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「悪夢を見た?」
「はい。口にするのもおぞましい、嫌な夢でございました」
私は朝から浮かない顔をしていた。
気がつかぬうちに、ため息をついていたらしい。
主人である 左近衛権少将道政 が、何事かと声をかけてきた。
「なんだ、そんなことで辛気臭い顔をしていたのか」
「そんなことだなんておっしゃらないでください。夢占いをするべきか、真剣に悩んでいるのですよ」
「そんなに心配か。ならばちょうど良い」
道政が笑顔で手招きをしてくる。
私は嫌な予感がしながらも、おとなしく主人のそばに近づいた。
「お前、 胡蝶の姫の噂を聞いているか?」
「いいえ。次にお通いになるご予定の姫でございますか?」
主人の道政は、女たらしとして有名だ。
次から次へと、新しい女の元へ足繁く通っている。
「失礼だな。胡蝶の姫はどんな夢でも買い取ってくれるともっぱらの噂なのだぞ。そなたの悪夢も買い取ってくれるやもしれぬ」
「……かしこまりました。ついでに道政さまの文を姫に届ければよろしいのですね?」
「流石だな。察しが良くて助かる」
私は呆れながらも、主人の手紙を受け取った。
私がこうして主人の恋文を女の元へ運ぶのは日常茶飯事だ。
これも仕事のうちと理解はしているが、腑に落ちないことがあるのも事実だ。
「夢を買い取る姫とはなんだ。とうとう普通の恋愛に飽きて、変な女に手を出そうとしていらっしゃるのか」
私は不安にかられながら、夢を買い取る姫が住むという屋敷までやってきた。
見た目はこじんまりとした質素な屋敷だった。
私は生垣をぐるりとまわり、屋敷の様子をうかがっていた。
すると、背後から声をかけられる。
「あのう、なにかご用でしょうか?」
「い、いや! 私はべつに怪しい者では……」
「家のまわりを何度もぐるぐるしている方が怪しくないわけないと思いますが?」
声をかけてきたのは姫の女房だろうか。
振り向くと、小柄な女が立っていた。
どこかへの使いの帰りなのか、大きな風呂敷を手にしている。
「我が主からの手紙を預かっているのだ。こちらは胡蝶姫の屋敷で間違いないか?」
「ああ、姫様へのお手紙でございますね。でしたらどうぞこちらへ」
女房はあからさまにあきれたような顔をした。
道政が手紙を出すくらいだ。きっと毎日、山のように恋文が届くのだろう。
私は女房の後に続いて歩き出すが、すぐに足を止めてしまった。
「どうかなさいましたか?」
「……その、主人の使いとは別に。私が個人的に夢について姫に相談したく思っておりまして……」
ここへやってきたのは主人の恋文を渡すため。だが、私にとってはこちらの方が重要だった。
ごにょごにょと話している途中で、女房の顔がぱっと華やいだ。
「まあ、夢を買い取らせていただけるのでございますね。でしたら早くそうおっしゃってくださいませ」
女房は案内しようとしていた使用人の出入り口に背を向けた。
「夢のご相談なら大切なお客さまです。どうぞ正面からお入りくださいませ」
そう言った女房に案内され、あれよという間に屋敷の中へ。
気がついたときには御簾越しに胡蝶の姫の前にやってきていた。
「……して、どのような夢を見たのじゃ?」
聞こえた声はどこかで聞いたことのある声だった。
どこで聞いたのかと思い出す前に、姫にもういちど声をかけられた。
「どのような夢を見てここへきたのじゃ?」
「……幼い頃の、友の夢です」
近所に住んでいた幼馴染。
万人が美しいと答える見た目ではなかったが、控えめで優しい人だった。
きっと、私にとって初めての恋だった。
「友が月を盗んでくれと言うのです。ですが、夜空に浮かぶ月を盗めるわけがありません。私はできぬと断るのですが、友は月が欲しいと泣き喚いていて……」
月くらい盗めるはずだ。
どうしても盗んでくれないなら死んでやる。
友は夢の中で何度も叫んでいた。
穏やかなあの人とはまるで違う。
恐ろしく醜い顔で叫ぶのだ。
「私に盗めないのなら自分で取りにいく。友はそう言うと、水面に映り込んだ月に向かって飛び込むのです」
友のからだが湖に沈んでいく。
最初はぶくぶくと泡が浮いてくるが、次第にそれがなくなる。
もしや溺れてしまったのか。助けに行きたいが、どうしてもからだが動かない。
ここで私は気がつくのだ。
ああ、これはいつもの夢なのだと。
夢なら早く覚めてくれと願うのだが、なかなかそうはいかない。
今日は夢ではないのか。
これは現実なのかと思ったとき。
ようやく、そこで目が覚める。
夢だったのだと安堵するのだ。
「なるほどな。まるでかぐや姫のようではないか」
