64 / 131
64.マリアナ諸島ダンジョン化
しおりを挟む
『あいつら海の向こうからやってくる奴らはろくなことをしねえ。どこにいるのかも分からない神を信じろとか言うし、俺達の着るものにすら口を出してくる』
『なるほど。困っているようですね』
『まだあんたを信用したわけではないが、あいつらよりも話が分かるぜ』
チャモロ人たちとの信頼関係は結構築けてきたのではないだろうか。
それもこれも、意思疎通ができるようになったおかげだ。
残念ながら翻訳アイテムではないけどね。
俺が使っているのは思念伝達という魔法。
この魔法を発動して話しかけると、言葉は分からなくても声に乗せられた思念を伝え合うことができる。
全く分からない言語をお互いにしゃべり合っているのに、意思が伝わるというのは不思議な気分だ。
チャモロ人たちも最初話しかけたときは大層驚いていたけれど、彼らの中にもシャーマンのような人がいて呪術や魔術を信じているので受け入れるのは早かった。
今では各部族の族長と対談することが許されている。
この魔法が出るまで粘った甲斐があったというものだ。
おかげで思念伝達の他に新しい魔法を4つも覚えたし。
サンダー、アイスアロー、ヒール、ハイヒールとゲームでおなじみの魔法ばかりだ。
ダブりスクロールもその3倍くらいの数が出ている。
戦国時代にスカイツリーが建つくらいのダンジョンポイントを注ぎ込んでいるのだから、役に立ってもらわないと困るというものだ。
『俺達はこのまま奴らに従うほかにないのだろうか……』
『あなたがたにはまだ選択肢がありますよ』
『選択肢?いったいなんだ。どんな選択肢があるというんだ?』
『俺と、同盟を組みませんか?』
『同盟?』
『そうです。対等な立場で、助け合う。そんな関係を結びませんか?』
『あんたと同盟を結んだからといって奴らを退けられるのか?あんただって島民60そこそこの島の代表でしかないだろうが』
『俺達は一度帝国を退けています』
『なんだって!!それは本当なのか!?いったいどうやって!!』
『あなたがたと今話しているこういった不思議な力を使ってです』
『そうか、魔術だな!たしかにあんたの魔術は大したものだ。この力ならば海の向こうの奴らを退けられてもおかしくはない。しかし俺達を助けてあんたになにか利があるのか?』
『この地は力に満ちています。その力を俺に分けてはくれないでしょうか』
『土地の力を!?たしかに俺達が先祖代々守ってきた聖なる大地ならば力が満ちているだろうが、それをあんたに分けたりしたら土地の力が弱ってしまうのではないか?』
『俺一人が使える力などは大地の力に比べたら一握りの砂のようなものですよ。土地が衰えることはありません』
『そうか。ならばどうか我らの聖なる土地の力であの海の向こうの奴らを退けてほしい。この通りだ』
そう言ってとある一部族の族長は俺に頭を下げた。
詐欺のような謳い文句でまたひとつ、部族が俺の同盟に加わったようだ。
ほとんど嘘はついてないからセーフだよね。
ちゃんとスペインも退けるし問題ないはず。
俺は土地の力を吸うための呪具だとかなんとか言って村の中央あたりにサブコアを埋め込んだ石碑をアースウォールで作成する。
よし、これでここもダンジョンだ。
俺はマリアナ諸島を回り、胡散臭い謳い文句で半分くらいの部族の村にサブコアを置くことに成功した。
あとはダンジョン領域を広げれば、話を聞いてくれなかった部族の村も関係なくダンジョンにすることができる。
ごめんね、でもスペインはこっちでなんとかしておくから許してくれ。
「というわけで、マリアナ諸島から手を引いて欲しいんだ。帝国はフィリピン諸島だけあれば十分じゃないかな。伝兵衛さん、通訳を」
「了解した」
