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28.空舟
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伯爵様の治めるこの領地には、大きな川が流れている。
川には船が浮かび、たくさんの荷物を運搬している。
そのため船を作るための造船所なんていうものもこの街には存在している。
僕はそこに向かい、船を売ってもらう。
大きな船は浮遊スキルで浮べられるか分からないから小船でいい。
「こんにちは。船を買いたいんですけど……」
「ああ?おめえみてえなガキに買えるわけないだろ。とっとと帰れ」
む。
お客に向かってその態度はないでしょうが。
僕はちらりと金貨を見せる。
「ま、まあ、見せてやってもいいかな」
ちょろいぜ。
造船所にはたくさんの船が並んでいる。
ほとんどが荷物運搬用の木造の船だけど、中には金属板でガチガチにコーティングされた軍船のような船もある。
船にも色々あってなかなか面白いな。
「で、どんな船が欲しいんだ?」
「うーん、小船」
「ちっ、小船かよ」
態度どうにかならんのか。
金貨で頭殴られたいのか?
男は悪態をつきながらも小船が並んだブースに案内してくれた。
僕は並んだ小船の値段を見ていく。
高い。
船ってこんなに高いんだな。
無人島でト〇オが乗ってるみたいなボロ舟が金貨1枚で売られている。
金貨1枚って100万だぞ。
そりゃト〇オが乗った舟なら100万でも安いかもしれないけど、この舟にはまだト〇オが乗っていない。
やっぱり高いな。
「高くない?」
「そりゃおめえが船頭組合に入ってないからだ。船頭組合員はその表示価格の半値で買える」
ならしょうがないね。
僕は金貨1枚を渡してその船を買った。
思わぬ出費だ。
浮遊で舟を浮かし、髪ロープで引っぱって造船所を後にする。
この舟の両サイドにファンを取り付ければ2号機の完成だ。
最初からこれでよかった感。
なにはともあれ移動手段は完成した。
オーク狩りの準備を始めよう。
久しぶりに来た見習いの森。
ここに来たのはスキルの練習と、手裏剣の練習のためだ。
チートスキルであることが判明した反転魔法と新たに購入したリキッドステイク。
まずはこの2つのスキルの練習を始める。
僕は手ごろなゴブリンを見つけ、戦闘を仕掛ける。
まずは反転魔法を試してみよう。
失敗しても怪我をしないようにあらかじめ毛魔法で身体をグルグル巻きにして即席の鎧としておく。
さあ来い。
ゴブリンは2匹。
連携もなにもあったもんじゃない動きで同時に僕に棍棒を振るう。
以前僕は反転魔法を重力魔法だと思って物にかけていたのだけれど、この魔法が反転魔法だと分かった今ならば使い方は変わってくる。
僕はゴブリンとの間の空間に向かって反転魔法を発動する。
ゴブリンの棍棒は僕にぶつかる寸前に力が反転され、跳ね返された。
ゴブリンが棍棒にかけた力はすべて反転され、腕が変な方向に曲がってしまっている。
「「グギャァァ!」」
2匹のゴブリンは今頃気付いたのか腕を押さえて蹲った。
やっぱりこのスキルはすごいスキルだ。
古今東西攻撃跳ね返す奴は強キャラって相場が決まっている。
僕は強キャラへの一歩を踏み出したのだ。
蹲るゴブリンに向かって僕は髪を伸ばし、拘束した。
次の実験を行おう。
次は新しいスキルであるリキッドステイクだ。