「かぐや姫、でございますか?」
「けして手に入らぬ物を持って来いと言う。そうすればあなたにお仕えしますと」
けして手に入らぬモノ。
そう聞いて私は自嘲気味に笑う。
「そなたの手に入らなかったのは月ではない。愛しい者だったのだろう?」
姫にそう問いかけられ、私はすぐに言葉が返せなかった。
「友が本当に盗んで欲しかったのは自分だ。だが、いつまでもそなたが盗んでくれないので、自分から盗まれにいった」
違うか、そう語気を強めて問われた。
それでも、私は答えられなかった。
「そなたは愛しい者の手を掴んでやらなかったのだろう?」
そう私に声をかけながら、姫が御簾からでてきた。
私の前に姿をあらわしたのは、屋敷の前で会った女房だった。
「世の中にはどうにもならないことは山ほどある。盗んでやらなかったことを悔やんでいるのだろうが、仕方のないことだったのだ」
友は嫁いでいった。
望まぬ結婚だった。
しかし、家同士の決め事に、他人が口を挟めるわけがない。
「そなたにも立場というものがある。愛にだけ正直に生きることなどできないことはわかっているのだろう?」
姫の問いに、私は深く頷いた。
「そなたの後悔、私が夢ごと買い取ろう。これでもう友のことで悩むのは終いじゃ」
そう言って胡蝶の姫が手を叩くと、部屋の外から女房がやってきた。
その手には大きな荷物が抱えられている。
姫の前に置かれたそれは、紙と筆だった。
姫はすぐさま筆を手に取ると、さらさらと紙に何かを書いている。
「これは私がいま聞いたそなたの夢を買い取ったという証文だ」
たしかに紙には姫の言った通りの言葉が書かれている。
「さあ、ここにそなたの名を書くのだ。そうすれば、いま語った夢は私のもの。二度とそなたは友の夢をみなくなる」
さあ、どうする。
姫はそう言って無邪気に笑った。
私は主人の道政のもとへ帰ってきた。
胡蝶の姫から預かった手紙を主人へ渡す。
「さすが、いま話題の姫君だ。なんとも手厳しいことだな」
胡蝶の姫から道政へ、返事の書かれた手紙。
道政はそれを、私にも読んでみろと渡してきた。
姫からの手紙には、絶世の美女であったという小野小町が読んだ和歌が記されていた。
『思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを』
恋しいあなたを思いながら眠りについたので、夢にあなたがあらわれたのでしょうか。
夢だとわかっていたなら、そのまま目覚めることをしなかったのに。
通常、夢に思い人があらわれるのは、相手も自分を思ってくれているからなのだと解釈される。
相思相愛、吉兆だと喜ぶところだ。
しかし、この歌の小町はそうではない。
自分が恋しいと一方的に思いながら寝たので、夢に思い人があらわれたのだと詠んでいる。
目覚めて夢で思い人と会ったことを悔いているようにすら感じられる。
思い人との逢瀬は小町の夢の中だけのことであって、現実ではない。
恋の成就の見込みはないと、嘆いているのだ。
胡蝶の姫からの手紙には、歌だけが記されている。そのほかに言葉はない。
それの意味することはあまりに辛辣で、私はそれを口にするのは憚られた。
だが、どうしても誰かに確認せずにはいられなかった。
「……つまりこれは。私に会いたいのなら一生寝ていろと、そういうことでしょうか?」
「そういうことだろうな」
道政はニヤニヤと笑いながら肩をすくめた。
胡蝶の姫が簡単に自分には靡かないと知って、変なやる気をだしてしまったのだろう。
だが、私の心は不思議と晴れやかだった。
きっとこの和歌は、私にもあてられたものなのだと思ったのだ。
対面していたとき、姫は夢で悩む私を諭してくれた。
しかし、本音ではいつまでもいじけているのは情けないと思っていたのだ。
そんなに悩むくらいなら、駆け落ちでもしてやればよかったのだ。
そうできなかったのだから、もう悩むな。
一生寝ているつもりがないなら先へ進め。
そんな励ましが込められているのだと、私は前向きに解釈した。
「しかし辛辣な姫君だ。いくら私を夢に見ても、それはあなたが勝手に想いを寄せているだけ。こちらはなんとも思っていないぞと言いたいのだろうな」
そうだ。
きっと友も、私のことなどとうに過去の存在になっていることだろう。
いまは夫と子に囲まれた幸せな生活を送っていると人づてに聞いている。
だからきっと、私の一方的な想い。
夢に見るのなんておこがましい。
私は証文に名を書いた。
私の夢は姫が買い取ってしまった。
もうあの夢は、私のものではないのだ。
「手厳しいお方ではございますが、心根のお優しいかわいらしい姫君でしたよ」
