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83.アタッシュケースの中身
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いつまでもその2つの神山を眺めていたいところだけれど、この軍人風の男たちをなんとかしなければならない。
日本にこんなにたくさんの銃器を持ち込んでくれちゃって、迷惑な人たちだ。
僕は毛魔法で男達を拘束していく。
『な、なんだこれは!?』
『いったいなんだというんだ!!』
『これは、まさリー大尉と同じ……』
『そんなまさか!?向こうに能力者がいるなんて聞いてないぞ!!』
ん?気になることを話しているな。
リー大尉と同じとか、能力者とか。
まさか僕が知らなかっただけでこちらの世界では以前から能力者バトルのようなことが繰り広げられてきたのかな。
確かに向こうの世界ではスキルオーブを使うまでも無く生まれたときからスキルを持っている人がそこそこの数居るのだから、僕の仮説では神により近いこちらの世界にそんな感じの人が生まれていないとは限らないよね。
科学的に実証されたとは聞いたことが無いけれど昔から超能力者を名乗る人というのはたくさん居たのだから、その中の何パーセントかが本物だったということもありえる。
こちらの世界ではスキルレベルの上昇が異常に早い。
こちら生まれこちら育ちのスキルホルダーがどれほど強力な力を持っているのか未知数だな。
「いったい何が起こっているというの?」
「分かりません。昼間の少年の仕業でしょうか」
「ひ、昼間の少年!いるのか?いるなら出てきてくれないか?」
「君が私達に協力してくれるというのなら謝礼は弾む。頼む、力を貸してくれ!」
歓迎ムードは嬉しいな。
昼間のように殺人鬼を見るような目で見られるのは堪える。
謝礼もくれるとようだし、出ていってみようかな。
「ゴブ次郎……」
「グギャ(御意)」
僕の姿を隠していた夢幻魔法が解け、僕の姿がさらけ出される。
お嬢様たちから見たら突然現れたように見えるだろう。
ちなみにゴブ次郎はまだ姿を隠して待機だ。
忍だからね。
「なんと……」
「どうやって現れたのかしら……」
「それは企業秘密です」
お嬢様の口から漏れた言葉は質問ではないと思うのだけれど、なんとなく答えておく。
ちょっとしたことから話題を引き出すのが、上手な会話の仕方だと会長に教わったからだ。
しかしお嬢様たちは無言で僕を見つめたままだ。
話題作りに失敗してしまったようだ。
会長の話術もあてにならないな。
まああれはイケメンが使うから成立する話術であって、僕のようなモブ顔が使ったところでうるっせこいつとしか思われないのかもしれない。
まったく、(イケメンに限る)っていうのは残酷な真理だ。
「あなたは、味方でいいのかしら……」
おずおずとお嬢様が質問してきた。
ちょっと屈んだはずみに胸が強調されて目のやり場に困る。
ガン見はダメだしチラ見もダメなんだよね。
女の人はそういう視線に敏感だって拓君が言ってたもの。
ちょっと彼女が出来たからって偉そうに女を語りおって。
まあ僕は味方か敵かと言われればどちらでもない。
もし向こう側に巨乳の女性将校みたいな人がいたらそちらになびく可能性もあるけれど、あの軍人達の中に女の人は居ないし彼らは人を傷つけすぎている。
幸いにも昨日の騒ぎで死者は出ていないものの、かなりの人が重軽傷を負って病院に運ばれている。
ちょっとあちらの味方になる気は起きないかな。
ということで僕はこちらサイドに味方する。
「味方、ってことになるのかな。少なくともあちらの味方ではない」
「そう。遅くなったけれど、助けてくれてありがとう。このお礼は必ずするわ。厚かましいようだけれど、お願いがあるの」
「なに?」
「私達はこのアタッシュケースを所沢にある防衛医科大学病院に届けたいの。そこまで護衛をお願いできないかしら」
