上 下
3 / 96

3.ガチャボックス

しおりを挟む
 スコップで掘った川原の窪みに、ブルーシートを敷いて水を溜める。
 水を溜めるのは灯油用ポンプとゴムホースをガムテープでつなぎ合わせたものを使えば簡単だ。
 いい感じに水が溜まったら、焚火で焼いた石を入れてお湯にする。
 身体を温めるにはお風呂が一番だ。
 焚火で冷えた手足を炙ってみたのだが、なかなか芯までは温まらなかった。
 ひろしの国ではお風呂はかなり重要な文化とされていた。
 身体を清潔に保ち、芯から温めて冷えから来る疾患の予防をする。
 それなりに理にかなっているように思える。
 私は生まれてこのかた温かいお湯に浸かったことが無いから、それがひろしの記憶を得た今ではとても不潔なことに思えてしかたなくなってしまった。
 ガチャでテントなども出たので今夜は快適に過ごせるだろうが、その前に身体を温め、清潔にしておこうと思った。
 ホカホカと湯気の出るお湯に足先を浸けると、ビリビリとした痛みのような感覚が伝わってくる。
 ちょっと熱すぎただろうか。
 まあ身体が芯まで冷えているから熱めのほうがいい。
 ゆっくりと身体を慣らすように肩までつかると、背中がぞくぞくするような心地よさに包まれる。
 暖かいというのはこんなにも気持ちがいいことだったんだなと思う。
 ひろしの記憶には自宅のお風呂に浸かった記憶も温泉という広い浴場に浸かった記憶もあるのだが、アリアとしては初めてのお風呂だ。
 気持ちよさはひとしおだった。
 リラックスしたところで、ガチャアイテムを眺めるためにガチャメニューを開く。

ガチャメニュー
 ガチャレベル:3
 ガチャスキル:【アイテム鑑定】【ガチャボックス】
ガチャポイント:12ポイント
  単発ガチャ:1回
 11連ガチャ:0回 ※Bランク以上1つ確定
110連ガチャ:0回  ※Aランク以上1つ確定

 ガチャを300回回したくらいのタイミングでまたガチャスキルのレベルが上がり、1日に獲得できるガチャポイントが3ポイントになり、【ガチャボックス】というガチャスキルを習得した。
 ガチャボックスはカプセルに入れたアイテムをガチャメニューの中にしまっておくことができるスキルだ。
 ガチャボックスの中にはカプセルが無限に入り、中の時間が止まっているためにガチャで出た生鮮食品も腐らない。
 ひろしが読んでいたラノベでいうところのアイテムボックスに近い。
 またガチャアイテムが入っているカプセルはそのアイテム専用というわけではなく、どのようなアイテムであっても一つのカプセルにつき一つだけ入れておくことができるカプセルだった。
 石ころであろうと大岩であろうと、一つという個数であればなんでも入れておくことができた。
 このカプセルをガチャメニューの中にしまっておくことができるガチャボックスは、まさしくアイテムボックスといえる。
 ガチャボックスの中には今回のガチャで出たアイテムをほとんど入れてある。
 ビニールシートとガムテープ、灯油用ポンプとゴムホースを抜いてその数403個。
 もう自分でも何が入っているのかよくわからない。
 最後のほうは中身を確認せずに全てカプセルのままガチャボックスに入れてしまったため、まだ未確認のものも多いのだ。
 ガチャボックスに入れると勝手にアイテム鑑定スキルが働いて名称でリスト化してくれる。
 一つ一つ開けて確認するよりも一覧で確認したほうが楽だろう。

ガチャボックス
Sランク
  ・魔王城

Aランク
  ・テント(最高級品)
  ・よく切れるナイフ

Bランク
  ・中級回復薬×2
  ・村田流気功術虎の巻
  ・ニャンバス2020
  ・オ〇エント工業製等身大人形
  ・バ〇ットM82(12.7mm×99mm弾10発入り)
  ・大賢者ムラムラス著『ゴーレムの作り方』
  ・マジックバッグ容量1000リットル
  ・洋裁入門