「はい。口にするのもおぞましい、嫌な夢でございました」
私は朝から浮かない顔をしていた。
気がつかぬうちに、ため息をついていたらしい。
主人である 左近衛権少将道政 が、何事かと声をかけてきた。
「なんだ、そんなことで辛気臭い顔をしていたのか」
「そんなことだなんておっしゃらないでください。夢占いをするべきか、真剣に悩んでいるのですよ」
「そんなに心配か。ならばちょうど良い」
道政が笑顔で手招きをしてくる。
私は嫌な予感がしながらも、おとなしく主人のそばに近づいた。
「お前、 胡蝶の姫の噂を聞いているか?」
「いいえ。次にお通いになるご予定の姫でございますか?」
主人の道政は、女たらしとして有名だ。
次から次へと、新しい女の元へ足繁く通っている。
「失礼だな。胡蝶の姫はどんな夢でも買い取ってくれるともっぱらの噂なのだぞ。そなたの悪夢も買い取ってくれるやもしれぬ」
「……かしこまりました。ついでに道政さまの文を姫に届ければよろしいのですね?」
「流石だな。察しが良くて助かる」
私は呆れながらも、主人の手紙を受け取った。
私がこうして主人の恋文を女の元へ運ぶのは日常茶飯事だ。
これも仕事のうちと理解はしているが、腑に落ちないことがあるのも事実だ。
「夢を買い取る姫とはなんだ。とうとう普通の恋愛に飽きて、変な女に手を出そうとしていらっしゃるのか」
私は不安にかられながら、夢を買い取る姫が住むという屋敷までやってきた。
見た目はこじんまりとした質素な屋敷だった。
私は生垣をぐるりとまわり、屋敷の様子をうかがっていた。
すると、背後から声をかけられる。
「あのう、なにかご用でしょうか?」
「い、いや! 私はべつに怪しい者では……」
「家のまわりを何度もぐるぐるしている方が怪しくないわけないと思いますが?」
声をかけてきたのは姫の女房だろうか。
振り向くと、小柄な女が立っていた。
どこかへの使いの帰りなのか、大きな風呂敷を手にしている。
「我が主からの手紙を預かっているのだ。こちらは胡蝶姫の屋敷で間違いないか?」
「ああ、姫様へのお手紙でございますね。でしたらどうぞこちらへ」
女房はあからさまにあきれたような顔をした。
道政が手紙を出すくらいだ。きっと毎日、山のように恋文が届くのだろう。
私は女房の後に続いて歩き出すが、すぐに足を止めてしまった。
「どうかなさいましたか?」
「……その、主人の使いとは別に。私が個人的に夢について姫に相談したく思っておりまして……」
ここへやってきたのは主人の恋文を渡すため。だが、私にとってはこちらの方が重要だった。
ごにょごにょと話している途中で、女房の顔がぱっと華やいだ。
「まあ、夢を買い取らせていただけるのでございますね。でしたら早くそうおっしゃってくださいませ」
女房は案内しようとしていた使用人の出入り口に背を向けた。
「夢のご相談なら大切なお客さまです。どうぞ正面からお入りくださいませ」
そう言った女房に案内され、あれよという間に屋敷の中へ。
気がついたときには御簾越しに胡蝶の姫の前にやってきていた。
「……して、どのような夢を見たのじゃ?」
聞こえた声はどこかで聞いたことのある声だった。
どこで聞いたのかと思い出す前に、姫にもういちど声をかけられた。
「どのような夢を見てここへきたのじゃ?」
「……幼い頃の、友の夢です」
近所に住んでいた幼馴染。
万人が美しいと答える見た目ではなかったが、控えめで優しい人だった。
きっと、私にとって初めての恋だった。
「友が月を盗んでくれと言うのです。ですが、夜空に浮かぶ月を盗めるわけがありません。私はできぬと断るのですが、友は月が欲しいと泣き喚いていて……」
月くらい盗めるはずだ。
どうしても盗んでくれないなら死んでやる。
友は夢の中で何度も叫んでいた。
穏やかなあの人とはまるで違う。
恐ろしく醜い顔で叫ぶのだ。
「私に盗めないのなら自分で取りにいく。友はそう言うと、水面に映り込んだ月に向かって飛び込むのです」
友のからだが湖に沈んでいく。
最初はぶくぶくと泡が浮いてくるが、次第にそれがなくなる。
もしや溺れてしまったのか。助けに行きたいが、どうしてもからだが動かない。
ここで私は気がつくのだ。
ああ、これはいつもの夢なのだと。
夢なら早く覚めてくれと願うのだが、なかなかそうはいかない。
今日は夢ではないのか。
これは現実なのかと思ったとき。
ようやく、そこで目が覚める。
夢だったのだと安堵するのだ。
「なるほどな。まるでかぐや姫のようではないか」
「かぐや姫、でございますか?」
「けして手に入らぬ物を持って来いと言う。そうすればあなたにお仕えしますと」
