6 / 25
6.マインド系とか完全に敵キャラ
しおりを挟む
というわけで初対面の女の子に看病されるという夢のような時間を過ごした僕だったけれど、現実はそんなに甘くは無いわけで。
大学で会えたらいいね、なんて言って笑いかけてくれていた神崎さんとはお近づきになれそうもない。
というのも、美人で明るい彼女が大学でどんな人間の集団に属すのかというところに答えはあった。
当然のごとく大学でもトップレベルのリア充集団だった。
それもそんじょそこらのうぇーいな集団とは訳が違う。
どことなく気品が漂う知性を備えた集団に神崎さんは所属している。
僕のようなゴミ蟲のごとき人間にも分け隔てなく優しくしてくれるような集団だからこそ、ゴミ蟲のほうからは話しかけにくい。
嫉妬に駆られた同じゴミ蟲から陰湿な嫌がらせを受ける可能性もある。
結局、僕のような人間はどんな環境にいてもぼっちなんだ。
サークル勧誘で騒がしい構内を僕はトボトボと家に帰った。
忙しなく勧誘が行われる構内で、僕は誰にも勧誘されることはなかった。
初講義も終わり、暇なので結局本を読むくらいしかやることはない。
一応店も開けているのだけれど、客なんてひとりも来ない。
家賃が要らないとはいえ、生活費もそこそこかかる。
もってあと3ヶ月といったところだ。
どうやったら本って売れるんだろう。
僕はとりあえずできるだけ面白そうに本を読んでみることにした。
読むのは当然陰陽師になろうだ。
”さあ、霊感に目覚めた皆さんはすでに陰陽師の卵です。これより先は霊力を高め、様々な術を試してみる段階に入ります。しかし霊力の大小には個人差があり、術にも適性というものがあります。もし皆さんの霊力が全然強くならなかったり、どの術にもまるで適性がなかったりしても私を恨まないでくださいね(笑)”
相変わらずこの作者の文章は人を少しだけ苛立たせる。
しかしやっと術を教えてくれるのか。
ワクワクするな。
霊感が目覚めてからというもの、僕は自分の中にある霊力というものの存在を朧気ではあるけれど感じることができている。
きっとこの力を使って色々な術を使って、あやかしと戦ったりするんだろうな。
”ああ、先に述べさせていただきますが現代において退魔、祓魔、降魔業への新規参入はほぼ不可能です。すでに供給過多ですのであしからず”
世知辛い世の中だった。
まあそもそも僕にそんな攻撃的な術の適性があるとは限らないし、もう少し黙って読むべきか。
”下記リストがわが一門に伝わる術のリストになります。順番に試してみましょう。また、先に晴明様式霊力強化トレーニングのやり方を知りたいという方は89Pへ”
トレーニングはとりあえず今度でいいや。
まずは術を試してみよう。
色々な術があるな。
術のリストには意外にもキッチリと使い方が簡潔に書かれていた。
コピペかな。
術のリストは、各系統別に分かれていて一番上の初歩の術が使えなければまず素養はないと思ったほうがいいようだ。
上から順に試していく。
まずは神道系から。
初歩の術は印の結びも単純で覚えやすい。
霊力の使い方に関しても詳しく書いてあって、括弧書きで【う〇こをひねり出すように】とか書かれているのでこの部分はおそらく土御門氏の加筆だろう。
もうちょっと上品な表現があったと思うけど。
だけど土御門氏の言ったとおりにしたら霊感が覚醒したことも事実。
僕はもう一度だけ土御門氏を信じることにして、結んだ印と肛門に力を入れてみた。
すると僕のお腹のあたりに留まっていた霊力が印に集まってきた。
おお、なんか起こりそうな雰囲気だ。
僕はさらに霊力を印に込めて気張る。
「ッッッ!!!」
次の瞬間、まるで風船が割れるように霊力ははじけ飛んでしまった。
これは素養がなかったということなんだろうか。
何も起こった様子はないからそうだろうな。
諦めて次に行く。
僕はどんどんリストの術を試していった。
「これで最後か……」
リストの最後の方におまけのように書かれていた術の系統で、土御門一門の術は最後のようだ。
ここまで適性ゼロ。
やっぱり僕には陰陽師になることはできないのだろうか。
半分諦めながらも、最後の術を試す。
最後は精神感応系の術。
土御門氏の括弧書きにも【僕が嫌いな術】と書かれている。
そんな個人的な好み書かなくてもいいのに。
僕は今までよりも少しだけ複雑な印を結び、肛門に力を入れた。
「うぉっ!!」
何も起きなかった。
だけど、今までとは違う。
霊力がはじけ飛ぶのとは違って、何かに働きかけていた感じがあった。
だけど精神感応系の術だから対象がいなかったんだ。
ということは発動自体はしたのかな。
「あはは、僕の適性はマインド系か……」
ラノベとかで敵キャラが持っていそうな能力だ。
なんとも素直に喜べない結果となった。
大学で会えたらいいね、なんて言って笑いかけてくれていた神崎さんとはお近づきになれそうもない。
というのも、美人で明るい彼女が大学でどんな人間の集団に属すのかというところに答えはあった。
当然のごとく大学でもトップレベルのリア充集団だった。
