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138.悪辣なるドラゴン
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「なるほど。それはミスアイスナーが悪いねえ。平民の使い魔をちゃんと躾けておかなかった君の責任だよ。それから平民の使い魔の君はクロージャーに早く聖剣を返すように」
「そんな、横暴です!!」
ペカーリ先生の話は確かに僕も横暴だと思うな。
断固拒否する所存。
悪いのはマル……マールフェイトだよ。
「僕の聖剣を返せ!!」
「……ぷいっ」
「きさまぁ!!」
「まあまあクロージャー。落ち着きなさい。平民の君、聖剣を返さないというのなら君の主人であるミスアイスナーに君の分の責任まで追及することになるがいいのかね?」
責任もなにも、僕もマヤも何も悪いことなんてしていないじゃないか。
ハゲ頭め、ガルーダの餌にしてやろうか。
いや、ガルーダはこんな不味そうなものは食べないか。
氷竜王の下僕の餌にでもするのがいいかな。
「待ってください先生、何故このようなことが許されるのですか!!私の使い魔は殺されかけたのですよ!!」
「ふんっ、平民が貴族に無礼を働いたのだ。無礼討ちにして何も悪いことは無い」
「クロージャーの言うとおりだミスアイスナー。平民が貴族に無礼を働いたのだ。その責任は君にもあるのではないかな。まあクロージャーが許すというのなら話は別だがね」
「許してやってもいいぞ貧乏人。ただし、条件がある。まずお前の使い魔が僕に聖剣を返すこと。それと、お前が僕の奴隷となることだ」
「そんな、あんまりです。奴隷なんて……」
奴隷なんてエロいことするに決まってるじゃないか。
ダメだダメだ。
僕は許さないぞ。
できの悪い奴隷にご主人様のお仕置きなんて、僕は許すわけにはいかない。
来てくれ氷竜王。
お前のおっぱいの力でこの男たちに天誅を。
「あれ?」
「どうしたの、クロード」
「いや、なんか来ないんだよね」
「何が?」
「僕のドラゴン」
「ドラゴン?」
僕はもう一度ブルードラゴン召喚スキルで氷竜王を呼ぶ。
しかし一向に現われることは無い。
なんでだろう。
僕の持つスキルはすべてこちらのスキルに置き換わるから使えるはずなんだけどな。
僕は試しに鳩を召喚してみる。
聖剣召喚よりも大分小さい光が手の平に生じ、光が晴れるとそこには真っ白な羽を持つ僕の友人シロが現れた。
口に何か加えている。
お食事の途中だったのだろうか。
シロは口に加えた紙片を僕の手の平に落とす。
くれるということか?
僕は紙片を広げる。
それは手紙だった。
『お主の契約する使役獣たちのうち、氷竜王グランフロストだけはあまりにも魂が大きすぎるのでそちらの世界に呼ぶことはできないのでよろしく。あとスキルオーブを勇者に渡せと言ったはずだこの鳥頭が。by神』
これは、神様からの手紙だな。
後半はなんか悪口だけど。
そういえば神様からスキルオーブを勇者に渡せと言われていたのを忘れていた。
しかし今は渡せる状況じゃないよね。
まずはこの状況を打破しなければ。
氷竜王が呼べないなら仕方が無い。
すべてをメチャクチャにしてくれそうな程のインパクトを与えることができる存在は氷竜王しか居ないと思っていたけれど、僕はもう一つ竜王を呼ぶことができるスキルオーブを持っていたじゃないか。
火竜王インフィニティ、いつか呼び出して従えてやろうと思っていたけれどやるなら今なんじゃないだろうか。
火竜王インフィニティは僕の仮説ではあの世から召喚されるはずだ。
だとすればこの世界でも召喚できる可能性はある。
やってみようかな。
「へ、平民、その鳥はいったい……」
「君はスキル持ちなのか?」
この世界はスキルを持っている人というのは少ないのかな。
魔法はスキルじゃないのかな。
魔法学園とかあるくらいだから学べばできるものなのかもしれない。
僕はブラックキューブの中から残り一つとなった禁忌スキルボックスを取り出した。
