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108.腐竜2
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腐竜はメチャクチャ強い。
厄介なブレスもまだ出してないのに、俺は超絶ピンチに陥っていた。
おびただしい数のミサイルと銃弾、光弾が俺に向かって放たれた。
その1発1発が急所に当たれば俺を死に至らせる威力を秘めた攻撃だ。
俺は触腕を伸ばし、正中線を守りながら神酒を煽った。
正面から戦いを挑んだのはやはり無謀だったかもしれない。
魔法で障害物を作り、それに隠れながら戦うことにしよう。
俺は発動に慣れた土壁の魔法を使う。
なるべく分厚く、硬い壁を幾重にも重ねて障害物とする。
それはもはや土壁というよりも真四角の岩の塊だった。
ドロドロにぬかるんだ湿地フィールドは、一瞬にしてビルのような大きさの岩塊が乱立する岩の密林となった。
岩塊に隠れながら、腐竜の気配を探る。
腐竜はほとんど最初の位置から動かずに俺を攻撃していたのだが、ここにきてやっとその太い足を踏み出して動き出した。
メタリックな見た目の通り、その体重は相当重たいようでドシドシと地響きのような足音がする。
鋭い足の爪を地面に食い込ませながら見た目からは想像もつかないほど軽快に動き、俺が魔法でどんどん増やしている岩塊を片っ端から引き裂き打ち砕く。
岩の残骸や砂埃により、足場も視界もどんどん悪くなる。
おまけに天気は下り坂のようで、強い酸性の雨がふりはじめた。
腐竜はこの階層の魔物なので当然酸性の雨にうたれてもそのメタリックなボディは少しのくもりも無い。
だが肉がむき出しになった胸から腹あたりは雨が染みているようで、シューシューと煙が出ている。
強酸の雨に焼かれているのだろう。
俺も風魔法の結界が無ければ肌を焼かれていただろう。
過酷な環境に強い魔物、Sランクダンジョンの深層というのは一筋縄ではいかないな。
俺は岩塊の隙間を逃げながら、腐竜に通用する攻撃を考える。
あの胸の傷の部分ならば、おそらく水精の短剣による水の弾丸が通用する。
しかし胸部への攻撃は、腐竜の素材の中で一番価値のある心臓を傷めかねない。
だとすれば、装甲の剥がれていない胸部以外を攻撃しなければならないことになる。
さっきの雷魔法の手応えから考えるに、特級魔法くらいしか効きそうにない。
しかし遠距離攻撃の魔法は発動に時間がかかるものばかりだ。
かといって分子間結合力消滅ブレードのような魔法は、あのミサイルやら機銃やらの攻撃をかいくぐって接近しなければ攻撃することができない。
ならば、罠を使うか。
俺は魔法で巨大な落とし穴を掘る。
腐竜が10体入れるくらい大きなやつだ。
そこにネバネバ魔法を使う。
大量のネバネバが穴に注ぎ込まれ、ハマったら抜け出すことのできない地獄のローション風呂が完成した。
問題はどうやってここに腐竜を落とすかということだ。
腐竜は視覚情報にあまり頼っていないのか、視界の悪いこの状況でも正確に俺の位置を把握してミサイルや機銃で岩塊を破壊しながら進んできている。
センサーの類いで俺の位置を割り出しているのならば、地面の下の空洞などは簡単に見つかってしまうだろう。
やはりここは力づくで蹴り入れるしかない。
俺は逃げるのをやめ、岩塊の上に登る。
そこに飛んでくるミサイルを、触腕のひと振りで爆発させる。
爆発したミサイルの破片が俺の身体をグサグサと傷つけるが、触腕には傷一つない。
神器なだけあって、神の触腕はかなり頑丈にできている。
俺の背中から生えている6本の触腕のうち、2本は竜殺しの剣と水精の短剣を振るうのに使っている。
残った4本の触腕を、俺は自分の身体に巻き付けた。
即席の防弾チョッキだ。
俺の身体にぐるぐると巻き付いた肉の綱に、腐竜の機銃攻撃がぶち当たる。
柔らかくて弾力のある触腕は、腐竜の放つ銃弾の衝撃をほとんど吸収してしまった。
