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88.武田と織田、たまに徳川そしてラドン
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2月になった。
あれから武田軍は攻めてこない。
おそらく織田の支配する美濃方面からの侵攻を諦めたのだろう。
これからの戦場は徳川の支配する静岡方面になる。
武田が全軍を静岡方面に向ければ徳川にとっては非常に苦しい戦いになるだろう。
史実通りなら、高天神城の戦いがあって次は長篠の戦いだろう。
現在徳川や織田の領地にあるお城でも、結構武田の手に落ちちゃってるお城もあるから情勢はよくわからない。
そもそも漫画にはそこまで細かい情勢が出てこなかったからね。
スマホを取り出して読み返してみても、出てくるのはここ明智城とすぐ近くの岩村城、未来の豊田市のあたりにある足助城、そして高天神城の戦いの舞台である未来の静岡県掛川市の高天神城と長篠の戦いの舞台となる未来の愛知県新城市の長篠城。
このくらいだ。
地図で確認してみても長野と接する織田・徳川領の城を、かなり広い範囲に渡って攻めていることが分かる。
織田行こうとしたらダメだったから徳川って感じなのだろうか。
まあ徳川行こうとしても織田が出てくるけどね。
同盟関係なのだから当然のことだ。
家康と信長はずっ友だからね。
冗談はさておきお互いに婚姻関係を結んでいるから徳川と織田はかなり強固な同盟関係なのだ。
まあ対等な同盟とは言い難いのだけれど。
今の徳川と織田を比べてみれば兵力や経済力が違いすぎていることがわかる。
織田にとっては徳川は敵を一つ、二つ引き付けておいてくれる盾に過ぎない。
同じ国境を接している武田や、徳川領の向こう側にある関東勢力からの盾だ。
織田領に攻め入る前に徳川領を攻めてワンクッション入ることによって、兵力を整えて打って出るための時間を稼ぐことができる。
現に武田は、織田・徳川を攻めるときに徳川から攻めた。
これは色々理由があるかもしれないが、織田よりも徳川のほうが戦いやすいと思ったのではないだろうか。
それが信長の作戦なわけだ。
そして徳川領が攻められている間に兵力を整え、徳川領に援軍として出す。
徳川領で戦えば自領が戦によって荒れることもない。
だからこそ今回、武田が自分の領地に攻め入ってきたことに焦ったのだ。
信長は自分の領地で戦をすることを嫌う。
戦は敵の領地で。
毎回それができれば誰も苦労しないんだけどね。
そんなわけで、この城にはもう用はないとばかりに信長は岐阜に帰っていった。
岐阜に帰った後に今度は京都に行くらしい。
なんか朝廷の相手もしないといけないらしい。
忙しいことだ。
俺達はゆっくりと岐阜に帰るとする。
行きはものすごい急行軍だったから、帰りくらいはゆっくりと景色でも楽しみながら帰りたい。
「善次郎殿。さっきすれ違った農夫に聞いたのですが、この先に湯が湧き出ておる場所があるそうですぞ」
「なんだって!!」
善住坊さんが先ほどやけに農夫と長話していると思えば、そんな重要な情報を聞きだしていたなんて。
湯が湧き出ている場所、それは温泉に他ならない。
盲点だった。
近場で温泉といえば長野ばかりに目がいってしまっていたが、長野と岐阜の県境といえば十分温泉地だ。
少し北に目を向ければ下呂や高山などの未来の有名観光地がある。
そして今いる東美濃地域だってあちこちに温泉が出ている隠れ温泉地だ。
ラドンを多く含んだラジウム鉱泉が湧き出る放射能泉で有名な土地だったのだ。
放射線といっても原発から出る怖いものではない。
難しい話はよく分からないが、ラドンから出る放射線はアルファ線というものらしい。
レントゲンや原発の放射性物質から出ているガンマ線やベータ線、エックス線よりも物質透過能力が低いという。
具体的には紙1枚分も透過することができないらしい。
それが丁度良い具合に細胞の刺激になって、身体の調子が良くなるみたいな?