赤く着色されたその小箱を石魔法で開ける。
ビリビリとそのエネルギーが伝わって来るような強烈な存在感のスキルオーブだ。
ヒビが入っているからなのか、なにやら赤いオーラのようなものが薄っすらと立ち上っている。
本当に、このスキルオーブはいったいなんなのかな。
竜王を名指しで呼べるスキルオーブなんて他には聞いたことが無い。
解放したら何が起こるのか少し楽しみではある。
僕は丸い宝石にそっと触れた。
解放のワードを口にしていないにも関わらずスキルは解放され、僕の中に入り込んでくる。
途端に胸に熱い何かがこみ上げてきて、少し息苦しくなった。
「うっ、これは、ヤバイッ。みんな離れて!!」
「ど、どうしたというんだね!!」
「さっきの宝石はいったい……」
「いいから離れろ!!」
もう抑えておけない。
身体が燃えるように熱くなって、僕の中から何かが飛び出す。
それは、魂と呼ぶものなのかもしれない。
肉の無い魂が僕の中から飛び出し、大気中の魔力を吸って肉体を創造していく。
僕の魔力も相当吸われている。
僕はマナドレインで吸い返して対抗する。
しかし他の人は対抗できず吸い尽くされて倒れていく。
「マナ、僕の後ろに!!」
「はい!!」
魔力欠乏は死ぬことは無いけれど辛いからね。
主だけは守っておく。
周囲の魔力を吸い尽くした火竜王の魂は、ゆっくりと現世に受肉する。
『グルォォォォォォォォォッ!!』
いつか聞いた魂を揺さぶるような咆哮。
聞いたものから気絶していった。
マナもビクリと身体を震わせて気絶した。
倒れこむマナの身体を抱きとめて支える。
細い身体だ。
ご飯とかちゃんと食べられているのかな。
『ふぅー。娑婆の空気は美味いぜ。よう、お前が俺様を召喚してくれた召喚主だな。ご苦労だったな。もう消えていいぞ』
そう言って火竜王は口から灼熱のブレスを吐き出したのだった。
「そんな、横暴です!!」
ペカーリ先生の話は確かに僕も横暴だと思うな。
断固拒否する所存。
悪いのはマル……マールフェイトだよ。
「僕の聖剣を返せ!!」
「……ぷいっ」
「きさまぁ!!」
「まあまあクロージャー。落ち着きなさい。平民の君、聖剣を返さないというのなら君の主人であるミスアイスナーに君の分の責任まで追及することになるがいいのかね?」
責任もなにも、僕もマヤも何も悪いことなんてしていないじゃないか。
ハゲ頭め、ガルーダの餌にしてやろうか。
いや、ガルーダはこんな不味そうなものは食べないか。
氷竜王の下僕の餌にでもするのがいいかな。
「待ってください先生、何故このようなことが許されるのですか!!私の使い魔は殺されかけたのですよ!!」
「ふんっ、平民が貴族に無礼を働いたのだ。無礼討ちにして何も悪いことは無い」
「クロージャーの言うとおりだミスアイスナー。平民が貴族に無礼を働いたのだ。その責任は君にもあるのではないかな。まあクロージャーが許すというのなら話は別だがね」
「許してやってもいいぞ貧乏人。ただし、条件がある。まずお前の使い魔が僕に聖剣を返すこと。それと、お前が僕の奴隷となることだ」
「そんな、あんまりです。奴隷なんて……」
奴隷なんてエロいことするに決まってるじゃないか。
ダメだダメだ。
僕は許さないぞ。
できの悪い奴隷にご主人様のお仕置きなんて、僕は許すわけにはいかない。
来てくれ氷竜王。
お前のおっぱいの力でこの男たちに天誅を。
「あれ?」
「どうしたの、クロード」
「いや、なんか来ないんだよね」
「何が?」
「僕のドラゴン」
「ドラゴン?」
僕はもう一度ブルードラゴン召喚スキルで氷竜王を呼ぶ。
しかし一向に現われることは無い。
なんでだろう。
僕の持つスキルはすべてこちらのスキルに置き換わるから使えるはずなんだけどな。
僕は試しに鳩を召喚してみる。
聖剣召喚よりも大分小さい光が手の平に生じ、光が晴れるとそこには真っ白な羽を持つ僕の友人シロが現れた。
口に何か加えている。
お食事の途中だったのだろうか。
シロは口に加えた紙片を僕の手の平に落とす。
くれるということか?
