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閑話3 妹ミーシャ視点

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 姉がなぜあんな奇妙な力を使えるのかはわからない。
 しかし家にいた頃から使えたなら不気味な余裕の態度も納得できる。
 それにあの使い魔、おそらく魔導士の協力者もいたはずだ。

「くっ、醜い顔のくせにっ!!!」

 あのムカつく姉が魔導士に保護されてのうのうと暮らしていると思うと発狂しそうになる。
 私は一通り部屋の物に当たり散らすと、少しだけ冷静になった。
 部屋はグチャグチャになったが、どうせ姉の部屋だ、何も問題はない。
 とにかく姉はもうこの家から出ていった、いや、私が追い出してやったのだ。
 だからもうこの家に姉が関わることは無い。
 この家は私のものだ。
 あの女も次は無いと言っていたじゃないか。
 つまりこちらから何かしない限りはあちらから何もしないということ。
 もうあんな醜い顔の女に関わるのはやめにしよう。
 なんといっても私こそがこの家の本当の当主なのだから。
 ケインは馬鹿だからベッドで甘えてやればなんでも言う事を聞く。
 この家において私に逆らう者なんていない。

「ふふふっ、この広大な領地も税収も、全部私のもの……」

 私はこのヨナーク伯爵領の税収がいかほどのものかはよく知らないけれど、父の代で大きく財務状況が改善されて結構お金を持っているということくらいは知っている。
 この伯爵領は雨が少なく土地も痩せているから昔からあまり作物のとれない土地だったけれど、最近では雨もたまに降るし土は肥えてきているらしい。
 雨はたまたまかもしれないけれど、土のほうは父が何か策を打ったのだろう。
 ということはそのやり方をそのまま続けさせるだけで、私は贅沢な暮らしができるということだ。
 頭の中に色々な欲しいものが浮かぶ。
 父はクセになるからとあまり散財をさせてくれなかったけれど、浪費をして平民共にお金をばら撒き経済を回すのも貴族の務めよね。
 私は先ほどまでの鬱屈とした気分とは裏腹に、スキップしそうな勢いで宝物庫に向かった。
 我が伯爵家の財産がどのくらいのものなのか、楽しみだ。
 宝物庫に着くと門番が2人、鉄の棒を持って立っていた。

「ご苦労様、入るわよ」

「「はっ」」

 門番に鍵を開けさせ、扉を開ける。
 そこには一面の黄金が広がっていた。

「すごい……」

 いったい金貨何枚あるのでしょう。
 うず高く積まれた金貨の山は、まるでこの世の物とは思えないほどに美しかった。
 私は思わず金貨の山にダイブした。

「お嬢様、その資金は……」

「これだけの金貨があればなんでも買えるわ!!」

「いえ、お嬢様そのお金は……」

「ああ素晴らしい、なんて素晴らしい気分なんでしょう!!」

 駆けつけたセバスティアーノが何か言っているけど聞こえないわ。
 人生で最高の気分を邪魔しないでほしいわね。


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