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4.オークキング
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今日も今日とて僕は集落を襲います。
人間の集落ではないので安心してください。
今日はようやく見つけたコボルトの集落です。
よし、空から行ってみよう。
空を自由に飛ぶ魔法は残念ながら使えなかったけれど、ただぶっ飛ぶだけの魔法なら簡単だ。
僕は自分の身体に風の砲弾のような魔法をぶち当ててテイクオフする。
「ヒャッハー」
まさか空から謎のトレントが降ってくるとは思うまい。
集落の中心部にドシンと降り立った僕は無双を開始する。
コボルトはグルルルウッと唸ってすごい威嚇してくる。
コボルトというモンスターは2足歩行する犬のようなモンスターだけれど、その顔は全然可愛くなく、どちらかといえば狂犬というような、恐ろしい顔をしている。
可愛かったら殺すのを躊躇してしまいそうだから、よかったのかもしれない。
僕はいつものように2足歩行するのに余った根を総動員してコボルトを串刺しにしていく。
順調に平コボルトを殲滅していると、奥のほうから魔剣っぽいものを持った屈強なコボルトが出てきた。
待ってました!
やっぱり生命力的にも魔力的にもおいしいのは上位種ですよ。
しかも魔剣持ってます。ネギっすよ、鴨がネギ背負ってますよ。
その上位種が出てくると、僕に群がっていたコボルトたちがさっと引いていく。
ほう、1対1の真剣勝負をお望みですか。嫌いじゃないよ、そういうの。
ただ、群れを率いるものとしては危機察知能力に欠けていると僕は思うけどね。
こんな森の浅い場所で、ちょっと魔剣を手に入れたからといって、自分に勝てるものなんていないとか思っちゃったのかな。
でも魔剣なんて持ったところで、コボルトを超える存在になったわけではない。
その証拠に、今も目の前のこいつは僕の樹皮を必死に魔剣で叩いているけれども一向に切れる兆しは見えない。
僕も魔剣吸収してるからね。やっぱりモンスターたるもの常に自分を磨かなくちゃ。
ごめんね。無駄に意識だけ高くていつまでも結婚できないキャリアウーマンみたいなこと言っちゃったね。
上位種が出てきたときは兄貴やっちゃってくださいみたいな顔していた平コボルトたちが段々絶望に満ちた顔になってきた。
そろそろ終わりにしよう。
僕は根を一振りして目の前の上位種の首を刎ね、同時に平コボルトたちの殲滅を再開した。
すべてが終わり、コボルト達と魔剣を吸収し、武器やお宝をアイテムボックスに放り込んだ。
やっぱり集落はおいしいな。
最近はこの辺りのモンスターも少なくなってきた。狩りすぎたのかもしれない。
そろそろ潮時だろう。さらに森の奥へ進もう。
この森はある一定の方角に進むとモンスターが段々強くなっていく。
きっとその方角へ進めば森の奥へと続いているだろう。
同じ方角にこの辺りにはなかったオークの集落もある気がするんだよな。
オークはゴブリンやコボルトと比べると、単体でも結構強いのでおそらくもう少し森の奥に集落を作ることができる。
エンカウント率も低いので、この辺で出会うオークはかなり遠出したやつか、はぐれオークだと思う。
僕はまだ見ぬオークの集落に想いを馳せながら鬱蒼と茂る森をかき分け進んだ。
頭部に鬼のような2本の角が生えた巨大な熊が頻繁に出るようになってきた。
こいつらは嫌いだ。火を吐くから。
正直ゴブリン10匹とこいつだったらこいつの方が手強いけれど、生命力と魔力的にはゴブリン10匹のほうがおいしいのでこいつと戦うのは損だ。
こいつの吐く炎は結構強力で、ド派手なので、僕も過剰なまでに防御しちゃう。
魔法で作り出した分厚い石壁に隠れて地中から根で串刺しにする。
