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序章 なんでも探偵団始動編
特許があっても理不尽はなくならない+おまけ
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「おい…お前がなぜこうして縛り上げられているか、わかるよな…神町恵」
俺は今現在、眞田鑑太郎によって縄で縛られ、天井に吊り下げられています(そういう趣味ではない)。
「一番最新で更新された2022年11月23日12時ぴったしを最後にあれから三ヵ月経ったなあ…神町」
「えっと…えっと…」
ここで何かうまい言い訳をしなければ俺は今、殺される、確実に。
「無言か…、おい神町、何か喋った方が身のためだぞ」
しばらく無言を貫いた俺はついに口を開く。
「すみませんでしたあーーー!!!」
俺がやるべきことは…そう!必死の命乞い&全力の言い訳だ!
「恋愛小説の執筆に手間取ってしまいましてぇ…それで忙しくて他小説にまで手が回らなかったんですぅ!」
「他の小説も手が回らなかっただと!嘘をつくな!じゃあなぜ俺たちの出てる『この物語はSFなのかファンタジーなのかよくわからん世界』ができなくて『かつて世界を救った戦士たち』のは更新できたんだよ!しかも1月の時だけでも2話も!」
「お、お、俺も人間です!更新にも限界があるんです!ど、どうかここは穏便に―」
「これが穏便に済ませられるなら小説家はいらねえんだよお!!」
「ちょ待て待て待て!!!口悪くなってるから控えて―」
「だまれサボり作者!お前の○○○に○○○打ち込んで○○○してやる!!覚悟しろ!!」
「途中言語規制入って何言ってるかわかんねえよ!おまっ一体何をする気だ…ちょっ…待て…話し合おう…な…な…ギャアーーーーーー!!!」
意識がだんだん無くなるうぅ…。
「何やってんじゃーーーーーー!!!」
ちょうどいい所に鑑太郎の助手の柳崎透が乱入し、鑑太郎の顔面にキックを決める。
一方の鑑太郎は顔が地面の中にめり込み、その後ピクリとも動かない。
あ、ついでに俺が何されてたかはご想像にお任せください。
「お任せください…じゃねえわー!!作者!!あんたにも責任あるわー!!」
俺も柳崎透に思いっ切り蹴られた、助かったと思ったのに。
「神町さんもサボるのは程々にしてくださいよ、こっちも色々出番とか欲しいんで」
「善処します…」
「それ政治家とか医師とかでよく聞くセリフですよね」
「なんも言えねえ…」
俺…もう少し頑張ろうかな…ひどい目に遭いたくないし…。
「他の小説はもちろん、俺たちのことも書いてくださいよ、俺たちのことを書けるのは、あなたしかいませんから」
透の一言に俺は頷いた、確かに俺はここ最近執筆を怠けていたのかもしれない。
「じゃあこれからはもう少し俺たちのことを書いて―」
「あ、今思い出したけど、2月からは今度は『第6回ホラー・ミステリー小説大賞』に向けて新たな小説書くから保障はできないや―」
「お前ふざけんなよ作者!!!」
透にまたも顔面キックをされる俺だった。
本編
後に鑑太郎さんとの電話を通じて、白黒姉妹の依頼を引き受けることになってから三日が経った。
エレベーター降りれんかった事件の後、俺は姉社長から製品企画のデータがリークされた痕跡を辿った時にわかったことを説明してくれた。
社内の調査によると、外部から依頼主の会社の製品や企画書などの詳細や試験データ等に侵入した痕跡とウイルスが仕込まれていたことがわかった、侵入の痕跡とウイルスが見つかった部署は城之内さんの所属する企画開発部と経理部であったとのこと。