うーん、所沢って結構遠いな。
というか防衛医科大学病院に届ける物資なら自衛隊に護衛を頼めばいいのに。
なにか事情があるのだろうか。
「これはあくまで私個人が購入したもので、自衛隊の物資じゃないのよ。でもそこに私の母が入院しているの。これがあれば、お母様は……」
何か病気を治すための新薬とかなのだろうか。
でも外国の軍人さんに追い掛け回されるような薬なんてあるのかな。
異世界のポーションみたいな薬かな。
スキルを持った人がこの世界にもいるのなら、そんな薬も存在していてもおかしくはないけど。
でも気になるな、見せてもらえないかな。
「このアタッシュケースの中身が気になるんですか?いいですよ、見るだけなら。これは50年ほど前にある人物がこの世界にもたらしたと言われているアーティファクトなんです。以前これと同じものを使った人は全ての病気や毒に対して絶対的な耐性を手に入れたそうです。きっと母の病気にも効くはずなんです」
なんかすごいものがこちらの世界にあるんだな。
あちらの世界でもそんなアイテム聞いたことが無い。
病気や毒を回復するためのポーションならあるけれど、病気や毒を受け付けない体質を得るアイテムなど白金貨何枚の価値があるのか。
貴族や王族ならばそんなアイテムも持っているのだろうか。
あちらの世界といっても僕は限られた範囲の情報しか知らないからね。
それがスキルで作られたものならばこちらに存在していてもおかしくはないけれど、ダンジョンの宝箱から出るようなアイテムだとこちらの世界には無いのかな。
こちらにダンジョンがあるなんて聞いたことないからね。
隠し通せるものじゃないよねあんなもの。
お嬢様は僕を別室に呼び入れると、白手袋をして慎重にアタッシュケースを開ける。
僕は少しワクワクしながらその様子を見ていたのだけれど、その中に入っていたものを見て目を見開いた。
そこにはキラキラとした丸い宝石のようなものが入っていたのだ。
それは僕にとってすでに見慣れてしまったもの。
アタッシュケースに入っていたのは、スキルオーブだったのだ。
日本にこんなにたくさんの銃器を持ち込んでくれちゃって、迷惑な人たちだ。
僕は毛魔法で男達を拘束していく。
『な、なんだこれは!?』
『いったいなんだというんだ!!』
『これは、まさリー大尉と同じ……』
『そんなまさか!?向こうに能力者がいるなんて聞いてないぞ!!』
ん?気になることを話しているな。
リー大尉と同じとか、能力者とか。
まさか僕が知らなかっただけでこちらの世界では以前から能力者バトルのようなことが繰り広げられてきたのかな。
確かに向こうの世界ではスキルオーブを使うまでも無く生まれたときからスキルを持っている人がそこそこの数居るのだから、僕の仮説では神により近いこちらの世界にそんな感じの人が生まれていないとは限らないよね。
科学的に実証されたとは聞いたことが無いけれど昔から超能力者を名乗る人というのはたくさん居たのだから、その中の何パーセントかが本物だったということもありえる。
こちらの世界ではスキルレベルの上昇が異常に早い。
こちら生まれこちら育ちのスキルホルダーがどれほど強力な力を持っているのか未知数だな。
「いったい何が起こっているというの?」
「分かりません。昼間の少年の仕業でしょうか」
「ひ、昼間の少年!いるのか?いるなら出てきてくれないか?」
「君が私達に協力してくれるというのなら謝礼は弾む。頼む、力を貸してくれ!」
歓迎ムードは嬉しいな。
昼間のように殺人鬼を見るような目で見られるのは堪える。
謝礼もくれるとようだし、出ていってみようかな。
「ゴブ次郎……」
「グギャ(御意)」
僕の姿を隠していた夢幻魔法が解け、僕の姿がさらけ出される。
お嬢様たちから見たら突然現れたように見えるだろう。
ちなみにゴブ次郎はまだ姿を隠して待機だ。
忍だからね。
「なんと……」
「どうやって現れたのかしら……」