これは液体で杭を作り出すスキル。
このスキルも暗殺によく使われるらしい。
武器の持ち込みが出来ない場所であってもこのスキルさえあればコップ1杯の水が暗器になるから。
しかしエナジードレインと違ってこのスキルで殺されれば普通に分かるので販売が禁止になるほどではない。
だいいち手から光りの刃を出すスキルとか魔法スキルとかを使えばこんなスキルを使って暗殺する必要も無い。
近接戦闘職の人が武器の持ち込みの出来ない場所で少しでも安心したいという理由で身につけることが多いスキルなようだ。
僕は【凝縮lv3】を使って空気中の水蒸気を液体にし、それを使って杭を形作る。
杭の大きさは水の量に比例するみたいだけれど、今のスキルレベルでは太さは直径3センチほど長さは1メートルくらいが限度のようだ。
僕は【スキル効果10倍】スキルを持っているので実際にはもっと小さいのだろう。
太さが10倍になっているのだとしたら実際には3ミリということになるので多分10倍になっているのは長さだ。
水の杭はまるでクリスタル製の杭であるかのようにキラキラと光を反射していて美しい。
手の甲で叩くとコンコンという音がするほどに硬く、両端が鋭く尖っている。
凍っているわけでもないのに液体が硬くなるなんて、やっぱりスキルは面白い。
僕は杭を地面に向かって投げてみる。
さくっと地面に突き立った杭はすぐに形を失い水に戻った。
大体2秒くらいだろうか。
手を放しても2秒は形を保っている。
これなら投擲にも使える。
むしろもっと面白い使い方ができる。
僕は【凝縮lv3】で液体窒素を作り出し、それを使って杭を形作る。
手で触れることは出来ないので毛魔法で作り出した触腕で持つ。
液体窒素の杭は、もうもうと冷気を発しながらも蒸発せずにその形を保っている。
僕はその杭に【回転lv4】を発動しながら片方のゴブリンに向かって射出した。
「グギャッ!」
杭はゴブリンの胸に深々と刺さり、すぐに形を失って液体窒素に戻る。
しゅっという音がしてゴブリンの胸の傷口が白く凍った。
ゴブリンはぴくぴくと痙攣しながら絶命した。
僕はにやりと笑う。
もう1匹のゴブリンが体を拘束されながらも必死に後ずさりする。
僕はもう1本液体窒素の杭を作り出し、ゴブリンに向かって射出する。
「グギャッ!」
杭は高速回転しながらゴブリンの脳天に吸い込まれるようにして突き刺さった。
次の瞬間ゴブリンの脳髄を液体窒素が凍らせる。
ゴブリンは絶命した。
「オーバーキルすぎたな」
僕はそう呟いてゴブリンの右耳を切り取った。
川には船が浮かび、たくさんの荷物を運搬している。
そのため船を作るための造船所なんていうものもこの街には存在している。
僕はそこに向かい、船を売ってもらう。
大きな船は浮遊スキルで浮べられるか分からないから小船でいい。
「こんにちは。船を買いたいんですけど……」
「ああ?おめえみてえなガキに買えるわけないだろ。とっとと帰れ」
む。
お客に向かってその態度はないでしょうが。
僕はちらりと金貨を見せる。
「ま、まあ、見せてやってもいいかな」
ちょろいぜ。
造船所にはたくさんの船が並んでいる。
ほとんどが荷物運搬用の木造の船だけど、中には金属板でガチガチにコーティングされた軍船のような船もある。
船にも色々あってなかなか面白いな。
「で、どんな船が欲しいんだ?」
「うーん、小船」
「ちっ、小船かよ」
態度どうにかならんのか。
金貨で頭殴られたいのか?
