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おっさんずイフ
24.オネエの神器
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「じゃあ神器についての前知識はここまでにして、あたしの神器を見せるわね」
「お願いします」
グウェンはその長く太い腕を水平に伸ばす。
するとその量の手のひらに光の粒子が集まり、2本の巨大な剣が具現化する。
両方ともに大人の背丈を凌駕するような長大な剣だが、その見た目の印象は真逆だ。
1本は真っすぐ伸びた漆黒の刀身をしており、切っ先まで四角くなっている。
鋭そうな刃はついているものの、その用途は超重量によって圧し切るというギロチンのようなものに思える。
もう1本は見たことのないほどに複雑な形状をした真っ白な剣だ。
少し湾曲した刀身は半ばほどで2又に分かれており、その内側にはギザギザの牙のような突起が突き出ている。
側面には丸い水晶玉のようなものが等間隔で埋め込まれており、怪しく光っているように見える。
シルエットだけ見たら口を開けた生き物のようで少し気味が悪い剣だ。
「こっちの四角いほうが【幽鬼の巨剣】。能力は物質透過能力よ。切りたいものだけを切ることができるの。どんなに硬い表皮に覆われた魔物もあたしの前では柔らかい内臓むき出しよ」
単純だが恐ろしい能力だ。
どんな生き物でも弱点というものがあるものだ。
昆虫だって貝類だって爬虫類だって、内臓まで殻や外骨格、鱗のように硬くすることはできない。
そんなことをすれば植物のように身動きができなくなってしまうからだ。
あの剣にはそういった生き物の外側の硬い部分を無視して柔らかい部分を直接切る能力があるのだ。
人間が纏った防具の類も同じだろう。
このオネエの前にはどんな鎧も裸同然だ。
重たそうだし使い手を選びそうな神器だけど、使いこなせれば無敵といっても過言ではなさそうだ。
「そんでもってこっちの禍々しいのが【神龍の牙剣(光)】よ。これはあたしも使いこなせているとは言い難いんだけど、とにかく強力な魔力攻撃を放てるわ。光に関するものだけだけどね」
「魔力攻撃?魔法とは違うんですか?」
「ええ。魔法は魔力で魔法陣を描いて使うでしょ?でもこれは魔力を込めるだけで自由自在に光を操れるのよ。威力が高すぎて扱いが難しいんだけどね。こう見えてもあたし魔力の扱いには自信があるのよ。そんなあたしでも思い切り放つかちょっと手加減するかくらいの調整しかできないのよ。まったくじゃじゃ馬ね」
こちらはなかなかにピーキーな神器のようだ。
しかし遠距離攻撃というのは戦いにおいてかなりアドバンテージになる。
離れれば破壊光線が飛んできて、近づけば防御無視の斬撃が来る。
最強の組み合わせかもしれない。
斬撃をすべて避けるか破壊光線に耐えるしかこのオネエに勝つ方法はないのだ。
並みの使い手相手だったらそれも可能かもしれないが、最強の神器を使うのは屈強なオネエだ。
身長は2メートルを超え、アゴはケツのように割れている。
神器なんてなくても強いと顔に書いてあるようなものじゃないか。
「さ、シゲちゃんの神器も見せて。別に全部じゃなくてもいいから」
「いや、全部見せるよ。こんな強そうな神器を見せてもらった後じゃあそんなに大したものに見えないかもしれないけど、俺は結構気に入ってるんだ」
俺は神巻きタバコ、神酒を具現化させ、神樹の若木の植わった植木鉢を異空間から取り出した。
「葉巻に、お酒に、木?うふふ、シゲちゃんらしいわね」
君と会ったのは昨日のはずなんだけどな。
俺らしさをオネエに見抜かれてしまってなんとなく気恥ずかしい。
まあ1回酒を酌み交わせば見えてくるものもあるか。
俺もこのオネエが結構おせっかい焼きの良い人で男の好みは面食いだってことがわかったよ。
エルフみたいに整った顔の16歳くらいの男が好きなんだって。
なかなかに業が深い。
「とりあえずわかっていることは、神巻きタバコは身体能力とか頭の回転とかを何十倍にも増幅してくれる。神酒は飲むと健康になる。神樹の実は2週間に1度くらい木の実が成って、その実を食べると1個魔法を使えるようになる」
「どれもすごく使えそうな能力ね。それにね、これは冒険者の間の俗説なんだけど、名前に神の名を冠した神器はかなりぶっ壊れ性能のものが多いの。あたしの神龍の牙剣もまだまだ底が知れないところがあるわ」
神器の名前か。
そんなことは思いもしなかった。
けれど確かに、俺の持っている神器の名前にはすべて神の文字が入っている。
あのサイコパスな女神が言っていたことと合わせると、神の文字が入っている神器がアタリなんだろうか。
もちろん神器の能力は使い方の工夫や複数の神器の組み合わせによっても変わるし、そもそも本人の求めるものの違いによってその人にとってのアタリハズレというのは異なる。
だが神器単品の能力の出力についてのアタリハズレで言ったら、神と名のつく神器はアタリの可能性が高い。
「この3つの神器、もっと詳しく能力を検証してみたほうがいいのかもしれない」
「そうね。まずはそこから始めましょう。神器だけでなく、シゲちゃん自身の力も確かめる必要があるわ。1個1個自分にできることを確認していきましょう」