「それは企業秘密です」
お嬢様の口から漏れた言葉は質問ではないと思うのだけれど、なんとなく答えておく。
ちょっとしたことから話題を引き出すのが、上手な会話の仕方だと会長に教わったからだ。
しかしお嬢様たちは無言で僕を見つめたままだ。
話題作りに失敗してしまったようだ。
会長の話術もあてにならないな。
まああれはイケメンが使うから成立する話術であって、僕のようなモブ顔が使ったところでうるっせこいつとしか思われないのかもしれない。
まったく、(イケメンに限る)っていうのは残酷な真理だ。
「あなたは、味方でいいのかしら……」
おずおずとお嬢様が質問してきた。
ちょっと屈んだはずみに胸が強調されて目のやり場に困る。
ガン見はダメだしチラ見もダメなんだよね。
女の人はそういう視線に敏感だって拓君が言ってたもの。
ちょっと彼女が出来たからって偉そうに女を語りおって。
まあ僕は味方か敵かと言われればどちらでもない。
もし向こう側に巨乳の女性将校みたいな人がいたらそちらになびく可能性もあるけれど、あの軍人達の中に女の人は居ないし彼らは人を傷つけすぎている。
幸いにも昨日の騒ぎで死者は出ていないものの、かなりの人が重軽傷を負って病院に運ばれている。
ちょっとあちらの味方になる気は起きないかな。
ということで僕はこちらサイドに味方する。
「味方、ってことになるのかな。少なくともあちらの味方ではない」
「そう。遅くなったけれど、助けてくれてありがとう。このお礼は必ずするわ。厚かましいようだけれど、お願いがあるの」
「なに?」
「私達はこのアタッシュケースを所沢にある防衛医科大学病院に届けたいの。そこまで護衛をお願いできないかしら」
うーん、所沢って結構遠いな。
というか防衛医科大学病院に届ける物資なら自衛隊に護衛を頼めばいいのに。
なにか事情があるのだろうか。
「これはあくまで私個人が購入したもので、自衛隊の物資じゃないのよ。でもそこに私の母が入院しているの。これがあれば、お母様は……」
何か病気を治すための新薬とかなのだろうか。
でも外国の軍人さんに追い掛け回されるような薬なんてあるのかな。
異世界のポーションみたいな薬かな。
スキルを持った人がこの世界にもいるのなら、そんな薬も存在していてもおかしくはないけど。
でも気になるな、見せてもらえないかな。
「このアタッシュケースの中身が気になるんですか?いいですよ、見るだけなら。これは50年ほど前にある人物がこの世界にもたらしたと言われているアーティファクトなんです。以前これと同じものを使った人は全ての病気や毒に対して絶対的な耐性を手に入れたそうです。きっと母の病気にも効くはずなんです」
なんかすごいものがこちらの世界にあるんだな。
あちらの世界でもそんなアイテム聞いたことが無い。
病気や毒を回復するためのポーションならあるけれど、病気や毒を受け付けない体質を得るアイテムなど白金貨何枚の価値があるのか。
貴族や王族ならばそんなアイテムも持っているのだろうか。
あちらの世界といっても僕は限られた範囲の情報しか知らないからね。
それがスキルで作られたものならばこちらに存在していてもおかしくはないけれど、ダンジョンの宝箱から出るようなアイテムだとこちらの世界には無いのかな。
こちらにダンジョンがあるなんて聞いたことないからね。
隠し通せるものじゃないよねあんなもの。
お嬢様は僕を別室に呼び入れると、白手袋をして慎重にアタッシュケースを開ける。
僕は少しワクワクしながらその様子を見ていたのだけれど、その中に入っていたものを見て目を見開いた。
そこにはキラキラとした丸い宝石のようなものが入っていたのだ。
それは僕にとってすでに見慣れてしまったもの。
アタッシュケースに入っていたのは、スキルオーブだったのだ。
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