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105.暗闇の第3階層
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「本当に地獄の鬼のような姿をしておるな」
「大鬼って感じじゃないですけどね。せいぜいが子鬼か餓鬼か」
ちなみにもっと上の階層で出す予定の大鬼が最近製造ラインに乗ってました。
6、7階層まで行けば出会えるかな。
そこまで行かれるとお宝に何を置いたらいいのか分からなくなってくる。
神酒ソーマでも置いてみようか。
絶対人間同士の殺し合い奪い合いになるな。
やめておこう。
「何を食うたらこのように腹の中が鉄になるのだろうな」
別に鉄を食ったから機械仕掛けになったわけではないと思うけど。
殿は不思議そうにメカゴブリンの腹の中を覗き込む。
メカゴブリンの部品の多くは未来でレアメタルと呼ばれるような金属だが、今の冶金技術では加工が難しいものばかりだ。
鉄だと思ってゴブリンの死体を持ち帰った人も大勢いたのだけれど、それが知れてからはあまり持ち帰られていない。
メカゴブリンの構造を解析して技術革新でも起こってくれたらと俺は少しだけ期待していたのだけれど、未来ですら解析できるか分からないようなメカゴブリンの構造を見て何かを閃く人は皆無だった。
技術とは一部の天才によって飛躍的に進歩することがある。
気長に天才が生まれるのを待とう。
「ハラワタが鉄でできておってもこのようにあっさり切り裂かれては意味が無いわっ!」
勝家が鉄槍を振ると、べチャリとメカゴブリンが壁のシミとなる。
メカゴブリンには体液とかは無いのだけど、あまりの衝撃に人工筋肉や人工皮膚が細かく千切れてまさしくひき肉状になってしまっているのだ。
オーバーキルやめろっ。
現在俺達はダンジョン第2階層に登ってきているのだけれど、勝家にはまだまだ物足りない相手のようで元気いっぱいなのだ。
「この鬼共、鉄の武器を使い始めましたな。もしかしたら上の階に登るほど鬼が強くなるのやもしれませぬ」
「そういえば、箱に入った食い物も量が増えておる気がするな」
善住坊さんと慶次が一番調査っぽいことをしている気がする。
この階層はゴブリンが武装して複数現われるというのが一番の特徴だ。
まだ連携はしてこないものの、1匹に気を取られていては別のゴブリンにやられてしまう。
しかし見事複数のゴブリンを倒すことができれば、鉄でできた武器と今までよりも若干多い食べ物を持って帰ることができる。
鉄は貴重品だ。
海外から輸入する以外にも手に入れる手段があれば、鉄製品がもっと増えることになるだろう。
最低でも農具をすべて鉄にするくらいには普及して欲しい。
まあ今のところ農民で2階層に上がった人は少ないが。
労力と対価の問題だろう。
1階層は大分ゴブリンの動きが最適化されてきたとはいえ、攻撃手段は爪と牙だ。
槍や刀で武装していれば農民といえどもまず死傷するようなことはない。
それが2階層に上がれば鉄の武器を持って攻撃してくる。
冷静に対処すれば農民でも余裕を持って勝てるくらいの強さのはずだが、武器を持った醜悪な鬼を前に平静を保てる人は少ない。
2階層では、1階層に比べて怪我を負う確率が大幅に高くなっている。
現に初めて足を踏み入れた人はそのほとんどが大怪我を負って帰っている。
人は死ぬような危険を冒して多めの対価を得るよりも、安全にそこそこの対価を得るほうを選ぶ。
多くの人々にとっては2階層は割りに合わない階層だったというわけだ。
1階層だけでも十分食料の供給源となる役目は果たせているので問題は無いが、雪斎が大量生産しているメカオーガの出番は来るのだろうか。
「上に登ればそれだけ強い鬼が出てくるのだな!!よしっ、どんどん行くぞっ!!」
期待するならやっぱり侍チームかな。
勝家は鉄槍を軽く布で拭くとその巨体を揺らしてずんずんと進んでいってしまう。
落とし穴でも設置してやろうか。
