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お題:ブルーハワイ

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『Lovely you And…』


 十年付き合った。
 学生のころに出会って、今年で私は30歳になる。

 結婚。
 そういう話が出てきたことは何度もある。

 しかし、そういうものはタイミングが大事だったりする。
 親戚の不幸があったり、互いの兄弟の方が先に結婚式を挙げてしまったり。

 なんとなくタイミングをつかめずにいた。
 だけど、私が30歳になるというのもひとつのタイミングではなかろうか。

 ひさしぶりに二人であわせた休暇。
 ハワイ、とまではいかなかったが沖縄旅行。

 ちょっと奮発した良いホテル。
 星空を眺めながらプールサイドのデッキチェアでのんびり過ごす。

 これはあれかな。
 プロポーズとかされちゃうかな。

 そんな期待に胸を膨らませる。
 彼が手をあげてスタッフを呼んだ。

 頼んだのはブルーハワイ。
 なるほど、プールサイドにはハワイアン音楽が流れている。

 雰囲気づくりは大事だよねと心の中で頷く。
 しばらくしてスタッフが運んできたのはかき氷。

「かき氷?」
「うん。好きだよね、ブルーハワイ」

 しゃりしゃりと音が聞こえる。
 青いシロップのかかったかき氷を食べる彼。

 カクテルかと思っていたのよ。
 このシチュエーションならカクテルだと思うじゃん。

 映画サークルで出会った彼。
 一緒に観たことがあるはずなんだよ。

 ブルーキュラソーだと思うじゃん。
 かき氷のブルーハワイって何味よ?

「……かき氷、おいしいね」
「だよなー。暑い日にはかき氷が一番だよなー」

 しゃりしゃりと音が聞こえる。
 結婚は、まだかもしれない。
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