あれ?なんかこの戦い方すごくトレントっぽい。
トレントといえば地中から根での不意打ちだよね。
よし、採用。
やっと見つけたぞ~、オーク共め。
うろうろと森をさまよう事約1週間ほど、僕はやっとオークの集落を発見した。
いや結構かかっちゃったね。この森広いからね。
しかしこの集落、でかいな。
これはまずいね。
いや、たぶん戦力的には勝てると思うよ。むしろ余裕だよ。
そうではなくて、たぶんくっ殺さんがいるということだ。
これだけの大きさの集落だ、あばら家の数は数えられるだけでも200はある。
オークの数は少なく見積もってもその倍はいる。
絶対女騎士かエルフが捕らえられているに決まっている。
とにかく早く助けてあげないと。
僕はいつものようにぶっ飛んで、無言で空から集落に侵入する。
今はヒャッハーとか言ってる場合じゃないからね。
ヒャッハーとかは言ってないけれど、僕の巨体が着地するとドシンという音と共に一瞬地面が揺れる。
侵入者に気づいたオークたちは次々と武器を手に取り、僕に群がってきた。
しかもこのオークたち、結構な割合で上位種が混じっている。
僕の敵ではないが、この近くに人間の町か村などがあったら結構ヤバかったのではないだろうか。
いや、もう結構被害が出た後かもしれない。早くくっ殺さんたちを開放してあげなければ。
僕は時々飛んでくる魔法にだけ気をつけながらオークを殲滅していった。
そして、出てきましたよ!オークキングっぽいやつが。
絶対魔剣持ってると思ってたから期待してたんだけどなんかこいつ魔法使いっぽいんですけど。
苦手だわぁ。
魔剣ではないけど、魔力が宿ったゴージャスな杖持ってるからぜひ吸収したいけど、魔法系の上位種は嫌だな。
火は使うなよ、火は!振りじゃないから!
オークキングはその性格の悪そうな豚顔をにやりと歪ませて巨大な火球を放ってきた。
ですよねー。わかってました。トレントに遭ったら火使いますよね。くそがっ。
僕は前方に分厚い石壁を形成して火球を防いで地中からヤツを串刺しにしようとするが…。
うん?なんか、身体の動きが、遅い。
なんだ?これ、と思ってオークキングを見るとヤツがあのゴージャスな杖を地面に突き刺している。
そしてその杖の刺さった地面が一面霜で真っ白になっており、その霜がこちらに向かって伸びてきている。
よく見れば空気中の水分も凍って、ダイヤモンドダストのようにキラキラしている。
冷気を操る力、魔法か?いや、あの杖を地面に刺してるから杖の能力かもしれない。
ますます吸収したくなった。
しかし、身体が凍ってきているのか、段々動かなくなっていく。
冷気もトレントの弱点だったか。
まあ最近は怪しくなってきたけど一応は植物だからな、普通に凍るよね。
こうなったらこちらも魔法で迎撃しかないと思ってヤツを見たが、いつの間にかそこには地面に刺さる杖だけになっていて、オークキングの姿が見えない。
くそっ、どこだ?
次の瞬間、後ろから無数の巨大な火球が僕の身体にぶち当たる。
「グアァァァァッ」
僕の口から獣の唸り声のような声が出て自分でもびっくりした。
あの豚野郎、杖なしでも魔法が使えたのか。
いや、使えるに決まっている。なぜなら僕は魔法を使うのに杖なんて使ってない。
最近では物理攻撃が僕に通ることが少なくなってきたので、油断していた。
どこかで、オークごときの攻撃なんて何発食らっても平気だと思っていたのかもしれない。
オークキングの放った火球は結構な高威力で、火球が当った場所が激しく燃え上がっている。
人間よりは痛覚が鈍いけれど、無いわけではないので僕は四肢が焼け落ちる苦しみにのた打ち回る。
そこに追い討ちをかけるようにオークキングがブヒブヒ鳴いて号令をかける。
周りで遠巻きに僕とオークキングの戦いを見ていたオークが一斉に襲い掛かってきた。
