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42.ロリ姉さんの過去
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「勘違いして欲しくないんだけど、あたしは別に特別変態っていうわけじゃないの。もう気付いているかもしれないけれど、あたしはドワーフなの。ドワーフっていうのは力の強い男が魅力的に見えるものなの。人間で言うところの見た目の美醜のようなものね」
力の強い人が魅力的に見えるというのと、屈服されたい願望というのは別物だと思うのだけど。
姉さんの赤裸々ともいえる話に、僕も会長も赤面を隠せない。
「ドワーフっていうのは女は皆子供の姿、男は皆中年の姿をしているの。そして必ず身体強化スキルを持って生まれてくる。冶金スキルを持って生まれる人も多いから人間からは鍛冶が得意な種族と思われているかもしれないけれど、結構戦闘種族的な側面が強い種族なの」
男に生まれたら子供の頃からおっさんの姿か。
人間に転生してよかったかもしれない。
「基本的には女よりも男のほうが素の力が強いから、身体強化スキルのレベルが同じなら男は女よりも力が強いものなの。だけどあたしは小さい頃から群を抜いて力が強かった。素の身体能力も、スキルのレベルも。スキルレベルの上がりというのは個人差があるのは知ってる?あたしの身体強化スキルは今は8。15の時には既に7になっていて、ドワーフの里では里長と戦士長くらいしかあたしに力で敵うものはいなかった」
スキルレベルの上昇に個人差があるのはなんとなく分かっていた。
そうじゃないと納得いかないことがあるからね。
しかし姉さんの身体強化スキルは盗賊の用心棒だった獣人の男と同じレベルか。
まだ僕の反転魔法スキルでは反転しきれないレベルの力だな。
姉さんを怒らせないように気をつけよう。
「だからあたしは自分よりも力の強い男への憧れが他のドワーフの女よりも強いのかもしれない。男に力でねじ伏せられて、自分ではどうにもできない状態で処女を失いたいの。でもそんな男は里にいなかったから里を出たわ。里長と戦士長には奥さんがいたしね」
姉さんはうっとりとした顔でそんなことを語る。
やっぱりエロい。
姉さんの性癖は要するに壁ドン顎クイ(イケメンに限る)みたいなものなのだろうか。
人間の感覚に置き換えるとややこしくなるのでそっとしておくか。
「ここまで前座よ。これからあたしの伴侶を巡る愛の物語が始まるんだから」
なんか始まるらしい。
姉さんの話は続く。
「里を出てしばらくは、冒険者をしていたわ。あたしは冶金スキルも持っていたけれど、そちらは才能が無かったみたいで未だにスキルレベルが5から上がらないしセンスも無いから戦うことくらいしかあたしにはできることが思いつかなかったの。ドワーフの中でも力の強いあたしなら、オークなんて相手にならなかったわ。あっという間にCランクになった」
あの牢名主を2パンで沈める姉さんにはオークは確かに相手にならないだろうな。
1パン耐えた牢名主もなかなか見所あると思うけど。
姉さんならいつだかの金属の武器を持ったオークも3パンくらいで倒しそうだな。
負けたら負けたでオークと結婚するとか言いそうだし。
僕はエロ同人みたいな妄想をしてしまって姉さんの顔をまともに見られなくなる。
ちょっと体勢を体操座りに変えようかな。
「そんなある日、酒場でウェイトレスに絡んでいる冒険者を見かけてぶっ飛ばしたわ」
いきなりぶっ飛ばしたんだ。
「自分の加入しているクランの力をひけらかして女を自由にしようという輩よ。ああいう他人の力を利用して自分を大きく見せようとするクズがあたしの一番嫌いなタイプなの。でもそいつは一度逃げてクランの連中を連れて戻ってきた。正直その時あたしは笑っていたと思う。その中に居たひとりの男がなかなか強かったから」
