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閑話2 妹ミーシャ視点
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「お嬢様、なぜ実の姉であるアリシア様を追い出したのですか」
家宰であるセバスティアーノが私に言い募る。
どうせあんな姉いなくなっても誰も困らないというのに、何がそんなに気に食わないというのか。
「うるさいわね。あんな姉この屋敷に置いてやる意味ある?」
「ですが実の姉ですぞ?貴族というのは外聞が一番大事なのです。傷物とはいえ肉親を無理やり追い出したと知られればヨナーク伯爵家は血も涙もない非道な家であると思われてしまうやもしれません。せめて形ばかりの手切れ金だけでも……」
「うるっさい!!もうお姉さまはいないのよ!!今更言ったって遅いわ」
もう追い出してしまったものをごちゃごちゃ言われてもどうしろと言うのか。
というか姉はおそらく今頃汚い男たちとお楽しみ真っ最中だろう。
人生の終わりも間近だ。
今更何を言ったって無駄なのだ。
セバスティアーノはいつも外聞外聞と口うるさい。
そんなに外聞が大事ならもっと早く姉を始末しておくべきだったのだ。
あんな気味悪い顔の女が身内にいるなんて一番外聞が悪いのだから。
「落ち着けよセバスティアーノ。あの女ならすぐに死ぬから外聞なんか関係ねーよ」
「死ぬとはどういうことですか」
ケインはセバスティアーノに向かって得意げに自分の考えた姉抹殺作戦をひけらかした。
作戦というほどのものでもないけど。
「なんということを……」
「なんだよ、悪いのかよ」
「悪いも悪い、最悪の手ですよ。そんな後ろ暗いことを正規兵に任せるなどとは。ああ、口止め料にいくら払えばいいのか」
「あいつらはあいつらで楽しむんだからそんなもんいらねーだろ」
「良くありません。そもそも仕事の確実性にも、口の堅さにも期待ができない正規兵などに頼むような仕事ではありませんよ。こういうものはそれ専門の人間が……」
「ああ?うるせー執事だな。クビにすんぞ?今はもう俺がこの家のルールなんだからな」
それきりセバスティアーノは何も言わなくなった。
そうよ、今はこの私こそがこの家のルールなんだから家宰とはいえ使用人の言うことなんかに気を遣う必要なんてないのよ。
私はとにかく姉が惨めな顔で助けを請いながら犯されている姿を想像して胸の留飲を下す。
しばらくそうしてお茶の時間を楽しんでいると、ガチャガチャと剣をぶら下げた人間が歩く音が近づいてきた。
どうやらケインの命令した仕事が終わったらしい。
いい気味だわ。
ノックの音がしたので入室を許す。
本当は汚らしい恰好をした兵士たちなどは室内に入れたくはないけれど今は報告を聞きたいので特別だ。
10人の姿は所々泥や土に汚れており、野外で相当楽しんだのだろうなと思った。
しかし何かがおかしい気もする。
どこか感情のない人形めいた表情をしているような、そんな違和感があった。
もしかしたらこれが噂に聞く賢者タイムというやつなのだろうか。
「お前たち、ほうこkっげべらっ!!」
兵士の一人がいきなりケインの顔面を殴りつけた。
喧嘩などしたこともないような温室育ちのケインはぶっ飛んでテーブルをなぎ倒して地面へと転がる。
「き、きざまらっ、なにをっべへらっ!!」
ケインは足で胸を踏みつけられてジタバタと暴れている。
私は恐怖に震え、周りを見回した。
何が起こっているのか全くわからないわ。
『命令をしたのはケインね』
一瞬どこから声がしたのかわからなかった。
しかしよく見まわすと窓辺に1匹のカラスが止まっており、そこから女の声がしていた。
聞いたことのない女の声だ。
あれは魔導士の使う使い魔!?
ではこれは、魔導士の襲撃!?
