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77.げに恐ろしきもの
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「どうもお世話になりました」
「本当に馬車に乗らないのか?」
「え、ええ、僕たちはちょっと移動手段があるんで……」
鉱山と近くの町を繋ぐ道には普通の馬車は通っていない。
すべてあのイカレタ高速馬車だ。
あんな馬車二度と乗るものか。
僕たちは管理官に別れを告げ、歩き始める。
今日はリリー姉さんの解放の日。
僕たち4人は無事、鉱山を出ることができた。
ミゲル君は僕が買い取り、会長は先日スタークの失脚により解放された。
ミゲル君は体格がでかい上にスキル持ちなので管理官はなかなか首を縦に振らなかったが、金貨を10枚10列に積んだらなんとか売ってくれた。
やっぱり奴隷っていうのは高いんだな。
べ、別に僕は奴隷なんて欲しくないけどね。
奴隷ハーレムなんて所詮はまやかしだ。
絶対裏でご主人様って朝の口臭酷いのよね、とか言われてるに決まってるんだ。
僕は後ろを振り返り、鉱山管理事務所が見えなくなっていることを確認する。
さて、そろそろいいかな。
僕はデイジーとバラライカを召喚する。
「クェェェェェェェッ!!」
「キェェェェェェェッ!!」
「で、でかい……」
「強そう……」
「おっかねえだ……」
「とりあえず領都まで行こうか」
2羽のガルーダに分乗して領都に向かう。
ミゲル君はでかいので一人でデイジーに、僕と会長、リリー姉さんは三人でバラライカに乗った。
僕たちを背に乗せた2羽はあっという間に大空に舞い上がり、風を切る。
今日はちょっとゆっくり飛んでもらっているので景色がちゃんと見られる。
この世界には電柱もビルも無いので空はすごく広く感じるな。
雄大な山々と、巨木が生い茂る森。
まだまだ国内でも開拓が進んでいない場所がたくさんあるのかもしれない。
ガルーダやドラゴンなんかが生息している森や山なんて、どう頑張っても切り開くのは無理だろう。
この世界があちらの世界みたいにビルや電柱だらけになる心配は今のところ無さそうで安心だよ。
僕たちを乗せたガルーダ2羽は、悠然と空を飛ぶ。
「あんたたち、これからどうするの?」
「僕は冒険者を続けるよ」
「そうなんだ。じゃああたしと同じね。パーティでも組む?」
「いいの?」
「なに遠慮してんのよ。あんたとあたしの仲じゃない」
なんかフラグを見落としたかな。
僕には姉さんとそんな仲になった覚えが無いのだけれど。
さりげなく振られた記憶しかないけどな。
まあパーティを組んでくれるのならありがたい。
実は憧れていたのだよ、パーティというやつに。
僕が思うにコミュ力高い奴の証みたいなものだからね、パーティっていうのは。
「ローレンはまた商人見習いに戻るのよね?」
「いや、俺も冒険者になろうと思っている」
「「え?」」
僕と姉さんの声が重なる。
会長は商人になるものとばかり思っていたけれど、なにを思って冒険者などという底辺な職業になろうというのか。
「もうなんか、嫌になった。スタークは俺の憧れだったんだよ。一代で行商から始めて大商会になるなんて、商人の子供だったらみんな憧れるさ」
なるほど、なんとなく分かるよ。
憧れていたものが崩れ去って、やる気が起きなくなる。
よくある話だ。
「鉱山でお前たちと出会って、冒険者っていうのはかっこいいと思った。俺もお前達のように強くなりたいんだ」
僕はちょっとチートだけど、リリー姉さんの強さは純粋培養だからね。
確かに男が憧れそうな強さだ。
ミゲル君のような大男を拳一つで打ち破る。
普通にかっこいいね、性癖を除けば。
「なるほどね。いいわ、あんたも私のパーティに入りなさい。冒険者のいろはを教えてあげる」
「ありがとう」
冒険者としてのいろはとか知ってるのかな、リリー姉さんは。