その攻撃の1発1発は僕にとってなんら痛痒を感じるものではなかったが、それが数十、数百と浴びせられればそれなりのダメージになる。
焼けて脆くなった根が1本、また1本とオークどもに切り捨てられる。
脳があるのかは分からないけれど脳が痺れるような鈍痛が僕を襲うが、火で焼かれるほどではないな。
オークたちの畳み掛けるような攻撃に僕の頭は逆に冷静さを取り戻していく。
正直トドメと思って平オークをけしかけただとしたらそれは下策だろう。
僕が怖いのはお前の魔法だけなのだから。
とりあえず回復だ。
僕は近くの手ごろな餌を串刺しにして吸収する。
僕の中にオークの生命力と魔力が流れ込んできて、切られた根や焼かれた樹皮が再生していく。
おお、さすがオーク、生命力も魔力もゴブリンやコボルトとは比べ物にならないな。
僕はどんどん、オークを串刺しにして吸収していった。
なるほど、別に全部倒してから吸収しなくても倒した端から吸収していけばいいのか。
そう考えると敵が放った魔法も単純に考えれば魔力なんだから吸収できないことはないかもしれない。
僕がオークを殲滅しながらそんなことを考えていると、ブヒィ!とオークキングの号令がかかり、僕に群がっていた平オーク共が引いていく。
そして、オークキングが忌々しそうにゴージャスな杖を構えている。
お前には気づかされることも多かったけれど、そろそろ終わりにさせてもらおう。
僕は自分の身体に風の砲弾をぶち当てて、オークキングに正面から飛び込んだ。
目の前のこいつは魔法使いで、たとえ接近戦もできたとしても魔法を使わない豚などただの豚でしかない。
そう、単純に正面から接近戦を挑んでいればよかったのだ。
なにせ僕には魔法攻撃以外大したダメージは入らないのだから、撃たせないように最初から接近戦に持ち込んでいれば余裕で終わる戦闘だった。
魔法使いへの苦手意識と、トレントとしてのセオリーを重視した結果、僕は地べたを転がりまわる結果となった。
おかげで良い教訓になったよ。
トレントとしての常識なんてクソ食らえということだ。
豚くんは意外と魔法発動が早く、僕を近づけたくないと言うように、大きな火球を何発も放ってきた。
撃たれてしまったものはしょうがない。
僕は魔法を吸収できるか試してみた。
飛んでくる火球に、無数の根を伸ばしてなるべく1本の根にかかる負荷が少なくなるようにして僕は全力で魔力を吸収した。
さすがに魔法を無効化とかすべて吸収し尽くして霧散というわけにはいかなかったが、ゴブリンメイジの放つ火球より少し強いくらいの威力にまで減退させることはできた。
僕のダメージは軽微だ。
僕はそのままオークキングの身体を無数の根で串刺しにした。
少しオーバーキルだったかもしれない。
いや熱かったからね、すごく。
オークキングを倒してからはもう作業でしかない。
数分もしないうちにオークの集落は壊滅したのだった。
人間の集落ではないので安心してください。
今日はようやく見つけたコボルトの集落です。
よし、空から行ってみよう。
空を自由に飛ぶ魔法は残念ながら使えなかったけれど、ただぶっ飛ぶだけの魔法なら簡単だ。
僕は自分の身体に風の砲弾のような魔法をぶち当ててテイクオフする。
「ヒャッハー」
まさか空から謎のトレントが降ってくるとは思うまい。
集落の中心部にドシンと降り立った僕は無双を開始する。
コボルトはグルルルウッと唸ってすごい威嚇してくる。
コボルトというモンスターは2足歩行する犬のようなモンスターだけれど、その顔は全然可愛くなく、どちらかといえば狂犬というような、恐ろしい顔をしている。
可愛かったら殺すのを躊躇してしまいそうだから、よかったのかもしれない。
僕はいつものように2足歩行するのに余った根を総動員してコボルトを串刺しにしていく。
順調に平コボルトを殲滅していると、奥のほうから魔剣っぽいものを持った屈強なコボルトが出てきた。
待ってました!