「ぎ、ぎざまらごんなごとじてただでずむどぶへっ、ごべんなざっどへっ、がはっ、やべでぐだざい、だずげでっ!!」
ケインは男に馬乗りになられて何度も何度も殴られて顔の形が変わってしまっている。
私は恐怖に震えた。
「わ、私は関係ないから!!狙いはケインなんでしょ!?私は何もやってないから!!」
『なるほど。何もしてない、ね。わかったわ。やはりあなたにも警告くらいは必要みたいね』
「ま、待ってよ!!本当に私なにもっうぅっ」
男の一人が私の襟首をつかんで床に引きずり倒す。
背中を強かに打ち付けて一瞬息ができなくなった。
私もケインのように殴られる。
私の脳裏に姉の顔に走る醜い傷が思い浮かぶ。
あんな風には絶対になりたくない。
私は腕で覆って顔を庇おうとした。
しかし男たちは私の手足を押さえつけて両手両足を開いたマヌケな恰好にさせられてしまった。
そして男の一人が剣を冗談に振り上げていることに気が付いた。
「う、嘘でしょ?や、やめてっやめてよ!!いやぁっ!!」
剣が振り下ろされる。
ガツンと床に突き刺さる剣。
そこは私の二の腕から紙1枚分くらいの距離の場所だった。
私の身体は恐怖でガタガタと震え始めた。
男たちは次々に剣を振り上げ、私の身体のギリギリの場所に振り下ろしていく。
少しでも手元が狂えば私の身体は血まみれとなって命さえも危ないかもしれない。
私は動くに動けなくなった。
気が付けば男たちの中で剣を持っているのは私の上に馬乗りになっている男だけになっていた。
男はゆっくり立ち上がり、剣を振りかぶる。
その振り下ろす先は私の足と足の間、スカートで隠れた股の部分だった。
「や、やめてっ、ここは隠れてるからっ、ズレたら大変なことに……、子供が、う、産めなくっ」
私が最後まで言い切る前に剣は振り下ろされた。
「いやぁぁぁぁっ!!」
剣は私のスカートを切り裂き、床に突き刺さった。
痛みはない。
しかし私は恐怖で身体中の穴と言う穴から汚い汁を垂れ流していた。
今の私はきっと酷い顔をしていることでしょう。
今しがた私の股の間に剣を突き刺した兵士が顔を近づけてくる。
いやだ、犯されるのかもしれない。
兵士は耳もとでこう呟いた。
『ミーシャ、次は無いわ』
兵士の声には不思議な事に、聞き覚えのある女の声がダブって聞こえた。
ああ、これは、姉の報復だ。
家宰であるセバスティアーノが私に言い募る。
どうせあんな姉いなくなっても誰も困らないというのに、何がそんなに気に食わないというのか。
「うるさいわね。あんな姉この屋敷に置いてやる意味ある?」
「ですが実の姉ですぞ?貴族というのは外聞が一番大事なのです。傷物とはいえ肉親を無理やり追い出したと知られればヨナーク伯爵家は血も涙もない非道な家であると思われてしまうやもしれません。せめて形ばかりの手切れ金だけでも……」
「うるっさい!!もうお姉さまはいないのよ!!今更言ったって遅いわ」
もう追い出してしまったものをごちゃごちゃ言われてもどうしろと言うのか。
というか姉はおそらく今頃汚い男たちとお楽しみ真っ最中だろう。
人生の終わりも間近だ。
今更何を言ったって無駄なのだ。
セバスティアーノはいつも外聞外聞と口うるさい。
そんなに外聞が大事ならもっと早く姉を始末しておくべきだったのだ。
あんな気味悪い顔の女が身内にいるなんて一番外聞が悪いのだから。
「落ち着けよセバスティアーノ。あの女ならすぐに死ぬから外聞なんか関係ねーよ」
「死ぬとはどういうことですか」
ケインはセバスティアーノに向かって得意げに自分の考えた姉抹殺作戦をひけらかした。
作戦というほどのものでもないけど。
「なんということを……」
「なんだよ、悪いのかよ」
「悪いも悪い、最悪の手ですよ。そんな後ろ暗いことを正規兵に任せるなどとは。ああ、口止め料にいくら払えばいいのか」
「あいつらはあいつらで楽しむんだからそんなもんいらねーだろ」
「良くありません。そもそも仕事の確実性にも、口の堅さにも期待ができない正規兵などに頼むような仕事ではありませんよ。こういうものはそれ専門の人間が……」
「ああ?うるせー執事だな。クビにすんぞ?今はもう俺がこの家のルールなんだからな」