姉さんはドワーフに戦闘種族的な側面があると言っていたけれど、みんなこんな感じなのだろうか。
姉さんの話でドワーフのイメージを固定するのはよしておいたほうがいいような気がする。
「周りの雑魚はあたしにとって雑音程度にしか相手にならなかった。あたしはもう夢中でその男と戦ったわ。あたしと男の力は拮抗しているように思えたわ。本当に楽しかった。夢のような時間が続いたけれど、そんな時間もいつかは終わるもの。人間とドワーフのスタミナの差が勝負を分けてしまったのね。気が付けば男は倒れていて、店は更地になっていたわ」
少し寂しそうな顔で肩を竦める姉さん。
あたしに恋なんて無理だったのよみたいな顔で店が更地になった話をされても僕も会長も反応に困る。
「そんなこんなであたしは借金奴隷になったの。オークを倒しまくってお金はすぐに払うと言ったんだけど聞いてもらえなくてね。それで奴隷商とさっき言った契約を結んだの。これで契約どおりの人が買ってくれるなら、あたしにとってこんなに嬉しいことはなかったわ。あたしの運命の人を奴隷商が探してくれるようなものだからね。そしてある日ひとりの男があたしに力試しを挑んだわ」
引き込まれるわ。
姉さんの話引き込まれるわぁ。
「奴隷商は商品が傷つくのを嫌がるから力試しの内容は腕相撲。そして男は勝った。あたしは初めて男に純粋な腕力で負けたの。ときめいたわ。胸の奥がキュンキュンして、その男の子供を生みたいと思ったの」
姉さんは恋する乙女のような顔で頬に手を当てて顔を赤らめる。
幼女で乙女だけどなんかエロいんだよな。
やっぱり目かな。
目がイっちゃってるからかもしれない。
「でもね、世の中そんなうまい話はないのよ。その男はあたしを買って、豚のように肥えた貴族に差し出したのよ。奴隷商との契約には必ず本人が力試しを受けることを明記していたのに。あの男とは会って数日しか経っていなかったけれど、あたしは愛していたんだと思う。それを裏切られた気分になったわ。愛は一瞬にして憎しみに変わった。あたしは怒り狂ってその貴族の一物を噛み千切ったわ。そして屋敷で大暴れしてあの男を探したけれど見つけることはできなかった。我に返ったあたしは奴隷商に逃げ込んだわ。その奴隷商の店は本店がこの鉱山に来る前に寄った街にあって、そこを治めているなんとかって伯爵の庇護を受けた店だったから貴族といえども簡単には手を出せないの」
ちょっとヒュンッってなった。
今なら胡坐に戻せそうだ。
僕は体育座りから胡坐に体勢を変更する。
しかしその奴隷商の本店って、僕が売られた奴隷商だよな。
たしかに奴隷商というにはクリーンな部分があって、なかなか優良店だけど意外と大きな商会だったのかな。
伯爵様の後ろ盾があるなんてすごいな。
あのメガネの奴隷商はちょっと怖いけど。
まあ少なくとも取引で嘘はつかなさそう。
「それから上へ下への大騒ぎ。契約を破ったのはその貴族の部下だったあたしを買った男だけど、あたしは貴族の一物を噛み千切った。なんだか貴族の一物っていうのは凄く大事なものなんだって。そんなに大事なら奥さんがずっと握ってたらいいのにね」
まあ多分ロリコンだったんだろうね。
どこからどう見ても幼女なロリ姉さんを部下に買いに行かせるくらいだから。
「その貴族はあたしを差し出せって大騒ぎだけど、伯爵様の面子もあるからそんな勝手はできない。それで奴隷商の提案で、あたしは鉱山に1年間送られることになったの。普通の人からしてみたら鉱山なんて危険で送られた時点で絶望的だけど、あたしはドワーフだから人間にとって多少過酷な労働でも死ぬほど疲弊するようなことはないわ。貴族の2人はそこを落とし所としたみたい。奴隷商はあたしとの契約を破ってしまった形になったことを恥じたのか、冶金スキルを持っているからなのか特別奴隷としてあたしを鉱山に送ったというわけ」
姉さんの話が終わる。
僕と会長は思わず力が入っていた肩の力を抜く。
なかなか引き込まれる話だった。
僕も生い立ち話とかするべきなんだろうか。
ド田舎村に生まれる。
冒険者になる。
奴隷となる。
だめだ、3行しか思いつかなかった。
姉さんのように面白く話すには、やはり才能と多少の場末感が必要なようだ。
力の強い人が魅力的に見えるというのと、屈服されたい願望というのは別物だと思うのだけど。
姉さんの赤裸々ともいえる話に、僕も会長も赤面を隠せない。
「ドワーフっていうのは女は皆子供の姿、男は皆中年の姿をしているの。そして必ず身体強化スキルを持って生まれてくる。冶金スキルを持って生まれる人も多いから人間からは鍛冶が得意な種族と思われているかもしれないけれど、結構戦闘種族的な側面が強い種族なの」
男に生まれたら子供の頃からおっさんの姿か。
人間に転生してよかったかもしれない。
「基本的には女よりも男のほうが素の力が強いから、身体強化スキルのレベルが同じなら男は女よりも力が強いものなの。だけどあたしは小さい頃から群を抜いて力が強かった。素の身体能力も、スキルのレベルも。スキルレベルの上がりというのは個人差があるのは知ってる?あたしの身体強化スキルは今は8。15の時には既に7になっていて、ドワーフの里では里長と戦士長くらいしかあたしに力で敵うものはいなかった」
スキルレベルの上昇に個人差があるのはなんとなく分かっていた。
そうじゃないと納得いかないことがあるからね。
しかし姉さんの身体強化スキルは盗賊の用心棒だった獣人の男と同じレベルか。
まだ僕の反転魔法スキルでは反転しきれないレベルの力だな。
姉さんを怒らせないように気をつけよう。
「だからあたしは自分よりも力の強い男への憧れが他のドワーフの女よりも強いのかもしれない。男に力でねじ伏せられて、自分ではどうにもできない状態で処女を失いたいの。でもそんな男は里にいなかったから里を出たわ。里長と戦士長には奥さんがいたしね」
姉さんはうっとりとした顔でそんなことを語る。
やっぱりエロい。
姉さんの性癖は要するに壁ドン顎クイ(イケメンに限る)みたいなものなのだろうか。
人間の感覚に置き換えるとややこしくなるのでそっとしておくか。
「ここまで前座よ。これからあたしの伴侶を巡る愛の物語が始まるんだから」
なんか始まるらしい。
姉さんの話は続く。
「里を出てしばらくは、冒険者をしていたわ。あたしは冶金スキルも持っていたけれど、そちらは才能が無かったみたいで未だにスキルレベルが5から上がらないしセンスも無いから戦うことくらいしかあたしにはできることが思いつかなかったの。ドワーフの中でも力の強いあたしなら、オークなんて相手にならなかったわ。あっという間にCランクになった」
あの牢名主を2パンで沈める姉さんにはオークは確かに相手にならないだろうな。
1パン耐えた牢名主もなかなか見所あると思うけど。
姉さんならいつだかの金属の武器を持ったオークも3パンくらいで倒しそうだな。
負けたら負けたでオークと結婚するとか言いそうだし。
僕はエロ同人みたいな妄想をしてしまって姉さんの顔をまともに見られなくなる。
ちょっと体勢を体操座りに変えようかな。
「そんなある日、酒場でウェイトレスに絡んでいる冒険者を見かけてぶっ飛ばしたわ」
いきなりぶっ飛ばしたんだ。
「自分の加入しているクランの力をひけらかして女を自由にしようという輩よ。ああいう他人の力を利用して自分を大きく見せようとするクズがあたしの一番嫌いなタイプなの。でもそいつは一度逃げてクランの連中を連れて戻ってきた。正直その時あたしは笑っていたと思う。その中に居たひとりの男がなかなか強かったから」
姉さんはドワーフに戦闘種族的な側面があると言っていたけれど、みんなこんな感じなのだろうか。
姉さんの話でドワーフのイメージを固定するのはよしておいたほうがいいような気がする。