やっぱり生命力的にも魔力的にもおいしいのは上位種ですよ。
しかも魔剣持ってます。ネギっすよ、鴨がネギ背負ってますよ。
その上位種が出てくると、僕に群がっていたコボルトたちがさっと引いていく。
ほう、1対1の真剣勝負をお望みですか。嫌いじゃないよ、そういうの。
ただ、群れを率いるものとしては危機察知能力に欠けていると僕は思うけどね。
こんな森の浅い場所で、ちょっと魔剣を手に入れたからといって、自分に勝てるものなんていないとか思っちゃったのかな。
でも魔剣なんて持ったところで、コボルトを超える存在になったわけではない。
その証拠に、今も目の前のこいつは僕の樹皮を必死に魔剣で叩いているけれども一向に切れる兆しは見えない。
僕も魔剣吸収してるからね。やっぱりモンスターたるもの常に自分を磨かなくちゃ。
ごめんね。無駄に意識だけ高くていつまでも結婚できないキャリアウーマンみたいなこと言っちゃったね。
上位種が出てきたときは兄貴やっちゃってくださいみたいな顔していた平コボルトたちが段々絶望に満ちた顔になってきた。
そろそろ終わりにしよう。
僕は根を一振りして目の前の上位種の首を刎ね、同時に平コボルトたちの殲滅を再開した。
すべてが終わり、コボルト達と魔剣を吸収し、武器やお宝をアイテムボックスに放り込んだ。
やっぱり集落はおいしいな。
最近はこの辺りのモンスターも少なくなってきた。狩りすぎたのかもしれない。
そろそろ潮時だろう。さらに森の奥へ進もう。
この森はある一定の方角に進むとモンスターが段々強くなっていく。
きっとその方角へ進めば森の奥へと続いているだろう。
同じ方角にこの辺りにはなかったオークの集落もある気がするんだよな。
オークはゴブリンやコボルトと比べると、単体でも結構強いのでおそらくもう少し森の奥に集落を作ることができる。
エンカウント率も低いので、この辺で出会うオークはかなり遠出したやつか、はぐれオークだと思う。
僕はまだ見ぬオークの集落に想いを馳せながら鬱蒼と茂る森をかき分け進んだ。
頭部に鬼のような2本の角が生えた巨大な熊が頻繁に出るようになってきた。
こいつらは嫌いだ。火を吐くから。
正直ゴブリン10匹とこいつだったらこいつの方が手強いけれど、生命力と魔力的にはゴブリン10匹のほうがおいしいのでこいつと戦うのは損だ。
こいつの吐く炎は結構強力で、ド派手なので、僕も過剰なまでに防御しちゃう。
魔法で作り出した分厚い石壁に隠れて地中から根で串刺しにする。
あれ?なんかこの戦い方すごくトレントっぽい。
トレントといえば地中から根での不意打ちだよね。
よし、採用。
やっと見つけたぞ~、オーク共め。
うろうろと森をさまよう事約1週間ほど、僕はやっとオークの集落を発見した。
いや結構かかっちゃったね。この森広いからね。
しかしこの集落、でかいな。
これはまずいね。
いや、たぶん戦力的には勝てると思うよ。むしろ余裕だよ。
そうではなくて、たぶんくっ殺さんがいるということだ。
これだけの大きさの集落だ、あばら家の数は数えられるだけでも200はある。
オークの数は少なく見積もってもその倍はいる。
絶対女騎士かエルフが捕らえられているに決まっている。
とにかく早く助けてあげないと。
僕はいつものようにぶっ飛んで、無言で空から集落に侵入する。
今はヒャッハーとか言ってる場合じゃないからね。
ヒャッハーとかは言ってないけれど、僕の巨体が着地するとドシンという音と共に一瞬地面が揺れる。
侵入者に気づいたオークたちは次々と武器を手に取り、僕に群がってきた。
しかもこのオークたち、結構な割合で上位種が混じっている。
僕の敵ではないが、この近くに人間の町か村などがあったら結構ヤバかったのではないだろうか。
いや、もう結構被害が出た後かもしれない。早くくっ殺さんたちを開放してあげなければ。
僕は時々飛んでくる魔法にだけ気をつけながらオークを殲滅していった。
そして、出てきましたよ!オークキングっぽいやつが。
絶対魔剣持ってると思ってたから期待してたんだけどなんかこいつ魔法使いっぽいんですけど。
苦手だわぁ。
魔剣ではないけど、魔力が宿ったゴージャスな杖持ってるからぜひ吸収したいけど、魔法系の上位種は嫌だな。
火は使うなよ、火は!振りじゃないから!
オークキングはその性格の悪そうな豚顔をにやりと歪ませて巨大な火球を放ってきた。
ですよねー。わかってました。トレントに遭ったら火使いますよね。くそがっ。
僕は前方に分厚い石壁を形成して火球を防いで地中からヤツを串刺しにしようとするが…。
うん?なんか、身体の動きが、遅い。
なんだ?これ、と思ってオークキングを見るとヤツがあのゴージャスな杖を地面に突き刺している。
そしてその杖の刺さった地面が一面霜で真っ白になっており、その霜がこちらに向かって伸びてきている。
よく見れば空気中の水分も凍って、ダイヤモンドダストのようにキラキラしている。
冷気を操る力、魔法か?いや、あの杖を地面に刺してるから杖の能力かもしれない。
ますます吸収したくなった。
しかし、身体が凍ってきているのか、段々動かなくなっていく。
冷気もトレントの弱点だったか。
まあ最近は怪しくなってきたけど一応は植物だからな、普通に凍るよね。
こうなったらこちらも魔法で迎撃しかないと思ってヤツを見たが、いつの間にかそこには地面に刺さる杖だけになっていて、オークキングの姿が見えない。
くそっ、どこだ?