「改めて指導よろしくお願いします」
「もう堅いわねえ。男が固くするのはベッドの上だけでいいのよ」
最低の下ネタで台無しだ。
「お願いします」
グウェンはその長く太い腕を水平に伸ばす。
するとその量の手のひらに光の粒子が集まり、2本の巨大な剣が具現化する。
両方ともに大人の背丈を凌駕するような長大な剣だが、その見た目の印象は真逆だ。
1本は真っすぐ伸びた漆黒の刀身をしており、切っ先まで四角くなっている。
鋭そうな刃はついているものの、その用途は超重量によって圧し切るというギロチンのようなものに思える。
もう1本は見たことのないほどに複雑な形状をした真っ白な剣だ。
少し湾曲した刀身は半ばほどで2又に分かれており、その内側にはギザギザの牙のような突起が突き出ている。
側面には丸い水晶玉のようなものが等間隔で埋め込まれており、怪しく光っているように見える。
シルエットだけ見たら口を開けた生き物のようで少し気味が悪い剣だ。
「こっちの四角いほうが【幽鬼の巨剣】。能力は物質透過能力よ。切りたいものだけを切ることができるの。どんなに硬い表皮に覆われた魔物もあたしの前では柔らかい内臓むき出しよ」
単純だが恐ろしい能力だ。
どんな生き物でも弱点というものがあるものだ。
昆虫だって貝類だって爬虫類だって、内臓まで殻や外骨格、鱗のように硬くすることはできない。
そんなことをすれば植物のように身動きができなくなってしまうからだ。
あの剣にはそういった生き物の外側の硬い部分を無視して柔らかい部分を直接切る能力があるのだ。
人間が纏った防具の類も同じだろう。
このオネエの前にはどんな鎧も裸同然だ。
重たそうだし使い手を選びそうな神器だけど、使いこなせれば無敵といっても過言ではなさそうだ。
「そんでもってこっちの禍々しいのが【神龍の牙剣(光)】よ。これはあたしも使いこなせているとは言い難いんだけど、とにかく強力な魔力攻撃を放てるわ。光に関するものだけだけどね」
「魔力攻撃?魔法とは違うんですか?」
「ええ。魔法は魔力で魔法陣を描いて使うでしょ?でもこれは魔力を込めるだけで自由自在に光を操れるのよ。威力が高すぎて扱いが難しいんだけどね。こう見えてもあたし魔力の扱いには自信があるのよ。そんなあたしでも思い切り放つかちょっと手加減するかくらいの調整しかできないのよ。まったくじゃじゃ馬ね」
こちらはなかなかにピーキーな神器のようだ。
しかし遠距離攻撃というのは戦いにおいてかなりアドバンテージになる。
離れれば破壊光線が飛んできて、近づけば防御無視の斬撃が来る。
最強の組み合わせかもしれない。
斬撃をすべて避けるか破壊光線に耐えるしかこのオネエに勝つ方法はないのだ。
並みの使い手相手だったらそれも可能かもしれないが、最強の神器を使うのは屈強なオネエだ。
身長は2メートルを超え、アゴはケツのように割れている。
神器なんてなくても強いと顔に書いてあるようなものじゃないか。
「さ、シゲちゃんの神器も見せて。別に全部じゃなくてもいいから」
「いや、全部見せるよ。こんな強そうな神器を見せてもらった後じゃあそんなに大したものに見えないかもしれないけど、俺は結構気に入ってるんだ」
俺は神巻きタバコ、神酒を具現化させ、神樹の若木の植わった植木鉢を異空間から取り出した。
「葉巻に、お酒に、木?うふふ、シゲちゃんらしいわね」
君と会ったのは昨日のはずなんだけどな。
俺らしさをオネエに見抜かれてしまってなんとなく気恥ずかしい。
まあ1回酒を酌み交わせば見えてくるものもあるか。
俺もこのオネエが結構おせっかい焼きの良い人で男の好みは面食いだってことがわかったよ。
エルフみたいに整った顔の16歳くらいの男が好きなんだって。
なかなかに業が深い。
「とりあえずわかっていることは、神巻きタバコは身体能力とか頭の回転とかを何十倍にも増幅してくれる。神酒は飲むと健康になる。神樹の実は2週間に1度くらい木の実が成って、その実を食べると1個魔法を使えるようになる」
「どれもすごく使えそうな能力ね。それにね、これは冒険者の間の俗説なんだけど、名前に神の名を冠した神器はかなりぶっ壊れ性能のものが多いの。あたしの神龍の牙剣もまだまだ底が知れないところがあるわ」
神器の名前か。
そんなことは思いもしなかった。
けれど確かに、俺の持っている神器の名前にはすべて神の文字が入っている。
あのサイコパスな女神が言っていたことと合わせると、神の文字が入っている神器がアタリなんだろうか。
もちろん神器の能力は使い方の工夫や複数の神器の組み合わせによっても変わるし、そもそも本人の求めるものの違いによってその人にとってのアタリハズレというのは異なる。
だが神器単品の能力の出力についてのアタリハズレで言ったら、神と名のつく神器はアタリの可能性が高い。
「この3つの神器、もっと詳しく能力を検証してみたほうがいいのかもしれない」
「そうね。まずはそこから始めましょう。神器だけでなく、シゲちゃん自身の力も確かめる必要があるわ。1個1個自分にできることを確認していきましょう」
「改めて指導よろしくお願いします」
「もう堅いわねえ。男が固くするのはベッドの上だけでいいのよ」
最低の下ネタで台無しだ。
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