伝兵衛さんは俺の言葉を前総督の孫の青年に伝える。
フィリピンに帰ってほっとしているところにお邪魔して悪いね。
青年は伝兵衛さんの言葉を聞くと頭を抱えて悩みこむ。
やっぱり青年に言ってもだめだったかな。
領土拡大は国の意思だからね。
「山田殿、2、3年は手を出さないこともできるらしいが、将来的にはやはり青年の一存ではどうにもならないようだ」
「そっか。とりあえず2、3年でいいから手を出さないように頼んで。それで、将来の問題は誰に言えばいいのかな」
「さぁ、副王か、国王か、そのあたりではないだろうか。だがそんな人物に気軽に会うことはできんと思うがな」
「いる場所も遠いしね。とりあえず時間はできたから良しとしようか。次の総督が来たらまた交渉するしかないね」
俺は青年にお礼と対価である宝箱から出た金のインゴットを10本ほど渡してフィリピンを去る。
あまり追い詰めすぎてしまうと青年も強硬な策に出るかもしれないからね。
少しは甘い蜜を吸わせておかないと。
次の総督もその作戦でいってみようかな。
最初に恐怖を与え、次に甘い蜜を与える。
これで沖ノ鳥島とフィリピンはずぶずぶの関係だ。
お主も悪よのうとか言っちゃったりして。
行政府のほうはそれでいいと思うんだけど、問題はキリスト教のなんちゃら会とかだよな。
宣教師っていうのは厄介な存在だよ。
金品でなびいてくれる生臭な人たちはまだ扱いやすいんだけど、一部の狂信的な人たちが怖いんだよね。
すでに多くのキリスト教の宣教師たちがグアムに入り込んでいる。
青年の命令で兵は引かせることができても、宣教師たちまで引かせることはできないだろう。
ゴーストでも使って、嫌がらせでもしてみるか。
部屋のドア開けたら中にオーガが仁王立ちしている、とかも面白いかもしれない。
ナイトメアゴーストを使って毎夜毎夜悪夢を見せてやるという案もあるな。
全部やろう。
『なるほど。困っているようですね』
『まだあんたを信用したわけではないが、あいつらよりも話が分かるぜ』
チャモロ人たちとの信頼関係は結構築けてきたのではないだろうか。
それもこれも、意思疎通ができるようになったおかげだ。
残念ながら翻訳アイテムではないけどね。
俺が使っているのは思念伝達という魔法。
この魔法を発動して話しかけると、言葉は分からなくても声に乗せられた思念を伝え合うことができる。
全く分からない言語をお互いにしゃべり合っているのに、意思が伝わるというのは不思議な気分だ。
チャモロ人たちも最初話しかけたときは大層驚いていたけれど、彼らの中にもシャーマンのような人がいて呪術や魔術を信じているので受け入れるのは早かった。
今では各部族の族長と対談することが許されている。
この魔法が出るまで粘った甲斐があったというものだ。
おかげで思念伝達の他に新しい魔法を4つも覚えたし。
サンダー、アイスアロー、ヒール、ハイヒールとゲームでおなじみの魔法ばかりだ。
ダブりスクロールもその3倍くらいの数が出ている。
戦国時代にスカイツリーが建つくらいのダンジョンポイントを注ぎ込んでいるのだから、役に立ってもらわないと困るというものだ。
『俺達はこのまま奴らに従うほかにないのだろうか……』
『あなたがたにはまだ選択肢がありますよ』
『選択肢?いったいなんだ。どんな選択肢があるというんだ?』
『俺と、同盟を組みませんか?』
『同盟?』
『そうです。対等な立場で、助け合う。そんな関係を結びませんか?』
『あんたと同盟を結んだからといって奴らを退けられるのか?あんただって島民60そこそこの島の代表でしかないだろうが』
『俺達は一度帝国を退けています』
『なんだって!!それは本当なのか!?いったいどうやって!!』