罠の類は相当上の階層まで行かないと設置するつもりは無いが、どうにもマイペースなリーダーの出鼻を何かで挫いておきたい気分になる。
仮にもダンジョンなのだから、もう少し慎重な行動を心がけて欲しいと思う。
「善次郎殿、置いていかれますぞ」
「あ、はい……」
その後勝家はあっさりと3階層への階段を見つけ、俺達はついに3階層に進むこととなった。
「なにやら不気味な雰囲気じゃの」
「そうですね」
3階層はちょっと凝ったデザインになっている。
敵が強くなる以外にもフィールド的な要害もあったほうがいいのではないかと思い、灯りを限定してみた。
今までは通路にはくまなく灯りが灯っていたが、3階層は自分たちの周りだけ灯りが灯る仕様になっている。
なので自分たちの周り以外は真っ暗な通路を歩かねばならない。
先を見通すことのできない通路というのは、根源的な恐怖を刺激する。
その先からぼんやりとゴブリンの顔でも現れようものならば、全員が絶叫する。
「「「ぎゃぁぁぁぁっっ!!」」」
俺は分かっていたけれど一応一緒に絶叫しておいた。
ノリが悪いと思われると飲みに誘われなくなるかもしれないからね。
「な、なんじゃっ、お、鬼かっ、驚かせおって……」
「はぁはぁ、ちびるかと思ったわ」
「少し出ました」
「大きいほうを漏らすところでした」
「腰抜けそう」
勝三君が何かを出してしまった以外は概ね皆無事だ。
やはり勝三君は勝三さんではなくまだまだ勝三君だな。
「ちっ、灯りが無いとこうも戦い辛いとはなっ」
「松明でも持ってこればよかったですね」
最初のメカゴブリンは3体。
今までとは違い連携してくるが、まだこちらのほうが数も多い。
灯りが乏しいのもあり少し苦戦したが、まだまだ侍チームを脅かすような敵ではない。
「ふぅ、なんとか怪我もせなんだな」
「危ない場面もありましたけどね」
「さて、箱の中身はなんじゃろな」
全員で、箱の中身を覗き込む。
「こりゃあ……」
「ほうっ」
「素晴らしい」
箱の中身は金だ。
一握りくらいの大粒砂金を入れておいた。
やはり金というのは人を惹きつける魔力を持っている。
インパクトとしては十分だろう。
「大鬼って感じじゃないですけどね。せいぜいが子鬼か餓鬼か」
ちなみにもっと上の階層で出す予定の大鬼が最近製造ラインに乗ってました。
6、7階層まで行けば出会えるかな。
そこまで行かれるとお宝に何を置いたらいいのか分からなくなってくる。
神酒ソーマでも置いてみようか。
絶対人間同士の殺し合い奪い合いになるな。
やめておこう。
「何を食うたらこのように腹の中が鉄になるのだろうな」
別に鉄を食ったから機械仕掛けになったわけではないと思うけど。
殿は不思議そうにメカゴブリンの腹の中を覗き込む。
メカゴブリンの部品の多くは未来でレアメタルと呼ばれるような金属だが、今の冶金技術では加工が難しいものばかりだ。
鉄だと思ってゴブリンの死体を持ち帰った人も大勢いたのだけれど、それが知れてからはあまり持ち帰られていない。
メカゴブリンの構造を解析して技術革新でも起こってくれたらと俺は少しだけ期待していたのだけれど、未来ですら解析できるか分からないようなメカゴブリンの構造を見て何かを閃く人は皆無だった。
技術とは一部の天才によって飛躍的に進歩することがある。
気長に天才が生まれるのを待とう。
「ハラワタが鉄でできておってもこのようにあっさり切り裂かれては意味が無いわっ!」
勝家が鉄槍を振ると、べチャリとメカゴブリンが壁のシミとなる。
メカゴブリンには体液とかは無いのだけど、あまりの衝撃に人工筋肉や人工皮膚が細かく千切れてまさしくひき肉状になってしまっているのだ。
オーバーキルやめろっ。
現在俺達はダンジョン第2階層に登ってきているのだけれど、勝家にはまだまだ物足りない相手のようで元気いっぱいなのだ。
「この鬼共、鉄の武器を使い始めましたな。もしかしたら上の階に登るほど鬼が強くなるのやもしれませぬ」
「そういえば、箱に入った食い物も量が増えておる気がするな」
善住坊さんと慶次が一番調査っぽいことをしている気がする。