それもそんじょそこらのうぇーいな集団とは訳が違う。
どことなく気品が漂う知性を備えた集団に神崎さんは所属している。
僕のようなゴミ蟲のごとき人間にも分け隔てなく優しくしてくれるような集団だからこそ、ゴミ蟲のほうからは話しかけにくい。
嫉妬に駆られた同じゴミ蟲から陰湿な嫌がらせを受ける可能性もある。
結局、僕のような人間はどんな環境にいてもぼっちなんだ。
サークル勧誘で騒がしい構内を僕はトボトボと家に帰った。
忙しなく勧誘が行われる構内で、僕は誰にも勧誘されることはなかった。
初講義も終わり、暇なので結局本を読むくらいしかやることはない。
一応店も開けているのだけれど、客なんてひとりも来ない。
家賃が要らないとはいえ、生活費もそこそこかかる。
もってあと3ヶ月といったところだ。
どうやったら本って売れるんだろう。
僕はとりあえずできるだけ面白そうに本を読んでみることにした。
読むのは当然陰陽師になろうだ。
”さあ、霊感に目覚めた皆さんはすでに陰陽師の卵です。これより先は霊力を高め、様々な術を試してみる段階に入ります。しかし霊力の大小には個人差があり、術にも適性というものがあります。もし皆さんの霊力が全然強くならなかったり、どの術にもまるで適性がなかったりしても私を恨まないでくださいね(笑)”
相変わらずこの作者の文章は人を少しだけ苛立たせる。
しかしやっと術を教えてくれるのか。
ワクワクするな。
霊感が目覚めてからというもの、僕は自分の中にある霊力というものの存在を朧気ではあるけれど感じることができている。
きっとこの力を使って色々な術を使って、あやかしと戦ったりするんだろうな。
”ああ、先に述べさせていただきますが現代において退魔、祓魔、降魔業への新規参入はほぼ不可能です。すでに供給過多ですのであしからず”
世知辛い世の中だった。
まあそもそも僕にそんな攻撃的な術の適性があるとは限らないし、もう少し黙って読むべきか。
”下記リストがわが一門に伝わる術のリストになります。順番に試してみましょう。また、先に晴明様式霊力強化トレーニングのやり方を知りたいという方は89Pへ”
トレーニングはとりあえず今度でいいや。
まずは術を試してみよう。
色々な術があるな。
術のリストには意外にもキッチリと使い方が簡潔に書かれていた。
コピペかな。
術のリストは、各系統別に分かれていて一番上の初歩の術が使えなければまず素養はないと思ったほうがいいようだ。
上から順に試していく。
まずは神道系から。
初歩の術は印の結びも単純で覚えやすい。
霊力の使い方に関しても詳しく書いてあって、括弧書きで【う〇こをひねり出すように】とか書かれているのでこの部分はおそらく土御門氏の加筆だろう。
もうちょっと上品な表現があったと思うけど。
だけど土御門氏の言ったとおりにしたら霊感が覚醒したことも事実。
僕はもう一度だけ土御門氏を信じることにして、結んだ印と肛門に力を入れてみた。
すると僕のお腹のあたりに留まっていた霊力が印に集まってきた。
おお、なんか起こりそうな雰囲気だ。
僕はさらに霊力を印に込めて気張る。
「ッッッ!!!」
次の瞬間、まるで風船が割れるように霊力ははじけ飛んでしまった。
これは素養がなかったということなんだろうか。
何も起こった様子はないからそうだろうな。
諦めて次に行く。
僕はどんどんリストの術を試していった。
「これで最後か……」
リストの最後の方におまけのように書かれていた術の系統で、土御門一門の術は最後のようだ。
ここまで適性ゼロ。
やっぱり僕には陰陽師になることはできないのだろうか。
半分諦めながらも、最後の術を試す。
最後は精神感応系の術。
土御門氏の括弧書きにも【僕が嫌いな術】と書かれている。
そんな個人的な好み書かなくてもいいのに。
僕は今までよりも少しだけ複雑な印を結び、肛門に力を入れた。
「うぉっ!!」
何も起きなかった。
だけど、今までとは違う。
霊力がはじけ飛ぶのとは違って、何かに働きかけていた感じがあった。
だけど精神感応系の術だから対象がいなかったんだ。
ということは発動自体はしたのかな。
「あはは、僕の適性はマインド系か……」
ラノベとかで敵キャラが持っていそうな能力だ。
なんとも素直に喜べない結果となった。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
海の見える家で……
梨香
キャラ文芸
祖母の突然の死で十五歳まで暮らした港町へ帰った智章は見知らぬ女子高校生と出会う。祖母の死とその女の子は何か関係があるのか? 祖母の死が切っ掛けになり、智章の特殊能力、実父、義理の父、そして奔放な母との関係などが浮き彫りになっていく。
戦国陰陽師〜自称・安倍晴明の子孫は、第六天魔王のお家の食客になることにしました〜
水城真以
ファンタジー
自称・安倍晴明の子孫、明晴。ある日美濃に立ち寄った明晴がいつもの通りに陰陽術で荒稼ぎしていたら、岐阜城主・織田信長に目を付けられてしまう。城に連れて行かれた明晴は、ある予言を当ててしまったことから織田家の食客になることに!?