ちょっとボクシングかじった人のパンチくらいの衝撃しか身体には伝わって来ない。
見た目が肉肉しくてグロテスクなのを我慢すれば、腐竜の放つ強力な銃弾や光弾をも防ぐことのできるハイパフォーマンスな装備だ。
防御を即席防弾チョッキに任せ、俺は障害物と障害物の間をひた走る。
防弾チョッキのおかげで防御に裂く脳みそのキャパシティを攻撃に使うことができた。
一番素早く発動できる上級の攻撃魔法であるウィンドブラストという魔法を腐竜にめがけて連射する。
ウィンドブラストは圧縮空気を高速で放つ魔法だ。
岩くらいなら破壊できる威力があるが、腐竜のボディにはやはり全く効果はない。
しかしその衝撃までは無視することはできないようで、腐竜はウィンドブラストを食らうたびに少しだけふらつく。
俺は障害物の間を走り回り、ウィンドブラストを撃ちまくった。
特に足だ。
足を中心に狙う。
腐竜の巨体を支えているのは2本の足。
当然足は装甲も分厚くなっているだろうが、何も破壊が目的ではない。
地面に食い込んだその尖い爪を地面から外すことができれば、俺の力でも腐竜を引きずり倒すことができると思ったのだ。
腐竜は俺の執拗な足狙いに鬱陶しくなったのか、口を大きく開いた。
まずい、これはブレスの予備動作だ。
俺はあらかじめ準備しておいた魔道具を発動させる。
次の瞬間、白いガスのようなブレスが腐竜の口から放たれた。
このブレスは本当に危険だ。
浴びれば一瞬で身体が腐り落ちて死に至る。
神酒で治療することもできるかもしれないが、飲むのが遅れれば即死だ。
絶対に浴びるわけにはいかない。
魔道具によって俺は強固な結界の中に閉じこもり、ブレス攻撃が終わるのを待つ。
視界に入るすべての物が風化していく。
どうやら有機物も無機物も関係なく風化させてしまうブレスのようだ。
魔法なのか、科学なのか。
それとも両方が合わさった技術なのか。
腐竜のブレスを浴びたすべてのものが砂と化して崩れ落ちた。
残ったのは俺と腐竜、フィールドに最初から存在していた建物だけ。
ふりだしに戻ってしまった。
厄介なブレスもまだ出してないのに、俺は超絶ピンチに陥っていた。
おびただしい数のミサイルと銃弾、光弾が俺に向かって放たれた。
その1発1発が急所に当たれば俺を死に至らせる威力を秘めた攻撃だ。
俺は触腕を伸ばし、正中線を守りながら神酒を煽った。
正面から戦いを挑んだのはやはり無謀だったかもしれない。
魔法で障害物を作り、それに隠れながら戦うことにしよう。
俺は発動に慣れた土壁の魔法を使う。
なるべく分厚く、硬い壁を幾重にも重ねて障害物とする。
それはもはや土壁というよりも真四角の岩の塊だった。
ドロドロにぬかるんだ湿地フィールドは、一瞬にしてビルのような大きさの岩塊が乱立する岩の密林となった。
岩塊に隠れながら、腐竜の気配を探る。
腐竜はほとんど最初の位置から動かずに俺を攻撃していたのだが、ここにきてやっとその太い足を踏み出して動き出した。
メタリックな見た目の通り、その体重は相当重たいようでドシドシと地響きのような足音がする。
鋭い足の爪を地面に食い込ませながら見た目からは想像もつかないほど軽快に動き、俺が魔法でどんどん増やしている岩塊を片っ端から引き裂き打ち砕く。
岩の残骸や砂埃により、足場も視界もどんどん悪くなる。
おまけに天気は下り坂のようで、強い酸性の雨がふりはじめた。
腐竜はこの階層の魔物なので当然酸性の雨にうたれてもそのメタリックなボディは少しのくもりも無い。
だが肉がむき出しになった胸から腹あたりは雨が染みているようで、シューシューと煙が出ている。
強酸の雨に焼かれているのだろう。
俺も風魔法の結界が無ければ肌を焼かれていただろう。
過酷な環境に強い魔物、Sランクダンジョンの深層というのは一筋縄ではいかないな。
俺は岩塊の隙間を逃げながら、腐竜に通用する攻撃を考える。
あの胸の傷の部分ならば、おそらく水精の短剣による水の弾丸が通用する。