温泉の効能なんて大体そんなものだ。
科学的な根拠は無いけれど、なんか調子が良くなるんだからそれでいいだろってことみたいだ。
まあ効能はこの際どうでもいい。
とにかく寒いから温まりたい。
「殿、湯が湧き出している場所があるみたいなんですが、入っていきませんか?」
「ほう、いいな。若様、どうですか?」
「良いな、身体の芯まで冷え込んできたところだ」
俺達は歩いているけれど殿や勘九郎君は馬に乗っているから、余計に寒いよね。
というわけで温泉です。
男だらけだけどね。
「たっはぁ、極楽じゃな」
「あぁぁぁ、染みる」
「ふぅ、熱めの良い湯」
少し塩分を含んだ温泉だ。
出るときシャワーを浴びたくなるが、野天の湯にそんなものは無い。
俺はカラスの行水なのですぐに出る。
真水で軽く身体を拭いておこう。
殿や勘九郎君のために真水でも沸かしておくか。
人数が多くなったので持ってきていた身の丈ほどの大鍋に湯を沸かす。
湯が沸く間に何か食べられるものでも作っておくとしよう。
特に急いでいるわけでもないのでゆっくりと料理する時間がある。
鍋でご飯を炊くことにしよう。
俺だけだったら収納の指輪に入った炊き立てご飯を食べられるんだけどな。
もうそろそろめんどくさくなってきたので殿や勘九郎君にも俺がチートを与えられた未来人だということを話そうかとたまに思う。
でもなんとなく気恥ずかしいとか、もう少し後でいいかとか怠け者の性が出てしまって話すことができないんだよな。
まあ殿や勘九郎君だけに話したところで、行軍中に堂々とチートが使えるわけではない。
今はこの不便な生活を楽しんでおくことにしよう。
シューシューと湯気が上がる鍋を見ながらそんなことを思った。
このご飯が炊ける匂いも結構好きだし。
はじめチョロチョロ中パッパ、赤子泣いても蓋取るな、だよ。
その通り蓋を取らずに鍋を下ろし、10分ほど蒸らしてご飯が炊き上がる。
この匂いがたまらん。
しゃもじで十字を切るように4等分し、その1つずつをひっくり返して混ぜていく。
少しおこげができていて良い感じに炊けている。
そこにちりめんじゃこを投入。
醤油を少し垂らして混ぜていく。
食べやすい大きさのおにぎりにしていく。
なかなか美味しそうにできた。
今日の昼ご飯はじゃこおにぎりです。
なんか戦国時代だってことを忘れてしまいそう。
あれから武田軍は攻めてこない。
おそらく織田の支配する美濃方面からの侵攻を諦めたのだろう。
これからの戦場は徳川の支配する静岡方面になる。
武田が全軍を静岡方面に向ければ徳川にとっては非常に苦しい戦いになるだろう。
史実通りなら、高天神城の戦いがあって次は長篠の戦いだろう。
現在徳川や織田の領地にあるお城でも、結構武田の手に落ちちゃってるお城もあるから情勢はよくわからない。
そもそも漫画にはそこまで細かい情勢が出てこなかったからね。
スマホを取り出して読み返してみても、出てくるのはここ明智城とすぐ近くの岩村城、未来の豊田市のあたりにある足助城、そして高天神城の戦いの舞台である未来の静岡県掛川市の高天神城と長篠の戦いの舞台となる未来の愛知県新城市の長篠城。
このくらいだ。
地図で確認してみても長野と接する織田・徳川領の城を、かなり広い範囲に渡って攻めていることが分かる。
織田行こうとしたらダメだったから徳川って感じなのだろうか。
まあ徳川行こうとしても織田が出てくるけどね。
同盟関係なのだから当然のことだ。
家康と信長はずっ友だからね。
冗談はさておきお互いに婚姻関係を結んでいるから徳川と織田はかなり強固な同盟関係なのだ。
まあ対等な同盟とは言い難いのだけれど。
今の徳川と織田を比べてみれば兵力や経済力が違いすぎていることがわかる。
織田にとっては徳川は敵を一つ、二つ引き付けておいてくれる盾に過ぎない。
同じ国境を接している武田や、徳川領の向こう側にある関東勢力からの盾だ。
織田領に攻め入る前に徳川領を攻めてワンクッション入ることによって、兵力を整えて打って出るための時間を稼ぐことができる。
現に武田は、織田・徳川を攻めるときに徳川から攻めた。
これは色々理由があるかもしれないが、織田よりも徳川のほうが戦いやすいと思ったのではないだろうか。
それが信長の作戦なわけだ。