それきりセバスティアーノは何も言わなくなった。
そうよ、今はこの私こそがこの家のルールなんだから家宰とはいえ使用人の言うことなんかに気を遣う必要なんてないのよ。
私はとにかく姉が惨めな顔で助けを請いながら犯されている姿を想像して胸の留飲を下す。
しばらくそうしてお茶の時間を楽しんでいると、ガチャガチャと剣をぶら下げた人間が歩く音が近づいてきた。
どうやらケインの命令した仕事が終わったらしい。
いい気味だわ。
ノックの音がしたので入室を許す。
本当は汚らしい恰好をした兵士たちなどは室内に入れたくはないけれど今は報告を聞きたいので特別だ。
10人の姿は所々泥や土に汚れており、野外で相当楽しんだのだろうなと思った。
しかし何かがおかしい気もする。
どこか感情のない人形めいた表情をしているような、そんな違和感があった。
もしかしたらこれが噂に聞く賢者タイムというやつなのだろうか。
「お前たち、ほうこkっげべらっ!!」
兵士の一人がいきなりケインの顔面を殴りつけた。
喧嘩などしたこともないような温室育ちのケインはぶっ飛んでテーブルをなぎ倒して地面へと転がる。
「き、きざまらっ、なにをっべへらっ!!」
ケインは足で胸を踏みつけられてジタバタと暴れている。
私は恐怖に震え、周りを見回した。
何が起こっているのか全くわからないわ。
『命令をしたのはケインね』
一瞬どこから声がしたのかわからなかった。
しかしよく見まわすと窓辺に1匹のカラスが止まっており、そこから女の声がしていた。
聞いたことのない女の声だ。
あれは魔導士の使う使い魔!?
ではこれは、魔導士の襲撃!?
「ぎ、ぎざまらごんなごとじてただでずむどぶへっ、ごべんなざっどへっ、がはっ、やべでぐだざい、だずげでっ!!」
ケインは男に馬乗りになられて何度も何度も殴られて顔の形が変わってしまっている。
私は恐怖に震えた。
「わ、私は関係ないから!!狙いはケインなんでしょ!?私は何もやってないから!!」
『なるほど。何もしてない、ね。わかったわ。やはりあなたにも警告くらいは必要みたいね』
「ま、待ってよ!!本当に私なにもっうぅっ」
男の一人が私の襟首をつかんで床に引きずり倒す。
背中を強かに打ち付けて一瞬息ができなくなった。
私もケインのように殴られる。
私の脳裏に姉の顔に走る醜い傷が思い浮かぶ。
あんな風には絶対になりたくない。
私は腕で覆って顔を庇おうとした。
しかし男たちは私の手足を押さえつけて両手両足を開いたマヌケな恰好にさせられてしまった。
そして男の一人が剣を冗談に振り上げていることに気が付いた。
「う、嘘でしょ?や、やめてっやめてよ!!いやぁっ!!」
剣が振り下ろされる。
ガツンと床に突き刺さる剣。
そこは私の二の腕から紙1枚分くらいの距離の場所だった。
私の身体は恐怖でガタガタと震え始めた。
男たちは次々に剣を振り上げ、私の身体のギリギリの場所に振り下ろしていく。
少しでも手元が狂えば私の身体は血まみれとなって命さえも危ないかもしれない。
私は動くに動けなくなった。
気が付けば男たちの中で剣を持っているのは私の上に馬乗りになっている男だけになっていた。
男はゆっくり立ち上がり、剣を振りかぶる。
その振り下ろす先は私の足と足の間、スカートで隠れた股の部分だった。
「や、やめてっ、ここは隠れてるからっ、ズレたら大変なことに……、子供が、う、産めなくっ」
私が最後まで言い切る前に剣は振り下ろされた。
「いやぁぁぁぁっ!!」
剣は私のスカートを切り裂き、床に突き刺さった。
痛みはない。
しかし私は恐怖で身体中の穴と言う穴から汚い汁を垂れ流していた。
今の私はきっと酷い顔をしていることでしょう。
今しがた私の股の間に剣を突き刺した兵士が顔を近づけてくる。
いやだ、犯されるのかもしれない。
兵士は耳もとでこう呟いた。
『ミーシャ、次は無いわ』
兵士の声には不思議な事に、聞き覚えのある女の声がダブって聞こえた。
ああ、これは、姉の報復だ。
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