外部からの侵入の場合、社内で何かしらコンピュータなどにウイルスを仕込まないと外部から内部データに侵入できないとのこと、そう、つまりそのウイルスを仕込んだ犯人は姉妹の経営する会社の中にいるというわけだ。
「犯人は一体誰なんでしょうね、鑑太郎さんはどう思います?この件に関しては」
「そーだな、俺らの場合この件に関しちゃあ専門外だからなあ…」
鑑太郎さんでもわからないこともあるんだな、いつもはサボり癖のある鑑太郎さんでも、今までの依頼をなんやかんやでこなしてきていた、しかし今回の依頼はそう簡単にはいかないようである。
「しかたない…あいつを使うしかないか…」
「?…あいつとは一体誰のことですか?」
鑑太郎さんに聞くと、左側壁の方を指さして言った。
「隣の田中ことバーサーカーにデータの侵入経路を探してもらう」
「ええ!?田中さん!こういうのに詳しいんですか!?初耳なんですけど!」
「あれ?お前知らなかったか?あいつ一応本業はeスポーツの配信だけど、副業でホワイトハッカーやってるぞ」
「ちゃっかり田中さんのすごさ伝えちゃってるんですけど鑑太郎さん」
田中さん…ITにも詳しいなんて、田中さん一体何者なんだろう。
「んじゃつーわけで、外部の侵入者はバーサーカーに特定してもらうというわけで、あとは俺らは内部の裏切者を見つけるだけだ」
「でも、一体どうやって―」
「経理部と企画開発部がやられてる時点で検討着くだろう」
鑑太郎さんは俺に自信満々にそう言った、そのときの俺はまだその言葉の意味を理解していなかった。
―1週間後
「とりあえずあんたの言うとおりにその会社のデータをハッキングしてみた結果…お望みのものを手に入れてやったよ」
探偵事務所を訪れた田中さんがそう言い、入手したデータのUSBを鑑太郎さんに渡す、受け取った鑑太郎さんは懐から厚い封筒を取り出す。
「んじゃ、これ報酬」
鑑太郎から封筒を受け取った田中さんは封を開け、中身を確認する、中から1万円札の束がチラッと見える。
「約束の30万は入ってるみたいだな、じゃあ俺はこれで…」
そう言って田中さんはそのまま事務所を出た。
「これで揃いましたね、これからどうしますか鑑太郎さん」
「ああ、今からあのナイスバディな姉妹の会社に向かうぞ」
「わかりました」
俺たちは依頼人の会社に向かう支度を整え、事務所を後にした。
―さらに1時間後
「えーっと、経理部と企画開発部はこれで全員のようだな」
姉社長と妹副社長、企画開発部部長の城之内さんだけでなく、他社員も5階フロアに集められた、大体だが30人くらいが集まっている。
「まず今ここにいる社員らは社内のパソコン等にウイルスが仕込まれていたのは知ってるな、経った今得たライバル会社による不正アクセス及び企画データの盗作行為の証拠をもとに裁判申し立てを行っている」
鑑太郎さんの言葉に社員一同がざわつく、ざわつく社員たちを姉社長が静止させ、鑑太郎さんに「続きを」と促す。
「ウイルスをもとに外部から会社のデータに侵入した実行犯は後々逮捕する予定だとのこと、そして…残っているのは、そのウイルスを直接社内に仕込んだ犯人いや…裏切者だけだ」
鑑太郎さんの言葉に社員の中から「裏切者は誰だ!」「この害虫野郎!」などのまだ誰かわからぬ裏切者への罵倒が響く。
俺も鑑太郎さんから裏切者が誰か聞いてないんだよな。
そう思っていると、鑑太郎さんは深呼吸をし始め、大きな声で社員たちに言う。
「今からその裏切者が誰か!俺が教えてやる!」
その裏切者とは一体誰なんだ!?
「直接ウイルスを仕込んだ犯人…それは!」
鑑太郎さんの大きな声に社員一同静かになる、そして鑑太郎さんはゆっくりある男に向けて指さした。
「犯人は…城之内!」
城之内!?姉妹共に最も信頼を寄せるあの城之内さんが!?