次の瞬間、後ろから無数の巨大な火球が僕の身体にぶち当たる。
「グアァァァァッ」
僕の口から獣の唸り声のような声が出て自分でもびっくりした。
あの豚野郎、杖なしでも魔法が使えたのか。
いや、使えるに決まっている。なぜなら僕は魔法を使うのに杖なんて使ってない。
最近では物理攻撃が僕に通ることが少なくなってきたので、油断していた。
どこかで、オークごときの攻撃なんて何発食らっても平気だと思っていたのかもしれない。
オークキングの放った火球は結構な高威力で、火球が当った場所が激しく燃え上がっている。
人間よりは痛覚が鈍いけれど、無いわけではないので僕は四肢が焼け落ちる苦しみにのた打ち回る。
そこに追い討ちをかけるようにオークキングがブヒブヒ鳴いて号令をかける。
周りで遠巻きに僕とオークキングの戦いを見ていたオークが一斉に襲い掛かってきた。
その攻撃の1発1発は僕にとってなんら痛痒を感じるものではなかったが、それが数十、数百と浴びせられればそれなりのダメージになる。
焼けて脆くなった根が1本、また1本とオークどもに切り捨てられる。
脳があるのかは分からないけれど脳が痺れるような鈍痛が僕を襲うが、火で焼かれるほどではないな。
オークたちの畳み掛けるような攻撃に僕の頭は逆に冷静さを取り戻していく。
正直トドメと思って平オークをけしかけただとしたらそれは下策だろう。
僕が怖いのはお前の魔法だけなのだから。
とりあえず回復だ。
僕は近くの手ごろな餌を串刺しにして吸収する。
僕の中にオークの生命力と魔力が流れ込んできて、切られた根や焼かれた樹皮が再生していく。
おお、さすがオーク、生命力も魔力もゴブリンやコボルトとは比べ物にならないな。
僕はどんどん、オークを串刺しにして吸収していった。
なるほど、別に全部倒してから吸収しなくても倒した端から吸収していけばいいのか。
そう考えると敵が放った魔法も単純に考えれば魔力なんだから吸収できないことはないかもしれない。
僕がオークを殲滅しながらそんなことを考えていると、ブヒィ!とオークキングの号令がかかり、僕に群がっていた平オーク共が引いていく。
そして、オークキングが忌々しそうにゴージャスな杖を構えている。
お前には気づかされることも多かったけれど、そろそろ終わりにさせてもらおう。
僕は自分の身体に風の砲弾をぶち当てて、オークキングに正面から飛び込んだ。
目の前のこいつは魔法使いで、たとえ接近戦もできたとしても魔法を使わない豚などただの豚でしかない。
そう、単純に正面から接近戦を挑んでいればよかったのだ。
なにせ僕には魔法攻撃以外大したダメージは入らないのだから、撃たせないように最初から接近戦に持ち込んでいれば余裕で終わる戦闘だった。
魔法使いへの苦手意識と、トレントとしてのセオリーを重視した結果、僕は地べたを転がりまわる結果となった。
おかげで良い教訓になったよ。
トレントとしての常識なんてクソ食らえということだ。
豚くんは意外と魔法発動が早く、僕を近づけたくないと言うように、大きな火球を何発も放ってきた。
撃たれてしまったものはしょうがない。
僕は魔法を吸収できるか試してみた。
飛んでくる火球に、無数の根を伸ばしてなるべく1本の根にかかる負荷が少なくなるようにして僕は全力で魔力を吸収した。
さすがに魔法を無効化とかすべて吸収し尽くして霧散というわけにはいかなかったが、ゴブリンメイジの放つ火球より少し強いくらいの威力にまで減退させることはできた。
僕のダメージは軽微だ。
僕はそのままオークキングの身体を無数の根で串刺しにした。
少しオーバーキルだったかもしれない。
いや熱かったからね、すごく。
オークキングを倒してからはもう作業でしかない。
数分もしないうちにオークの集落は壊滅したのだった。
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