そして徳川領が攻められている間に兵力を整え、徳川領に援軍として出す。
徳川領で戦えば自領が戦によって荒れることもない。
だからこそ今回、武田が自分の領地に攻め入ってきたことに焦ったのだ。
信長は自分の領地で戦をすることを嫌う。
戦は敵の領地で。
毎回それができれば誰も苦労しないんだけどね。
そんなわけで、この城にはもう用はないとばかりに信長は岐阜に帰っていった。
岐阜に帰った後に今度は京都に行くらしい。
なんか朝廷の相手もしないといけないらしい。
忙しいことだ。
俺達はゆっくりと岐阜に帰るとする。
行きはものすごい急行軍だったから、帰りくらいはゆっくりと景色でも楽しみながら帰りたい。
「善次郎殿。さっきすれ違った農夫に聞いたのですが、この先に湯が湧き出ておる場所があるそうですぞ」
「なんだって!!」
善住坊さんが先ほどやけに農夫と長話していると思えば、そんな重要な情報を聞きだしていたなんて。
湯が湧き出ている場所、それは温泉に他ならない。
盲点だった。
近場で温泉といえば長野ばかりに目がいってしまっていたが、長野と岐阜の県境といえば十分温泉地だ。
少し北に目を向ければ下呂や高山などの未来の有名観光地がある。
そして今いる東美濃地域だってあちこちに温泉が出ている隠れ温泉地だ。
ラドンを多く含んだラジウム鉱泉が湧き出る放射能泉で有名な土地だったのだ。
放射線といっても原発から出る怖いものではない。
難しい話はよく分からないが、ラドンから出る放射線はアルファ線というものらしい。
レントゲンや原発の放射性物質から出ているガンマ線やベータ線、エックス線よりも物質透過能力が低いという。
具体的には紙1枚分も透過することができないらしい。
それが丁度良い具合に細胞の刺激になって、身体の調子が良くなるみたいな?
温泉の効能なんて大体そんなものだ。
科学的な根拠は無いけれど、なんか調子が良くなるんだからそれでいいだろってことみたいだ。
まあ効能はこの際どうでもいい。
とにかく寒いから温まりたい。
「殿、湯が湧き出している場所があるみたいなんですが、入っていきませんか?」
「ほう、いいな。若様、どうですか?」
「良いな、身体の芯まで冷え込んできたところだ」
俺達は歩いているけれど殿や勘九郎君は馬に乗っているから、余計に寒いよね。
というわけで温泉です。
男だらけだけどね。
「たっはぁ、極楽じゃな」
「あぁぁぁ、染みる」
「ふぅ、熱めの良い湯」
少し塩分を含んだ温泉だ。
出るときシャワーを浴びたくなるが、野天の湯にそんなものは無い。
俺はカラスの行水なのですぐに出る。
真水で軽く身体を拭いておこう。
殿や勘九郎君のために真水でも沸かしておくか。
人数が多くなったので持ってきていた身の丈ほどの大鍋に湯を沸かす。
湯が沸く間に何か食べられるものでも作っておくとしよう。
特に急いでいるわけでもないのでゆっくりと料理する時間がある。
鍋でご飯を炊くことにしよう。
俺だけだったら収納の指輪に入った炊き立てご飯を食べられるんだけどな。
もうそろそろめんどくさくなってきたので殿や勘九郎君にも俺がチートを与えられた未来人だということを話そうかとたまに思う。
でもなんとなく気恥ずかしいとか、もう少し後でいいかとか怠け者の性が出てしまって話すことができないんだよな。
まあ殿や勘九郎君だけに話したところで、行軍中に堂々とチートが使えるわけではない。
今はこの不便な生活を楽しんでおくことにしよう。
シューシューと湯気が上がる鍋を見ながらそんなことを思った。
このご飯が炊ける匂いも結構好きだし。
はじめチョロチョロ中パッパ、赤子泣いても蓋取るな、だよ。
その通り蓋を取らずに鍋を下ろし、10分ほど蒸らしてご飯が炊き上がる。
この匂いがたまらん。
しゃもじで十字を切るように4等分し、その1つずつをひっくり返して混ぜていく。
少しおこげができていて良い感じに炊けている。
そこにちりめんじゃこを投入。
醤油を少し垂らして混ぜていく。
食べやすい大きさのおにぎりにしていく。
なかなか美味しそうにできた。
今日の昼ご飯はじゃこおにぎりです。
なんか戦国時代だってことを忘れてしまいそう。
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