「―の隣に立ってる松崎!お前だ!」
…
…
今、姉社長妹副社長も城之内さんも社員の皆も俺も共通してある一言が脳裏に浮かんだんだろう。
「松崎って…誰だっけ?」と。
いやこれの流れだと城之内さんが犯人のパターンだよね!?普通刑事ドラマとかだと今まで登場してきた中に犯人がいるパターンなのに初登場から犯人って物語的にどうなの!?てか松崎って誰!?
「えっと…松崎って誰だっけ?」
「あ、思い出した、確か元は企画開発部だったけど、なんでか経理部に移った人だよ」
「あーそういやいたね松崎って奴」
皆の反応を見ると、松崎ってあまり存在感ない人なのかな、てか何この的外れみたいな空気、てか普通ストーリー的にぶっちゃけ犯人城之内さんの方がよかったよね、なんで初登場であまり存在感ない人犯人なの?まあ結果城之内さんはただ何も悪くない人だけど、なんか…あまりしっくりこないなあ。
「松崎は最初、企画開発部として働き、現在は経理部…つまり彼が唯一企画開発部と経理部のことを深く知る者だ」
「だからって、わ、私がそのウイルスを仕込んだ犯人だっていう証拠はあるのか!」
松崎という男は鑑太郎に詰め寄り怒りをあらわにする。
「証拠ならある」
そう言って鑑太郎はポッケから録音機を出し、それをフロアにいる全員に聞こえる大音量で流した。
『なに?お前の会社が探偵に依頼したって?どこのだよ』
『なんでも探偵団という探偵事務所のようです』
『ふざけた名前だな、それじゃあなんでも鑑○団みてえじゃねえか』
『どうしますか笹原さん、もしウイルス仕込んだのが私だってばれたら会社クビにされてしまいます』
『大丈夫だ松崎さん、そう簡単には証拠は握られん、安心しなされ』
大音量で流れた会話の内容に一部社員らが松崎に殴りかかった。
「てめえよくも裏切ったな!」
「この疫病神が!」
「この会社から出てけ!」
数人が松崎を殴る中、城之内さんが「待て!」と叫んだ。
「ここは人を殴る場所ではない!一旦松崎から離れなさい!」
城之内さんの言葉に松崎を殴った社員らが引き下がる、そして城之内さんは松崎に近づいた。
「松崎…お前のしたことで何人の仲間に迷惑かけた、会社にどれくらいの損害を出したか、お前はわかっているのか?」
城之内さんの言葉に対し、松崎は黙ったまま、呆然としている。
「お前への処分は社長と副社長と協議した上で追って連絡する、今日は自宅で帰りなさい」
城之内さんがそう言うと、松崎はフラフラしながら弱々しくその場を後にした。
―3日後
あのあと松崎という男は会社から懲戒処分及び刑事告訴され、現在は留置所で取り調べを受けているとのこと、一方、会社ぐるみで不正アクセスに関与したとして、その会社に業務停止命令を受け、監査による内部調査が入った。
依頼人の会社よりも早く申請していた特許も民事裁判を通じて近く取り消されるようだ、ついでにその裁判の担当は鑑太郎さんはやらないとのこと(どうしても裁判に出たくないとのこと)、裁判は依頼人の会社の顧問弁護士に任せることになった。
「なあ思ったけどよ、これ一応ファンタジー小説のはずが、なんで社会問題みてえな感じになったんだろうな」
「俺に聞かないでくださいよ、そういうのは作者に言ってください」
「あの野郎、縄で縛ったはずが、いつの間にかいなくなってたんだよ、糞が…見つけたらただじゃおかねえ」
なんだかんだ解決してよかったよかった、やっぱりこの世から不正アクセスが撲滅されることを切に願うばかりだ、それに、ちゃんと正しくその独自の技術や企画らが特許を通じて守られる仕組みが新たに改善されていったらいいなって思った。
次回、”時に笑ってはいけない状況もある”更新されてたら見てね!
