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復活のK
3.ワッフルの国
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「どうするの?あの人たち、あなたを探していたみたい」
「どうもこうも、僕は別に正式になんでも屋として看板を出した覚えはないよ」
僕のいきつけのバーに突然現れた警察官の2人組。
警察が探偵やらなんやらに非合法な捜査を依頼するというのはドラマの中とかではよくある話だけれど、虚構と現実を一緒にしないで欲しいな。
捜査に行き詰った警察が怪しげな探偵とバーで出会うのは空想の中のお話であって、実際には探偵なんて浮気調査やペットの捜索などが主な収入源だという。
ましてや僕は探偵でもなんでもない。
ただいきつけのバーの隣に座った人の頼みを何回か聞いてあげただけの一般人でしかない。
最初のきっかけは隣に座ったのがバインバインのユナイテッドステイツオブおっぱいさんだったことかな。
僕なんかにおっぱいをやたら押し付けてくるアメリカ人の女性がいて、案の定ハニートラップだったんだよね。
バインバインに釣られて一緒にホテルに行ったら銃を持ったアウトローじゃないプロの戦闘職の人たちがたくさんいてね。
戦闘職の皆さんは一瞬で菱縄縛りになってもらったんだけど、バインバインさんが何故か泣きながら身の上話を始めてね。
泣き脅しだってことは分かっていたんだけど、拓君が欲しがってた限定美少女フィギュアをくれるって言うから僕はそのバインバインなアメリカン美女の依頼を受けたんだ。
拓君は僕の大事なビジネスパートナーだからたまにモチベーションを上げておく必要がある。
有名動画制作会社の影のオーナーともなればコネをコネコネして普通じゃ手に入らない美少女フィギュアの一つや二つは簡単に手に入るという大物感を演出しなくては拓君はすぐに僕のことを舐め腐る。
しかしそのバインアメリカさんの依頼を受けて、少し無茶をしたせいで僕は裏社会で目立った。
後から後からどうでもいい身の上話を聞かせてくる依頼人がいきつけのバーに押しかける始末。
まあたまにミステリアスな中東美女とかが小洒落たカクテルなんか飲みながら僕に流し目を送ってくるものだから、ちょっと依頼を受けちゃったりしたけれど。
でも僕は極力美女以外の依頼は断わるように努力していたんだ。
本業の人とかがいたら仕事がなくなっちゃって困っちゃうかもしれないしね。
なにより僕が落ち着いてお酒や料理を楽しめない。
すでにいきつけのバーを変えるのも3回目だ。
料理と地ビールが好みのバーを見つけるのはなかなか大変なのにな。
Kだか毛だか知らないけれど、勝手に裏社会のなんでも屋にするのはやめて欲しいよね。
僕はまっとうなユー〇ューバーなんだから。
そんな非合法の依頼を受けているアウトローな人だと思われるのは致命的なスキャンダルだ。
「でもあの人たち困ってたみたい。私の立場から言っても、そのテロリストのことは放っておける話じゃないな」
「まあテロリストは怖いよね」
「ねえお願い。私からの頼みだと思ってあの人たちに協力してあげてくれない?私にできることならなんでもするから、ね?」
なんでも、その言葉の持つ色気に僕の背筋がぞくりとする。
お母様は僕のことを舐めている。
僕が童貞だからって、なんでもするといってもけっきょくへたれてエロいことは要求しないと思っている。
これはお母様から僕への挑戦なのではないだろうか。
悔しかったら童貞という殻を打ち破って一夜の狼に変身してみなさい、という淫秘なメッセージなのではないだろうか。
だとしたらなんて挑発的な言葉なんだ。
やってやるよ。
お母様の頼みを受けて、下衆いことを要求してやるよ。
そのでかい乳を磨いて待ってろよ。
テロ組織『ワールドエンド』。
数々の国でテロ活動を行なった実績のある非合法組織。
組織内には多くの能力者が在籍しており、時に一国の軍隊とも渡り合う武闘派組織だ。
首領『サイボーグ』をはじめとして、『アイスマン』『剣鬼』『ドラグーン』などの多くの有名な能力殺人者を擁する。
「本拠地はベルギーのブリュッセル?すごいね、どうやって海外の情報を集めたの?」
「グギャグギャ(ダークウェブで)」
「なにそれ」
グギャグギャとなにやらわけわからん呪文のような横文字を並べるゴブ次郎。
ダメだ、完全に僕より時代に適応している。
ゴブ次郎の言うことが全く理解できない僕だけれど、いいんだスマホは電話できれば、パソコンは検索できれば。
「グギャグギャグギャギャッギャ(ネットで調べられるのはこのへんまでですね)」
「いや、十分だよ。とりあえずブリュッセルに行ってみるから、後は現地でね」
「グギャ(了解)」
攻撃は最大の防御と言うよね。
戦っていうのは、相手の城を先に落としたほうが勝ちなんだ。
だからテロリストが日本に入ってきていようが、そこで何人殺す予定だろうが関係ない。
奴らのアジトをそこに残った構成員ごと潰す。
さすがに全員で日本に入ってきたわけではないだろう。
ワールドエンドは新興宗教系のそこそこ大きなテロ組織だし、そんな組織が全員仲良く日本にお引越ししていたとしたら日本政府や公安は間抜けすぎる。
日本に入り込んだのは組織の全体数からしてみたらわずかな少数精鋭の実働部隊といったところだろう。
奴らは日本に入り込んで意気揚々と人殺しをしようとしている間に、本拠地を失うのだ。
日本に入り込んだ残党狩りはそれからでも遅くない。
日本にだって警察や自衛隊がいるんだから、僕一人が頑張ることはないんだ。
「さて、行こうか。ベルギーか、ワッフルしか思いつかないな」
僕はガルーダを召喚し、ゴブ次郎の夢幻魔法で姿を消した。
「どうもこうも、僕は別に正式になんでも屋として看板を出した覚えはないよ」
僕のいきつけのバーに突然現れた警察官の2人組。
警察が探偵やらなんやらに非合法な捜査を依頼するというのはドラマの中とかではよくある話だけれど、虚構と現実を一緒にしないで欲しいな。
捜査に行き詰った警察が怪しげな探偵とバーで出会うのは空想の中のお話であって、実際には探偵なんて浮気調査やペットの捜索などが主な収入源だという。
ましてや僕は探偵でもなんでもない。
ただいきつけのバーの隣に座った人の頼みを何回か聞いてあげただけの一般人でしかない。
最初のきっかけは隣に座ったのがバインバインのユナイテッドステイツオブおっぱいさんだったことかな。
僕なんかにおっぱいをやたら押し付けてくるアメリカ人の女性がいて、案の定ハニートラップだったんだよね。
バインバインに釣られて一緒にホテルに行ったら銃を持ったアウトローじゃないプロの戦闘職の人たちがたくさんいてね。
戦闘職の皆さんは一瞬で菱縄縛りになってもらったんだけど、バインバインさんが何故か泣きながら身の上話を始めてね。
泣き脅しだってことは分かっていたんだけど、拓君が欲しがってた限定美少女フィギュアをくれるって言うから僕はそのバインバインなアメリカン美女の依頼を受けたんだ。
拓君は僕の大事なビジネスパートナーだからたまにモチベーションを上げておく必要がある。
有名動画制作会社の影のオーナーともなればコネをコネコネして普通じゃ手に入らない美少女フィギュアの一つや二つは簡単に手に入るという大物感を演出しなくては拓君はすぐに僕のことを舐め腐る。
しかしそのバインアメリカさんの依頼を受けて、少し無茶をしたせいで僕は裏社会で目立った。
