この物語はSFなのかファンタジーなのかよくわからん世界

神町 恵

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序章 なんでも探偵団始動編

エレベーター…降りたいんですけど…

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「えーっとたしか…依頼人が指定した場所はこのビルの10階だったな」

 俺は急遽依頼人からの依頼とこの場所に来るよう言われ、事務所を出てから20分歩くと、指定した場所にたどり着いた。
 どうやら重要かつ機密な依頼なようで、事務所や公共では話せないようなので直接依頼人が社長を勤めているというこのビルで依頼を聞くことになった。
 
 「なんで俺一人で行かなきゃならないんだ、鑑太郎さんは目を泳がせながらこれから依頼があるとかなんとか言って出てったけど(これから依頼があるってのは嘘だな絶対)」

 俺は大きなビルの中に入り、真正面にあったエレベーターへと乗り込んだ。

 「乗ろうとしてる人はいなさそうだし、閉めるか」

 俺は閉めるボタンを押し、エレベーターのドアが閉じようとした瞬間、いきなり手がエレベーター内に侵入して来た。

 「うおぅ!?」

 予想もしない光景に驚き、つい変な声を出してしまったが、すぐにその手の正体が判明した。
 エレベーターが開くと、それぞれ黒色の服と白い服を着た気の強そうな女性が二人、駆け込むようにエレベーターへと乗り込んだ。

 「危なかったわ、あなたがもたもたするから」

 黒い服を着た女性が白い服を着た女性に文句を言った。

 「寝坊したあなたが悪いじゃない、私は悪くないわ」

 それに対して、白い服を着た女性が黒い服を着た女性に反論する。

 「あなたが遅いからでしょ、私だったら寝坊しても走るの早いから時間を守れているのよ」

 「それはいつも私が起こしてあげてるからでしょ、私への恩を忘れるなんて薄情者ね」
 
 はあ…なんでエレベーター内で揉めるかな、見てるこっちが気分悪くなってしまう、でもこれくらい我慢しないと、それに、もうそろそろ目的の階に着きそうだし。

 ピンポーン

 インターホンみたいな音だなあとは思いながらも、そんなことより早くここから出たいことしか頭になかった。

 「やっと着いた~」

 俺ともう一人、白い服を着た女性がエレベーターから出ようとした瞬間、ドンッという音と同時に黒い服の方の女性がいきなり腕を垂直に伸ばして俺たちの通行を妨げた。

 「姉さん、大事な話があるの」

 「ん?何?妹よ」

 今聞くの!?ねえ!?今聞くの!?

 「ここじゃ話せないから、エレベーター内で話しましょう」

 「…そうね、わかった」

 わかったじゃねえよ!俺さっさと降りたいんですけど!せめてその腕を退けろ!

 「あのうすいません、俺ここの階なので降りさせていただき……」

 「ねえあなたちょっと邪魔、下がってくんない、狭いんだけど」

 黒い服の女は半ば強引に俺をエレベーター内へと押し込む。
 そしてエレベーターのドアはそのまま閉じられてしまった。

 「ちょおい!なんで降りようとした俺がまたエレベーターに乗り込まなくちゃいけないんだ!いいから降りさせ……」

 「それで姉さん、話なんだけど……」

 「おい無視するな!」

 俺の訴えも虚しく、エレベーターのドアはそのまま閉じられた、このままだと、依頼人との待ち合わせに遅刻してしまう。

 「以前私と部下の城之内君とで開発した製品の特許を申請しようとしたけど、すでにライバル会社が特許を取得してたみたいで、結局私たちが開発した製品が世に出ることはなかったんだよね、でも…保守的で有名なあの会社が私たちの会社みたいな製品の開発ができるのかが疑問なの、しかも今回は先にライバル会社が特許を申請、取得してる」
 
 「そうみたいね妹、私もその時は不思議に思ったわ、私と妹の会社は新しいものを取り入れたり、今までにないものを生み出すのがモットーだからね、それで何かわかったの?」

 そんな重要な話を俺の前でしていいのかとは思いながらも内容が気になり、俺もつい聞き耳を立てる。

 「当初、新しく開発した製品のサンプルデータは私と城之内君のパソコン内のみに保存してたの、最初はまさか城之内君がライバル会社にリークしてるんじゃないかと疑ったけど、リークした痕跡がなかった、でも……」

 「でも?」

 でも?一体なんだ?と思った瞬間。

 ピンポーン

 これから重要なことが語られそうなタイミングでエレベーターが突如開き、人が新たに2人入ってきた。

 「続きは目的の階に着いてから話しましょ、姉さん」

 「そうしましょ、妹よ」

 めっちゃ気になるー--、でもこれでやっと目的の階に行けると思ったが、やっぱり続きが気になるー--。

 「そういえばあなた…柳崎透君でしょ?眞田君とこの事務所の部下の…」

 「え!?あ、はい、そうですけど、どうして俺をご存じなんですか?」

 白い服の女が突然俺の名を呼び、いきなり呼ばれた俺は状況がすぐに読み込めず、その女の問いに答えながらも俺もその女に質問する。

 「君、依頼で呼ばれてここに来たんでしょ、今回の依頼主は…私なの」

 「え?…ええ!?」

 「ん?何がおかしいの?」

 「いやだって、電話の依頼を受けた時の声が…男の人の声だったはずですが…」

 「あああれね、私と妹共に忙しかったからね、私たちの代わりに妹部下の城之内君があなたたちの事務所に連絡したの」

 白い服の女の言葉に、俺は「なるほど」と納得した。

 「そういうことだったんですね、てことは、もしかして俺をわざとエレベーターから降りさせなかったのは、依頼の概要を俺に説明するためだったんですね」

 俺の言葉に白い服の女と黒い服の女がキョトンとした表情をした。

 「いや、あれは特に…そこまで考えてなかったわ、あなたが今日来る柳崎透だって知ったのはつい今さっきよ」

 「あ…そっすか…はい…」

 俺をエレベーターから降りさせなかったことの意味はなく、彼女らは俺が降りるのを妨害したただの迷惑な人だった。

 「次の階で降りたら依頼の詳細を説明するわ、柳崎さん」

 黒い服の女はそう言い、俺と白黒の姉妹はエレベーター内で目的の階に着くのを待った。

 
 久しぶりだなお前ら!作者の野郎がまたサボったせいで投稿が遅れたが(てか今回俺ほんのちょっとしか出番なかったけど…)、次回”特許があっても理不尽はなくならない”だ!次は主人公である俺がやーっと出てる回だ!作者にはなんとか近々次の話を投稿して貰いたいところだな、じゃ!あばよ! by 眞田鑑太郎
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