俺は今現在、眞田鑑太郎によって縄で縛られ、天井に吊り下げられています(そういう趣味ではない)。
「一番最新で更新された2022年11月23日12時ぴったしを最後にあれから三ヵ月経ったなあ…神町」
「えっと…えっと…」
ここで何かうまい言い訳をしなければ俺は今、殺される、確実に。
「無言か…、おい神町、何か喋った方が身のためだぞ」
しばらく無言を貫いた俺はついに口を開く。
「すみませんでしたあーーー!!!」
俺がやるべきことは…そう!必死の命乞い&全力の言い訳だ!
「恋愛小説の執筆に手間取ってしまいましてぇ…それで忙しくて他小説にまで手が回らなかったんですぅ!」
「他の小説も手が回らなかっただと!嘘をつくな!じゃあなぜ俺たちの出てる『この物語はSFなのかファンタジーなのかよくわからん世界』ができなくて『かつて世界を救った戦士たち』のは更新できたんだよ!しかも1月の時だけでも2話も!」
「お、お、俺も人間です!更新にも限界があるんです!ど、どうかここは穏便に―」
「これが穏便に済ませられるなら小説家はいらねえんだよお!!」
「ちょ待て待て待て!!!口悪くなってるから控えて―」
「だまれサボり作者!お前の○○○に○○○打ち込んで○○○してやる!!覚悟しろ!!」
「途中言語規制入って何言ってるかわかんねえよ!おまっ一体何をする気だ…ちょっ…待て…話し合おう…な…な…ギャアーーーーーー!!!」
意識がだんだん無くなるうぅ…。
「何やってんじゃーーーーーー!!!」
ちょうどいい所に鑑太郎の助手の柳崎透が乱入し、鑑太郎の顔面にキックを決める。
一方の鑑太郎は顔が地面の中にめり込み、その後ピクリとも動かない。
あ、ついでに俺が何されてたかはご想像にお任せください。
「お任せください…じゃねえわー!!作者!!あんたにも責任あるわー!!」
俺も柳崎透に思いっ切り蹴られた、助かったと思ったのに。
「神町さんもサボるのは程々にしてくださいよ、こっちも色々出番とか欲しいんで」
「善処します…」
「それ政治家とか医師とかでよく聞くセリフですよね」
「なんも言えねえ…」
俺…もう少し頑張ろうかな…ひどい目に遭いたくないし…。
「他の小説はもちろん、俺たちのことも書いてくださいよ、俺たちのことを書けるのは、あなたしかいませんから」
透の一言に俺は頷いた、確かに俺はここ最近執筆を怠けていたのかもしれない。
「じゃあこれからはもう少し俺たちのことを書いて―」
「あ、今思い出したけど、2月からは今度は『第6回ホラー・ミステリー小説大賞』に向けて新たな小説書くから保障はできないや―」
「お前ふざけんなよ作者!!!」
透にまたも顔面キックをされる俺だった。
本編
後に鑑太郎さんとの電話を通じて、白黒姉妹の依頼を引き受けることになってから三日が経った。
エレベーター降りれんかった事件の後、俺は姉社長から製品企画のデータがリークされた痕跡を辿った時にわかったことを説明してくれた。
社内の調査によると、外部から依頼主の会社の製品や企画書などの詳細や試験データ等に侵入した痕跡とウイルスが仕込まれていたことがわかった、侵入の痕跡とウイルスが見つかった部署は城之内さんの所属する企画開発部と経理部であったとのこと。
外部からの侵入の場合、社内で何かしらコンピュータなどにウイルスを仕込まないと外部から内部データに侵入できないとのこと、そう、つまりそのウイルスを仕込んだ犯人は姉妹の経営する会社の中にいるというわけだ。