しかし胸部への攻撃は、腐竜の素材の中で一番価値のある心臓を傷めかねない。
だとすれば、装甲の剥がれていない胸部以外を攻撃しなければならないことになる。
さっきの雷魔法の手応えから考えるに、特級魔法くらいしか効きそうにない。
しかし遠距離攻撃の魔法は発動に時間がかかるものばかりだ。
かといって分子間結合力消滅ブレードのような魔法は、あのミサイルやら機銃やらの攻撃をかいくぐって接近しなければ攻撃することができない。
ならば、罠を使うか。
俺は魔法で巨大な落とし穴を掘る。
腐竜が10体入れるくらい大きなやつだ。
そこにネバネバ魔法を使う。
大量のネバネバが穴に注ぎ込まれ、ハマったら抜け出すことのできない地獄のローション風呂が完成した。
問題はどうやってここに腐竜を落とすかということだ。
腐竜は視覚情報にあまり頼っていないのか、視界の悪いこの状況でも正確に俺の位置を把握してミサイルや機銃で岩塊を破壊しながら進んできている。
センサーの類いで俺の位置を割り出しているのならば、地面の下の空洞などは簡単に見つかってしまうだろう。
やはりここは力づくで蹴り入れるしかない。
俺は逃げるのをやめ、岩塊の上に登る。
そこに飛んでくるミサイルを、触腕のひと振りで爆発させる。
爆発したミサイルの破片が俺の身体をグサグサと傷つけるが、触腕には傷一つない。
神器なだけあって、神の触腕はかなり頑丈にできている。
俺の背中から生えている6本の触腕のうち、2本は竜殺しの剣と水精の短剣を振るうのに使っている。
残った4本の触腕を、俺は自分の身体に巻き付けた。
即席の防弾チョッキだ。
俺の身体にぐるぐると巻き付いた肉の綱に、腐竜の機銃攻撃がぶち当たる。
柔らかくて弾力のある触腕は、腐竜の放つ銃弾の衝撃をほとんど吸収してしまった。
ちょっとボクシングかじった人のパンチくらいの衝撃しか身体には伝わって来ない。
見た目が肉肉しくてグロテスクなのを我慢すれば、腐竜の放つ強力な銃弾や光弾をも防ぐことのできるハイパフォーマンスな装備だ。
防御を即席防弾チョッキに任せ、俺は障害物と障害物の間をひた走る。
防弾チョッキのおかげで防御に裂く脳みそのキャパシティを攻撃に使うことができた。
一番素早く発動できる上級の攻撃魔法であるウィンドブラストという魔法を腐竜にめがけて連射する。
ウィンドブラストは圧縮空気を高速で放つ魔法だ。
岩くらいなら破壊できる威力があるが、腐竜のボディにはやはり全く効果はない。
しかしその衝撃までは無視することはできないようで、腐竜はウィンドブラストを食らうたびに少しだけふらつく。
俺は障害物の間を走り回り、ウィンドブラストを撃ちまくった。
特に足だ。
足を中心に狙う。
腐竜の巨体を支えているのは2本の足。
当然足は装甲も分厚くなっているだろうが、何も破壊が目的ではない。
地面に食い込んだその尖い爪を地面から外すことができれば、俺の力でも腐竜を引きずり倒すことができると思ったのだ。
腐竜は俺の執拗な足狙いに鬱陶しくなったのか、口を大きく開いた。
まずい、これはブレスの予備動作だ。
俺はあらかじめ準備しておいた魔道具を発動させる。
次の瞬間、白いガスのようなブレスが腐竜の口から放たれた。
このブレスは本当に危険だ。
浴びれば一瞬で身体が腐り落ちて死に至る。
神酒で治療することもできるかもしれないが、飲むのが遅れれば即死だ。
絶対に浴びるわけにはいかない。
魔道具によって俺は強固な結界の中に閉じこもり、ブレス攻撃が終わるのを待つ。
視界に入るすべての物が風化していく。
どうやら有機物も無機物も関係なく風化させてしまうブレスのようだ。
魔法なのか、科学なのか。
それとも両方が合わさった技術なのか。
腐竜のブレスを浴びたすべてのものが砂と化して崩れ落ちた。
残ったのは俺と腐竜、フィールドに最初から存在していた建物だけ。
ふりだしに戻ってしまった。
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