『あなたがたと今話しているこういった不思議な力を使ってです』
『そうか、魔術だな!たしかにあんたの魔術は大したものだ。この力ならば海の向こうの奴らを退けられてもおかしくはない。しかし俺達を助けてあんたになにか利があるのか?』
『この地は力に満ちています。その力を俺に分けてはくれないでしょうか』
『土地の力を!?たしかに俺達が先祖代々守ってきた聖なる大地ならば力が満ちているだろうが、それをあんたに分けたりしたら土地の力が弱ってしまうのではないか?』
『俺一人が使える力などは大地の力に比べたら一握りの砂のようなものですよ。土地が衰えることはありません』
『そうか。ならばどうか我らの聖なる土地の力であの海の向こうの奴らを退けてほしい。この通りだ』
そう言ってとある一部族の族長は俺に頭を下げた。
詐欺のような謳い文句でまたひとつ、部族が俺の同盟に加わったようだ。
ほとんど嘘はついてないからセーフだよね。
ちゃんとスペインも退けるし問題ないはず。
俺は土地の力を吸うための呪具だとかなんとか言って村の中央あたりにサブコアを埋め込んだ石碑をアースウォールで作成する。
よし、これでここもダンジョンだ。
俺はマリアナ諸島を回り、胡散臭い謳い文句で半分くらいの部族の村にサブコアを置くことに成功した。
あとはダンジョン領域を広げれば、話を聞いてくれなかった部族の村も関係なくダンジョンにすることができる。
ごめんね、でもスペインはこっちでなんとかしておくから許してくれ。
「というわけで、マリアナ諸島から手を引いて欲しいんだ。帝国はフィリピン諸島だけあれば十分じゃないかな。伝兵衛さん、通訳を」
「了解した」
伝兵衛さんは俺の言葉を前総督の孫の青年に伝える。
フィリピンに帰ってほっとしているところにお邪魔して悪いね。
青年は伝兵衛さんの言葉を聞くと頭を抱えて悩みこむ。
やっぱり青年に言ってもだめだったかな。
領土拡大は国の意思だからね。
「山田殿、2、3年は手を出さないこともできるらしいが、将来的にはやはり青年の一存ではどうにもならないようだ」
「そっか。とりあえず2、3年でいいから手を出さないように頼んで。それで、将来の問題は誰に言えばいいのかな」
「さぁ、副王か、国王か、そのあたりではないだろうか。だがそんな人物に気軽に会うことはできんと思うがな」
「いる場所も遠いしね。とりあえず時間はできたから良しとしようか。次の総督が来たらまた交渉するしかないね」
俺は青年にお礼と対価である宝箱から出た金のインゴットを10本ほど渡してフィリピンを去る。
あまり追い詰めすぎてしまうと青年も強硬な策に出るかもしれないからね。
少しは甘い蜜を吸わせておかないと。
次の総督もその作戦でいってみようかな。
最初に恐怖を与え、次に甘い蜜を与える。
これで沖ノ鳥島とフィリピンはずぶずぶの関係だ。
お主も悪よのうとか言っちゃったりして。
行政府のほうはそれでいいと思うんだけど、問題はキリスト教のなんちゃら会とかだよな。
宣教師っていうのは厄介な存在だよ。
金品でなびいてくれる生臭な人たちはまだ扱いやすいんだけど、一部の狂信的な人たちが怖いんだよね。
すでに多くのキリスト教の宣教師たちがグアムに入り込んでいる。
青年の命令で兵は引かせることができても、宣教師たちまで引かせることはできないだろう。
ゴーストでも使って、嫌がらせでもしてみるか。
部屋のドア開けたら中にオーガが仁王立ちしている、とかも面白いかもしれない。
ナイトメアゴーストを使って毎夜毎夜悪夢を見せてやるという案もあるな。
全部やろう。
3
お気に入りに追加
3,786
あなたにおすすめの小説
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる