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5.ギルドで酔っ払いに絡まれる
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森の奥、4匹のゴブリンと対峙する人影。
僕だ。
少し前なら4匹のゴブリンなんかに出会ったら即逃げていただろう。
だけど今の僕は逃げない。
すでに初撃でゴブリン1匹を行動不能にした僕は、生活魔法の光球を自分の周りに浮かべる。
それを【回転lv3】で高速回転させながら目の前のゴブリンの顔周辺に突っ込ませる。
レベル3に上がったスキルの回転力はなかなかのものだ。
しかし光球は攻撃力皆無の魔法だ。
もちろん目くらまし程度にしかならない。
だけど今の僕にはそれで十分だ。
高速回転する光源がいきなり顔にぶち当たってきたゴブリンたちは気付いていないだろう。
僕の髪が一房足元に伸びていることに。
僕はその一房の髪を掴み、思い切り引っぱった。
髪は足元を這ってゴブリンの足首に巻きついており、4匹のゴブリンたちは新喜劇のようにすっ転んだ。
戦闘の最中に転んだらもう死んだようなものだ。
僕はそれでも反撃が怖かったので慎重に投げ槍で仕留めた。
最後の1匹はあと少しで立ち上がって襲いかかってくるところだったので危なかった。
これ以上増えたらこの作戦は無理だな。
もうワンステップゴブリンたちを足止めする手順が必要になる。
今のところ6匹以上のゴブリンを見かけたら逃げておいたほうが良さそうだ。
さて、これで今日はもう15匹のゴブリンを仕留めた。
そろそろ街に戻るとしよう。
街に戻った僕は冒険者ギルドに向かう。
ゴブリンの討伐証明部位を換金するためだ。
僕がゴミスキルばかり買い漁ってゴブリンを狩っていることは、結構広まっているからギルドに行くといつも馬鹿にされる。
だからあまり近づきたくないんだけど、冒険者が冒険者ギルドに近づかないわけにはいかないのでしょうがない。
ギルドのスイングドアをくぐると、まだ太陽も高い場所にあるにも関わらずすでにかなり酔っているらしき冒険者の姿がちらほら見える。
冒険者はゴブリンを1日に5、6匹程度狩れる力さえあれば食うだけなら困らない。
こいつらは冒険者としてもう上を目指す気もなく、ただ毎日酒を飲んで暮らすだけの金を稼いでは昼間から飲んだくれている連中だ。
別に誰にも迷惑をかけないのならば、それもそれなりに楽しい人生だと思うし勝手にすればいいと思うけれど、こういうやつに限って他人を見下して馬鹿にしたりするんだよな。
現に僕はこいつらに何度も馬鹿にされた記憶がある。
飲みすぎてこいつらに記憶が残っているかどうかは分からないけれど。
「あん?薬草拾いじゃねーかよ。今日ははえーな。魔物が怖くて逃げてきたのか?がはははっ」
また絡まれちゃったよ。
これだから酔っ払いは嫌いなんだ。
絡んだほうは楽しいんだろうけど、絡まれたほうは全然楽しくない。
それでやめてくれって言うと空気が白けたとか言うんだ。
イライラする。
薬草拾いっていつまで言うつもりだ。
もう何ヶ月も前から薬草なんて一本たりとも納品してないのに。
僕は酔っ払いを無視して換金カウンターに行こうとするが、酔っ払いはなかなか素早い動きで僕の進行方向に回る。
くそ、無駄に基礎能力が高い。
いや、僕の基礎能力が低いのか。
「どいてくれ。ゴブリンを換金しないと」
「ああ?てめえのゴミクズみてーなスキルばっかでゴブリンなんか倒せるわけねーだろ!!どうやってんだ!!なんかズルやってんだろ!?」
馬鹿が酔っ払うと手に負えないな。
しかもこいつは馬鹿だけど、身体能力でいえば僕よりはるかに強い。
たちが悪いな。
ギルドはこういう冒険者同士の揉め事には基本ノータッチだ。
参ったな。
こんなゴリラ僕の回転光弾アンドジャイロのコンボなら一撃なんだけどな。
ギルドのルールも僕には不利だ。
なんでもありなら勝てるけど、拳と拳の勝負では瞬殺(僕が)。
ここはやっぱりアレかな。
酔っ払って意識散漫なら余計に引っかかりやすいかな。
僕は【毛魔法lv3】で襟足を一房伸ばし、酔っ払い馬鹿の足首に巻きつけておく。
あとはこいつが実力行使に移るのを待つだけ。
一応僕から手を出すよりは外聞がいいからね。
「てめえ、なんとか言いやがれ!なんかズルやってんだろ!」
「そうだそうだ!」
周りの酔っ払いもなんか混ざり始めた。
くそ、胸倉を掴まれた。
計算外だ。
これじゃあ髪を引っぱって新喜劇転び作戦が……。
僕はとっさに【生活魔法lv3】の着火の魔法を使って男の指を炙る。
「あちっ!てめぇぇぇ!!ぶっころしてやるよぉぉ!!!」
くそぉ、僕だってやってやるよぉ!
男が殴りかかってくる。
めっちゃ速い。
やっぱり僕とは身体能力が違う。
だけど僕だってただではやられない。
男の初撃をなんとか避けて後ろに飛ぶ。
そして思い切り髪を引っぱる。
重っ、だめだ倒せない。
僕は男の足首に巻きついた髪を思い切り引っぱったのだけれど、体重が違いすぎて男は小揺るぎもしない。
作戦変更。
僕はいつもの高速回転光球による目潰しの後、横にあった椅子を男に向けて投擲する。
もちろんジャイロ回転を加えてだ。
「ぐぁっ!」
少しは効いたかもしれないけれど、ゴリラのような大男にはゴブリンのように大ダメージは期待できない。
僕は男の背中に回って首に髪を巻きつけ、男の体重を利用するように締め上げた。
「ぐぅぅぅぅっ!!」
男は顔を真っ赤にしてしばらく耐えていたが、突然ふっと崩れ落ちた。
「はぁはぁはぁ……」
死んでないよね?
僕は男の脈を確認する。
うん、なんとか生きてるみたいだ。
やっぱり喧嘩は苦手だな。
僕だ。
少し前なら4匹のゴブリンなんかに出会ったら即逃げていただろう。
だけど今の僕は逃げない。
すでに初撃でゴブリン1匹を行動不能にした僕は、生活魔法の光球を自分の周りに浮かべる。
それを【回転lv3】で高速回転させながら目の前のゴブリンの顔周辺に突っ込ませる。
レベル3に上がったスキルの回転力はなかなかのものだ。
しかし光球は攻撃力皆無の魔法だ。
もちろん目くらまし程度にしかならない。
だけど今の僕にはそれで十分だ。
高速回転する光源がいきなり顔にぶち当たってきたゴブリンたちは気付いていないだろう。
僕の髪が一房足元に伸びていることに。
僕はその一房の髪を掴み、思い切り引っぱった。
髪は足元を這ってゴブリンの足首に巻きついており、4匹のゴブリンたちは新喜劇のようにすっ転んだ。
戦闘の最中に転んだらもう死んだようなものだ。
僕はそれでも反撃が怖かったので慎重に投げ槍で仕留めた。
最後の1匹はあと少しで立ち上がって襲いかかってくるところだったので危なかった。
これ以上増えたらこの作戦は無理だな。
もうワンステップゴブリンたちを足止めする手順が必要になる。
今のところ6匹以上のゴブリンを見かけたら逃げておいたほうが良さそうだ。
さて、これで今日はもう15匹のゴブリンを仕留めた。
そろそろ街に戻るとしよう。
街に戻った僕は冒険者ギルドに向かう。
ゴブリンの討伐証明部位を換金するためだ。
僕がゴミスキルばかり買い漁ってゴブリンを狩っていることは、結構広まっているからギルドに行くといつも馬鹿にされる。
だからあまり近づきたくないんだけど、冒険者が冒険者ギルドに近づかないわけにはいかないのでしょうがない。
ギルドのスイングドアをくぐると、まだ太陽も高い場所にあるにも関わらずすでにかなり酔っているらしき冒険者の姿がちらほら見える。
冒険者はゴブリンを1日に5、6匹程度狩れる力さえあれば食うだけなら困らない。
こいつらは冒険者としてもう上を目指す気もなく、ただ毎日酒を飲んで暮らすだけの金を稼いでは昼間から飲んだくれている連中だ。
別に誰にも迷惑をかけないのならば、それもそれなりに楽しい人生だと思うし勝手にすればいいと思うけれど、こういうやつに限って他人を見下して馬鹿にしたりするんだよな。
現に僕はこいつらに何度も馬鹿にされた記憶がある。
飲みすぎてこいつらに記憶が残っているかどうかは分からないけれど。
「あん?薬草拾いじゃねーかよ。今日ははえーな。魔物が怖くて逃げてきたのか?がはははっ」
また絡まれちゃったよ。
これだから酔っ払いは嫌いなんだ。
絡んだほうは楽しいんだろうけど、絡まれたほうは全然楽しくない。
それでやめてくれって言うと空気が白けたとか言うんだ。
イライラする。
薬草拾いっていつまで言うつもりだ。
もう何ヶ月も前から薬草なんて一本たりとも納品してないのに。
僕は酔っ払いを無視して換金カウンターに行こうとするが、酔っ払いはなかなか素早い動きで僕の進行方向に回る。
くそ、無駄に基礎能力が高い。
いや、僕の基礎能力が低いのか。
「どいてくれ。ゴブリンを換金しないと」
「ああ?てめえのゴミクズみてーなスキルばっかでゴブリンなんか倒せるわけねーだろ!!どうやってんだ!!なんかズルやってんだろ!?」
馬鹿が酔っ払うと手に負えないな。
しかもこいつは馬鹿だけど、身体能力でいえば僕よりはるかに強い。
たちが悪いな。
ギルドはこういう冒険者同士の揉め事には基本ノータッチだ。
参ったな。
こんなゴリラ僕の回転光弾アンドジャイロのコンボなら一撃なんだけどな。
ギルドのルールも僕には不利だ。
なんでもありなら勝てるけど、拳と拳の勝負では瞬殺(僕が)。
ここはやっぱりアレかな。
酔っ払って意識散漫なら余計に引っかかりやすいかな。
僕は【毛魔法lv3】で襟足を一房伸ばし、酔っ払い馬鹿の足首に巻きつけておく。
あとはこいつが実力行使に移るのを待つだけ。
一応僕から手を出すよりは外聞がいいからね。
「てめえ、なんとか言いやがれ!なんかズルやってんだろ!」
「そうだそうだ!」
周りの酔っ払いもなんか混ざり始めた。
くそ、胸倉を掴まれた。
計算外だ。
これじゃあ髪を引っぱって新喜劇転び作戦が……。
僕はとっさに【生活魔法lv3】の着火の魔法を使って男の指を炙る。
「あちっ!てめぇぇぇ!!ぶっころしてやるよぉぉ!!!」
くそぉ、僕だってやってやるよぉ!
男が殴りかかってくる。
めっちゃ速い。
やっぱり僕とは身体能力が違う。
だけど僕だってただではやられない。
男の初撃をなんとか避けて後ろに飛ぶ。
そして思い切り髪を引っぱる。
重っ、だめだ倒せない。
僕は男の足首に巻きついた髪を思い切り引っぱったのだけれど、体重が違いすぎて男は小揺るぎもしない。
作戦変更。
僕はいつもの高速回転光球による目潰しの後、横にあった椅子を男に向けて投擲する。
もちろんジャイロ回転を加えてだ。
「ぐぁっ!」
少しは効いたかもしれないけれど、ゴリラのような大男にはゴブリンのように大ダメージは期待できない。
僕は男の背中に回って首に髪を巻きつけ、男の体重を利用するように締め上げた。
「ぐぅぅぅぅっ!!」
男は顔を真っ赤にしてしばらく耐えていたが、突然ふっと崩れ落ちた。
「はぁはぁはぁ……」
死んでないよね?
僕は男の脈を確認する。
うん、なんとか生きてるみたいだ。
やっぱり喧嘩は苦手だな。
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