男は悪態をつきながらも小船が並んだブースに案内してくれた。
僕は並んだ小船の値段を見ていく。
高い。
船ってこんなに高いんだな。
無人島でト〇オが乗ってるみたいなボロ舟が金貨1枚で売られている。
金貨1枚って100万だぞ。
そりゃト〇オが乗った舟なら100万でも安いかもしれないけど、この舟にはまだト〇オが乗っていない。
やっぱり高いな。
「高くない?」
「そりゃおめえが船頭組合に入ってないからだ。船頭組合員はその表示価格の半値で買える」
ならしょうがないね。
僕は金貨1枚を渡してその船を買った。
思わぬ出費だ。
浮遊で舟を浮かし、髪ロープで引っぱって造船所を後にする。
この舟の両サイドにファンを取り付ければ2号機の完成だ。
最初からこれでよかった感。
なにはともあれ移動手段は完成した。
オーク狩りの準備を始めよう。
久しぶりに来た見習いの森。
ここに来たのはスキルの練習と、手裏剣の練習のためだ。
チートスキルであることが判明した反転魔法と新たに購入したリキッドステイク。
まずはこの2つのスキルの練習を始める。
僕は手ごろなゴブリンを見つけ、戦闘を仕掛ける。
まずは反転魔法を試してみよう。
失敗しても怪我をしないようにあらかじめ毛魔法で身体をグルグル巻きにして即席の鎧としておく。
さあ来い。
ゴブリンは2匹。
連携もなにもあったもんじゃない動きで同時に僕に棍棒を振るう。
以前僕は反転魔法を重力魔法だと思って物にかけていたのだけれど、この魔法が反転魔法だと分かった今ならば使い方は変わってくる。
僕はゴブリンとの間の空間に向かって反転魔法を発動する。
ゴブリンの棍棒は僕にぶつかる寸前に力が反転され、跳ね返された。
ゴブリンが棍棒にかけた力はすべて反転され、腕が変な方向に曲がってしまっている。
「「グギャァァ!」」
2匹のゴブリンは今頃気付いたのか腕を押さえて蹲った。
やっぱりこのスキルはすごいスキルだ。
古今東西攻撃跳ね返す奴は強キャラって相場が決まっている。
僕は強キャラへの一歩を踏み出したのだ。
蹲るゴブリンに向かって僕は髪を伸ばし、拘束した。
次の実験を行おう。
次は新しいスキルであるリキッドステイクだ。
これは液体で杭を作り出すスキル。
このスキルも暗殺によく使われるらしい。
武器の持ち込みが出来ない場所であってもこのスキルさえあればコップ1杯の水が暗器になるから。
しかしエナジードレインと違ってこのスキルで殺されれば普通に分かるので販売が禁止になるほどではない。
だいいち手から光りの刃を出すスキルとか魔法スキルとかを使えばこんなスキルを使って暗殺する必要も無い。
近接戦闘職の人が武器の持ち込みの出来ない場所で少しでも安心したいという理由で身につけることが多いスキルなようだ。
僕は【凝縮lv3】を使って空気中の水蒸気を液体にし、それを使って杭を形作る。
杭の大きさは水の量に比例するみたいだけれど、今のスキルレベルでは太さは直径3センチほど長さは1メートルくらいが限度のようだ。
僕は【スキル効果10倍】スキルを持っているので実際にはもっと小さいのだろう。
太さが10倍になっているのだとしたら実際には3ミリということになるので多分10倍になっているのは長さだ。
水の杭はまるでクリスタル製の杭であるかのようにキラキラと光を反射していて美しい。
手の甲で叩くとコンコンという音がするほどに硬く、両端が鋭く尖っている。
凍っているわけでもないのに液体が硬くなるなんて、やっぱりスキルは面白い。
僕は杭を地面に向かって投げてみる。
さくっと地面に突き立った杭はすぐに形を失い水に戻った。
大体2秒くらいだろうか。
手を放しても2秒は形を保っている。
これなら投擲にも使える。
むしろもっと面白い使い方ができる。
僕は【凝縮lv3】で液体窒素を作り出し、それを使って杭を形作る。
手で触れることは出来ないので毛魔法で作り出した触腕で持つ。
液体窒素の杭は、もうもうと冷気を発しながらも蒸発せずにその形を保っている。
僕はその杭に【回転lv4】を発動しながら片方のゴブリンに向かって射出した。
「グギャッ!」
杭はゴブリンの胸に深々と刺さり、すぐに形を失って液体窒素に戻る。
しゅっという音がしてゴブリンの胸の傷口が白く凍った。
ゴブリンはぴくぴくと痙攣しながら絶命した。
僕はにやりと笑う。
もう1匹のゴブリンが体を拘束されながらも必死に後ずさりする。
僕はもう1本液体窒素の杭を作り出し、ゴブリンに向かって射出する。
「グギャッ!」
杭は高速回転しながらゴブリンの脳天に吸い込まれるようにして突き刺さった。
次の瞬間ゴブリンの脳髄を液体窒素が凍らせる。
ゴブリンは絶命した。
「オーバーキルすぎたな」
僕はそう呟いてゴブリンの右耳を切り取った。
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