「周りの雑魚はあたしにとって雑音程度にしか相手にならなかった。あたしはもう夢中でその男と戦ったわ。あたしと男の力は拮抗しているように思えたわ。本当に楽しかった。夢のような時間が続いたけれど、そんな時間もいつかは終わるもの。人間とドワーフのスタミナの差が勝負を分けてしまったのね。気が付けば男は倒れていて、店は更地になっていたわ」
少し寂しそうな顔で肩を竦める姉さん。
あたしに恋なんて無理だったのよみたいな顔で店が更地になった話をされても僕も会長も反応に困る。
「そんなこんなであたしは借金奴隷になったの。オークを倒しまくってお金はすぐに払うと言ったんだけど聞いてもらえなくてね。それで奴隷商とさっき言った契約を結んだの。これで契約どおりの人が買ってくれるなら、あたしにとってこんなに嬉しいことはなかったわ。あたしの運命の人を奴隷商が探してくれるようなものだからね。そしてある日ひとりの男があたしに力試しを挑んだわ」
引き込まれるわ。
姉さんの話引き込まれるわぁ。
「奴隷商は商品が傷つくのを嫌がるから力試しの内容は腕相撲。そして男は勝った。あたしは初めて男に純粋な腕力で負けたの。ときめいたわ。胸の奥がキュンキュンして、その男の子供を生みたいと思ったの」
姉さんは恋する乙女のような顔で頬に手を当てて顔を赤らめる。
幼女で乙女だけどなんかエロいんだよな。
やっぱり目かな。
目がイっちゃってるからかもしれない。
「でもね、世の中そんなうまい話はないのよ。その男はあたしを買って、豚のように肥えた貴族に差し出したのよ。奴隷商との契約には必ず本人が力試しを受けることを明記していたのに。あの男とは会って数日しか経っていなかったけれど、あたしは愛していたんだと思う。それを裏切られた気分になったわ。愛は一瞬にして憎しみに変わった。あたしは怒り狂ってその貴族の一物を噛み千切ったわ。そして屋敷で大暴れしてあの男を探したけれど見つけることはできなかった。我に返ったあたしは奴隷商に逃げ込んだわ。その奴隷商の店は本店がこの鉱山に来る前に寄った街にあって、そこを治めているなんとかって伯爵の庇護を受けた店だったから貴族といえども簡単には手を出せないの」
ちょっとヒュンッってなった。
今なら胡坐に戻せそうだ。
僕は体育座りから胡坐に体勢を変更する。
しかしその奴隷商の本店って、僕が売られた奴隷商だよな。
たしかに奴隷商というにはクリーンな部分があって、なかなか優良店だけど意外と大きな商会だったのかな。
伯爵様の後ろ盾があるなんてすごいな。
あのメガネの奴隷商はちょっと怖いけど。
まあ少なくとも取引で嘘はつかなさそう。
「それから上へ下への大騒ぎ。契約を破ったのはその貴族の部下だったあたしを買った男だけど、あたしは貴族の一物を噛み千切った。なんだか貴族の一物っていうのは凄く大事なものなんだって。そんなに大事なら奥さんがずっと握ってたらいいのにね」
まあ多分ロリコンだったんだろうね。
どこからどう見ても幼女なロリ姉さんを部下に買いに行かせるくらいだから。
「その貴族はあたしを差し出せって大騒ぎだけど、伯爵様の面子もあるからそんな勝手はできない。それで奴隷商の提案で、あたしは鉱山に1年間送られることになったの。普通の人からしてみたら鉱山なんて危険で送られた時点で絶望的だけど、あたしはドワーフだから人間にとって多少過酷な労働でも死ぬほど疲弊するようなことはないわ。貴族の2人はそこを落とし所としたみたい。奴隷商はあたしとの契約を破ってしまった形になったことを恥じたのか、冶金スキルを持っているからなのか特別奴隷としてあたしを鉱山に送ったというわけ」
姉さんの話が終わる。
僕と会長は思わず力が入っていた肩の力を抜く。
なかなか引き込まれる話だった。
僕も生い立ち話とかするべきなんだろうか。
ド田舎村に生まれる。
冒険者になる。
奴隷となる。
だめだ、3行しか思いつかなかった。
姉さんのように面白く話すには、やはり才能と多少の場末感が必要なようだ。
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