地味に凄いな。
私が胡椒なんていう超高級品を口にできるのも間接的にはひろしの国の食文化の豊かさのおかげだ。
ありがたや。
ひろしの国のなんでもありの食文化に感謝の祈りを捧げながら次の工程に移る。
次は小麦粉を振る。
小麦粉を振って焼くのはムニエルって言うらしいが、ソテーは油なんかで焼く調理全般を言うらしいのでこれはソテーだ。
魚をソテーするときは大体小麦粉を振るので魚に関してはソテーとムニエルは同じではないかと思うのだ。
ただ外側をカリカリになるまで焼くポワレという調理法もあるので注意が必要だ。
わからなかったらソテーと呼んでおけば間違いではないので私は全部ソテーと呼ぶことにしている。
フライパンにバターを溶かし、片面ずつこんがりと焼いていく。
両面に焼き目がついたら出来上がりだ。
シンプルな料理だが、それだけに素材の味を見るにはちょうどいい。
見た目も匂いもかなり美味しそうなのだが、肝心なのは味だ。
ナイフで一口大に切り分け、箸でいただく。
私は日本人じゃないが便利な物は使っていく主義なのだ。
でかい素材をでかいまま料理して手元で切って刺してたまに手で食べてフィンガーボールで洗って、そんなの面倒くさすぎる。
一応私が生まれた国でもカトラリーの種類は色々あった気がするが、基本手づかみだった孤児の私にはナイフとフォークよりもひろしの国で使っていた箸のほうが何万倍も使いやすく感じるのだ。
そんなわけで子供用の短い箸を上手く使い、私は巨大魚のバターソテーを口に放り込んだ。
「おお、けっこう美味しい」
魚体が巨大な分水分も多くて大味かと思っていたが、そんなことはなくぎゅっと旨味が濃縮されている。
肉みたいに硬くなるかとも思っていたが、そんなこともなくちゃんと魚のままで舌の上でホロリと崩れる極上の食感だ。
淡水魚なので鮭よりも少し淡泊な味わいではあるが、その分バターとよく合う。
引き締まった身に濃厚なバターのコクが合わさり、まったりとした味わいを醸し出している。
「でも微かに臭みがあるかも」
飲み込んだ後に残る香りに多少の生臭さを感じた。
ハーブ塩を使ったり、ブランデーか何かでフランベしたらよかったかもしれない。
次に作る時には何か臭み対策をしておこう。
「うーん、80点。まあ合格かな」
何に合格したのかはわからないが。
19
お気に入りに追加
2,161
あなたにおすすめの小説


誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる