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復活のK
11.サイボーグ
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金属製の義手をつけた髭面の男。
おそらくこいつがワールドエンドの首領であるサイボーグで間違いない。
「おまわりさん、客とマスターの避難を」
「ああ、任せろ」
お店に迷惑をかけてしまった。
もうこの店には来られないな。
また新しいお店を探さなければならない。
テロリスト許すまじ。
僕は怖い顔で客をじろじろ睨んでいる髭面を鑑定する。
固有名:クルーセル・ニコラヴィッチ
種 族:人間
スキル:【念動力lv9】
スキルはひとつだけか。
念動力、名前のとおりのスキルだろうな。
スキルレベルが高いな。
たった一つのスキルでもこれだけスキルレベルが高ければ並みの相手ではこのテロリストを止めることはできない。
最低でも一つは同じレベルのスキルがないと戦いにはならないだろう。
サイボーグという異名の由来となった金属製の義手と義足は、おそらくただの鉄の模型のようなものだろう。
それを念動力で動かしているんだ。
手足のように滑らかに動いているのはそのために違いない。
「くそがっ、Kって野郎はいねーのか?いねぇなら、全員殺すか。どっちみち全員殺すつもりだったしな」
焦れた髭面は落ちていた大きめの瓦礫を手に持ち、振りかぶる。
義手を使って投げる必要があるんだろうか。
念動力で直接飛ばせばいいと思うのだけど。
僕は投石の進行方向に反転フィールドを展開する。
髭面が思い切り投げつけた瓦礫は勢いよく反転し、右の義手を引きちぎった。
「がぁっ、なんだ?投げた石が帰ってきやがった。小僧、お前か?」
最後までお店に残っていたマスターも、つい今しがたおまわりさんに先導されて避難し終わったところだ。
店の中にはもう僕と髭面しかいない。
当然髭面は僕を疑う。
「お前、Kか?」
「僕はそう名乗ったことが一度もない。だけど不思議とそう呼ぶ人もいるね。いったいなんの略なんだか」
僕の名前であるクロードは英語だと頭文字はCだからたぶん違う。
けっこう前に通っていたバーの名前にもKが入っていたし、最初の依頼人に奢ったお酒もKから始まるものだったような気がするな。
まあそんなことはどうでもいいかな。
「俺の組織をめちゃくちゃにしてくれた奴がどんな野郎なのかと思えば、ガキじゃねえか。くそがっ、さっさと死ね!!」
髭面は苛立たし気に足元の瓦礫を蹴飛ばして僕に飛ばしてくる。
やはり念動力で直接攻撃はしてこないようだ。
瓦礫は当然反転魔法で髭面に返っていく。
今度は鉄の腕でちゃんと受け止めたようだ。
「がぁっ、くそっさっきからなんなんだよその力」
「そっちこそなんでそんなちまちました攻撃しかしてこないの?念動力で直接攻撃してこればいいじゃないか」
「ちっ俺の能力が知られてやがる。組織の奴らしゃべりやがったな。あいつらも皆殺しだ!!」
なんだかこの人は悲しい人な気がしてきた。
まあテロリストなんていうものは社会の歪が生み出した存在自体が悲しいものか。
たくさんの犠牲の上に成り立っている今の世の中が間違っているとは思わないけれど、人の住む世界というのは光の当たる場所ばかりではないのだと改めて実感させられる。
目の前の髭面や、剣鬼のおじさんが生きているような世界も、確かにこの世界の一部なんだよね。
世界にはまだ多くの国で種族と宗教の問題が渦巻いているんだな。
などと高尚なことを考えて頭がよくなった気になってみる。
「成敗しちゃって」
「ぐぎゃ(了解)」
テロリストは社会が生み出してしまった悲しき存在だけれど、やっぱり悪いことはいけない。
こいつは殺さず逮捕してしかるべき機関で裁かれるべきだ。
ゴブ次郎はすっと消えるように移動し、髭面の後ろで意味ありげな印を結んだ。
まあ意味はないんだけどね。
「なんだ?何も見えねえぞ?暗いっやめろ、やめろぉぉっ」
ゴブ次郎の夢幻魔法にはまってしまえばもはや夢幻から抜け出すのは難しい。
髭面の目が虚ろになり、義足と義手がすべてバラバラに分解された。
瓦礫を撃ち返しただけで義手がもげていたからおかしいとは思っていたけれど、どうやらあの鉄の義肢はすべて念動力でつなぎ合わせていたらしい。
鉄の手足でなんでも破壊するパワーファイターのような印象が強かったが、本来は念動力を駆使したトリッキーな戦い方が主体なのかもしれない。
まあ今となってはそれもわからないが。
「ママ、やめて……。捨てないでよ、置いていかないでよ……」
どんな幻覚を見ているのかはわからないけれど、なんとなくどんな人生を送ってきたのかはわかってしまった。
仕事は終わったのに、なぜだかすっきりしないな。
やっぱりテロリストなんていうのは相手にするもんじゃない。
モヤモヤする。
「逮捕に協力してもらって感謝する。今度酒でも奢るよ」
「いや、いいよ。警察官は嫌いなんだ」
「はは、まあ気持ちはわからなくもない。報酬が決まったら言ってくれ」
「ああ、それならさっき決まったよ」
「なんだ?」
「土地」
ベルギーのテロリストたちのアジトを見て僕も秘密基地が欲しくなった。
日本の山林は外国人に買い漁られているというし、僕が買って秘密基地を作っても文句はないだろう。
巨大ロボとか作っちゃったりしてね。
誰か巨大ロボ作れる人いないかな。
拓君はプラモデルなら作るのが得意なんだけどね。
おそらくこいつがワールドエンドの首領であるサイボーグで間違いない。
「おまわりさん、客とマスターの避難を」
「ああ、任せろ」
お店に迷惑をかけてしまった。
もうこの店には来られないな。
また新しいお店を探さなければならない。
テロリスト許すまじ。
僕は怖い顔で客をじろじろ睨んでいる髭面を鑑定する。
固有名:クルーセル・ニコラヴィッチ
種 族:人間
スキル:【念動力lv9】
スキルはひとつだけか。
念動力、名前のとおりのスキルだろうな。
スキルレベルが高いな。
たった一つのスキルでもこれだけスキルレベルが高ければ並みの相手ではこのテロリストを止めることはできない。
最低でも一つは同じレベルのスキルがないと戦いにはならないだろう。
サイボーグという異名の由来となった金属製の義手と義足は、おそらくただの鉄の模型のようなものだろう。
それを念動力で動かしているんだ。
手足のように滑らかに動いているのはそのために違いない。
「くそがっ、Kって野郎はいねーのか?いねぇなら、全員殺すか。どっちみち全員殺すつもりだったしな」
焦れた髭面は落ちていた大きめの瓦礫を手に持ち、振りかぶる。
義手を使って投げる必要があるんだろうか。
念動力で直接飛ばせばいいと思うのだけど。
僕は投石の進行方向に反転フィールドを展開する。
髭面が思い切り投げつけた瓦礫は勢いよく反転し、右の義手を引きちぎった。
「がぁっ、なんだ?投げた石が帰ってきやがった。小僧、お前か?」
最後までお店に残っていたマスターも、つい今しがたおまわりさんに先導されて避難し終わったところだ。
店の中にはもう僕と髭面しかいない。
当然髭面は僕を疑う。
「お前、Kか?」
「僕はそう名乗ったことが一度もない。だけど不思議とそう呼ぶ人もいるね。いったいなんの略なんだか」
僕の名前であるクロードは英語だと頭文字はCだからたぶん違う。
けっこう前に通っていたバーの名前にもKが入っていたし、最初の依頼人に奢ったお酒もKから始まるものだったような気がするな。
まあそんなことはどうでもいいかな。
「俺の組織をめちゃくちゃにしてくれた奴がどんな野郎なのかと思えば、ガキじゃねえか。くそがっ、さっさと死ね!!」
髭面は苛立たし気に足元の瓦礫を蹴飛ばして僕に飛ばしてくる。
やはり念動力で直接攻撃はしてこないようだ。
瓦礫は当然反転魔法で髭面に返っていく。
今度は鉄の腕でちゃんと受け止めたようだ。
「がぁっ、くそっさっきからなんなんだよその力」
「そっちこそなんでそんなちまちました攻撃しかしてこないの?念動力で直接攻撃してこればいいじゃないか」
「ちっ俺の能力が知られてやがる。組織の奴らしゃべりやがったな。あいつらも皆殺しだ!!」
なんだかこの人は悲しい人な気がしてきた。
まあテロリストなんていうものは社会の歪が生み出した存在自体が悲しいものか。
たくさんの犠牲の上に成り立っている今の世の中が間違っているとは思わないけれど、人の住む世界というのは光の当たる場所ばかりではないのだと改めて実感させられる。
目の前の髭面や、剣鬼のおじさんが生きているような世界も、確かにこの世界の一部なんだよね。
世界にはまだ多くの国で種族と宗教の問題が渦巻いているんだな。
などと高尚なことを考えて頭がよくなった気になってみる。
「成敗しちゃって」
「ぐぎゃ(了解)」
テロリストは社会が生み出してしまった悲しき存在だけれど、やっぱり悪いことはいけない。
こいつは殺さず逮捕してしかるべき機関で裁かれるべきだ。
ゴブ次郎はすっと消えるように移動し、髭面の後ろで意味ありげな印を結んだ。
まあ意味はないんだけどね。
「なんだ?何も見えねえぞ?暗いっやめろ、やめろぉぉっ」
ゴブ次郎の夢幻魔法にはまってしまえばもはや夢幻から抜け出すのは難しい。
髭面の目が虚ろになり、義足と義手がすべてバラバラに分解された。
瓦礫を撃ち返しただけで義手がもげていたからおかしいとは思っていたけれど、どうやらあの鉄の義肢はすべて念動力でつなぎ合わせていたらしい。
鉄の手足でなんでも破壊するパワーファイターのような印象が強かったが、本来は念動力を駆使したトリッキーな戦い方が主体なのかもしれない。
まあ今となってはそれもわからないが。
「ママ、やめて……。捨てないでよ、置いていかないでよ……」
どんな幻覚を見ているのかはわからないけれど、なんとなくどんな人生を送ってきたのかはわかってしまった。
仕事は終わったのに、なぜだかすっきりしないな。
やっぱりテロリストなんていうのは相手にするもんじゃない。
モヤモヤする。
「逮捕に協力してもらって感謝する。今度酒でも奢るよ」
「いや、いいよ。警察官は嫌いなんだ」
「はは、まあ気持ちはわからなくもない。報酬が決まったら言ってくれ」
「ああ、それならさっき決まったよ」
「なんだ?」
「土地」
ベルギーのテロリストたちのアジトを見て僕も秘密基地が欲しくなった。
日本の山林は外国人に買い漁られているというし、僕が買って秘密基地を作っても文句はないだろう。
巨大ロボとか作っちゃったりしてね。
誰か巨大ロボ作れる人いないかな。
拓君はプラモデルなら作るのが得意なんだけどね。
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