僕は紙片を広げる。
それは手紙だった。
『お主の契約する使役獣たちのうち、氷竜王グランフロストだけはあまりにも魂が大きすぎるのでそちらの世界に呼ぶことはできないのでよろしく。あとスキルオーブを勇者に渡せと言ったはずだこの鳥頭が。by神』
これは、神様からの手紙だな。
後半はなんか悪口だけど。
そういえば神様からスキルオーブを勇者に渡せと言われていたのを忘れていた。
しかし今は渡せる状況じゃないよね。
まずはこの状況を打破しなければ。
氷竜王が呼べないなら仕方が無い。
すべてをメチャクチャにしてくれそうな程のインパクトを与えることができる存在は氷竜王しか居ないと思っていたけれど、僕はもう一つ竜王を呼ぶことができるスキルオーブを持っていたじゃないか。
火竜王インフィニティ、いつか呼び出して従えてやろうと思っていたけれどやるなら今なんじゃないだろうか。
火竜王インフィニティは僕の仮説ではあの世から召喚されるはずだ。
だとすればこの世界でも召喚できる可能性はある。
やってみようかな。
「へ、平民、その鳥はいったい……」
「君はスキル持ちなのか?」
この世界はスキルを持っている人というのは少ないのかな。
魔法はスキルじゃないのかな。
魔法学園とかあるくらいだから学べばできるものなのかもしれない。
僕はブラックキューブの中から残り一つとなった禁忌スキルボックスを取り出した。
赤く着色されたその小箱を石魔法で開ける。
ビリビリとそのエネルギーが伝わって来るような強烈な存在感のスキルオーブだ。
ヒビが入っているからなのか、なにやら赤いオーラのようなものが薄っすらと立ち上っている。
本当に、このスキルオーブはいったいなんなのかな。
竜王を名指しで呼べるスキルオーブなんて他には聞いたことが無い。
解放したら何が起こるのか少し楽しみではある。
僕は丸い宝石にそっと触れた。
解放のワードを口にしていないにも関わらずスキルは解放され、僕の中に入り込んでくる。
途端に胸に熱い何かがこみ上げてきて、少し息苦しくなった。
「うっ、これは、ヤバイッ。みんな離れて!!」
「ど、どうしたというんだね!!」
「さっきの宝石はいったい……」
「いいから離れろ!!」
もう抑えておけない。
身体が燃えるように熱くなって、僕の中から何かが飛び出す。
それは、魂と呼ぶものなのかもしれない。
肉の無い魂が僕の中から飛び出し、大気中の魔力を吸って肉体を創造していく。
僕の魔力も相当吸われている。
僕はマナドレインで吸い返して対抗する。
しかし他の人は対抗できず吸い尽くされて倒れていく。
「マナ、僕の後ろに!!」
「はい!!」
魔力欠乏は死ぬことは無いけれど辛いからね。
主だけは守っておく。
周囲の魔力を吸い尽くした火竜王の魂は、ゆっくりと現世に受肉する。
『グルォォォォォォォォォッ!!』
いつか聞いた魂を揺さぶるような咆哮。
聞いたものから気絶していった。
マナもビクリと身体を震わせて気絶した。
倒れこむマナの身体を抱きとめて支える。
細い身体だ。
ご飯とかちゃんと食べられているのかな。
『ふぅー。娑婆の空気は美味いぜ。よう、お前が俺様を召喚してくれた召喚主だな。ご苦労だったな。もう消えていいぞ』
そう言って火竜王は口から灼熱のブレスを吐き出したのだった。
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