Cランク
  ・ベ〇ッタM92(9mm×19mm通常弾15発入り)
  ・スライムの粘液
  ・米1俵×7
  ・ゴブリンの腰布
  ・鼻毛用ハサミ
  ・錆びたナイフ 
  ・ポケットティッシュ
  ・消しゴム
  ・下級回復薬×4
  ・小麦粉30キロ×11
  ・テント
  ・黒パン×10
  ・釘100本 
  ・鉄の剣
  ・リップクリーム
  ・塩30キロ×4
  ・手鏡
  ・砂糖1キロ×6
  ・カマドーマキーホルダー
  ・ミノタウロスの角の欠片
  ・醤油1升×3
  ~以下略~

 大体のアイテムの傾向は見えてきた気がする。
 まずSランク。

名 称:魔王城
ランク:S
詳 細:かつて魔王が住んでいた居城。リセットされているので中身は新品。魔石を吸収させることで成長する。

 これはもう意味がわからない。
 魔王城ってなんなの。
 綺麗な虹色のカプセルが出たときに実際に開けてみたのだが、レンガと木でできたお洒落な小屋のようなものだった。
 魔王城にしてはかなりこじんまりとした雰囲気だったが、普通の一軒家と考えればいいアイテムだ。
 持ち運びのできる拠点として使えるだろう。
 さらには魔石を吸収させると成長するらしい。
 家が成長するっていうのはちょっと何言ってるのかわからないな。
 まあSランクというのはそういった意味不明なアイテムが出るということだ。
 次にAランク。
 これは私の全身の怪我を治した上級回復薬のような、常識的なすごいアイテムが出ると考えている。
 使ってしまった上級回復薬以外にはよく切れるナイフというアイテムと、テント(最高級品)が出た。
 残念ながら110連ガチャの確定分のみの個数だ。
 よく切れるナイフはその名のとおり尋常ではない切れ味を秘めたナイフで、川原の石が豆腐のようにスパスパ切れてしまう魔剣の一種だ。
 テント(最高級品)はこの世界で王侯貴族が使っているような中の空間が何倍にも拡張されているテントのことだ。
 テントの中には高級家具が設置されていて、魔道具がふんだんに使われたミニキッチンまで付いていた。
 テントの中に入るものならば何を置いてもテントと一緒にカプセルの中に収納されるようで、中の家具を増やすこともできそうだ。
 Aランクだけあってどちらも素晴らしいアイテムだ。
 さて次はBランク……の前にお湯から出よう、のぼせそうだ。
 私はガチャで出た石鹸とシャンプーで全身を洗い、お湯から上がった。
 Cランクは食料が多めで着る物はほとんど出なかった。
 仕方なく私はプールの着替え用巻きタオルを羽織った。
 なんで服は出ないのにこんなのが出るかな。
 まあいいや。
 すっきりしたところで、Bランクいってみよう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

寝て起きたら世界がおかしくなっていた

兎屋亀吉
ファンタジー
引きこもり気味で不健康な中年システムエンジニアの山田善次郎38歳独身はある日、寝て起きたら半年経っているという意味不明な状況に直面する。乙姫とヤった記憶も無ければ玉手箱も開けてもいないのに。すぐさまネットで情報収集を始める善次郎。するととんでもないことがわかった。なんと世界中にダンジョンが出現し、モンスターが溢れ出したというのだ。そして人類にはスキルという力が備わったと。変わってしまった世界で、強スキルを手に入れたおっさんが生きていく話。※この作品はカクヨムにも投稿しています。

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

貧乏男爵家の三男は今日もガチャを回す

兎屋亀吉
ファンタジー
ひとりにひとつ神様からスキルを授かる世界で、主人公ダグラス・マイエルは【ガチャ】という謎のスキルを持って生まれる。男爵家の三男であるダグラスは優れたスキルを持って生まれた2人の兄と比べられながらも、自分のスキルに無限の可能性を感じ一発逆転を賭けて今日もガチャを回すのであった。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

スキルを極めろ!

アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作 何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める! 神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。 不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。 異世界でジンとして生きていく。

処理中です...