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お題:海の家24時
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『早起きは三文の徳って言ってたじゃん』
「……これは大変だ。想定外の事態だぞ」
目の前には人、人、人。
想像もしていなかった大行列ができあがっていた。
「だが、まだ慌てちゃいけない。慌てる時間じゃない」
私が目覚めたのは、深夜だった。
まだ太陽が顔を見せるよりもはるかに前。
なぜなら、誰よりも早く列に並ぶため。
「緊急事態だ。いやしかし、まずは落ち着いて最後尾に並ぶべきだ」
始発電車に乗って行く、なんて気持ちじゃとうてい間に合わない。
前乗りして近くの宿に泊まる。
もしくは深夜に起きて車で移動。
そうした者だけが望みのモノを手に入れる。
「今年こそ生しらす丼を食べるんだ!」
今年もしらす漁が解禁された。
三月末の解禁明けからゴールデンウィークくらいまでの時期。
生しらす丼を求めて、人々は長い行列をつくる。
とくに私が並んでいるこの海の家は、この時期にしか店を開けない。
知る人ぞ知る店なのだ。
提供される生しらすも厳選されたもの。当然ながら、数に限りがある。
「わざわざ少し時期をずらして平日に有給をとったんだ。これで食べられなきゃ泣くぞ」
私の前には数十人ほどの人がいる。
まだ辺りは暗い。
正直、思っていたよりも人が並んでいるのは事実だ。
だが、これくらいの人数なら食べられるだろう。
落ち着いてきた私は、どんと構えて列に並ぶ。
しかしながら、私の余裕の気持ちとは裏腹に、本当の緊急事態はとっくにはじまっていたのだ。
そんなことを知らない私は、のんきに小説を読んでいた。
長い待ち時間を過ごすには最高の娯楽だ。
はらはらどきどき。
高ぶる感情は物語の展開によるものか、それとも。
そのことを私が知るのはもうすぐ。
その言葉で、私は地獄の底へと叩き落されるのだ。
漁師さんは24時間、海と戦っている。
命を守るため、そういう決断をするときだってある。
「本日はシケのため、生しらす丼の提供はございません!」
「……これは大変だ。想定外の事態だぞ」
目の前には人、人、人。
想像もしていなかった大行列ができあがっていた。
「だが、まだ慌てちゃいけない。慌てる時間じゃない」
私が目覚めたのは、深夜だった。
まだ太陽が顔を見せるよりもはるかに前。
なぜなら、誰よりも早く列に並ぶため。
「緊急事態だ。いやしかし、まずは落ち着いて最後尾に並ぶべきだ」
始発電車に乗って行く、なんて気持ちじゃとうてい間に合わない。
前乗りして近くの宿に泊まる。
もしくは深夜に起きて車で移動。
そうした者だけが望みのモノを手に入れる。
「今年こそ生しらす丼を食べるんだ!」
今年もしらす漁が解禁された。
三月末の解禁明けからゴールデンウィークくらいまでの時期。
生しらす丼を求めて、人々は長い行列をつくる。
とくに私が並んでいるこの海の家は、この時期にしか店を開けない。
知る人ぞ知る店なのだ。
提供される生しらすも厳選されたもの。当然ながら、数に限りがある。
「わざわざ少し時期をずらして平日に有給をとったんだ。これで食べられなきゃ泣くぞ」
私の前には数十人ほどの人がいる。
まだ辺りは暗い。
正直、思っていたよりも人が並んでいるのは事実だ。
だが、これくらいの人数なら食べられるだろう。
落ち着いてきた私は、どんと構えて列に並ぶ。
しかしながら、私の余裕の気持ちとは裏腹に、本当の緊急事態はとっくにはじまっていたのだ。
そんなことを知らない私は、のんきに小説を読んでいた。
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はらはらどきどき。
高ぶる感情は物語の展開によるものか、それとも。
そのことを私が知るのはもうすぐ。
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