この階層はゴブリンが武装して複数現われるというのが一番の特徴だ。
まだ連携はしてこないものの、1匹に気を取られていては別のゴブリンにやられてしまう。
しかし見事複数のゴブリンを倒すことができれば、鉄でできた武器と今までよりも若干多い食べ物を持って帰ることができる。
鉄は貴重品だ。
海外から輸入する以外にも手に入れる手段があれば、鉄製品がもっと増えることになるだろう。
最低でも農具をすべて鉄にするくらいには普及して欲しい。
まあ今のところ農民で2階層に上がった人は少ないが。
労力と対価の問題だろう。
1階層は大分ゴブリンの動きが最適化されてきたとはいえ、攻撃手段は爪と牙だ。
槍や刀で武装していれば農民といえどもまず死傷するようなことはない。
それが2階層に上がれば鉄の武器を持って攻撃してくる。
冷静に対処すれば農民でも余裕を持って勝てるくらいの強さのはずだが、武器を持った醜悪な鬼を前に平静を保てる人は少ない。
2階層では、1階層に比べて怪我を負う確率が大幅に高くなっている。
現に初めて足を踏み入れた人はそのほとんどが大怪我を負って帰っている。
人は死ぬような危険を冒して多めの対価を得るよりも、安全にそこそこの対価を得るほうを選ぶ。
多くの人々にとっては2階層は割りに合わない階層だったというわけだ。
1階層だけでも十分食料の供給源となる役目は果たせているので問題は無いが、雪斎が大量生産しているメカオーガの出番は来るのだろうか。
「上に登ればそれだけ強い鬼が出てくるのだな!!よしっ、どんどん行くぞっ!!」
期待するならやっぱり侍チームかな。
勝家は鉄槍を軽く布で拭くとその巨体を揺らしてずんずんと進んでいってしまう。
落とし穴でも設置してやろうか。
罠の類は相当上の階層まで行かないと設置するつもりは無いが、どうにもマイペースなリーダーの出鼻を何かで挫いておきたい気分になる。
仮にもダンジョンなのだから、もう少し慎重な行動を心がけて欲しいと思う。
「善次郎殿、置いていかれますぞ」
「あ、はい……」
その後勝家はあっさりと3階層への階段を見つけ、俺達はついに3階層に進むこととなった。
「なにやら不気味な雰囲気じゃの」
「そうですね」
3階層はちょっと凝ったデザインになっている。
敵が強くなる以外にもフィールド的な要害もあったほうがいいのではないかと思い、灯りを限定してみた。
今までは通路にはくまなく灯りが灯っていたが、3階層は自分たちの周りだけ灯りが灯る仕様になっている。
なので自分たちの周り以外は真っ暗な通路を歩かねばならない。
先を見通すことのできない通路というのは、根源的な恐怖を刺激する。
その先からぼんやりとゴブリンの顔でも現れようものならば、全員が絶叫する。
「「「ぎゃぁぁぁぁっっ!!」」」
俺は分かっていたけれど一応一緒に絶叫しておいた。
ノリが悪いと思われると飲みに誘われなくなるかもしれないからね。
「な、なんじゃっ、お、鬼かっ、驚かせおって……」
「はぁはぁ、ちびるかと思ったわ」
「少し出ました」
「大きいほうを漏らすところでした」
「腰抜けそう」
勝三君が何かを出してしまった以外は概ね皆無事だ。
やはり勝三君は勝三さんではなくまだまだ勝三君だな。
「ちっ、灯りが無いとこうも戦い辛いとはなっ」
「松明でも持ってこればよかったですね」
最初のメカゴブリンは3体。
今までとは違い連携してくるが、まだこちらのほうが数も多い。
灯りが乏しいのもあり少し苦戦したが、まだまだ侍チームを脅かすような敵ではない。
「ふぅ、なんとか怪我もせなんだな」
「危ない場面もありましたけどね」
「さて、箱の中身はなんじゃろな」
全員で、箱の中身を覗き込む。
「こりゃあ……」
「ほうっ」
「素晴らしい」
箱の中身は金だ。
一握りくらいの大粒砂金を入れておいた。
やはり金というのは人を惹きつける魔力を持っている。
インパクトとしては十分だろう。
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