「犯人は一体誰なんでしょうね、鑑太郎さんはどう思います?この件に関しては」
「そーだな、俺らの場合この件に関しちゃあ専門外だからなあ…」
鑑太郎さんでもわからないこともあるんだな、いつもはサボり癖のある鑑太郎さんでも、今までの依頼をなんやかんやでこなしてきていた、しかし今回の依頼はそう簡単にはいかないようである。
「しかたない…あいつを使うしかないか…」
「?…あいつとは一体誰のことですか?」
鑑太郎さんに聞くと、左側壁の方を指さして言った。
「隣の田中ことバーサーカーにデータの侵入経路を探してもらう」
「ええ!?田中さん!こういうのに詳しいんですか!?初耳なんですけど!」
「あれ?お前知らなかったか?あいつ一応本業はeスポーツの配信だけど、副業でホワイトハッカーやってるぞ」
「ちゃっかり田中さんのすごさ伝えちゃってるんですけど鑑太郎さん」
田中さん…ITにも詳しいなんて、田中さん一体何者なんだろう。
「んじゃつーわけで、外部の侵入者はバーサーカーに特定してもらうというわけで、あとは俺らは内部の裏切者を見つけるだけだ」
「でも、一体どうやって―」
「経理部と企画開発部がやられてる時点で検討着くだろう」
鑑太郎さんは俺に自信満々にそう言った、そのときの俺はまだその言葉の意味を理解していなかった。
―1週間後
「とりあえずあんたの言うとおりにその会社のデータをハッキングしてみた結果…お望みのものを手に入れてやったよ」
探偵事務所を訪れた田中さんがそう言い、入手したデータのUSBを鑑太郎さんに渡す、受け取った鑑太郎さんは懐から厚い封筒を取り出す。
「んじゃ、これ報酬」
鑑太郎から封筒を受け取った田中さんは封を開け、中身を確認する、中から1万円札の束がチラッと見える。
「約束の30万は入ってるみたいだな、じゃあ俺はこれで…」
そう言って田中さんはそのまま事務所を出た。
「これで揃いましたね、これからどうしますか鑑太郎さん」
「ああ、今からあのナイスバディな姉妹の会社に向かうぞ」
「わかりました」
俺たちは依頼人の会社に向かう支度を整え、事務所を後にした。
―さらに1時間後
「えーっと、経理部と企画開発部はこれで全員のようだな」
姉社長と妹副社長、企画開発部部長の城之内さんだけでなく、他社員も5階フロアに集められた、大体だが30人くらいが集まっている。
「まず今ここにいる社員らは社内のパソコン等にウイルスが仕込まれていたのは知ってるな、経った今得たライバル会社による不正アクセス及び企画データの盗作行為の証拠をもとに裁判申し立てを行っている」
鑑太郎さんの言葉に社員一同がざわつく、ざわつく社員たちを姉社長が静止させ、鑑太郎さんに「続きを」と促す。
「ウイルスをもとに外部から会社のデータに侵入した実行犯は後々逮捕する予定だとのこと、そして…残っているのは、そのウイルスを直接社内に仕込んだ犯人いや…裏切者だけだ」
鑑太郎さんの言葉に社員の中から「裏切者は誰だ!」「この害虫野郎!」などのまだ誰かわからぬ裏切者への罵倒が響く。
俺も鑑太郎さんから裏切者が誰か聞いてないんだよな。
そう思っていると、鑑太郎さんは深呼吸をし始め、大きな声で社員たちに言う。
「今からその裏切者が誰か!俺が教えてやる!」
その裏切者とは一体誰なんだ!?
「直接ウイルスを仕込んだ犯人…それは!」
鑑太郎さんの大きな声に社員一同静かになる、そして鑑太郎さんはゆっくりある男に向けて指さした。
「犯人は…城之内!」
城之内!?姉妹共に最も信頼を寄せるあの城之内さんが!?
「―の隣に立ってる松崎!お前だ!」
…
…
今、姉社長妹副社長も城之内さんも社員の皆も俺も共通してある一言が脳裏に浮かんだんだろう。
「松崎って…誰だっけ?」と。
いやこれの流れだと城之内さんが犯人のパターンだよね!?普通刑事ドラマとかだと今まで登場してきた中に犯人がいるパターンなのに初登場から犯人って物語的にどうなの!?てか松崎って誰!?
「えっと…松崎って誰だっけ?」
「あ、思い出した、確か元は企画開発部だったけど、なんでか経理部に移った人だよ」
「あーそういやいたね松崎って奴」
皆の反応を見ると、松崎ってあまり存在感ない人なのかな、てか何この的外れみたいな空気、てか普通ストーリー的にぶっちゃけ犯人城之内さんの方がよかったよね、なんで初登場であまり存在感ない人犯人なの?まあ結果城之内さんはただ何も悪くない人だけど、なんか…あまりしっくりこないなあ。
「松崎は最初、企画開発部として働き、現在は経理部…つまり彼が唯一企画開発部と経理部のことを深く知る者だ」
「だからって、わ、私がそのウイルスを仕込んだ犯人だっていう証拠はあるのか!」
松崎という男は鑑太郎に詰め寄り怒りをあらわにする。
「証拠ならある」
そう言って鑑太郎はポッケから録音機を出し、それをフロアにいる全員に聞こえる大音量で流した。
『なに?お前の会社が探偵に依頼したって?どこのだよ』
『なんでも探偵団という探偵事務所のようです』
『ふざけた名前だな、それじゃあなんでも鑑○団みてえじゃねえか』
『どうしますか笹原さん、もしウイルス仕込んだのが私だってばれたら会社クビにされてしまいます』
『大丈夫だ松崎さん、そう簡単には証拠は握られん、安心しなされ』
大音量で流れた会話の内容に一部社員らが松崎に殴りかかった。
「てめえよくも裏切ったな!」
「この疫病神が!」
「この会社から出てけ!」
数人が松崎を殴る中、城之内さんが「待て!」と叫んだ。
「ここは人を殴る場所ではない!一旦松崎から離れなさい!」
城之内さんの言葉に松崎を殴った社員らが引き下がる、そして城之内さんは松崎に近づいた。
「松崎…お前のしたことで何人の仲間に迷惑かけた、会社にどれくらいの損害を出したか、お前はわかっているのか?」
城之内さんの言葉に対し、松崎は黙ったまま、呆然としている。
「お前への処分は社長と副社長と協議した上で追って連絡する、今日は自宅で帰りなさい」
城之内さんがそう言うと、松崎はフラフラしながら弱々しくその場を後にした。
―3日後
あのあと松崎という男は会社から懲戒処分及び刑事告訴され、現在は留置所で取り調べを受けているとのこと、一方、会社ぐるみで不正アクセスに関与したとして、その会社に業務停止命令を受け、監査による内部調査が入った。
依頼人の会社よりも早く申請していた特許も民事裁判を通じて近く取り消されるようだ、ついでにその裁判の担当は鑑太郎さんはやらないとのこと(どうしても裁判に出たくないとのこと)、裁判は依頼人の会社の顧問弁護士に任せることになった。
「なあ思ったけどよ、これ一応ファンタジー小説のはずが、なんで社会問題みてえな感じになったんだろうな」
「俺に聞かないでくださいよ、そういうのは作者に言ってください」
「あの野郎、縄で縛ったはずが、いつの間にかいなくなってたんだよ、糞が…見つけたらただじゃおかねえ」
なんだかんだ解決してよかったよかった、やっぱりこの世から不正アクセスが撲滅されることを切に願うばかりだ、それに、ちゃんと正しくその独自の技術や企画らが特許を通じて守られる仕組みが新たに改善されていったらいいなって思った。
次回、”時に笑ってはいけない状況もある”更新されてたら見てね!
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