断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉

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閑話 国王視点

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「へ、陛下!城壁の外に軍勢が集結しております!!」

「な、なんだと!!」

「急ぎ城門を閉めて様子を見ておりますが、どうやら複数の貴族が兵を率いて王都を包囲しているようです」

 どういうことだ、何がなんだかわからんぞ。
 クーデターの兆しなどは全くなかったはずだ。

「どこの貴族かはわかるか?」

「はっ、レグルス辺境伯爵を筆頭にエンリケ伯爵、リーゼル伯爵、ミュラー子爵、イノウエ男爵、ケイネス男爵の旗は確認しております」

「くそっ、武闘派ばかりじゃないか」

 いったい何が彼らを駆り立てたというのだ。
 全くわからん。
 特にレグルス辺境伯といえば我が息子であるアドルフの婚約者の実家だ。
 攻めてくる理由が無いように思える。
 そういえば昨日は例のパーティの日だったな。
 息子に初めてパーティの主催を任せたが、まさか何かやらかしてはおらんだろうな。
 パーティといっても子供たちだけで楽しむお遊びのようなパーティだ、何かあってもそう大したことではないと思うが、なぜか猛烈に嫌な予感がするのだ。
 英雄王である父から唯一受け継いでいると言って過言ではないのがこの勘だ。
 馬鹿にはできない。
 たしか宰相であるヘリオスの息子や騎士団長アイザックの息子も一緒に出席しているはずだ。
 何があったのか聞いているやもしれぬ。

「ヘリオス、そういえば昨日のパーティはどうだったか君の息子から何か聞いてないか?」

「昨日のパーティですか。そういえば聞いていませんね。何も報告がないというのもおかしな話です。息子たちを呼んで聞いてみますか」

「いや、まずは使用人たちにそれとなく聞いて下調べをするんだ。おそらく昨日のパーティは何かがあった。本人たちに話を聞くのは最後だ。場合によっては罰を与えねばならんかもしれんからな」

「はっ、ではそのように」

 私の勘が間違いであってくれればいいのだがな。

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