「俺はただ、緩くのんびり生きられたらいいだけなのにーー!!」
果たして自称・安倍晴明の子孫の運命やいかに?!
鬼の御宿の嫁入り狐
梅野小吹
キャラ文芸
▼2025.2月 書籍 第2巻発売中!
【第6回キャラ文芸大賞/あやかし賞 受賞作】
鬼の一族が棲まう隠れ里には、三つの尾を持つ妖狐の少女が暮らしている。
彼女──縁(より)は、腹部に火傷を負った状態で倒れているところを旅籠屋の次男・琥珀(こはく)によって助けられ、彼が縁を「自分の嫁にする」と宣言したことがきっかけで、羅刹と呼ばれる鬼の一家と共に暮らすようになった。
優しい一家に愛されてすくすくと大きくなった彼女は、天真爛漫な愛らしい乙女へと成長したものの、年頃になるにつれて共に育った琥珀や家族との種族差に疎外感を覚えるようになっていく。
「私だけ、どうして、鬼じゃないんだろう……」
劣等感を抱き、自分が鬼の家族にとって本当に必要な存在なのかと不安を覚える縁。
そんな憂いを抱える中、彼女の元に現れたのは、縁を〝花嫁〟と呼ぶ美しい妖狐の青年で……?
育ててくれた鬼の家族。
自分と同じ妖狐の一族。
腹部に残る火傷痕。
人々が語る『狐の嫁入り』──。
空の隙間から雨が降る時、小さな体に傷を宿して、鬼に嫁入りした少女の話。
貧乏神の嫁入り
石田空
キャラ文芸
先祖が貧乏神のせいで、どれだけ事業を起こしても失敗ばかりしている中村家。
この年もめでたく御店を売りに出すことになり、長屋生活が終わらないと嘆いているいろりの元に、一発逆転の縁談の話が舞い込んだ。
風水師として名を馳せる鎮目家に、ぜひともと呼ばれたのだ。
貧乏神の末裔だけど受け入れてもらえるかしらと思いながらウキウキで嫁入りしたら……鎮目家の虚弱体質な跡取りのもとに嫁入りしろという。
貧乏神なのに、虚弱体質な旦那様の元に嫁いで大丈夫?
いろりと桃矢のおかしなおかしな夫婦愛。
*カクヨム、エブリスタにも掲載中。
【完結】追放住職の山暮らし~あやかしに愛され過ぎる生臭坊主は隠居して山でスローライフを送る
張形珍宝
キャラ文芸
あやかしに愛され、あやかしが寄って来る体質の住職、後藤永海は六十五歳を定年として息子に寺を任せ山へ隠居しようと考えていたが、定年を前にして寺を追い出されてしまう。追い出された理由はまあ、自業自得としか言いようがないのだが。永海には幼い頃からあやかしを遠ざけ、彼を守ってきた化け狐の相棒がいて、、、
これは人生の最後はあやかしと共に過ごしたいと願った生臭坊主が、不思議なあやかし達に囲まれて幸せに暮らす日々を描いたほのぼのスローライフな物語である。
皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜
菰野るり
キャラ文芸
皇帝陛下はお年頃。
まわりは縁談を持ってくるが、どんな美人にもなびかない。
なんでも、3年前に一度だけ出逢った忘れられない女性がいるのだとか。手がかりはなし。そんな中、皇太后は自ら街に出て息子の嫁探しをすることに!
この物語の皇太后の名は雲泪(ユンレイ)、皇帝の名は堯舜(ヤオシュン)です。つまり【後宮物語〜身代わり宮女は皇帝陛下に溺愛されます⁉︎〜】の続編です。しかし、こちらから読んでも楽しめます‼︎どちらから読んでも違う感覚で楽しめる⁉︎こちらはポジティブなラブコメです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
乙女フラッグ!
月芝
キャラ文芸
いにしえから妖らに伝わる調停の儀・旗合戦。
それがじつに三百年ぶりに開催されることになった。
ご先祖さまのやらかしのせいで、これに参加させられるハメになる女子高生のヒロイン。
拒否権はなく、わけがわからないうちに渦中へと放り込まれる。
しかしこの旗合戦の内容というのが、とにかく奇天烈で超過激だった!
日常が裏返り、常識は霧散し、わりと平穏だった高校生活が一変する。
凍りつく刻、消える生徒たち、襲い来る化生の者ども、立ちはだかるライバル、ナゾの青年の介入……
敵味方が入り乱れては火花を散らし、水面下でも様々な思惑が交差する。
そのうちにヒロインの身にも変化が起こったりして、さぁ大変!
現代版・お伽活劇、ここに開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる