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おっさんずイフ
27.ダンジョン
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「だ、ダンジョンってあんたたちどこで見つけたのよ。町からは出ないように言ってたはずよね」
「「「ぎくり……」」」
「あんたたち!あれほど言ったのに町から出たわね!!」
「まあまあ、ちょっと今は3人の話を聞こう」
大人の俺でもちびりそうなほど恐ろしい顔をしているグウェンをなだめ、子供たちが見つけたというダンジョンの話を聞く。
まあ子供たちもちょっとちびっているから着替えてからにするか。
俺もパンツを替えてくるとする。
「それで、ダンジョンってどこにあったんだい?」
「俺たちが小舟でこの島に着いたときに見えた岩場だよ」
「大人は入れないような狭い岩の割れ目に入ったら、中に広い空間があったんだ」
「前にグウェン先生に連れて行ってもらったダンジョンの入り口に似た感じがしたから……」
なるほど、それでその空間がダンジョンへの入り口だとわかったというわけか。
あんな人里から近い場所にダンジョンがあってもこの島の人が気が付かなかったのは、子供しか入れないような狭い場所だったからだな。
「ダンジョンには入ってないでしょうね」
「それは大丈夫。メイが危険だっていうから帰ってきたんだ。それでおっさんたちに教えてあげようかなって」
メイちゃんはグウェンに師事しているだけあってダンジョンの危険性を知っていたのかもしれない。
グウェンの話によればダンジョンには1階層から強い魔物が湧いて凶悪な罠が仕掛けられているような難易度の高いものもあるそうだ。
そういうダンジョンはごく稀らしいけど、3人が見つけたダンジョンがそのようなダンジョンでない保証はない。
入口だけ見て帰ってきたのはいい判断だ。
「ふーん、まあ勝手に町の外に出たのはお尻ぺんぺん案件だけど、ダンジョンを見つけてきてくれたことで相殺してあげるわ」
「「「わーい」」」
「次はないわよ。お尻が腫れ上がるまでぺんぺんするからね」
「「「は、はーい……」」」
あのでかい手でお尻をぺんぺんなどされた日には一叩きで腫れ上がりそうだ。
思わず俺も尻を押さえてしまう。
「シゲちゃん、これは神の采配ね。ダンジョンに行くわよ。そこで神器を手に入れるの」
ダンジョンに潜り、そこで神器を手に入れる。
そうすれば俺の攻撃手段が少ないという問題を打開できるかもしれないな。
グウェンのように強くてかっこいい神器を手に入れたい。
「ここね。はっ!!」
グウェンの拳によって岩盤が破壊され、子供しか入れないようなひび割れが大きく広がる。
これなら大人でもなんとか入れそうだ。
グウェンはその大きな体を器用に丸めて狭い穴の中に入っていく。
しかし狭いのは入口だけで、中はグウェンが手を広げても天井や壁に当たらないほど広かった。
「ダンジョンに間違いなさそうね」
自然にできたものとは思えないほどに滑らかな床や天井が広がり、明らかに人工物の階段が口を広げている。
これがダンジョンというものなのか。
神が作ったものなのかそれとも高度な技術を持った古代文明の遺産なのか、そのへんはよくわかってはいないようだけれど、ダンジョンはこの世界の各地に存在しているらしい。
中にはここのようにその存在を知られていないダンジョンというものもある。
ダンジョンには初めて入った人しか手に入れることのできない初回攻略特典のようなアイテムも存在しているために、こういったダンジョンはおいしいのだという。
このダンジョンに過去誰もチャレンジしていないのならば、良い神器も期待できる。
「シゲちゃんにとっては初めてのダンジョンだから色々教えてあげたいんだけど、ちょっと今は時間がないのよね。残念だけどごり押しで進むわ」
それだけ言うとグウェンは右手に【竜神の牙剣(光)】を具現化させ、ダンジョンに向かって魔力攻撃を撃ち込んだ。
生き物の目のように見える水晶玉から湾曲する光線が幾筋も放たれ、ダンジョンの入り口に吸い込まれていく。
次の瞬間ダンジョンの中で大爆発が起き、轟音と熱波が押し寄せる。
「こ、こんなことしても大丈夫なの?」
「大丈夫よ。これで大抵の罠も魔物も木っ端微塵になるからあら熱が取れたら行くわよ」
5分ほどすると、ダンジョンの復元作用なのか入口から感じられる熱が幾分かマシになってきた。
まだ少し熱そうだが、グウェンはいけると判断したようで鎧をガチャガチャ言わせながら入っていく。
俺の装備は手に三又の銛を持っているくらいで、鎧もなにもつけていない。
身体に纏うのは修業によって薄汚れたトーガのような一枚布。
こんな装備でいいのかなと思いながらも、グウェンに置いて行かれないようについていく。
「あっついわね。ちょっと撃ちすぎちゃったかしら。この広さの迷宮タイプなら1階層につき1発でよかったわ」
入口の階段を下りると、そこは階層全体が焼かれた無残な建造物だった。
落とし穴の蓋は焼け落ち、矢や槍が飛んでくる罠だったであろう物体は炭になっている。
宝箱のようなものがボロボロと崩れ落ち、中から溶けた金が出てきた。
初めて見たけれど、竜神の牙剣の火力はとんでもないものだ。
使いどころの難しそうな神器だ。
「これ金貨か何か入っていたんでしょうけど、溶けちゃってるわね。まあ金は地金でも高く売れるし、回収しときましょうか」
グウェンは溶けた熱々の金に水筒の水をかけて固め、空間魔法が付与されているというマジックアイテムのバッグにしまった。
「時間がないんだから、どんどん行くわよ」
オネエによるエクストリームダンジョン攻略は続く。
「「「ぎくり……」」」
「あんたたち!あれほど言ったのに町から出たわね!!」
「まあまあ、ちょっと今は3人の話を聞こう」
大人の俺でもちびりそうなほど恐ろしい顔をしているグウェンをなだめ、子供たちが見つけたというダンジョンの話を聞く。
まあ子供たちもちょっとちびっているから着替えてからにするか。
俺もパンツを替えてくるとする。
「それで、ダンジョンってどこにあったんだい?」
「俺たちが小舟でこの島に着いたときに見えた岩場だよ」
「大人は入れないような狭い岩の割れ目に入ったら、中に広い空間があったんだ」
「前にグウェン先生に連れて行ってもらったダンジョンの入り口に似た感じがしたから……」
なるほど、それでその空間がダンジョンへの入り口だとわかったというわけか。
あんな人里から近い場所にダンジョンがあってもこの島の人が気が付かなかったのは、子供しか入れないような狭い場所だったからだな。
「ダンジョンには入ってないでしょうね」
「それは大丈夫。メイが危険だっていうから帰ってきたんだ。それでおっさんたちに教えてあげようかなって」
メイちゃんはグウェンに師事しているだけあってダンジョンの危険性を知っていたのかもしれない。
グウェンの話によればダンジョンには1階層から強い魔物が湧いて凶悪な罠が仕掛けられているような難易度の高いものもあるそうだ。
そういうダンジョンはごく稀らしいけど、3人が見つけたダンジョンがそのようなダンジョンでない保証はない。
入口だけ見て帰ってきたのはいい判断だ。
「ふーん、まあ勝手に町の外に出たのはお尻ぺんぺん案件だけど、ダンジョンを見つけてきてくれたことで相殺してあげるわ」
「「「わーい」」」
「次はないわよ。お尻が腫れ上がるまでぺんぺんするからね」
「「「は、はーい……」」」
あのでかい手でお尻をぺんぺんなどされた日には一叩きで腫れ上がりそうだ。
思わず俺も尻を押さえてしまう。
「シゲちゃん、これは神の采配ね。ダンジョンに行くわよ。そこで神器を手に入れるの」
ダンジョンに潜り、そこで神器を手に入れる。
そうすれば俺の攻撃手段が少ないという問題を打開できるかもしれないな。
グウェンのように強くてかっこいい神器を手に入れたい。
「ここね。はっ!!」
グウェンの拳によって岩盤が破壊され、子供しか入れないようなひび割れが大きく広がる。
これなら大人でもなんとか入れそうだ。
グウェンはその大きな体を器用に丸めて狭い穴の中に入っていく。
しかし狭いのは入口だけで、中はグウェンが手を広げても天井や壁に当たらないほど広かった。
「ダンジョンに間違いなさそうね」
自然にできたものとは思えないほどに滑らかな床や天井が広がり、明らかに人工物の階段が口を広げている。
これがダンジョンというものなのか。
神が作ったものなのかそれとも高度な技術を持った古代文明の遺産なのか、そのへんはよくわかってはいないようだけれど、ダンジョンはこの世界の各地に存在しているらしい。
中にはここのようにその存在を知られていないダンジョンというものもある。
ダンジョンには初めて入った人しか手に入れることのできない初回攻略特典のようなアイテムも存在しているために、こういったダンジョンはおいしいのだという。
このダンジョンに過去誰もチャレンジしていないのならば、良い神器も期待できる。
「シゲちゃんにとっては初めてのダンジョンだから色々教えてあげたいんだけど、ちょっと今は時間がないのよね。残念だけどごり押しで進むわ」
それだけ言うとグウェンは右手に【竜神の牙剣(光)】を具現化させ、ダンジョンに向かって魔力攻撃を撃ち込んだ。
生き物の目のように見える水晶玉から湾曲する光線が幾筋も放たれ、ダンジョンの入り口に吸い込まれていく。
次の瞬間ダンジョンの中で大爆発が起き、轟音と熱波が押し寄せる。
「こ、こんなことしても大丈夫なの?」
「大丈夫よ。これで大抵の罠も魔物も木っ端微塵になるからあら熱が取れたら行くわよ」
5分ほどすると、ダンジョンの復元作用なのか入口から感じられる熱が幾分かマシになってきた。
まだ少し熱そうだが、グウェンはいけると判断したようで鎧をガチャガチャ言わせながら入っていく。
俺の装備は手に三又の銛を持っているくらいで、鎧もなにもつけていない。
身体に纏うのは修業によって薄汚れたトーガのような一枚布。
こんな装備でいいのかなと思いながらも、グウェンに置いて行かれないようについていく。
「あっついわね。ちょっと撃ちすぎちゃったかしら。この広さの迷宮タイプなら1階層につき1発でよかったわ」
入口の階段を下りると、そこは階層全体が焼かれた無残な建造物だった。
落とし穴の蓋は焼け落ち、矢や槍が飛んでくる罠だったであろう物体は炭になっている。
宝箱のようなものがボロボロと崩れ落ち、中から溶けた金が出てきた。
初めて見たけれど、竜神の牙剣の火力はとんでもないものだ。
使いどころの難しそうな神器だ。
「これ金貨か何か入っていたんでしょうけど、溶けちゃってるわね。まあ金は地金でも高く売れるし、回収しときましょうか」
グウェンは溶けた熱々の金に水筒の水をかけて固め、空間魔法が付与されているというマジックアイテムのバッグにしまった。
「時間がないんだから、どんどん行くわよ」
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