後から後からどうでもいい身の上話を聞かせてくる依頼人がいきつけのバーに押しかける始末。
まあたまにミステリアスな中東美女とかが小洒落たカクテルなんか飲みながら僕に流し目を送ってくるものだから、ちょっと依頼を受けちゃったりしたけれど。
でも僕は極力美女以外の依頼は断わるように努力していたんだ。
本業の人とかがいたら仕事がなくなっちゃって困っちゃうかもしれないしね。
なにより僕が落ち着いてお酒や料理を楽しめない。
すでにいきつけのバーを変えるのも3回目だ。
料理と地ビールが好みのバーを見つけるのはなかなか大変なのにな。
Kだか毛だか知らないけれど、勝手に裏社会のなんでも屋にするのはやめて欲しいよね。
僕はまっとうなユー〇ューバーなんだから。
そんな非合法の依頼を受けているアウトローな人だと思われるのは致命的なスキャンダルだ。
「でもあの人たち困ってたみたい。私の立場から言っても、そのテロリストのことは放っておける話じゃないな」
「まあテロリストは怖いよね」
「ねえお願い。私からの頼みだと思ってあの人たちに協力してあげてくれない?私にできることならなんでもするから、ね?」
なんでも、その言葉の持つ色気に僕の背筋がぞくりとする。
お母様は僕のことを舐めている。
僕が童貞だからって、なんでもするといってもけっきょくへたれてエロいことは要求しないと思っている。
これはお母様から僕への挑戦なのではないだろうか。
悔しかったら童貞という殻を打ち破って一夜の狼に変身してみなさい、という淫秘なメッセージなのではないだろうか。
だとしたらなんて挑発的な言葉なんだ。
やってやるよ。
お母様の頼みを受けて、下衆いことを要求してやるよ。
そのでかい乳を磨いて待ってろよ。
テロ組織『ワールドエンド』。
数々の国でテロ活動を行なった実績のある非合法組織。
組織内には多くの能力者が在籍しており、時に一国の軍隊とも渡り合う武闘派組織だ。
首領『サイボーグ』をはじめとして、『アイスマン』『剣鬼』『ドラグーン』などの多くの有名な能力殺人者を擁する。
「本拠地はベルギーのブリュッセル?すごいね、どうやって海外の情報を集めたの?」
「グギャグギャ(ダークウェブで)」
「なにそれ」
グギャグギャとなにやらわけわからん呪文のような横文字を並べるゴブ次郎。
ダメだ、完全に僕より時代に適応している。
ゴブ次郎の言うことが全く理解できない僕だけれど、いいんだスマホは電話できれば、パソコンは検索できれば。
「グギャグギャグギャギャッギャ(ネットで調べられるのはこのへんまでですね)」
「いや、十分だよ。とりあえずブリュッセルに行ってみるから、後は現地でね」
「グギャ(了解)」
攻撃は最大の防御と言うよね。
戦っていうのは、相手の城を先に落としたほうが勝ちなんだ。
だからテロリストが日本に入ってきていようが、そこで何人殺す予定だろうが関係ない。
奴らのアジトをそこに残った構成員ごと潰す。
さすがに全員で日本に入ってきたわけではないだろう。
ワールドエンドは新興宗教系のそこそこ大きなテロ組織だし、そんな組織が全員仲良く日本にお引越ししていたとしたら日本政府や公安は間抜けすぎる。
日本に入り込んだのは組織の全体数からしてみたらわずかな少数精鋭の実働部隊といったところだろう。
奴らは日本に入り込んで意気揚々と人殺しをしようとしている間に、本拠地を失うのだ。
日本に入り込んだ残党狩りはそれからでも遅くない。
日本にだって警察や自衛隊がいるんだから、僕一人が頑張ることはないんだ。
「さて、行こうか。ベルギーか、ワッフルしか思いつかないな」
僕はガルーダを召喚し、ゴブ次郎の夢幻魔法で姿を消した。
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