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145.ガチ百合エルフ
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「助けていただき、本当にありがとうございました。こちら全てサービスです」
「あはは、ありがとう……」
明らかに俺とエルフの女性だけでは食べられない量の料理がテーブルに所せましと並べられている。
この宿屋の看板娘だという女の子は、完全に俺にお熱のようだ。
自分でもこれ以上ないタイミングだったと思うし、惚れてしまうのも仕方のないことか。
貞操の危機を救ってくれる男の人なんて普通なら物語の中にしか存在していないからな。
それがたとえくたびれたおっさんであってもあまり気にはならないのだろう。
しかし娘さんが俺に色目を使う度にエルフの女性は不機嫌になる。
こっちはこっちで完全に娘さんをロックオンしている。
少し開いた胸元や、丈が短めのスカートから伸びるすらりとした足を舐めるように見ているのがよくわかる。
同じ女性からの視線というのはあまり意識したことがないのか、娘さんは気付く様子もない。
この子の貞操が大丈夫かおじさん心配になってきた。
俺はエルフの女性とお近づきになりたくて、エルフの女性は宿屋の娘さんと一晩にゃんにゃんしたくて、宿屋の娘さんは俺にお熱。
ここでもまた三つ巴か。
今日はよく三つに構える日だ。
「ところで、なんで私が汚らわしい男などと一緒の席に座らなければならないんだ?それも脂ぎったおっさんとな。おっさんなどはこの世で私が一番嫌いな人種だ。頼むから床に這いつくばって犬のように飯を食ってくれないか?」
なぜそこまで言われなければならないのか。
このエルフの男嫌いも極まっているな。
いや、女好きも極まっていそうだが。
言われっぱなしのおっさんではないわ。
「犬のように這いつくばるのは勘弁被りたいな。それよりも、あなたはその仮面でどうやって食事をとるのですか?」
「ふんっ、言われなくとも室内でこのような仮面をいつまでも被っていたくはない」
そう言ってエルフは仮面に手をかける。
おお、ついにエルフの尊顔が拝見できるのか。
エルフは皆美男美女だという。
汚いおっさんだなんだと罵られようと、それはすべてご褒美にすぎないのだ。
頭の後ろで縛っていた紐を解くと、美しい金色の髪がさらりと零れる。
続いて白磁のような肌が、そして意思の強そうな大きな緑色の瞳が見えた。
語彙が乏しくてなんと表現したらいいのかわからないが、ものすごく美形だ。
先ほど床に這いつくばって犬のように飯を食えと言われたのが俺の中でご褒美に変わる。
「ふわぁ、すっごい美人。お客さん、エルフだったんですね」
「ま、まあな。もっと近くで見てもいいぞ」
「髪とかお肌とか、すごい綺麗」
「触ってもいいんだぞ?」
宿屋の娘さんは、初めて間近で見たエルフに軽く興奮しているようだ。
エルフも別の意味で興奮しているが。
俺はエルフの触ってもいいという言葉を自分にも勝手に適用し、エルフの肌にそっと触れようとする。
しかしエルフにギロリと睨まれてしまい諦めた。
ガチ百合は難攻不落だな。
「うわぁ、髪サラサラ。肌すべすべ」
「お、お前の手も、や、やや、柔らかいな」
娘さんがエルフの髪や肌に触れ始めると、エルフはだらしない顔をして娘さんの手を逆に触り始めた。
興奮状態のエルフのアヘ顔がとてもエロくて俺は少し前かがみになった。
そして娘さんがすっと手を離すと玩具を取り上げられた子供のように悲しそうな顔になる。
エルフってもっとクールなイメージがあったけれど、こいつはずいぶんと表情が豊かだな。
「な、なあ。食事はもういいから、部屋に案内してくれないか?」
「すみません。少し量が多かったですよね。私ったら、張り切りすぎちゃった。てへっ」
てへっって本当に言う人を始めて見た。
そしててへっで顔を真っ赤にしてデレデレになる女も始めて見た。
エルフは真っ赤なにやけ面で宿の料理を褒める。
俺もこの宿の料理は美味いと思ったので褒めた。
「本当ですか!?ほとんどお父さんが作ったんですけど、これと、これと、これは私が作りました」
「ああ、その料理もとても美味しかったぞ?」
「お、おじ様はどうでしたか?」
「美味しかったよ。とてもね」
「やった!!」
「ぐぬぬ。私のほうが先に褒めたのに……」
ぐぬぬって言う人も初めて見たな。
「これ、お湯持ってきました。身体を拭くかと思いまして」
「ああ、ありがとう」
部屋に案内された俺は、タバコを吹かし、酒を片手に恋愛小説などを読んでいた。
最高の時間だ。
そこに宿屋の娘さんがお湯を持ってきてくれたのだった。
俺は魔法で身体を綺麗にすることもできるが、娘さんがせっかく持ってきてくれたものなので使わせてもらおうと娘さんが部屋を出ていくのを待った。
しかし待てど暮らせど娘さんは俺の部屋から出ていかない。
なにやら顔を真っ赤にしてもじもじしている。
「あの、お、お背中流しましょうか?」
娘さんからその言葉が出た瞬間、隣の部屋からガタっと音がした。
隣はエルフの部屋である。
あやつめ、盗み聞きしていたらしい。
そしてバタンとドアが開く音。
バタバタと廊下をこちらに向かってくる音。
開け放したままのドアから、エルフが乱入してくる。
「お、おお、おっさん、今から湯あみか。き、奇遇だな。私も今から湯を頼もうと思っていたところだ。お前のような脂ぎったおっさんの前で肌を晒すのは不本意だが、何度も湯を頼むのは気が引けるので仕方がない。一緒に湯を浴びてやろう。だから、その、娘さんや、私の背中も流してはくれまいか」
「え、あ、はい……」
この女、そこまでして宿の娘さんに背中を流してもらいたいか。
「あはは、ありがとう……」
明らかに俺とエルフの女性だけでは食べられない量の料理がテーブルに所せましと並べられている。
この宿屋の看板娘だという女の子は、完全に俺にお熱のようだ。
自分でもこれ以上ないタイミングだったと思うし、惚れてしまうのも仕方のないことか。
貞操の危機を救ってくれる男の人なんて普通なら物語の中にしか存在していないからな。
それがたとえくたびれたおっさんであってもあまり気にはならないのだろう。
しかし娘さんが俺に色目を使う度にエルフの女性は不機嫌になる。
こっちはこっちで完全に娘さんをロックオンしている。
少し開いた胸元や、丈が短めのスカートから伸びるすらりとした足を舐めるように見ているのがよくわかる。
同じ女性からの視線というのはあまり意識したことがないのか、娘さんは気付く様子もない。
この子の貞操が大丈夫かおじさん心配になってきた。
俺はエルフの女性とお近づきになりたくて、エルフの女性は宿屋の娘さんと一晩にゃんにゃんしたくて、宿屋の娘さんは俺にお熱。
ここでもまた三つ巴か。
今日はよく三つに構える日だ。
「ところで、なんで私が汚らわしい男などと一緒の席に座らなければならないんだ?それも脂ぎったおっさんとな。おっさんなどはこの世で私が一番嫌いな人種だ。頼むから床に這いつくばって犬のように飯を食ってくれないか?」
なぜそこまで言われなければならないのか。
このエルフの男嫌いも極まっているな。
いや、女好きも極まっていそうだが。
言われっぱなしのおっさんではないわ。
「犬のように這いつくばるのは勘弁被りたいな。それよりも、あなたはその仮面でどうやって食事をとるのですか?」
「ふんっ、言われなくとも室内でこのような仮面をいつまでも被っていたくはない」
そう言ってエルフは仮面に手をかける。
おお、ついにエルフの尊顔が拝見できるのか。
エルフは皆美男美女だという。
汚いおっさんだなんだと罵られようと、それはすべてご褒美にすぎないのだ。
頭の後ろで縛っていた紐を解くと、美しい金色の髪がさらりと零れる。
続いて白磁のような肌が、そして意思の強そうな大きな緑色の瞳が見えた。
語彙が乏しくてなんと表現したらいいのかわからないが、ものすごく美形だ。
先ほど床に這いつくばって犬のように飯を食えと言われたのが俺の中でご褒美に変わる。
「ふわぁ、すっごい美人。お客さん、エルフだったんですね」
「ま、まあな。もっと近くで見てもいいぞ」
「髪とかお肌とか、すごい綺麗」
「触ってもいいんだぞ?」
宿屋の娘さんは、初めて間近で見たエルフに軽く興奮しているようだ。
エルフも別の意味で興奮しているが。
俺はエルフの触ってもいいという言葉を自分にも勝手に適用し、エルフの肌にそっと触れようとする。
しかしエルフにギロリと睨まれてしまい諦めた。
ガチ百合は難攻不落だな。
「うわぁ、髪サラサラ。肌すべすべ」
「お、お前の手も、や、やや、柔らかいな」
娘さんがエルフの髪や肌に触れ始めると、エルフはだらしない顔をして娘さんの手を逆に触り始めた。
興奮状態のエルフのアヘ顔がとてもエロくて俺は少し前かがみになった。
そして娘さんがすっと手を離すと玩具を取り上げられた子供のように悲しそうな顔になる。
エルフってもっとクールなイメージがあったけれど、こいつはずいぶんと表情が豊かだな。
「な、なあ。食事はもういいから、部屋に案内してくれないか?」
「すみません。少し量が多かったですよね。私ったら、張り切りすぎちゃった。てへっ」
てへっって本当に言う人を始めて見た。
そしててへっで顔を真っ赤にしてデレデレになる女も始めて見た。
エルフは真っ赤なにやけ面で宿の料理を褒める。
俺もこの宿の料理は美味いと思ったので褒めた。
「本当ですか!?ほとんどお父さんが作ったんですけど、これと、これと、これは私が作りました」
「ああ、その料理もとても美味しかったぞ?」
「お、おじ様はどうでしたか?」
「美味しかったよ。とてもね」
「やった!!」
「ぐぬぬ。私のほうが先に褒めたのに……」
ぐぬぬって言う人も初めて見たな。
「これ、お湯持ってきました。身体を拭くかと思いまして」
「ああ、ありがとう」
部屋に案内された俺は、タバコを吹かし、酒を片手に恋愛小説などを読んでいた。
最高の時間だ。
そこに宿屋の娘さんがお湯を持ってきてくれたのだった。
俺は魔法で身体を綺麗にすることもできるが、娘さんがせっかく持ってきてくれたものなので使わせてもらおうと娘さんが部屋を出ていくのを待った。
しかし待てど暮らせど娘さんは俺の部屋から出ていかない。
なにやら顔を真っ赤にしてもじもじしている。
「あの、お、お背中流しましょうか?」
娘さんからその言葉が出た瞬間、隣の部屋からガタっと音がした。
隣はエルフの部屋である。
あやつめ、盗み聞きしていたらしい。
そしてバタンとドアが開く音。
バタバタと廊下をこちらに向かってくる音。
開け放したままのドアから、エルフが乱入してくる。
「お、おお、おっさん、今から湯あみか。き、奇遇だな。私も今から湯を頼もうと思っていたところだ。お前のような脂ぎったおっさんの前で肌を晒すのは不本意だが、何度も湯を頼むのは気が引けるので仕方がない。一緒に湯を浴びてやろう。だから、その、娘さんや、私の背中も流してはくれまいか」
「え、あ、はい……」
この女、そこまでして宿の娘さんに背中を流してもらいたいか。
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