けして手に入らぬモノ。
そう聞いて私は自嘲気味に笑う。
「そなたの手に入らなかったのは月ではない。愛しい者だったのだろう?」
姫にそう問いかけられ、私はすぐに言葉が返せなかった。
「友が本当に盗んで欲しかったのは自分だ。だが、いつまでもそなたが盗んでくれないので、自分から盗まれにいった」
違うか、そう語気を強めて問われた。
それでも、私は答えられなかった。
「そなたは愛しい者の手を掴んでやらなかったのだろう?」
そう私に声をかけながら、姫が御簾からでてきた。
私の前に姿をあらわしたのは、屋敷の前で会った女房だった。
「世の中にはどうにもならないことは山ほどある。盗んでやらなかったことを悔やんでいるのだろうが、仕方のないことだったのだ」
友は嫁いでいった。
望まぬ結婚だった。
しかし、家同士の決め事に、他人が口を挟めるわけがない。
「そなたにも立場というものがある。愛にだけ正直に生きることなどできないことはわかっているのだろう?」
姫の問いに、私は深く頷いた。
「そなたの後悔、私が夢ごと買い取ろう。これでもう友のことで悩むのは終いじゃ」
そう言って胡蝶の姫が手を叩くと、部屋の外から女房がやってきた。
その手には大きな荷物が抱えられている。
姫の前に置かれたそれは、紙と筆だった。
姫はすぐさま筆を手に取ると、さらさらと紙に何かを書いている。
「これは私がいま聞いたそなたの夢を買い取ったという証文だ」
たしかに紙には姫の言った通りの言葉が書かれている。
「さあ、ここにそなたの名を書くのだ。そうすれば、いま語った夢は私のもの。二度とそなたは友の夢をみなくなる」
さあ、どうする。
姫はそう言って無邪気に笑った。
私は主人の道政のもとへ帰ってきた。
胡蝶の姫から預かった手紙を主人へ渡す。
「さすが、いま話題の姫君だ。なんとも手厳しいことだな」
胡蝶の姫から道政へ、返事の書かれた手紙。
道政はそれを、私にも読んでみろと渡してきた。
姫からの手紙には、絶世の美女であったという小野小町が読んだ和歌が記されていた。
『思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを』
恋しいあなたを思いながら眠りについたので、夢にあなたがあらわれたのでしょうか。
夢だとわかっていたなら、そのまま目覚めることをしなかったのに。
通常、夢に思い人があらわれるのは、相手も自分を思ってくれているからなのだと解釈される。
相思相愛、吉兆だと喜ぶところだ。
しかし、この歌の小町はそうではない。
自分が恋しいと一方的に思いながら寝たので、夢に思い人があらわれたのだと詠んでいる。
目覚めて夢で思い人と会ったことを悔いているようにすら感じられる。
思い人との逢瀬は小町の夢の中だけのことであって、現実ではない。
恋の成就の見込みはないと、嘆いているのだ。
胡蝶の姫からの手紙には、歌だけが記されている。そのほかに言葉はない。
それの意味することはあまりに辛辣で、私はそれを口にするのは憚られた。
だが、どうしても誰かに確認せずにはいられなかった。
「……つまりこれは。私に会いたいのなら一生寝ていろと、そういうことでしょうか?」
「そういうことだろうな」
道政はニヤニヤと笑いながら肩をすくめた。
胡蝶の姫が簡単に自分には靡かないと知って、変なやる気をだしてしまったのだろう。
だが、私の心は不思議と晴れやかだった。
きっとこの和歌は、私にもあてられたものなのだと思ったのだ。
対面していたとき、姫は夢で悩む私を諭してくれた。
しかし、本音ではいつまでもいじけているのは情けないと思っていたのだ。
そんなに悩むくらいなら、駆け落ちでもしてやればよかったのだ。
そうできなかったのだから、もう悩むな。
一生寝ているつもりがないなら先へ進め。
そんな励ましが込められているのだと、私は前向きに解釈した。
「しかし辛辣な姫君だ。いくら私を夢に見ても、それはあなたが勝手に想いを寄せているだけ。こちらはなんとも思っていないぞと言いたいのだろうな」
そうだ。
きっと友も、私のことなどとうに過去の存在になっていることだろう。
いまは夫と子に囲まれた幸せな生活を送っていると人づてに聞いている。
だからきっと、私の一方的な想い。
夢に見るのなんておこがましい。
私は証文に名を書いた。
私の夢は姫が買い取ってしまった。
もうあの夢は、私のものではないのだ。
「手厳しいお方ではございますが、心根のお優しいかわいらしい姫君でしたよ」
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