まあリリー姉さんでは足りない部分は僕が教えてあげよう。
薬草採取とかな。
正直僕も薬草採取くらいしか教えられることは無いんだけどもね。
盗賊団への潜入の仕方とかも得意かもしれない。
しかしこれで3人パーティか。
ミゲル君は僕が買った奴隷だからミゲル君も入れたら4人パーティだ。
ちょうどお貴族様パーティと一緒の人数だな。
あのパーティは前衛2人と後衛2人だったかな。
リリー姉さんはバリバリの前衛で、会長はなんとなく後衛かな。
ミゲル君は前衛が向いているだろう。
となると僕は後衛に徹したほうがいいかもしれない。
正直パーティとしてどう動けばいいのかさっぱり分からないな。
毛魔法は周りに人が居ると振り回し辛いし、僕は召喚士になったほうがいいかもな。
もっと召喚できる生き物も増やして、できることを増やしたら立派な後衛になれると思うんだ。
僕はスキル屋で前に見た召喚系スキルを頭に思い浮かべた。
欲しいのがいくつかあるんだよ。
そのためにはお金が必要だ。
オークを狩るのが手っ取り早いんだけど、ちょっと会長が心配だ。
戦闘に使えるスキルとか持っているのかな。
僕はマナー違反だとは思いながらも、会長に向かって鑑定を使った。
固有名:ローレン・ファルマ
種族:人間
スキル:【気配察知lv7】【視力強化lv6】【暗視lv6】【弓術lv7】【ブラストショットlv6】【ブラックキューブlv5】
ふぁっ!?
僕は声が出そうになるのを必死に抑える。
なんじゃこりゃ。
すでに完成された弓兵のようだ。
何が強くなりたいだ。
現時点で高ランク冒険者パーティの後衛くらいの力はありそうなんだが。
僕はもしやと思い、他の2人も一応鑑定してみる。
固有名:リリテット
種族:ドワーフ
スキル:【身体強化lv8】【剛力lv7】【斧術lv7】【冶金lv5】
固有名:ミゲル
種族:クォータージャイアント
スキル:【身体強化lv6】【棍棒術lv6】【メガインパクトlv6】
おいおい、こいつらマジモンのチートじゃないか。
「本当に馬車に乗らないのか?」
「え、ええ、僕たちはちょっと移動手段があるんで……」
鉱山と近くの町を繋ぐ道には普通の馬車は通っていない。
すべてあのイカレタ高速馬車だ。
あんな馬車二度と乗るものか。
僕たちは管理官に別れを告げ、歩き始める。
今日はリリー姉さんの解放の日。
僕たち4人は無事、鉱山を出ることができた。
ミゲル君は僕が買い取り、会長は先日スタークの失脚により解放された。
ミゲル君は体格がでかい上にスキル持ちなので管理官はなかなか首を縦に振らなかったが、金貨を10枚10列に積んだらなんとか売ってくれた。
やっぱり奴隷っていうのは高いんだな。
べ、別に僕は奴隷なんて欲しくないけどね。
奴隷ハーレムなんて所詮はまやかしだ。
絶対裏でご主人様って朝の口臭酷いのよね、とか言われてるに決まってるんだ。
僕は後ろを振り返り、鉱山管理事務所が見えなくなっていることを確認する。
さて、そろそろいいかな。
僕はデイジーとバラライカを召喚する。
「クェェェェェェェッ!!」
「キェェェェェェェッ!!」
「で、でかい……」
「強そう……」
「おっかねえだ……」
「とりあえず領都まで行こうか」
2羽のガルーダに分乗して領都に向かう。
ミゲル君はでかいので一人でデイジーに、僕と会長、リリー姉さんは三人でバラライカに乗った。
僕たちを背に乗せた2羽はあっという間に大空に舞い上がり、風を切る。
今日はちょっとゆっくり飛んでもらっているので景色がちゃんと見られる。
この世界には電柱もビルも無いので空はすごく広く感じるな。
雄大な山々と、巨木が生い茂る森。
まだまだ国内でも開拓が進んでいない場所がたくさんあるのかもしれない。
ガルーダやドラゴンなんかが生息している森や山なんて、どう頑張っても切り開くのは無理だろう。
この世界があちらの世界みたいにビルや電柱だらけになる心配は今のところ無さそうで安心だよ。
僕たちを乗せたガルーダ2羽は、悠然と空を飛ぶ。
「あんたたち、これからどうするの?」
「僕は冒険者を続けるよ」
「そうなんだ。じゃああたしと同じね。パーティでも組む?」
「いいの?」
「なに遠慮してんのよ。あんたとあたしの仲じゃない」
なんかフラグを見落としたかな。
僕には姉さんとそんな仲になった覚えが無いのだけれど。
さりげなく振られた記憶しかないけどな。
まあパーティを組んでくれるのならありがたい。
実は憧れていたのだよ、パーティというやつに。
僕が思うにコミュ力高い奴の証みたいなものだからね、パーティっていうのは。
「ローレンはまた商人見習いに戻るのよね?」
「いや、俺も冒険者になろうと思っている」
「「え?」」
僕と姉さんの声が重なる。
会長は商人になるものとばかり思っていたけれど、なにを思って冒険者などという底辺な職業になろうというのか。
「もうなんか、嫌になった。スタークは俺の憧れだったんだよ。一代で行商から始めて大商会になるなんて、商人の子供だったらみんな憧れるさ」
なるほど、なんとなく分かるよ。
憧れていたものが崩れ去って、やる気が起きなくなる。
よくある話だ。
「鉱山でお前たちと出会って、冒険者っていうのはかっこいいと思った。俺もお前達のように強くなりたいんだ」
僕はちょっとチートだけど、リリー姉さんの強さは純粋培養だからね。
確かに男が憧れそうな強さだ。
ミゲル君のような大男を拳一つで打ち破る。
普通にかっこいいね、性癖を除けば。
「なるほどね。いいわ、あんたも私のパーティに入りなさい。冒険者のいろはを教えてあげる」
「ありがとう」
冒険者としてのいろはとか知ってるのかな、リリー姉さんは。
まあリリー姉さんでは足りない部分は僕が教えてあげよう。
薬草採取とかな。
正直僕も薬草採取くらいしか教えられることは無いんだけどもね。
盗賊団への潜入の仕方とかも得意かもしれない。
しかしこれで3人パーティか。
ミゲル君は僕が買った奴隷だからミゲル君も入れたら4人パーティだ。
ちょうどお貴族様パーティと一緒の人数だな。
あのパーティは前衛2人と後衛2人だったかな。
リリー姉さんはバリバリの前衛で、会長はなんとなく後衛かな。
ミゲル君は前衛が向いているだろう。
となると僕は後衛に徹したほうがいいかもしれない。
正直パーティとしてどう動けばいいのかさっぱり分からないな。
毛魔法は周りに人が居ると振り回し辛いし、僕は召喚士になったほうがいいかもな。
もっと召喚できる生き物も増やして、できることを増やしたら立派な後衛になれると思うんだ。
僕はスキル屋で前に見た召喚系スキルを頭に思い浮かべた。
欲しいのがいくつかあるんだよ。
そのためにはお金が必要だ。
オークを狩るのが手っ取り早いんだけど、ちょっと会長が心配だ。
戦闘に使えるスキルとか持っているのかな。
僕はマナー違反だとは思いながらも、会長に向かって鑑定を使った。
固有名:ローレン・ファルマ
種族:人間
スキル:【気配察知lv7】【視力強化lv6】【暗視lv6】【弓術lv7】【ブラストショットlv6】【ブラックキューブlv5】
ふぁっ!?
僕は声が出そうになるのを必死に抑える。
なんじゃこりゃ。
すでに完成された弓兵のようだ。
何が強くなりたいだ。
現時点で高ランク冒険者パーティの後衛くらいの力はありそうなんだが。
僕はもしやと思い、他の2人も一応鑑定してみる。
固有名:リリテット
種族:ドワーフ
スキル:【身体強化lv8】【剛力lv7】【斧術lv7】【冶金lv5】
固有名:ミゲル
種族:クォータージャイアント
スキル:【身体強化lv6】【棍棒術lv6】【メガインパクトlv6】
おいおい、こいつらマジモンのチートじゃないか。
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